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86-2

同時刻。

遠い首都、メガロメセンブリアの地で、ついに彼女が動き出すことになる。


「冒険王? う~ん・・・・私はあんまそうゆう情報詳しくないっすからね~」


「ココネも知らナイ・・・・」


首都の大都会を一望できるほど巨大なビルの中で、魔法世界の夜を眺めながら美空とココネは呟いた。

ビルの中は見渡す限りの豪華な装飾で彩られ、つくづく自分たちがVIPなんだと思い知らされるほどである。

しかしその生活に慣れれば、返ってそれも堅苦しいことこの上ない。

建物の中で、長いソファーに胡坐を掻いて大あくびをしながら、美空は現在首都で話題になっているメガロメセンブリアのテロリストと、密入国の冒険王。二つのうちの一つについて話していた。

バカ面の美空に目を細めながらも、高音も首都の騎士団たちが追いかけている冒険王の話題は当然耳に入り、あごに手を置き、何かを思い出しているようである。


「私もあまり・・・・ですが、冒険王としてではなく、瀬田大学教授なら、・・・・何度かお聞きしたことがありますわ」


「私もです。結構評判の考古学者の人ですよね~」


「ええ、しかし・・・そんな裏の顔は知りませんでした」


表向きの顔は日本最高学歴の誇る大学に特別講師として招かれるぐらいである。それを抜きにしても、考古学者としての知名度は表世界では高い瀬田の情報を、高音たちは少しだけ聞いたことがあるようだった。

すると美空は何かを考えているかのように呟いた。


「ふ~ん、そんな人が家族と密入国で大暴れ、・・・・中々面白そうな人たちっすね~」


魔法関係の情報に詳しい高音と愛衣ですらあまり瀬田のことを知らないのだから、美空が知るはずは無い。
しかし男の話を聞くだけで、何故か美空の興味がわいてきた。


「美空さん?」


そんな美空に何か嫌な予感がしたのか、高音は心配そうに美空の顔を覗き込む。すると案の定、美空は何かを思いついたかのようなニヤけた笑みを浮かべた。


「オスティアに行くまで、まだ時間もあるし・・・・・ヒマッすからね~」


「な、なにを!? あなた、まさか!?」


「ふっふっふっ、首都の騎士団や並み居る賞金首たちを蹴散らせた一家。少し面白そうじゃないっすか? チラッと見てくるのもいいかな~って」


メチャクチャな男と出会い、メチャクチャな大馬鹿者どもと同じ誇りを背負った美空は、自分たち以外にもバカをやる三人の家族に興味を持ったようだ。


「ココネの故郷にでも行って時間潰そうかな~って思ってたんすけど、ちょっくらその三人組を探してこよっかな~って」


どこまでも楽観的に、しかし積極的に行動をする。それが今の美空のスタイルなのかもしれない。

昔の面倒くさがりに比べれば大した進歩ではあるが、どちらであったとしても高音にとっては迷惑な話だった。


「よしなさい! あなたの力はそれなりに認めますが、危険すぎますわ! 妙な事に首を突っ込んで、他の方に迷惑をかけたらどうするのです!?」


「いや~、でも私の逃げ足は知ってるっしょ? ちょちょいと見て来るのもおもしろいんじゃないかってね。それに修行にもなるかもしれねえっすからね」


「あ、あなたは責任ある行動をしなさいと、この世界に来る前に散々注意したではないですか!!」


「だ~~、分かってるっすよ~。でもこ~、アリアドネーの時みたいに決闘とか、なんつ~か、血が滾るようなことがしたいんすよ~。」


高音はあくまで責任ある立場としてのスタイルを崩さず、美空の自由を許そうとはしない。しかしこれもネギのクラスメートだからか、またはグレン団ゆえなのか、美空はあくまでブーたれて、素直に従おうとはしなかった。

そんな二人のやり取りをハラハラしながら愛衣もココネも眺めていた。


「美空さん、あまり困らせないでください~」


「美空・・・自重・・・」


「いいかげんになさい! 我々は我々の成すべき事をする! お分かりですか?」


「なすべきことって言ってもっすね~、ツマンナイ話し合いの後に、高級ディナーに高級ホテルに高待遇の生活だけじゃないっすか~。最初はうれしかったっすけど、こっちは修行気分で来ただけに、鈍っちやいますよ~」


麻帆良の代表としてこの世界に派遣された四人だが、アリアドネーでの交流以外は、一ヵ月後のオスティアへの仕事を待つのみで、それ以外はただの魔法世界のサマーバケーションだった。

熱血化して、出発前はあれほど意気込んで修行をした後に乗り込んだにしては割に合わないと言うのが、今の美空の気持ちだった。


「はあ~、まったく、気楽でいいですわね・・・・」


「そうですよ~。ゲートが壊されて、私たち帰れないかもしれないんですよ?」


「あ~あ、ったく、ま~たそれっすか~?」


高音は心底呆れ顔で、そして愛衣はとても悲しい表情でそのことを告げた。対する美空はそんな二人の落ち込みぶりに、またかと思うようなため息を吐き、ココネは相変わらずの無表情だった。


「だ~か~ら~、何度も言ってるじゃないっすか~。何とかなるって」


「大丈夫・・・だと思ウ・・・・」


彼女たちも当然魔法世界と現実世界を結ぶゲートの全てが破壊されたことを知っていた。その時の四人は流石にテンパッて大騒ぎをしたが、美空とココネの立ち直りは意外と早かった。

それは彼女たちは、ゲートが無くても何とかなるんじゃないかという思いがあった。


「・・・・それはあの・・・・あなたたちのお兄さんが迎えに来てくれると言うことですか?」


「そうっすよ、兄貴のワープなら一ッ飛びっすよ! 


美空とココネには予感があった。

恐らくこの事態は現実世界の麻帆良学園にも行き届いているだろう。

そして、もしそうだとしたら、近いうちに帰ってくるであろう自分たちの兄が、以前とまったく変わらぬ姿で迎えに来てくれるのではないかという予感があった。

だからこそ、二人は今ではそれほど不安に落ち込まずに、細かい事は考えないで、今の状況でも自分たちの出来ることをしようとしていたのだった。


「ふう・・・・そういうところは・・・・立派ですわね・・・・・」


高音は美空の魔法使いとしてのあり方や責任感に対しては認めていない。しかしこのような精神的な強さにおいては一目置いていた。

高音の素直な褒め言葉に美空も照れ隠しのように頭を掻いて、小さく笑った。その雰囲気に触れた愛衣もようやく落ち着きを取り戻し、一緒になって苦笑した。


だが、その四人の作り出したほのぼのとした雰囲気は、次の瞬間に粉々に打ち壊されることになった。



『おう、久しぶりじゃねえか!! テメエが通信使うなんて、何年ぶりだ~? たまには連絡よこせよなァ!!』



あまりにも大声過ぎて、美空たちも思わずビクッと震えてしまった。


「この豪快な喋り方は・・・・・・」


「元老院議員のリカード様ですわね」


建物内全土に響き渡っているのでは、と思えるほどの大音量で、首都のトップクラスのお偉いさんは、音量を気にせずに、とある部屋の一室で、何やら大声で誰かと通信をしているようだ。

やけに面白いツンツンの頭をした髭面の暑苦しい男。彼こそ、首都の元老院議員であり、サウザンドマスターたちの活躍した大戦記の英雄の一人である。

そんな彼が、まるで十年来の心の許せる親友と話しているような感じがした。

そのことからも通信の向こうの相手がとてつもない大物であることが容易に想像できた。


『にっしてもよ~、一体どうした? ・・・・・・・あん? 仕事? ・・・・・・・おいおい、俺はそんな依頼してねえぞ?』


すると豪快に笑っていた声が急に真面目になった。

気づいたら、気づかれないように美空たちも部屋の扉の前で聞き耳を立てていた。


『なんだって? 使者が来たァ? 俺の名前使って? ・・・・・・いや・・・・マジで知らねえよ・・・・大体俺はオスティアの終戦記念祭に向けての準備で忙しいんだよ・・・・・。たかが密入国程度でお前に依頼するはずねえだろ? 俺は騎士団の派遣と報告書を北の大陸に送った程度だぜ?』


疑問が深まり、首を傾げるリカード。


『・・・・となると・・・・・・・俺の名を語って使者を送った奴が居るって事か・・・・・まあ、メガロメセンブリアん中でそんなこと出来る奴は限られてるがな・・・・・』


話の内容の全ては分からないが、美空たちも大体の話の流れは理解できた。


「ねえ・・・・・・これってひょっとして・・・・」


「ええ、・・・・・噂をすればということですわね」


首都が手を妬いている密入国者。

それだけで何となく話の内容が分かった。

そしてどうやら何者かが、リカードの名前を使い、賞金首を捕らえるようリカードの親友らしき凄腕の者に依頼をしていたようだが、それを本人の許可なくしていたということだろう。

といっても人を通さず勝手な判断をするのは現実世界の政治や組織においては別に珍しいことではない。だから美空たちはリカードが首を傾げていることよりも、その依頼内容のほうに興味があった。

すると案の定、リカードはその人物の名を告げた。


『まあ、どっちにしろ賞金首だし、捕まえておいて損はねえだろ。 んで、その冒険王ってのは? 当然捕まえたんだろ?』


やはり冒険王瀬田の内容だった。


「やっぱり・・・・」


「どうやら本当に首都も手を妬いているみたいですね。大学講師を相手に・・・・・・」


魔法使いではない、男が魔法世界の組織を相手に奔放していると言う話は本当だった。そしてその事がさらに深まることをリカードは口にする。


『はっ? ・・・・・・・・捕まえらんなかった?』


リカードは心底驚いているような声を上げ、美空たちは少しビクッとした。


『おいおいおい!? それで逃げられたってのかよ!? テメエほどの男が一体どうしたってんだよ!? マジかよ・・・・』


リカードにとって通信の相手はよっぽど信頼の置ける腕の立つ者だったのだろう。

大戦記の英雄が信頼を持つ者ですら捕まえられない。それが冒険王の強さを示しているようだった。

だが、リカードの次に告げられる言葉に、美空たちは血相を変えることになる。


『ほう・・・妙な邪魔が入ったってか? 冒険王瀬田、恐妻ハルカ、悪戯サラ、その他にも仲間が居たってのか?・・・・その邪魔した奴ってのはどんな奴なんだ?』


魔法世界を騒がせる三人家族以外に現れた新たなる脅威。

その人物に美空たちは息を飲み込んだ。



『ん? ・・・・・ドリル? なんだそりゃあ?』



「「・・・・・・・・・・・・・・・えっ?」」



思わず声が漏れてしまった。


「ちょっ、・・・・美空さん? ココネさん?」


「・・・・・・えっ? ・・・・・・・・うそ・・・・・・・・・ま・・・・・まさか・・・・まさか・・・・・」


美空もココネも、告げられた意外な言葉に呆然としていた。

自分たちの頭の中に、一瞬である男が浮かび上がった。しかしそれはまったくの予想外のことだ。

そして思いついた瞬間、美空の体はガクガクと震えた。今リカードが継げた言葉の意味が、一体どういうものなのかを気にせずにはいられなかった。

そして、リカードは美空たちに気づかず、通信相手との話を止めない。

そして、次に出てきた言葉に美空たちは立ち上がるのだった。



『う~ん、シモンか~、聞いたことねえな・・・・・つうかどこで会ったんだ?』



「「!!??」」



『アリアドネーから逃げ出して・・・・・・・ほう、今俺んとこには冒険王はニャンドマ辺りにいるって情報はあるが、どうやらバラけていたみたいだな・・・・。しっかしテメエが逃がしたとは・・・・シモンねえ・・・・・。そいつが四人目の仲間ってことか?』



「ニャンドマ?」



「ええ~っと・・・首都より西にある大陸の小さな地区で・・・・オスティアの北辺りの位置だったでしょうか?」



「で・・・・でも・・・・ドリルに・・・・シモンさんって・・・・・まさか・・・・・」



リカードはまだ通信で懐かしの旧友と会話をしているが、もうその内容を美空たちは聞いていなかった。

今は先ほどの「ドリル」「シモン」「冒険王はニャンドマにいる」この三つが頭の中でグルグルと駆け巡っていた。


「うそ・・・・・なんで? だって・・・・・兄貴が帰ってきたら・・・・・まずは、真っ先に・・・・・」


美空は思い出す。

それは学園祭最終日の夜。グレンラガンでヨーコと共に麻帆良から姿を消したシモンの言葉。



[またな、ダチ公!!]



彼はそう言って緑色の光に包まれ、姿を消した。

しかし再び必ず帰ってくると約束をした。彼は約束を必ず守る男だ。だから帰ってくるのなら、真っ先に自分たちの下に来てくれると思っていた。


「兄貴・・・・・・イル? この世界ニ・・・・・・イル?」


ココネも動揺していた。その小さな体がフルフルと震えて、美空と同じ事を考えていた。


『まあ、テメエはもう面倒なことはやんなくていいぜ。それよりオスティアには来れんのか? あん? 弟子を見つけた? はん、よく分からねえけど、オスティアでな!』


しばらくしてリカードもようやく会話を終えたらしく通信を切った。だが、その通信が切れる前に、既に二人の少女は走り出していた。


「高音さん、私たちは行くよ! オスティには直で行くから後は頼んだっすよ!」


「ちょっ、あなたたち!?」


「美空さん!? ココネちゃん!?」


「いくよ、ココネ!」


「ウン!」


二人は制止を振り切って、ただただ走り出した。

シモンとの別れは時間にすれば僅か数ヶ月足らず。しかし修行でエヴァの別荘を使用していた分、それ以上の月日を実感している。


「兄貴・・・・兄貴・・・・・兄貴・・・兄貴!!」


だからこそ会いたい。理由は要らない、ただ会いたい。


(兄貴・・・・・まさか・・・・本当に兄貴なの? でも、だったら何で会いに来てくんないの? 兄貴のワープなら一発じゃん!)


(兄貴・・・・・居ルノニ来てくれナイ・・・・・・ココネヲ嫌いにナッタノ?)


溢れ出しそうになる涙を振り切って、今は只、二人は故郷へ消えた兄の下へと脇目も振らずに走り出したのだった。
















そして美空たちが走り出した数時間後のことだった。

彼女たちは既に首都に居ない。

ココネは美空に肩車をされ、二人は駆け出していた。

だが、そこに彼女たちの援軍がやって来るのだ。



メガロメセンブリアのゲートポート。ここはフェイトの一味が破壊した傷跡が、まだ新しく残っている。


もうじき完全に起動しなくなるゲートを前に、ネギたちをこの世界への案内役として連れてきたドネットは祈るようにネギたちの安否と、旧世界からの援軍を心待ちしていた。


「ネギ君・・・・みんな・・・・無事でいて。もうすぐ・・・きっと助けが来るわ」


その呟きが通じたのか、ゲートに魔方陣が浮かび上がり光が漏れ出した。


「来た! よかったわ、間に合ったのね!」


その瞬間ドネットはうれしそうに顔を上げ、急いで光の中から現れた援軍の下へ駆け寄った。


「良かった・・・・・ゲートが完全に閉じる前に・・・・「来たぜ、トンデモ世界!!」 ・・・・へっ?」


そして彼女は想像よりも遥かに多く、そして騒がしい一団と出会った。


「・・・・あ・・・・・・・あれ?」


想像とは、かなりかけ離れた集団が、意気揚々と乗り込んできた。


「はあ~、これが魔法世界ですか~。感激ですね~!」


「ふっ、僕としたことが、興奮してきてしまったね。こんな世界があるとはね」


「高ぶる・・・・」


「首都メガロメセンブリア、私ノデーターベースデハ比較的安全トイウ情報デシタガ更新ノ必要アリデスネ」


「しっかし、この世界のどっかに美空ちゃんとココネちゃんがいるのか~」


「無事でいればいいのですけど・・・・」


先に飛び出したのはとても異質な組み合わせだった。

学ランや空手着を身に纏った男や、あきらかに一般人に見えるメガネの少女や、あきらかにロボットに見える・・・・・・ロボット。そして彼らを引き連れるシスター。

まさに異色過ぎる集団の登場だった。


「こ・・・・・これは・・・・一体?」


自分の想定外の援軍の到着に、ドネットは思わず顔を引きつらせて呆然としてしまった。

しかしそんなドネットの心情を察して、ようやくまともそうな男が苦笑しながら声を掛けた。


「いや、スマナイね。こちらにもいろいろ事情があってね」


「あっ、これはどうも!」


話しかけたのはタカミチだった。

タカミチは魔法界でもネギの父親たちの仲間だったこともあり、とても有名人であり、ドネットも当然タカミチのことを知っていた。


「しかし・・・・・これは?」


「ははは、大丈夫。存在自体で既に頼もしい彼らだ。僕が言うんだから間違いないよ」


「は・・・・・はあ」


訳の分からない集団が現れたかと思ったが、取り合えず一人でも信頼の置ける強い援軍が着てくれたことはドネットにも喜ばしいことだった。


「ふう、流石にハシャいでいるな」


「何言っているんですか、龍宮さん! 騒がしくないグレン団をグレン団と呼べますか!?」


「・・・・・・スマン、ハカセ・・・・・・まったく想像できないな・・・・・・」


「おいおい、鯨が空を飛んでるぜ! 中々気合のある奴じゃねえか!」


「まるでニューヨークのマンハッタンみたいだね・・・・・・行った事無いけど」


「記念撮影するか?」


「デハ私ノ内蔵サレテイル、カメラヲ使イマショウ」


「お、いいじゃねーか。そんじゃあさっそく一枚いくか!」


しかしやはりこれを気にするなと言うのはドネットには難しい話だった。

ネギの仲間たちがこの世界に初めて着いた時は女子ばかりだったので、これ以上に騒がしかったのだが、今回は緊急事態ゆえに、対応に困ってしまった。

しかし次の瞬間、彼らの顔は一変することになる。


「!? ・・・・・・・・・・・・コレハ・・・・・・コノ・・・・反応ハ・・・・・・」


記念撮影をしようとした瞬間、エンキが何かを感知したような反応を見せた。


「どうしたの、エンキ?」


ハカセがエンキの顔を覗き込むと、エンキはある一定の方向を見て口を開く。


「・・・・・・・美空サン、ココネサン、二人ノ反応ガ、首都カラ遠ザカッテイマス。シカモ凄いスピードデ・・・・」


「「「「「えっ!?」」」」」


「な、なんですって?」


「・・・・・奴らは首都にいるんじゃなかったのかい?」


「・・・・・エンキ君、どういうことだい?」


美空たちは首都にいると思っていただけに、突然の報告に全員がエンキに注目する。


「モノスゴイスピードデス。美空サンガ走ッテ移動中。・・・・・・・ソノ方角ニハ・・・・・・・コノ反応ハ・・・・」


そう言ってエンキのコンピュータが何かを索敵しだした。

二人の向かう方向。土地。情報。そして何か変わったものがないのか。

それを一瞬で調べ上げたエンキは、思いもよらない言葉を告げた。


「二人ノ向カウ方角・・・・・・・・・・・・・・トンデモナイ反応ヲキャッチシマシタ・・・・・」


「とんでもない反応?」


その言葉に龍宮も興味深そうに聞く。

するとエンキが次の瞬間発した言葉は、誰もが激しく動揺してしまった。



「・・・・・私ノ気合探知機ニ反応アリ・・・・コノ反応ハ・・・・・・・リーダーデス」


「「「「「「「「!?」」」」」」」」」


「な、なんだって!? まさか、シモン君が!?」


「本当かい?・・・・・・・・・・もし本当なのだとしたら・・・・・・どうせ気合と言われるんだろうが・・・・・あえて知りたいな。どうやって来たんだ? あなたたちのリーダーは・・・・」


「美空ちゃんとココネちゃんだけじゃねえ・・・・・・リーダーが居やがるだと?」


「シ・・・・シモンさんが・・・・・この世界に?」


そしてタカミチたちだけではなく、シャークティの頭の中にも色々な疑問が頭の中を駆け巡る。

シスターである彼女が只一度だけ恋をした相手。そして自分たちの最高の仲間であり、欠かすことの出来ない家族。


(あの人が・・・・居る?・・・・・・この世界に?)


シモンがこの世界に居る。

するとシャークティの頬が自然と綻んだ。


「ふっ・・・・ふふふ」


「姐さん?」


シャークティは口元を押さえて突如笑い出した。


(まったくあなたは・・・・そうやって人を驚かすのが楽しいんですか? 許しがたい家族ですね)


心の中で許さないと言っていても顔の笑みは堪えることは無い。

美空とココネを心配する余り、ここに来るまで少し張り詰めていたシャークティの表情が一瞬で綻んだのだった。


「・・・ぷっ、くくくく、おかしくって・・・・・・・ツッコミたいことがいくらでもあるのですけど・・・・ふふふふふ」


そんなシャークティの様子を見て豪徳寺たちも笑みを浮かべながら頷いた。


「だな?」


「ええ、僕もそう思う」


「異論無し」


「じゃあ・・・・決まったな」



「ええ、完璧ですね~。そうですね~、もうそれ以外ないですよね~」


「ゾクゾクシマス」


全員が口にも出していない提案に頷いた。それはもう、全員が同じ考えを持っているからだという事が分かっていたからだ。


「ええ、理由も状況も説教も、後で確認しましょう。今は私たちの仲間と・・・・そして銀河級の、おバカさんを♪」


シャークティも異論を挟まない。彼女は、とてもうれしそうにエンキが指し示す方向をジッも見つめた。

そしてタカミチと龍宮へと向いた。


「高畑先生と龍宮さんは、予定通りネギ先生たちをお願いします。私たちは・・・・・・」


「「「「「「俺たちはァ・・・・・・・」」」」」」


進むべき方角へ向き、ゲートに背を向け突き進んだ。




「「「「「「ちょっくら、伝説創りに行ってくらァ!!!」」」」」」



こうして彼らは意気揚々と殴りこんだ。

そして目指す方角はオスティア方面。それが美空たちの向かっている、そしてその近くにシモンが居る場所である。


一切の不安も恐れも無くして、新生大グレン団は突き進む。



バラバラだった人と人との繋がりが、シモンを通じて魔法世界の一つの方角を目指して、皆が動き出していた。


彼らの目指す場所はオスティア。


徐々に運命が、オスティアに集結する。
最終更新:2011年05月12日 14:34
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