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93-2

「道は無限に広がっている・・・ならば二択をする必要なんか無い! 君に提示される道なんか行かない! 僕の道は・・・僕達の道は自分達で決める! この握った拳にまだ何も掴んでいないのなら、僕たちはこの手で掴んでみせる! これが僕の答えだ!」


その時、俯いたネギが顔を上げ真っ直ぐな瞳でフェイトを射抜く。そして次の瞬間、詠唱を唱えながらフェイトに飛び掛った。


「来れ 深淵の闇(アギテー・テネブラエ・アピュシイ) 燃え盛る大剣(エンシス・インケンデンス)!! 闇と影と憎悪と破壊(エト・インケンディウム・カリギニス・ウンプラエ) 復讐の大焔(イニミーキティアエ・デーストルクティオーニス・ウルティオーニス)!!我を焼け 彼を焼け(インケンダント・エト・メー・エト・エウム) そはただ焼き尽くす者(シント・ソールム・インケンデンテース) 奈落の(インケンディウム)業火(ゲヘナエ)!!」


「ふん、・・・交渉・・・・決裂かい?」


「固定(スタグネット)!!掌握(コンプレクシオー)!! 術式兵装(プロ・アルマティオーネ) 獄炎煉我(シム・ファブリカートゥス・アブ・インケンディオー)!!」


ネギの体が炎を取り込み、変化した。

浅黒く、禍々しく・・・だが、その瞳は変わらない。

たとえ狂気の様な力でも、ネギは決して変わらない。


「たとえ君にどんな大義があっても、誰も滅びなんか望んでいない! このまま逃げ出すことを僕の仲間は誰も望んでいない!」


いつもと変わらぬ純粋で、しかし力強い瞳。


「アスナさんと茶々丸さんの言うとおりだッ! こんな選択肢なんて選ぶ必要も、迷う必要も何も無い!! 僕の答え・・・・それは・・・・」


それは子供じみた答えでしかない。

思慮も浅く、事情も良く知らない子供の甘いた戯言でしかないかもしれない。

だが、ネギは自分を偽ることはしない。

今の自分が最も良いと思った答えを、胸を張ってフェイトに向って叫んだ。




「どっちも守る! 仲間も! 世界も! どっちもだッ!!」




ネギのその言葉に刹那たちはハッとなり、心を打たれた。

そしてその答えを待っていたかのように、アスナと茶々丸は力強く頷いた。



「その通りだわ! こんなネチネチと性格の悪い奴なんかに、私達の未来を勝手に決められてなるもんかっての!!」



「今更ひるむ私達ではありません! たしかこういう状況で言う言葉・・・・そうです! あなた、ムカつきます!!」


アスナに続いて、茶々丸が表情を変えずに、茶々丸らしくない乱暴な言葉でビシッとフェイトに向って指を指しながら叫ぶ。

しかしその言葉が全員に響き、刹那たちも一切の迷いを捨てた。


「決まり・・・でござるな!」


「そのようだな!」


どこかうれしそうに刹那も頷いた。それは、のどか達も同じである。


「ったく・・・どいつもこいつも、単純っつうか・・・・」


千雨は溜息をつくが、それでもそれほど不満があるようには見えなかった。

するとフェイトが少しだけ怪訝な顔をして、炎に身を包んだネギに一言だけ告げる。


「甘ったれるな・・・そんなことなど出来るものか」


しかしネギは聞き入れない。


「それでもやってみせるさ! どちらかを見捨てて何が教師だ! 何が魔法使いだ! 僕は・・・男だッ!!」


決してブレないネギの表情で、最早これ以上は無意味であることをフェイトは理解した。

しかし悪い気はしなかった。

作戦は完全に失敗だというのに、後から込み上げてくる感情を抑えきれず・・・・


「ハ・・・・ハハハ・・・・ハハハハハハハハハ」


フェイトは笑った。


「アンタ、キモイわよ! 目が笑ってないわよ!」


アスナがゾクリとしながらツッコミを入れるがフェイトは構わず笑った。そして機嫌良さそうに、ネギたちに向って告げる。


「ククク。ふざけるなと言いたいが・・・まあ、いいだろう・・・これで僕達は敵同士だ!」


その瞬間、まるで合図を待っていたかのように大地が割れて、地中から石の槍が飛び出してネギたちに襲い掛かる。


「させぬ!」


「なめるな!」


だが一瞬で反応した刹那と楓が、叩き割った。

そしてそれが開戦の合図となった。

のどか達もアーティファクトを発動させ、瞬時に戦闘体勢に入る。

しかしそれはフェイトも同じ。


「ヴィシュタル・リシュタル・ヴァンゲイト・おお、地の底に眠る使者の宮殿(オー・タルタローイ・ケイメノン・バシレイオン・ネクローン)我らの下に姿を現せ(ファインサストー・ヘーミン)」


初撃をあっさり防がれたものの、直ぐに詠唱をしながら上空へ飛び上がり、無数の巨大な石柱をネギたちに向ける。


「ちょっ!?」


「あれはまずいです!?」


「させるものか!」


「ネ、ネギ先生!?」


フェイトが向ける巨大な魔法。急に街中に響き渡る戦闘の音にようやく気づいた者達は空を見上げて驚愕し、一斉に悲鳴を上げて逃げ纏う。

しかしその中で、むしろ逃げずに一人の少年は立ち向かって行った。

ネギだった。

闇の魔法(マギア・エレベア)で肉体を蝕まれることも恐れず、そしてフェイトの魔法にも一切恐れず、正面から向っていく。


「さあ・・・来い、ネギ君!!」


「さあ・・・行くぞ、フェイト!!」


これが二人の戦いが始まった瞬間だったのだ。












そして時は戻り、舞台は少しずれる。


フェイトとネギが激しい戦闘を繰り広げている頃・・・・


一人の男がのんびり空を仰いでいた。


いかに爆音響き渡る戦いが繰り広げられようと、オスティアは広い。

更に島中が祭りで賑わっている以上、その音はそれほど遠くまで響き渡らない。


「ふう・・・暇だぜ・・・・・シモンの野郎はどっか行ったし、ボーズは朝から嬢ちゃんたちとどっか行っちまったし、何かねーかなー」


だからこそ、島の外れで暢気に欠伸をするラカンの耳まで届かなかった。


「だが、こーゆう日に限って楽しいこと・・・・じゃ無くて、メンドクセー事が向こうからやってくるもんなんだがよ~」


ネギ達とフェイトが戦闘繰り広げる中、この男はのんびりとして空を眺めていた。

最近ずっとネギの傍に居て隠居して静かに暮らしていたはずの自分の周りが急ににぎやかになったため、突如以前のように暇になると、時間を持て余してしまった。

だが、いつまでものんびりしていることも、させられることはない。そう、長年の勘がラカンに告げていた。

そしてその考えは正しかった。


「おっさーん、大変だー!!」


遠くからカモの助けを求めるような声が聞こえてきた。


「ほらな。あの表情・・・・どうやらメンドそーなもん抱えてやってきたみたいだぜ」


やれやれとため息をつきながら、ラカンはカモに手を上げて応えた。


「おう、どーしたんだよ、カモミール?」


すると激しく息を荒げながらカモが口を開いた。


「おっさん、急いできてくれ!! 兄貴たちが大変なんだよ!」


「ああ~ん? ったく、せっかく人がのんびり出来ると思ったんだが、そーゆうことならシモンの奴に・・・・・・・・・って・・・・ん?」


その時だった。


ラカンは急に上空から異様な気配を感じた。


「なんだ!? ・・・・・何か・・・・近づいて来るな・・・」


「へっ?」


目を凝らして空を見上げるラカンにつられて、カモも空を見上げる。

すると上空に浮かぶ黒い点が徐々に巨大になり、接近してくるではないか。


「ありゃあ・・・・」


「ん~~~? 何か・・・・落ちてくる・・・・鳥? いや・・・」


徐々に黒い点が大きくなり、段々とその形が見えてきた。

巨大な翼を生やした謎の物体。

鳥? ドラゴン? いや・・・どちらでもなかった。

その正体は空飛ぶ鉄の塊・・・・



「ひ・・・・飛行機? ってうおおおおおおおお!? 落ちてくんじゃねーかッ!?」



カモがようやくその物体の正体に気づき、目玉が飛び出すほど驚いた。なんと何の前触れもなく飛行機が空から落ちてくるのである。


「なんだなんだ~? 随分と急に騒がしくなったじゃねーか」


だが、ラカンは驚くことも怯えることも、それどころか避けようともせず、少し楽しそうに落下してくる飛行機を正面から迎え撃った。


「うおりゃあああ! ラカン必殺・一人UFOキャッチャー!!」


そして、またもや規格外なことをやってのけた。


まるでクレーンゲーム? の様なノリでラカンは真っ逆さまに落ちてくる飛行機を片手で掴み取った。


「ああがががっががががが!?」


流石の規格外すぎる力に、カモは目玉に続いて顎が驚きすぎて外れてしまった。

しかしこれほどのことをやってのけたラカンは何事もなかったかのように掴んだ飛行機をそのまま地面に下ろして手を離した。


「ず~いぶんと乱暴な運転じゃね~か~。一体どんな奴だ?」


すると飛行機の扉が乱暴に開いた。

カモがラカン背後に隠れながら様子を見ると、中から痛んだ体を抑えながらゾロゾロと人が降りてきた。



「いや~~~、危なかった~~。皆は大丈夫かい?」


「ったく~、まさか途中で騎士団に見つかるとは・・・気を抜きすぎたな」


「なな、何を今更言っているのです、ハルカさん!? だ、大体正面からお尋ね者の貴方たちが入れるわけないではないですか!?」


「まさかイキナリ攻撃してくるとは思ってなかったよ。でも、何とか逃れたみたいだな~。木乃香は大丈夫か?」


「う、うん・・・体ちょっとぶつけたけど、平気や。せやけど瀬田さんの運転、スリルありすぎや~」


なんと落下してきた飛行機から、瀬田、ハルカ、エミリィ、シモン、木乃香が苦笑しながら降りてきた。


「おっ! ず~いぶんと、おもしろいことしてんじゃね~か~」


降りてきたメンツにニヤリと笑みを浮かべるラカン。


「ラカン!? お前が助けてくれたのか!?」


「ま~な、もう少しでお前等ペシャンコだったがよ~」


「おおおい!? 皆大丈夫かァァ!?」


「おっ、嬢ちゃんの方も来たようだな」


空からメカタマが降りてきた。どうやらサラもようやく追いついたようだ。


「何があったんだよ?」


「正面から帰ろうと思ったら、色々な国の警備隊とかが現れて、襲ってきたんだよ。それで逃げ回って・・・・」


「はっ、こ~なったってわけかい。相変わらず楽しそうだな」


ケラケラと笑いながらシモンの話を聞くラカン。


「シモン君・・・・それで、そちらの人は?」


「あっ、そうか・・・瀬田さんは知らなかったか」


「ウワッ!? 筋肉お化け!? またこいつかァ!?」


「サラちゃん、ラカンさんが苦手なん?」


今まで黙っていた瀬田がラカンのことをシモンに尋ねる。すると瀬田を見て、ラカンも少し顔つきが変わった。


「そうか・・・・ってことは・・・お前が噂の冒険王かい?」


まるで値踏みするかのように瀬田をジロジロ見るラカン。しかし瀬田は大して警戒心を見せずにニッコリと笑った。


「いやいや、まだまだ只の考古学者さ♪」


「くっくっく、その笑顔は演技か? どちらにしろ底の見えない奴ではあるみて~だな」


穏やかな笑みの裏からは計り知れない瀬田の力に、ラカンは何となくシモン同様に久しぶりに会えた強者に心が少し躍った。


「けっこ~できるんだろ? どうだい? 一回喧嘩してみね~か?」


「いや~、僕が喧嘩をするのは謎というものにだよ。生きた伝説のような存在には恐れ多い」


「ふん、よく言うぜ。自分自身が伝説になりそうな武勇伝を持ってそうなくせによ~」


ラカンの軽い誘いも難なく交わす瀬田。二人は軽口なのだが、木乃香やエミリィ、そしてサラは内心ドキドキだった。


「(な、なあ・・・・あんなんゆ~とるけど・・・・もし二人が戦ったら・・・)」


「(ええ・・・・オスティアが崩壊するかもしれませんわね・・・)」


「(大げさすぎないから怖え~よな・・・・・)」


二人の実力を全てとまでは言えなくとも、とにかく計り知れない力だと認識しているため、冗談でも二人が戦うところを想像しただけでも木乃香たちはゾッとしていた。


「って、こんなことしてる場合じゃねーーーーーッ!!」


「「「「「?」」」」」


和んだ空気が漂いそうになった時、存在を忘れられていたカモが大声を上げた。


「あっ、そーいやー、そうだったか?」


「どうしたんだ? 何かあったのか? ってそうか・・・ネギたちのことだな?」


「おうよ! だが、これなら安心だ! シモンの旦那、急いで来てくれ! 兄貴たちがヤベーんだ!」


カモの様子からただ事ではないことは直ぐに分かった。木乃香も突然不安そうな表情になった。

だが、全てを説明する前に、この場に新たな者たちが介入してきたのだった。



「あなたがジャック・ラカン・・・、そちらの黒髪の女性は近衛木乃香ですね・・・」


「「「「「「「!?」」」」」」」



全員が一斉に振り向いた。


「な、何者でい!?」


そこには二人の少女がいた。

見るからに堅気には見えない、風貌である。


「暦です」


黒髪のショートへヤーの、猫耳亜人の少女。


「環・・・」


色黒の肌に額に紋章を入れた少女がそこにいた。


「まったく・・・次から次へと一体何なんですの?」


「て、敵さんなんかな~?」


少し不安そうに現れた二人の少女の様子を伺うエミリィと木乃香。

カモもラカンの後ろに隠れながら覗き見ている。

そして暦と名乗った少女が口を開いた。


「あなた方にお話があります。大人しく従ってください」


その言葉からエミリィは瞬時に目の前の少女たちの正体を予測した。


(!? ・・・・昨日の方々が広場で喧嘩・・・・そして彼等と繋がりのあるラカンさんと木乃香さんに話・・・なるほど・・・・彼女たちは・・・・)


エミリィには事の全貌が分かっているわけではないが、頭の良い彼女は少ない情報で自分なりの考えを導き出していた。

そしてそれはサラやハルカも同じだった。


「なるほどな~、足止めってわけかよ」


「ふん、だとしたらついていない子達だな・・・・」


ハルカは少し「やれやれ」といった感じで小さく溜息をついた。

そこに少しバカにしたような態度を感じ、カチンとしながらも暦は小さく頷いた。


「なんと解釈していただいても構いませんが、ここから先には行かせられません。大人しく従っていただければ何も危害は加えません」


淡々と定番のようなセリフを告げる暦。

この人数を前にしてもこの余裕の態度は、きっと何かしらの自信があるのだろう。


だが・・・・大人しく従う? ・・・・・・・誰が?



「なんだか、最近の女って皆威勢が良いんだな~」



暢気に苦笑するシモン



「確かにシモン君の言うとおりだね~。でもな~、気が進まないね~。でも仕方ないか~」



頭をポリポリ掻きながら、気分が余り乗っていない瀬田。



「そうかい? 俺様はカワイ子ちゃんは、大歓迎だぜ!!」



一方で楽しそうに笑うラカン。



この時点でカモや木乃香たちは汗が流れた。


「な、なあ・・・カモ君・・・・」


「いや・・・言わねえでも分かってるぜ・・・・・」


「な、なんと哀れなのでしょう・・・」


「終わりだよな~、アイツ等・・・」


「だから言ったろ。ついていないやつ等だって」


敵を目の前にしても焦るどころか、むしろエミリィやサラ、ハルカですら相手を哀れんだ目で見ていた。


そして彼女たちのそんな気も知らずに、シモン、瀬田、ラカンの三人が軽く柔軟をしながら前へ出た。



「ふっ、バカにしているのですか? 余裕のようですが、ほえヅラかかしてやりますよ!!」



三人の男が、まったく聴く耳を持たずに、余裕の態度で歩み寄ってくることにカチンとなった暦は口調が強くなった。

しかし言われた三人の代わりに後ろで待機したカモたちが冷静にツッコミを入れた。


「いや・・・・俺っちの勘では・・・っていうか・・・1000パーセントの確率で泣きを見るのはむしろ・・・・・」


「な、なんやろ・・・・大魔王様を相手にする方がまだマシな気がするえ・・・」


「だろ~な、あのお嬢ちゃんたちにとっては不幸だな」


「同情しますわ・・・・」


「お、同じく・・・・」


相手の実力、能力、一切が不明。


しかし相手が誰だろうと、今の状況ならカモや木乃香は、たとえ相手が怪物だろうと同情できる。


「いいぜ、相手になってやる!」


「だけど余り時間は掛けられないよ~?」


「そ~か~? カワイ子ちゃん達にはむしろ時間を掛けるのが男だぜ♪」


「でも、ネギたちが危ないんだろ?」


「う~ん、僕もあまり時間を掛けたくないしね~。ボヤボヤしていたら騎士団や警備隊が来るし・・・・」


「か~~~、滅多にねえ機会だからじっくりやりたかったが、仕方ねえ。そんじゃあ、嬢ちゃんたちには悪いが・・・・・」


ドリルを回す男。煙草を咥える男。巨大な大剣を掲げる男。




「「「三人で力を合わせるか」」」




                      • って・・・・



*1))



カモたちの心のツッコミは届かず、とんでもない事になってしまった。




とりあえず・・・・


この状況を見て・・・・・


とにかく言えること・・・




        • 暦・・・環・・・ドンマイ! 




そして今すぐ逃げろ! 


相手が悪すぎる!


それだけだった・・・・
最終更新:2011年05月12日 14:45
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*1 ((合わせる必要なんかねえェェーーーーーッ!!!