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96-心が折れなきゃ負けじゃねえ!

第九十六話 心が折れなきゃ負けじゃねえ! 投稿者:兄貴 投稿日:09/09/27-11:01 No.4163
四方八方、百を超える戦力に囲まれたこの絶対的なピンチの中、彼等は微塵の不安も顔に浮かべず、囲まれたこの状況下でも笑みを浮かべていた。

余裕ではない。ただ、自然と笑みが零れてしまったのだ。


「どうだ、リーダー? 流石に少しは驚いたんじゃねえか?」


豪徳寺がニヤニヤしながら告げると、シモンも苦笑しながら頷いた。


「確かに、いつも驚かせるほうの俺が、初めてポカンとしちまったよ」


すると他の面々も満足そうな顔をしながらシモンに振り向いていく。


「へへ、驚いたよーで満足だぜ♪ 出てきた甲斐があったな」


「達也の言うとおりだね。僕たちでもリーダーの度肝を抜けるんだね」


「悔い無し」


「私はチョッピリ怖かったですけどね~」


「シカシ、ノリノリデシタ」


豪徳寺に続いて達也、慶一、ポチ、ハカセ、エンキが驚いたシモンに機嫌良さそうに笑う。

見渡せば自分を守るように囲む七人の仲間らしき・・・・いや仲間たち。

そして・・・・


「まあ、・・・・こうしてこの目であなたを見るまで、私たちも不安でしたけどね」


一人のシスターが微笑みを浮かべて、シモンの前に立つ。

その瞬間、シモンの心の中で何かが騒いだ。

目の前に居る者たちは自分の仲間。それは分かっている。しかし目の前の女はそれだけではないという事を心が感じ取った。


「ようやく・・・・また・・・・また会えましたね。シモンさん」


心の安心感。温かさ。この状況下でも、彼女の微笑み一つでどんどん自分の心が安らいでいくような気がした。


「・・・・・・・・・・・シャ・・・・・・シャーク――――」


口が自然と動いた。


そう、記憶が無くとも口が動いていく。


それが刺激となって、シモンの頭の中に何かが思い出されようとしていく・・・・・・はずだった・・・のだが・・・・


「歯を・・・・」


「ん?」


「歯を・・・・食いしばってください♪」


「・・・・・・・・・・・・・・へっ?」



―――ドゴオオン!!



ニッコリと微笑みながら、シャークティはグーでシモンを殴り飛ばした。


「「「シ、シモン(君)!?」」」


今まで呆然としていた瀬田たちも、状況も展開も分からず思わず声を出してしまった。

するとシモンを殴ったシャークティはこめかみに怒りのマークを浮かべたままの笑顔で、ゴゴゴと非常に威圧感のあるオーラを出しながら、殴られた頬を押さえながらテンパるシモンに顔を近づけた。


「本・当・に! ・・・ようやく会えましたね(怒)♪」


「ぐおおお・・・・・・えっ・・・へっ? えっ? あ、・・・あれ?」


同じ笑顔でも雰囲気が違う。

シモンの心を包んだ温かさが一瞬で吹っ飛び、代わりに全身の細胞が危険信号を発していた。


「さてシモンさん。・・・散々寄り道した挙句、随分と楽しそうですね~?」


「えっ・・・あっ・・・あの・・・」


おかげで何かが思い出せそうだったのに、すっかり全部頭の中から消えてしまった。


「拳闘大会の中継は見させてもらいました。・・・・さて・・・・懺悔は?」


「い、いやいやいやいや、ま、待ってくれ!? その、実は色々と事情を説明しなくては・・・・」


この世界に来て、シモンは規格外人物として出会ってきた者たちの心の中に残った。

しかし今のシモンはどうだろう? 

完全に浮気現場を見つかったどこにでも居そうな男のようにあたふたしていた。

しかしそんなシモンをシャークティは容赦しな・・・・気にしない。


「ええ、じ~~っくりとお話しを聞かせてもらいたいですね~。特に・・・・女性・・・いいえ、家族・関・係・に!! あなたは・・・誰彼構わず家族を作ったりするみたいですね~」


「い、いや、だからそれは!?」


だが事情を説明したくとも説明できない。

そもそも何故自分は怒られているのかを・・・何となくは分かっているけど、説明できない。

もはやシモンは完全に動揺モードだった。


「だっはははは、ようやく怒りのはけ口がリーダーに行ってくれたようで安心だぜ!」


「だな、俺らは表現することが困難なほど張り詰めたプレッシャーを浴び続け・・・」


「うん、あれは・・・怖かった・・・・女神が般若になった瞬間だった・・・・」


「我等の手に負えず・・・・」


「男の責任取らなきゃですね~」


「年貢ノ納メ時デス」


そんなシモンに指で十字架を切りながら冥福を祈る仲間たち。

ようやくシャークティの恐怖・・・・もとい八つ当たりから開放されて安堵しているように見えた。


「な、何なんだろうね?」


「まあ、大体は今ので分かったが・・・・」


「ま、また知らない女が・・・・シモンの奴~」


「ぶ、ぶい~~~」


そんなほのぼのとした光景を繰り広げるシモンたち。

だが、自分たちをすっかり忘れられているように感じた者達がようやく口を開いた。



「おいおいおいおい、無視してくれてんじゃね~よ」



「「「「「「「「?」」」」」」」



「ず~いぶんとノンキに話してるじゃね~か~? 状況分かってんのかい? まあ、どいつもこいつも知らない顔だが、勇ましい連中のお出ましってことみたいだが・・・・」



自分たちを囲む軍勢を代表してリカードが少し呆れ顔で前へ出た。

するとシモンたちは口を閉じ、リカードへ全員が振り向く。するとリカードに続きテオドラ、セラスの両名も前へ出た。


「そうじゃの~、・・・今更数人増えたぐらいでどうするつもりじゃ?」


「そうね・・・・そちらの方・・・・あなたが一番話が分かりそうね」


セラスがシャークティに向って話しかける。すると般若になりかけていたシャークティの表情が元に戻り、セラスに顔を向ける。


「私のことでしょうか?」


「ええ。少しは冷静に状況を見たらどうなの? この期におよんで更に抵抗を続ける気なの? 状況把握できないような人には見えないけど・・・」


その言葉にシャークティは目を閉じた。そしてゆっくりと溜息を吐きながら、苦笑した。


「そうですね・・・そもそも何故この人があなた方と戦っているのか・・・いえ、・・・それ以前に、後ろに居るこの三名の方が誰なのか、私はまったく知りません」


シャークティは瀬田、ハルカ、サラの三名に首だけを向けながら呟く。するとセラスは呆れたような表情になり首を傾げた。


「・・・・あなた・・・・それでは事情をまったく知らないの? 後ろの三名が犯罪者であることを・・・・そしてそのゴーグルの男は逮捕しようとする我々を邪魔していることを・・・・」


「・・・・犯罪者?」


「ええ、・・・・そしてこのままではあなたたちも仲間入りよ?」


セラスの言った『犯罪者』と言う言葉にシャークティは少し表情を変えた。

事情は分からなかったが、今ので大体は理解した。シモンが今ここで何をやっていたのかを。


「そうですか・・・・・・たしかにそれなら命を賭けるのも、今後の人生を賭ける理由としては論外すぎますね・・・ましてやこの状況・・・・・」


「そう理解が早くて―――」


「ですが・・・」


「?」


一瞬ホッとしたような表情を出したセラスに、シャークティは空かさず口を挟んだ。

辞表を提出したとはいえ、自分は元教師。そしてこの場にはハカセや豪徳寺たちのような生徒たちが居る。

しかし・・・


「申し訳ありませんね・・・私は・・・こう見えて物分りの悪い女なのです」


「・・・・何?」


シャークティはもう一度シモンを見る。

そこに居るのは、正しいこと、正しくないことを関係なく、自分の行いにまったく後悔をしていない、昔と変わらず真っ直ぐなシモンの瞳だった。

だからこそ今更そんなことを考えるのは自分にとっても、そして豪徳寺たちにとっても野暮なことだった。


「家族が・・・・仲間が・・・・命懸けで戦っています。 荒ぶる魂を振るっています。ならば充分です。それで私は充分戦えます。正しいこと、正しくないことではありません。私たちにはソレが一番重要なんです」


シャークティが誇らしげに言うと、豪徳寺たちもうれしそうに頷いた。

まるで自分たちの心の中を、そのまま代弁してもらえたかのようにスッキリとした表情をしている。

対照的にシモンも、瀬田も、ハルカも、サラも目の前の七名の者たちの誇らしげな後姿に思わず目を奪われ、何も言うことが出来なかった。


「なるほど・・・・どうやらそこの兄ちゃんと同じでブレねえようだな・・・・つうことは、全ての決定権はお前さんってことだな、兄ちゃんよ?」


呆然とするシモンに、リカードが告げる。


「どうやらお前さんが戦うのか戦わないのかで状況が決まるぜ? 仲間を思うんなら、ちっとは周りを見るんだな。これっぽっちの人数でこの陣形を崩せるとでも思っているのか? 頼みのお前も冒険王も、俺らを相手に精一杯だろ?」


リカードは両手を広げて、シモンたちを囲む軍勢を見せる。

三国の大勢の戦士たちが自分たちの周りを囲み、正に蟻の入る隙間も無いほどである。


「そうじゃな、何より無意味じゃ。大体何故反抗するのじゃ? 往生際が悪いぞ。少しは現実を見たほうがよい。そもそも妾たちはやることがまだまだあるので、いつまでも時間を掛けては居れんのじゃ」


「そうね、この状況を変えることなど不可能よ? 命まで賭けて、一体このような愚かな行為が何を生み出すというの? 潔く罪を認め降伏しなさい」


瀬田たち三名は犯罪者。そして戦いの行方など、この状況では決まりきっていると言っても過言ではない。

たかが数名と一匹の力が三国の軍事力を前にするなど考えられない。

リカードが、そしてテオドラとセラスも、そうまでして戦うシモンに戦う意味を問う。


「・・・・俺が・・・戦う理由・・・か・・・」


シモンは考える。

いや、考えなくても答えは最初から出ている。

シモンにそんな深い理由も何も無い。理由は単純。しかし単純だからこそ想いは深い。

たとえ掟や法に抗っても、自分の友は売らない。見捨てたくは無い。考えるまでも無かった。

そして、戦うのは瀬田たちのためだけではない。

ネギたちのためだけでもない。

今の自分の心が自重せずにずっと騒いでいる。

シャークティたちが現れた瞬間、自分の心が熱く燃え出した。



「こんな行動が、何も生み出さないことぐらい自分が一番分かっている・・・・」



「「「?」」」



世間で言う、正しくない行為が何も生み出さないことは分かっている。

しかし、それでもシモンの心の中で何かが生まれていた。



「・・・・でも・・・・何だろうな・・・・この気持ち・・・この一体感・・・満たされていく心は・・・」



シモンは空を見上げながら、大きく息を吸い込む。そしてそれだけで満たされていく胸の中の気持ちを吐き出す。



「金のためでもない・・・名声のためでもない・・・不利な未来しか手に入らないにもかかわらず、ここに居る11人と一匹は自分の信じる道のためにここに集った。悪だ犯罪だ、開き直りだと呆れられても、・・・今この瞬間、俺はこいつらと共にここに居る自分をとても誇らしく感じる」



今の自分の気持ちをうまく表現は出来ない。しかしそうとしか言いようが無い。

自分にしか・・・自分たちにしか分からないこの気持ち、それが自分たちの戦う理由だった。



「そう・・・何も生み出さなくても・・・たとえ何も手に入らなくても・・・俺たちは今の自分をとても誇りに思っている。・・・そうだ・・・俺たちが戦うのは・・・この瞬間のためかもしれない」



シャークティたちは、そして瀬田たちも思わず笑った。

自分を偽る事無く誇らしげなシモンの言葉に頷きながら、その心と体を戦闘体勢に移す。



「悪いな、・・・・逆に引き下がる理由が思いつかないんだ!」



所詮は戯言に過ぎない。

この状況ではなんと言っても強がりにしか聞こえない。

少なくとも、リカードたちほどの大物なら、無名のシモンの言葉など普段なら聞く耳を持たないだろう。

しかし、どうしても心が騒ぎ出し、イラついた。


(何だ・・・こいつら・・・・何だよ・・・この目は・・・)


シモンだけではない、後から現れた者たちも、皆同じ目をしていた。


「くだらないことを・・・・ならば、自己満足な誇りは監獄の中で誇りなさい!!」


セラスの口調も強い。それは普段の彼女からは考えられないぐらい動揺しているように見える。


(何故・・・こんな・・・こんなワケも分からない方々に・・・・私は・・・イラついているの?)


その気持ちがテオドラには分かっていた。


(リカードもセラスも気づいておる・・・・確固たる理由も無いはずのこやつ等が・・・・かつて世界の全てを敵に回し・・・そして世界を救った、確固たる信念を持ったバカ者たちと重なったのじゃ・・・・。必死に否定したくなるのも分かる・・・・)


そしてテオドラも判断した。目の前の者たちに個人的に興味が沸いたが、同時に国を統べる者の目からは危険であると判断した。


(これ以上、心を乱される前に叩くのがよかろう!)


テオドラは手を上げ、そして高らかにこの場に居る全軍に合図を送る。


「ゆくぞッ!! 祭りを楽しめぬ無粋な輩を叩くのじゃ!! 決して逃さず、牢に叩き込め!! 開き直った悪党共に、我等の正義の鉄槌を振り下ろせ!!」


その時ようやくその言葉を待っていたかのように四方を囲む戦士たちは声を上げた。



「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」」」」



その声が天も大地も揺るがすかのように思えるほどの気迫を込め、わずか数名の者たちに迫る。


「結局こうなるのかい。まっ、さっきまでより希望が見えてきたがな」


「そうだな~。それにもう十分時間も稼いだだろ~しな~。そろそろあの筋肉達磨も木乃香とシモンの友達を助けてるだろ」


「うん、それじゃあ次は僕たちだね」


「じゃっ、そろそろ俺たちもスパートかけようぜ!」


「ぶい!!」


頼もしき助っ人たちの存在が、自分たちに希望を与えてくれた。

僅か数名とはいえ、正にシモンにとっては百人力の仲間たちだった。


「シモンさん・・・とりあえずここを乗り切りましょう。それで、作戦は?」


シモンにシャークティが尋ねるが、シャークティは問わなくても実は最初から答えなど分かっていた。

しかし久しぶりに再会したシモンから、シモンらしい答えを聞きたかった彼女はあえて問いかけた。

するとシモンはシャークティの期待通りの答えを、シモンらしい笑みを浮かべて答えた。


「決まってる! 壁に目掛けて突撃・粉砕・正面突破だ!!」


「おバカで素敵な回答ありがとうございます♪」


「バカで結構!! 細かいことは――――」


そして仲間たちはそんな答えに一切の異議を唱えず咆哮する。



「「「「「「「「「その通り! 細かいことは気にするな(ぶいッ)!!!!」」」」」」」」」



小細工無用の開き直り。シモンを先頭に、皆が固まり一点突破を目指す。



「それじゃあ行くぜ! 命知らずの大バカ野郎共!!!! 」



「「「「「「「オッシャァァァ!!!!」」」」」」」



シモンが唸る。それに応えるかのように、仲間たちが敵の軍勢に負けぬほどの気迫で雄たけびを上げる。

それだけでも力が入る。


「さあ、ここから先は壁に目掛けて一点突破だ! 全員俺について来てくれ!! 誰も乗り遅れるんじゃねえぞ!!」


シモンはセラスの魔法で傷ついた体に鞭を打ちながら、一度砕けたドリルを再び蘇らせ、集った仲間たちと一個の固まりとなり、突き進む。

まるで11人と一匹が、一つのドリルとなり、巨大な壁に穴を空ける光景のようだった。


「止めるぞ! 誰一人ここを通すな!!」


「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」」」


そして壁も不動なわけではない。

士気を高めて、脆いドリルなら粉々に押し潰せるほどの勢いで押し寄せる。

正に正面衝突だった。


「うおりゃああああ!! 漢! 漢! 漢! 漢! この俺は・・・・漢だァァ!!!」


「くっ、このリーゼント意外と出来るぞ!?」


「怯むな! それでも我等の敵ではない! 冒険王一家にのみ気をつけろ!!」


「それは心外ですね・・・・」


「なっ!?」


「祈りよ交われ・・・十字の道に! 聖なる十字架(クリスクロス)!!」


巨大な十字架が神々しい光と共に天から振り下ろされ、その衝撃で幾多の兵士たちが吹き飛ばされてしまう。


「ま、魔法使いも居るぞ!? しかもかなりの高位だぞ!」


「障壁を展開しつつ冷静に当たれ! これほどの呪文が何時までも続くはずはない!!」


「し、しかし・・・・・」


そう、いつまでも快進撃が続くはずは無い・・・それは分かっている・・・しかし・・・


「クアドラプル烈空掌!!」


「3D式・雷車!!」


「九蓮宝拳!!」


止まらない・・・・


「ちょっ、・・・こいつら・・・ぐわああ!?」


「くっ、舐めるなァ!! 常に国家のためにこの身を鍛え上げている我等が、チンピラごときに押し切られてなるものかァ!!」


シモンや瀬田、そしてシャークティならまだしも、豪徳寺たちは彼等と比べて明らかに弱い。

いかに夏休み中に猛特訓していたとはいえ、戦闘のプロである兵士たちに敵うとは思えない。

だが、この実戦においての彼等の生き生きとした動きは何だ? 


「な、何をやっておるかァ!! たった数名に何を手こずっている!?」


「し、しかしミルフ隊長もヘラスのマンドラなどの主力が既にやられ、・・・それ以前に多くの兵が最初の戦いで冒険王たちにやられ・・・・」


「先頭の男を止めろ! そうすればこいつらも止まる! セラス殿が深手を負わせた敵だ! いつまでも放置するな!」


そう、理屈は分かっているのだ。

いくら他の者達が後ろや左右を固めていても、先頭のシモン一人を止めれば、彼等は止まる。

しかし・・・・


「ダ、ダメです!? なんか・・・怪我する前より強力で・・・こいつら・・・・」


「おい、あのメガネの女の子はどうだ!? 魔法も変な力も使えなさそうだ! 背中に背負っている変な機械から伸びている腕にだけ気をつけろ!」


止められない・・・


「おブァカさァァァァン!! 麻帆良の科学は世界一ィィィィ!! エンキと茶々丸のパワーを基準にイイイイイイイ、このアームは作られているのですゥゥゥゥ!! イナズマパンチ・ストーム!!」


「エンキカッター乱舞。・・・・ハカセ・・・軍人相手二ソノネタハイイノデスカ?」


「世界一? ふざけんな! 世界一はモルモル王国だぜ! こっちも負けてられねーな、ブータ!! いくぜ、メカタマ・ナックル!!」


「ぶいいいい!!」


「それじゃあ私も。浦島流・日向雨!!」


止まることがない・・・・・



「とにかくもう全然止められません!!!!」



止められるはずがない!!


シモンは言わない。しかし彼等を止められぬことに動揺する三国の者たちにあえて言うとしたら、この言葉しかない。


彼等を誰だと思っている?



「指銃の乱れ撃ち、機関指銃!!」


「穿孔ドリル弾・一斉射撃!!」



その問いかけに誰も答えられない。仮に答えを知ったとしても、誰も意味は分からないだろう。

だから今日知るしかない。

無理を通す反逆者たちの存在を、その瞳と頭の中に叩き込むしかない。いや、既に叩き込まれているだろう。


「おいおいおいおい、いきなり元気になりやがって・・・・」


「数で押し切れる相手ではなさそうじゃな・・・・騎士団レベルでは荷が重いのかのう・・・」


「どうやら彼等を大蛇として認めるしかなさそうね・・・・でもその分、頭を潰せば全てが終わるわ」


「うむ、決まりじゃな・・・・それではリカードは冒険王、セラスはゴーグルの男、妾は残りを受け持とう!」


立ちはだかる壁に少しずつ穴を空けていくシモンたちの大活躍に、これ以上見入っているわけにはいかない。

再び三人の英雄がそれぞれのターゲットへ向けて動き出す。


「あんまり調子に乗るんじゃねーよ! 冒険王!」


「むっ・・・・君か・・・いいだろう。今度は少し本気を出そう」


「いくぜェ!!」


人波の上を飛び越えて、飛び掛ってくるのは互角の力を見せたリカード。


「ここで通行止めじゃ!」


「来たな~、じゃじゃ馬姫!」


「ぶい~!」


「ふん、悪いが・・・・今度は瞬殺させてもらうよ・・・」


テオドラがメカタマとハルカに。


そしてシモンのドリルをアッサリ砕いたセラスがシモンへ向かった。


「何度来ても同じよ! また、砕いてあげるわ!」


「どうかな? やってみなくちゃ分からねえ!!」


セラスたちは、主力であるシモンたちへ向かい、一気にこの快進撃を叩くつもりである。

遊びを抜かして、本気で向ってくることが空気から伝わってくる。

三人の再三の登場に、まだ残っている兵士たちも士気を上げ、包囲網を保ったまま陣形を縮めていく。


「まずは・・・氷結・武装解除(フリーゲランス・エクサルマティオー)!!」


「させるかよォ! 螺旋フィールド展開!!」


ドリルを武装解除呪文で弾こうとするセラスの魔法を、シモンはフィールドを展開して防ぐ。


「・・・甘いわね」


「何ィ!?」


しかしその手をセラスは読んでいた。
最終更新:2011年05月12日 14:48
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