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101-3

「おいおいおいおい、昔から言うだろ~? 踊る阿呆に見る阿呆ってな。それにそういうことなら、祭りの主催者様に言うんだな。もっとも、相当この状況にお冠だろうから、聞く耳を持っていないだろうがな。だが、お陰でもう一つ歴史的な怪物を見ることが出来るかもなァ~」


「何だい、こいつは? よくしゃべる奴だ。オマケに笑い方がムカつくね」


「お~、嫌われてるね~、まあ、見てな。そろそろ噂のシモン君たちが、おもしろいことするかもよ? チコちゃんの扱い方を間違えないかね~。まあ、俺は間違えて欲しいがな♪」


「「「・・・・チコちゃん?」」」


ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべながらユウサは顔を上げて、聳え立つ艦橋を見る。

まるでこれから起こりうることを心待ちにしているかのように期待に満ちていた。





そう、これから起こることは避けられない。


取り扱いは何でも乱暴にしてきたグレン団に、この魔人の扱いを丁重に出来るはずがない。



そう、ユウサの視線の先にある、ケルベロスの最上部で、静かな空気が一気に変貌しようとしていた。


地上から遥か上空を移動する大空の戦場の頂点では、魔人が爆発袋破裂寸前で、シモンたちの到着を待っていた。


後僅かな刺激で吹き飛ぶ理性をギリギリで耐えながら・・・・・


「・・・・・・・来・・・来たかね?」


声を少し震わせながらチコ☆タンはふり返る。


「お前がザイツェフでいいんだな?」


そこには、鋭い眼光で睨みつけるシモンとシャークティが立っていた。


「ア・・・アニキ・・・・シースターシャークティ・・・・」


「ひぐ・・・・ひっぐ・・・・うう・・・」


だが、二人は直ぐに視線を変え、二人ともチコ☆タンから直ぐ後ろで手錠を嵌められて身動きが取れないまま、泣きそうな顔の少女たちを安心させるように温かく微笑んだ。


「大丈夫。直ぐに助けてやるからな」


ああ、ようやくここまで来た。

何もない状態で始まったこの世界の旅。

ようやく自分の大切な人たちに会えた。

もうすぐ手の触れられる距離にまでたどり着いた。

それだけでいい。それだけで、先ほど頭の中に響いた言葉は吹き飛んだ。


「ええ、大人しくしていなさい」


二人の言葉に美空とココネはクシャクシャの泣き顔をハニカませて頷いた。

信じている。

二人を信じているからこそ、美空とココネは笑って頷いた。

しかし・・・・


「お、お前? そ、それに・・・・お・・・おい・・・な、何を無視しているのかな? い、今・・・・私が尋ねているところではないか?」


その笑顔もやがて驚愕に変わる。

美空とココネはゾクリと肩を震わせて、忘れかけていた恐怖が蘇ってきた。


「ア、兄貴ィ! 気をつけて! そいつは・・・・・・そいつは・・・・・」


忘れもしない。

自分とココネを蹴散らした時の圧倒的な力を。

シモンとシャークティ、二人が居るのは確かに心に大きな安心感を与えてくれた。

しかし、だからといって全てを流せるほどの甘い存在ではない。

目の前の魔人は・・・・


「こ、これが・・・最後通告だ・・・・今すぐ奴等を退かせてここから立ち去れ・・・・もしくはネギ・スプリングフィールド達を連れてくれば・・・・ゆ、許して・・・やろう」


明らかに不安定だ。

口調は穏やかなつもりだろうが、微塵も落ち着いていないことが誰の目にも明らかだ。

シモンはその様子に首をかしげ、シャークティは何故か分からないが鳥肌が立った。


(何? この・・・・この嫌な予感は・・・・・)


胸の中に正体不明の不安が押し寄せる。恐怖ではない。しかし、本能が察した。

するとシモンはそんなシャークティに構わず、恐れ多くも大胆にチコ☆タンに向けて言い放つ。




「応じるわけないだろ、バカ野郎!」



「・・・・・・・ア゛?」



チコ☆タンの震えが止まった。



「ネギたちは関係ない! これは俺たちの喧嘩だ! そっちこそ美空とココネを開放しやがれ!」



それが最後の引き金となった。



「おま・・・ここ・・・お・・・れが・・・私が・・・・平和的に話し合いをしているという・・・のに・・・テ、テメエは・・・・・お、・・・俺に向って・・・な・・・なんと?」



「何度でも言ってやる! 俺の妹を返しやがれ!」



――――ッ!?



事情を知るものからすれば、まるでニトログリセリンに油を大量に掛けるかのようなシモンの言動は、完全にチコ☆タンの最後の理性を消し飛ばした。



「こ・・・・こいつ・・・この・・・や、・・・・この・・・ぐぞ・・・・がっ・・あっが・・・ァ・・・・ア゛・・・ア゛・・・ア゛ア゛――――――――ッ!!」



その瞬間・・・・爆発した。




「ぶ・・・ぶち・・・ぶち殺してやるぞォクソみそ共がアアアァァァァァァァ!!!!」




鼓膜が爆発したのかと勘違いしてしまうほどの、怒剛が魔法世界の天空に響き渡る。


「「ッ!?」」



「・・・・来る!?」


「ゥゥ・・・こ・・・怖イ・・・イヤダ!」


誰もが争いを一時中断させて、聳え立つ艦橋の屋上を見上げている。


「な、なんじゃ!?」


「何だよこの音は!?」


「・・・・・と、鳥肌が・・・・まさかこの咆哮は・・・・・ザイツェフかい?」


「うわ・・・・隊長・・・またやっちゃったみたいだね・・・・しかも今回はもう完全ブチキレモードだ・・・・」


伸びきった角が頭皮を、そして外皮を丸ごと突き破り、中から黒い硬質で盛り上がった筋肉を身に纏った黒い魔人がとうとうその姿を現した。

美空とココネは恐怖がフラッシュバックのように蘇り、足を竦ませて腰を着いてしまった。

いや、美空たちだけでない、シャークティもシモンも、怒号と共に真の姿を見せた魔人に全身の鳥肌を立てた。


「こ・・・・こいつ・・・な、何者だ!?」


シモンは思わず自分の手を見る。手に汗掻いて魔人に気おされている自分が分かる。


ラカンやフェイトとも違う。


月詠のように歪んだ感情とも違う。


純粋な憤怒と殺意に暴力。


それはシモンが初めて味わった感情だった。




「死゛ねやアアーーーッ!! このクソッタレ野郎がアアアアアア!!!!」




癇癪一つで核兵器。

向ってくるチコ☆タンに思わずシモンもシャークティもその場から飛び退いて間合いを取る。

しかし彼らが避けて、チコ☆タンが殴った床が大爆発を起こした。

そう、彼に触れられた部分が爆発して吹き飛んだのだ。

甲板も、空気も、彼が攻撃するだけで吹き飛んでいく。

その振動は、この超弩級の戦艦をも揺らせるほどの威力を持っていた。


「なっ!!??」


「こ、・・・・この力・・・・まさか・・・・」


思わず目を見開いてみるチコ☆タンの威力。

これが超弩級の超硬質な戦艦でなければ確実に大破しただろう。

それはラカンやフェイトを見てある程度の耐性が出来たシモンですら驚愕するほどの破壊力。



「チョロチョロと・・・・すんなアアアアア!!!!」



叫びだけでも顔を思わず覆い隠してしまうほどの空気の振動が伝わってくる。


虎の尾を踏んだ結果である。


蜂の巣を突いてしまった結果である。


爆発物を丁重に扱わずに乱暴にしたのが原因である。


言葉に表せないほどの雄叫びと爆弾抱えて暴れ回るその姿・・・・まさに・・・



「ひゃっーーはっはっはっは!! 伝説の魔人の復活だ! 爆乱に巻き込まれねえように注意しな!! 爆弾の扱いに注意しねえから、バカを見るんだよ!」



そう、魔人の光臨だった。
















いつかの時代の見知らぬ世界の掟では、人間は地上では生きることは許されなかった。

そう、二人の男が夢を抱いて飛び出した世界は決して生易しいものではなかった。

自分たちとは比べものにならない大きさのガンメンという名の怪物は、圧倒的な暴力で暴れまわる。

対する人間たちは魔法を使わない。銃火器を駆使して耐え凌いでいる。

そう、壁も天井もない世界で待っていたのは自由なんかではなかった。巨大なガンメンが人間を虐げる世界だった。

そんなシモンとカミナの前に再び巨大なガンメンが現れた。ヨーコを始め、彼女の仲間は必死に銃で応戦するが、効果は見られない。

そんなとき、気分を暗くする彼らの前にカミナが現れた。

出現したガンメンに恐れを抱くどころか、


『気に入った! あのガンメン、俺がいただく!』


言った…

口元に笑みを浮かべて言い放ったのだ。

その発想に画面に映る人々も視聴者も目が点になっている。画面に映るヨーコがカミナを止めようとするが、聞く耳持たないどころか、本当に突っ込んで行った。

誰もが『バカだ』と思っただろう。

そもそもガンメンの乗っ取りや、そんな発想は誰にも思いつかなかった。

しかし彼は通した。

そんな無茶みたいなバカなことを通して見せた。

敵のガンメンこじ開けて、中からパイロットを蹴りだして、誰もが出来なかったことを当たり前のようにこの男はやり遂げた。

そして奪ったガンメンで反撃返しだ。

彼はその乱暴な運転で敵を怯ませ、喧嘩のように相手のガンメンを殴り飛ばして蹴り飛ばす。奪い取ったガンメンをグレンと名づけて、カミナは叫ぶ。

本家本元のあの言葉を。



『俺を誰だと思ってやがる!!』



誰もがその男を知らなかった。

だが、今日この日、彼らはカミナという男を知った。ヨーコも彼女の仲間も、そして魔法世界の住人たちも、そしてネギたちも改めて、カミナという男を知った。


「かっ・・・・かっけ~~~・・・ってはっ!? 私は何を!?」


その言葉を呟いたのは意外にも千雨だった。

画面に映る熱血大爆発の映像に見入って思わず口にしてしまった千雨は慌てて口元を押さえて周りをキョロキョロするが、それは要らない心配だった。

何故なら自分をからかおうとするものなどここには居なかったのだ。

そう、誰もが千雨と同じように、そして画面に映るヨーコのように、カミナという男の大きさに見入っていた。

誰もが伝説の男に見入っていた。

しかし・・・


「スゲーな・・・・だが・・・それに比べて・・・・」


「ああ・・・・あいつは一体何なんだよ?」


それに比べて・・・・と、ネギたち以外の者達が、カミナの後ろでコソコソしている少年にイライラしていた。

それはシモンだ。


「ざわついてやがるな・・・・だが、無理もねえ。あの男と直接戦った俺らですら戸惑っているんだ・・・・まるで別人じゃねえか・・・・」


「そうじゃのう・・・・あれが・・・・ああなるのかのう?」


「ええ・・・・少し信じられないわね」


少年時代のシモンだ。


「とにかくハッキリしたな。私の本体があんな男に惚れるはず無い」


「かっかっかっかっ、キツイこと言うじゃねえかお前ら。まあ、俺様も少し驚いたがな」


どれだけ敵が攻め込んでこようと、女のヨーコが勇敢に戦おうと、カミナがどれだけ無茶をしていても、いつもグチグチ弱音を吐いて敵に背を向けようとしている。

これが本当に拳闘大会で旋風を巻き起こしたシモンなのか? 誰もが疑いの眼差しをしていた。


だが、シモンへの不満を簡単に吹き飛ばすかのように、カミナの怒涛の伝説は止まることはない。









「そう・・・伝説は止まらない。・・・・ジャック・ラカン然り・・・チコちゃんも・・・この俺もな・・・・」


巨大な爆音響く船上で、この男の周りだけは少し静まり返っていた。


「こ・・・・こいつ・・・・・すげえ・・・・」


「あのカメや・・・・あの女を一瞬で・・・・・」


敵味方問わずに笑みを浮かべるユウサの周りの者は今目にしている光景に恐怖を感じていた。


「くっくっく・・・・・ひゃっーはっはっはっは! おもしれえ!! どこもかしこも盛り上がってきたことだし、これじゃあ興奮が収まりそうもねえ!」


足元には方膝を突いて肩で息をするハルカ。

そして仰向けになって機体を激しく損傷しているメカタマだった。


「はあ・・・・はあ・・・まいったね・・・こりゃあ・・・・」


「こっ・・・・こいつ・・・・強い!?」


メカタマの中からサラの弱音とも取れるような声が聞こえてきた。

それもそうだ。

ブータと協力してパワーアップを果たしたメカタマの力は、ラカンなどの怪物クラスには敵わないだろうが、それでもそれなりに自信は持っていた。

だからこそ拳闘大会でも勝ち進めた。

しかし・・・


「ちっ・・・くしょ・・・・負けるもんかっての!! ブータ、行くぞ!」


「ぶみゅうう!!」


目の前に存在する人の姿をした鬼は、何かが違った。


「ふっとべえ! メカタマ右フックゥッ!!」


強いとか弱いとかではない。

一言で言えば空気。

身にまとう空気がこれまで出会った誰よりも異質だった。


「ふっふっふ・・・・針山地獄!!」


ユウサは一歩無動かない。メカタマが渾身の力を込めた一撃を繰り出そうというのに、その場で左手を軽く上げただけで・・・・


「なっ!?」


受け止めた。


「危ないね~」


軽々と片手で受け止めた。

いや・・・正確には少しだけ変わっている部分がある。

それは腕だ。

この一瞬で普通の腕だった彼の腕の部分だけ、赤く仰々しい爪を持った鬼の手へと変化し、その腕の形態がさらに変化して、刺々しく突き出た針山がメカタマのヒレを突き刺したのだ。

だが、サラにそのことに気づく余裕はない。

するとユウサは受け止めたメカタマの腕を掴み、


―――ッ!!??


捻じ切った。

力任せに無造作に、螺旋力でパワーアップしたメカタマの腕を引き千切った。


「なっ!? なっ!? なっ!?」


「ふっふっふっふっ、カメさんを苛めるとは俺は悪い奴だね~。ん? でも当然か。なんせ俺は・・・・・・鬼だから!!」


メカタマの腕を引き千切った左手、そして余った右腕も鬼の腕へと変化した。

その手の中には地獄の禍々しさを込めた黒い気の塊が凝縮され、ユウサは顔色変えるどころかむしろ笑顔でその塊を放った。


「獄力波ァァ!!」


黒い殲滅の光がメカタマを・・・いや、サラとブータに襲い掛かる。


「サ・・・・サラアア!? くっ・・・・・浦島流・奥義・龍宮城壁!!!!」


咄嗟に立ち上がってメカタマへの攻撃を防ごうと、ハルカの技が発動し、巨大な城の形をした防壁が現れ、ユウサの攻撃を防ごうとする。

しかし完全に遮断するまでには至らない。


「ぐっ・・・・こいつ・・・・」


「ひゃはははは、どうしたどうした! イジめられたカメを助けるのは浦島の仕事だろ! それじゃあいつまでたっても竜宮城には行けないぜ! 粘れ粘れ! 足掻く心は平等に与えられた権利だ!」


「ぬ・・・ううううアッ!!??」


「ふっふっふ、しかし足掻いて抵抗する奴等をとことん懲らしめるのも、鬼の生きる証だぜ!」


黒い気の塊の余波を防ぎきれず、城は粉々に砕けて、その衝撃でハルカとサラは後方まで吹き飛ばされた。


「う・・・うそだろ・・・・・・・・・・・・・・こいつ・・・・」


吹き飛ばされて、すぐに体を起こすものの、珍しくハルカの口から弱音にも聞こえる声がしてきた。

それは、この事態がどれほど緊迫しているのかを表していた。


(これまでかなりの修羅場は潜ってきた・・・・・・強い奴等はいくらでも見てきた・・・・)


そう、自分より強いものは珍しくない。

だからこそ、そういう存在に対しての耐性は出来ていた・・・しかし・・・・


(こいつ・・・・・・勝てる気がしないね・・・・・・)


だからこそ、相手との力量差を正確に読み取ることは簡単だった。


「ひゃっはっはっは! 何だその目は? 潔くすれば地獄の苦しみが和らぐとでも? それなら甘いぜ、人違いだ! 鬼に懺悔したって天国には行けないぜ!」


勝てない敵だというのを簡単に悟ってしまった。


「くっそ・・・おい・・・・テメエら!」


「よそ見すんじゃね~ぞ~、トサカ野郎!」


「ぐっ、・・・こいつらァ」


おまけに少ない仲間たちは・・・・


「どきな!! くっそ~、・・・あのユウサ相手に二人なんて無謀だよ!!」


「おうおうおうおう!! テメエらの相手は俺たちだァ!!」


「けっけっけっけ! 通さねえよ!!」


皆、大勢の敵と奮戦していた。


「くっそ~~・・・・ミルフ隊長に情けない報告しないためにも、絶対に倒れぬぞ!!」


「「「「「「「「「おおおおう!!」」」」」」」」」


「ビー! コレット! ユエさん! カッツエ! デュ・シャ! メガロメセンブリアの騎士団の方々と協力し、陣形を崩さずに持ちこたえますわ!」


「「「「「了解!!」」」」」


『マンドラ隊長の代わりに我々が空中からサポートするぞ!』


『『『『『『『『『承知!!!』』』』』』』』』


「私たちも粘りますよ、愛衣!」


「はい、お姉さま!」


だが、これでも奇跡の部類だ。

各々が持てる力を発揮し、仲間と共に連携しあうからこそ、数十の軍勢で十分に対抗できるのである。


「かっかっかっかっ、おたくらも頑張るね~。本気を出せば全員一瞬で消せるんだが、それじゃあ、つまらねえからな~」


ユウサが現状は五分五分の攻防を見せる戦いに感心しながら呟いた。


「ふん・・・・ずいぶんねちっこいんだな・・・・男のクセに・・・・・」


「ん~~? くっくっく、そいつは間違った認識だぜ~」


ハルカが強がりを込めた皮肉を言う。しかしユウサは倒れているハルカの前で中腰になりながら、口元の笑みを絶やさずに言う。


「いいんだよ、だって俺は鬼だから♪」


「ちっ・・・口の減らない・・・・」


「ひゃっはっはっ、何年生きても俺の心は餓鬼なのさ♪ まあ、とりあえずここは文字通り心を鬼にして・・・・お前さんは・・・・」


「ッ!?」


鬼が振りかぶる。

その仰々しい爪で女を引き裂こうとする。


「ハ、ハルカアア!?」


「ま、マジイ!? 誰か、何とかしろ!?」


「ちっ、どくさねお前ら!!」


娘の叫びが聞こえる。

共にこの場まで駆けつけた仲間もどうにかしてハルカを助けようとするが、敵に阻まれ彼らも動けそうにない。



「地獄に落ちな!!」



鬼がハルカを地獄へと誘おうとする。

サラたちが懸命に叫ぶが、どうしようもない。

ユウサは笑みを浮かべたままハルカを切り裂こうとする。

だが・・・・



「ッ!」



「なっ!?」



「ああーーーッ!!」



その腕は振り下ろされることはなかった。



「・・・・・・・・・・・・・!!」



振り下ろそうとしたユウサの腕を、蹴りで受け止める男が現れた。




「・・・・ほう・・・・噂の問題児が現れなすった!」




自分の腕を受け止めた男にユウサは感心しながら笑い、



「ったく・・・・・遅いよ・・・・・」



寸前のところで助かったハルカは苦笑しながら文句を言う。



「いやー、ゴメンゴメン。こっちも大変だったんだよ~。でも勘弁してよ、一気に百人ぐらい倒して来たんだからさ~」



白い白衣を少し汚しながらも、目立った外傷も無く、いつもと同じユルい笑みを見せながら男は現れた。




「ひゃっひゃっひゃっひゃっ、面白え! だが俺は烏合の衆百人相手をするより地獄だぜ? 冒険王よ」




「ふふ、愛する人のためならば、地獄の果てまで!」




今ここに、超人と鬼人の戦いが始まる。








鬼が笑い、超人が挑み、古代の爆弾魔人が大爆発を起こした。


世界が大きく揺れ始めた。


火をつけたのは誰だ? 揺らしたのは誰だ?


だが、原因は分かっている。


原因は皆グレン団がらみだ。


今の魔法世界は、サングラスを掛けた炎のドクロの熱気が引火して、世界全体が揺れていた。


『漢の魂燃え上がる・・・・』


場所は違えど燃え上がり・・・・


『度胸合体グレンラガン!!』


人々の興奮は本当に合体したかのような勢いで盛り上がっていた。




「「「「「「「「「合体したアアアァァァァ!!!!」」」」」」」」」」




静かに出来るものならしてみやがれ!


熱くできなければしてみやがれ!


老若男女獣魔問わずに、カミナという存在に心動かされ盛り上がっていた。



「アスナさん! 皆さん! ほら、グレンラガンです! 合体です!」


「こら、ネギ! 見りゃァ分かるっての!! でも、マジで合体したわよ!」


「本当に合体や~~!」


「しっ、お嬢様、皆さん静かに!」


「うむ、興奮は分かるが、もう少し待つでござる。この流れからして・・・・」


「何? どういうこと?」


刹那と楓が盛り上がる周りを静かにと制し始め、亜子達が首を傾げる。

しかし他に盛り上がっていた観客たちも盛り上がるのはまだ早いと気づいたのか、人差し指を口の前に持っていって、少しずつ静かになっていく。


「おい、皆! 静かにしろ!! ひょっとしてアレじゃねえか?」


「そうだ・・・・ひょっとしたら・・・・この流れからして・・・・あのセリフが来るんじゃねえか?」


予想を裏切るのがグレン団・・・・


しかし・・・・


期待に応えるのもまたグレン団!


観客たちの期待に応えるかのように、カミナはあの言葉を叫んだ。




『俺を誰だと思ってやがる!!』




「「「「「「「「そうだ、お前はカミナのアニキだァァァ!!!!」」」」」」」」




しかし少しのめり込みすぎのような気もするが・・・・・、とにかく皆ノリノリだった。


シモンの物語が・・・・


いつの間にかカミナという男の英雄伝になっているのだが・・・・



「はーーっ、おもしれええ!! 良いじゃねえか、あの野郎! 首都の騎士団のアニキ・・・じゃなくて将官に欲しいぐらいだぜ!!」


「いや、帝国のアニキ・・・・じゃなくて将軍にこそ相応しい男じゃ!! 魔法も使えぬ男が、圧倒的な身体能力と軍事力を誇る相手に奮闘するとはのう!」


「いいえ、ああいう常識破りは教科書女が集まるアリアドネーのアニキ・・・じゃなくって熱血講師に相応しいわ!」


「いや、紅き翼にこそ相応しいぜ!!」



まあ、それもどちらでもいいことだったが・・・・・・


「ふん、・・・やはりあんな情けない男にはありえんな・・・・・しかし・・・知らなかったな・・・・ゲッターロ○以外も合体出来たとは・・・・・」


とにかくシモンそっちのけ・・・・


      • というか・・・・お前ら、少しはこちらの気持ちになってみろ! と、大空の大決戦が叫んでる気がした。
最終更新:2011年05月13日 20:37
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