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102-結局突っ込むんだけどな!

第百二話 結局突っ込むんだけどな! 投稿者:兄貴 投稿日:09/11/22-20:48 No.4213
彼の魅力はこの光景が物語っている。


なぜなら今日初めて彼を知った魔法世界の者たちですら、その大きな背中に見入っているのだから。


グレン団のマークを背中に背負ったカミナとシモン、そしてグレンラガンの存在は人類に大きな希望を齎した。


立ちはだかる敵、ガンメン、超巨大なガンメン。


グレンラガンは決して背中を見せずにドリル片手に突き進む。


そんな彼らの元へと次々と仲間が現れた。


敵から奪ったガンメンに乗り、自分たちだって出来るという熱き想いを秘めて、人類は動き出す。


それは地上にカミナという男の気合が伝染したことを意味していた。


そう、人類がグレン団とグレンラガンという希望のもとに集い、反撃の狼煙を上げる。


そんな集った連中をアッサリ一つにまとめるカミナのカリスマは流石と言える。


彼らを引き連れ目指す場所は巨大な大要塞、獣人たちの誇る大軍事力だ。


そんな巨大な力を前に、カミナは何と言った?


戦え?


倒せ?



違う・・・



『俺たちであのでかいガンメンをかっぱらっちまおうぜ! いただいちまうんだよ!』



      • だった。


しかしそれでこそカミナだ。


だからこそ彼らはカミナと共に行く。


彼ら地上の人類最大の雄叫びを上げ、山が火を吹き大地が燃える。


これがグレン団の・・・


いや・・・



『グレン団じゃねぇ、大グレン団だ!』



彼ら大グレン団最初の大喧嘩だ。


燃えたぎる心を胸に、彼らは飛び出して行く。



しかしこの時は誰もが気づいていなかった・・・



      • ネギたちですらそうだった。



ネギたちはこの物語の行方を知っている。だが、知っているだけで信じられないのだ。



画面に映るグレンラガンとカミナの凄さを知れば知るほど・・・・・・この後の行方を信じることなど出来なかった。


「・・・・・・アスナさん・・・・・」


「分かってるわよ・・・・・」


先ほどまで興奮で目を輝かせて画面を見入っていたネギが不安そうにアスナに声を掛けると、アスナも似たような表情をしている。


それは二人だけではない。


「・・・せっちゃん・・・・」


「・・・・はい・・・・・」


この後の出来事を知っている者たちは、皆がこの後起こることを信じたくはなかった。

画面に映るカミナは相変わらずの頼もしい顔つきで騒いでいる。その頼もしい言葉で皆を引き連れている。


だからこそ・・・・・信じたくは無かった。


「ねえねえ、ネギ君たちどーしたの?」


「そーだよ、シモンさんには可哀想だけど・・・・ってそっかー、ネギ君もヨーコさん狙いだったね~♪」


「こら・・・裕奈・・・・」


「アカンて」


事情を知らない亜子達が少し首を傾げるが、ネギたちの表情は変わらない。


そして亜子達と同様、そんなネギたちの気持ちを知らずに観客たちはワクワクと眺めている。


画面に映る世界を、異世界だとは知らずに、この世界の歴史上では語られなかった戦いなのだ勘違いしながら・・・・・



カミナも自分たちと同じ、命一つの人間だということを・・・・皆気づいていなかった。











爆音!


爆音!



「蛆虫野郎共がアア!!」



大爆音だ!

戦場では珍しくない音も、目の前で何度も響かせられては堪ったものではない。

思わず恐怖も通り越して苦笑が出てしまうほど、単純で、どこまでも獰猛で、しかしそれでいて気持ち良いぐらいの爆発は、どこか懐かしさを覚えるほどだった。


「こいつは・・・・・・」


頭の中で様々な言葉が交錯するが、シモンは上手く言葉で表すことが出来ない。

混乱しているからか? 少なくとも恐怖ではないが、あまりにも桁外れな存在の前に、言葉が出なかった。


「チョロチョロすんなよなァァァ!! 大人しく死ぬことも出来ねえのかよォ!!」


大人しくできるはずもない。

一度も攻撃を食らっていないが、食らわずとも分かる。

シモンもシャークティも、一撃でも暴れる魔人の一撃を生身で受ければその瞬間に終わることなど容易に想像できた。

艦橋のうえで、周りも何も気にせず殴っては爆発させ、感情の赴くままに暴れるチコ☆タンの様子に美空もココネも腰を抜かして震えていた。

捕まった当初はまだ勇ましく、シモンたちが現れたときは希望しかその目には映っていなかったが、それでも恐怖を簡単に捨てることなど出来るものではない。


「・・・うっ・・・あっ・・・私たちん時より・・・・ヒドイ・・・あん時はまだギリギリで理性があったのに・・・・」


そう、何より美空とココネとチコ☆タンが戦った時はこれほどではなかった。

おそらくは怒りではなく、自らの意思で変身したのが原因なのだろうが、今はそんなことはどうでもいい。

肝心なのは怒りで真の姿を現した今のチコ☆タンに理性というものは存在しない。

彼の部下が止めに入っても聞く耳もない。

あるのは本能の怒りのみだった。

爆ぜる魔力で手当たり次第に殴っては爆発させ、近づくことすら敵わない。

そんな彼もまた、グレン団同様に誰にも止められない・・・・いや、手の付けられない存在なのかもしれない。


「爆ぜる魔力・・・・まさか・・・・」


「おい、シャークティ・・・・・」


「彼の正体・・・心当たりはありますが・・・・あまり当たって欲しくないというか・・・・とにかく手を出した以上、最後までやるしかありません!」


逃げているつもりは無いが、自然と脚が後退していた。しかし、無理も無い。

この超弩級の艦隊を単体で沈めてしまうのではないかと思えるほどの破壊力を秘めた拳で、叩く! 叩く!


「くそ・・・・・だが、これじゃあ近づけねえ・・・・」


一撃もらえば大打撃を受ける以上、接近は大きなリスクを伴う。

いかにシモンといえど、いつものように単純にドリルで突っ込めというのも少し時間が必要だった。

しかし・・・・


「まっ、結局突っ込むんだけどな!」


「ええ、それしかありませんね」


爆炎の中でチコ☆タンの破壊力と迫力に満ちた形相と咆哮を見ながらシモンは苦笑した。

その考えに、完全に賛成したくは無いのだが、結局はそれしか方法は無いのだとシャークティも苦笑せざるを得なかった。


「私が奴の身動きを止めます! 後は頼みますよ!」


「応!」


後退する脚を止めた。

シモンはドリルを。

シャークティは指の間に数多のロザリオを挟み、二人は正面から突っ込んでくる爆発魔人に向って構える。


(出し惜しみは無用・・・・相手に攻撃の隙も与えずに、一気に決める!)


シャークティが数多のロザリオを纏めて放ると、彼女の魔力の影響を受けたロザリオが束になり、光り輝く巨大な十字架が現れた。

彼女は神々しい巨大な十字の剣を向ってくるチコ☆タンに投げつける。


「聖なる十字架(クリスクロス)!!」


一直線に飛ぶ巨大な十字架。

しかも理性も飛んで暴走状態のチコ☆タンには避けるという行為はしないだろう。

だが・・・・・


「んだ、このオモチャはァァァーーーーー!!!」


拳一つで巨大な十字架が爆ぜてバラバラに飛び散ってしまう。

しかし、それはシャークティの予想の範疇内だ。シャークティは両手を動かし、宙でバラバラに飛び散る数多のロザリオに命令する。

するとシャークティの魔力を纏った十字架がシャークティの意思で自由自在に動き回る。


「魔人に聖なる裁きを・・・・・」


「ア゛ン?」


「翼の生えた十字架(エアリアルクロス)!!」


無数に飛び散る十字架がシャークティの命により、チコ☆タンに攻撃を開始する。その瞬間、一瞬だがチコ☆タンは足を止めた。


「ぬうッ!?」


その隙にシャークティは、新たな呪文を放つ。


「まだまだ! 解放(エーミツタム)!! 魔法の射手・戒めの風矢(サギタ・マギカ・アエール・カプトゥーラエ)!!」


「こ、この・・・カスがァ!?」


遅延呪文だ。

予め唱えておいた風系の魔法を開放すると、足を止めたチコ☆タンの周りから風の戒めが無数に現れて、チコ☆タンの体に巻きついた。

捕獲用の呪文だ。

この流れるような魔法の動きにはチコ☆タンですら・・・・


「今です、シモンさん!!」


「おう、まかせろォ!!」


取り押さえ、飛び回る十字架の中に向って、離れていたシモンが螺旋の力を解放し、今チコ☆タンに叩き込む。

だが・・・


「ゴノヤロ゛ォォォ・・・・・フングググググググ!!!」


「・・・・えっ!?」


何重もの風の戒めに亀裂が入っていく。


「バ、バカな!? 戒めの風矢はまともに食らえば数十秒は動きを封じられるのに、これでは・・・・・シモンさん、急いで!!」


そう、まともにくらえばフェイトやエヴァンジェリンクラスでも多少の時間は必要だが、この魔人はものの数秒で・・・



「いくぜ! シモン・インパクトォォーーーーッ!!」



チコ☆タンに降り注ぐ十字架に構わず、シモンはドリル片手に飛び出した。

しかし次の瞬間チコ☆タンは風の戒めを力任せに引き千切った。



「ウルァァァァ!! くだらねえマネ・・・・・」


「なっ!? 戒めが!?」


「してんじゃねええよおおおおおおお!!!!」


チコ☆タンは拳を振り上げる。

只のパンチだ。

小細工一切ない只のパンチが・・・・


「なっ、なんだとッ!?」


シモンのドリルが突き破るどころか、硬質化した拳に突き立てることも出来ない。


「ふっとべやああァァ!!」


それどころかドリルを押し返して、シモンは軽々と弾き飛ばされてしまう。



「兄貴ッ!?」



「シモンさんッ!?」


投げ飛ばされたシモン。

しかし、シモンはドリルで拳を受けたためにダメージは無い。

多少のことに少し面を食らったが、何とか空中で体勢を立て直し、着地する際にドリルを床に突き刺して、代わりに両手にブーメランとブースターを持ち、チコ☆タンに投げつける。


「俺は・・・大丈夫だ!! 攻撃の手を休めるな! ぶち込みまくるぞ!!」


「はっ、はい!!」


シモンの投げたブーメランは、ブースターと融合し轟音を立てて突き進んだかと思えば、宙で無数に分裂し、その脅威を増殖させてチコ☆タンに襲い掛かる。

シャークティも頷いて、宙に飛び散る十字架をまとめて叩き込む。


「メテオ・ブーメランだァァァッ!!」


「翼の生えた十字架(エアリアルクロス)!!」


だが・・・・


「さっきっから、くだらねえオモチャを・・・・・俺にぶつけるんじゃねえええええええええ!!!!」


咆哮するチコ☆タンが、 全身の筋肉を高速振動させ、両腕から繰り出される衝撃波の壁を地面に叩きつける。


「まっ、まずい!?」


「こ、この技・・・・やはり!?」


チコ☆タンの周りを中心に激しく高々に荒来る衝撃波の壁が、シモンとシャークティの攻撃を弾き飛ばすだけではなく、周囲の全てをなぎ払うかの如く勢いで迫り来る。


「くっ、捕まれシャークティ!」


弾かれたブーメランのブースターをシモンは装着し、荒狂う衝撃波の波を飛び越えようと高く飛び上がる。しかし、その時シャークティは慌てて視線を変えた。


「し、しまっ!? くっ、美空! ココネ!」


「シャ、シャークティ!?」


腰を抜かして動けない二人によける事など出来ない。シャークティは瞬時にシモンから手を離し、二人の前に降り立ち、最大限の魔力を放出した障壁を放つ。

だが、多少の威力を弱めたところでこの荒技を無傷で乗り切ることは不可能だ。



―――怒剛裂波!!



シャークティの最強の防御呪文ですら問答無用で突き破る衝撃波は、たちまち彼女たち三人を吹き飛ばし、建物の壁へと三人は激しく打ち付けられる。


「こ、このやろう!!!」


家族三人を容赦なく痛めつけたチコ☆タンの技に、シモンは激怒し、その手に巨大なドリルを出現させる。

ギガドリルだ。

シモンも出し惜しみはしない。

今ここで最大限の技で相手を打ち倒すつもりである。

波を飛び越えたシモンは空中から落下速度をプラスしてチコ☆タンに突っ込む。

回転を加えた轟音がチコ☆タンに襲い掛かる。

しかし、


「だから・・・・・ウザってえんだよォォォォォォ!! 無駄な足掻き・・・・してんじゃねええ!!」


怒りが爆発の源だとしたら、今の彼は尽きることは無い。

荒波に隠れて見えなかったが、衝撃波の壁の向こうでチコ☆タンは魔力を極限まで高め、身に纏った魔力の波動は荒波の高さを遥かに超えて、天に向って舞い上がる。

その魔力の全てをその身に溜め込んで、拳を強く握りしめ、ドリル掲げて向ってくるシモンに向ってチコ☆タンは天へと飛び上がる。



「うおおおおおおおおおお!!!!」


「ウルアアァァァァァァァァァ!!!!」



唸りあう両者が恐れを吹き飛ばし、その身を省みずに体ごと相手に向って突き進む。




「ギガドリルブレイク!!」



「超魔爆炎覇!!」




輝きを放って交差するお互いの大技が魔法世界の天空に、超轟音を響かせてぶつかり合う。












誰もが負けることなどは微塵も思っていなかった。


命懸けの戦いなのに、大グレン団の面々の表情に恐怖は無い。


恐らく彼の存在がそうさせた。


先頭に立って戦うデッカイ背中の男が居れば、きっとなんとかなると思っていた。


だが勇猛果敢に戦う大グレン団の中で一人だけ表情に陰りがあるものが居た。


シモンだ・・・


「シモンさん・・・・・調子悪そうや・・・・・・」


「まあ、・・・・無理も無いわよね・・・・あんなシーンを見せられたんだから・・・・・私だって昔、・・・高畑先生としずな先生が一緒に居た光景を見ただけで逃げ出したことがあるからね・・・・・」


シモンは見てしまった。

ほのかな想いを抱いて、その強さと美しさ、そしていつでも元気な微笑を見せてくれたヨーコ。

今回の喧嘩のキーは自分だとカミナに言われ、正直シモンは不安で一杯だった。カミナや仲間のリーロンが太鼓判を押すが、シモンは自分にそんな大役が出来るのかと不安で押しつぶされそうだった。

そんな時、ヨーコはシモンの肩を軽く叩き、たった一言・・・・


『大丈夫、シモンならやれるわ♪』


そのたった一言だけで、なんとかなるのではないかという気持ちがシモンの中に生まれた。


だが彼は見てしまった。


よりにもよって、決戦直後の今飛び出そうという時に・・・・


ヨーコとカミナのキスを・・・・・


『関係ない・・・俺には関係ないじゃないか』


そう言って集中しようとする。

そうだ、今はそんなことを気にしている場合じゃない。

自分に全てが掛かっている。

自分を信じてくれたカミナとヨーコと、そして命懸けで戦う仲間たちのためにも、自分が失敗するわけにはいかない。

だからこそ関係ない。

ヨーコのこともカミナのことも今は忘れよう。だが、そう頭の中で繰り返しても彼の表情は決して晴れない。

晴れない表情のまま、シモンは人生最初の大作戦を続行することになったのだ。


「大丈夫かよ・・・・あの野郎・・・・・」


「うむ・・・・まあ、少々酷なシーンを見てしまったようじゃからな~」


「ええ、まあ・・・・・気持ちは分からなくもないわね」


リカードたちはある意味冷静な視点で見ることが出来た。

彼らもカミナを知り、その存在感に飲み込まれそうになっていたが、これがシモンの記憶を元に作られた映像である以上、映っている世界は知らなくても、これから始まるものは喧嘩ではない。戦争だ。

その意味を良く知る彼らだからこそ、観客のように只単純に先ほどまでのように映画として楽しむことは出来なかった。

シモンの明らかに集中しきれていない表情と、少し不安そうなヨーコの表情、構わず熱く吼えるカミナを見て、何かが起こりそうな気がしてならなかった。


(ぼーずや嬢ちゃんたちの話によると・・・・カミナって野郎は・・・・シモンの兄貴分は・・・・・・)


ラカンはその言葉を口に出さずに、ようやくこの映像が始まって以来、真剣な眼差しでオーロラビジョンを眺めた。


そして様々な想いが漂う中、ようやく画面の中では戦闘開始だ!


勇ましく先頭に飛び出すカミナは、敵の主力の一人とも言える獣人のヴィラルと一対一の決闘だ。


彼に続いて新たに大グレン団の仲間となったキタンを中心に、奪ったガンメン自在に操り、勝利を掴み取ろうと戦った。


そして局面を左右させる瞬間になった。


相手のガンメンがカミナたちに集中している間に、敵の巨大ガンメンへ向けてシモンがラガンのドリルを突き出して、飛び出した。



『ラガンインパクトォォォ!!!』



ラガンのドリルが敵ガンメンのダイガンザンの艦橋を貫いた。

ダイガンザンの甲板や周囲の崖の上で戦う獣人側のガンメンたちにはどうすることも出来なかった。


『いただくぜ、あのデカブツ!!』


ラガンの能力で相手のガンメンの自由を奪い手に入れる。それが今回の作戦だった。

カミナたちは皆が作戦は成功したとガッツポーズを決めている。

そして観客たちも、このダイガンザン強奪作戦は成功したのだと大喝采を上げる。


「うっはーーッ! シモンさんもやるねーッ!」


「そういえば・・・シモンさんは学園祭でも大きなロボットをドリルで仲間にしていたような・・・・」


裕奈たちは激しく興奮し、アキラはそういえばと学園祭で超鈴音の巨大ロボットをドリル突き刺して仲間にしたシモンの姿を思い出す。今にして思えば、あれも全部本物だったのかと考えると、苦笑せざるを得なかった。


だが・・・彼女たちの表情をやがて一変する。


本当に物語が動き出すのはここからだった。


「お、おい・・・何か様子が変じゃねえか?」


観客の一人が呟くと、徐々に誰もが画面の中で映る光景に歓声を止めて注目した。

それは、奪ったと思ったダイガンザンが、何故か上手くコントロールされずに、制御不能状態で暴れまわって好き勝手に砲撃を始めた。


「ねえねえ、シモンが奪ったんじゃないの?」


「さっきそう言ってたよね~?」


「なんだよ、合体したら奪えるんじゃなかったのか?」


そう、ダイガンザンは未だにシモンの命令も獣人たちの命令も聞かずに暴れまわっている。

いや、理論上は既にシモンがコントロールを奪っているはずだ。だが、それでも上手くシモンは動かせない。

徐々に大グレン団たちや観客たちも不安そうな顔をしている。

それは明らかに集中し切れていない動揺するシモンを見て、より一層高まった。


「シモンさん!? どうしたん!?」


決して声は届くはずは無いのだが、木乃香は叫ぶ。

だが、一向にダイガンザンは落ち着かない。その様子に刹那はふと思い出した。


「・・・・螺旋の力は・・・・シモンさんの精神状態に左右されます・・・・ひょっとしてシモンさん・・・・」


そう、原因は分かっている。

螺旋の力がシモンの精神力に左右されるのなら、原因は一つしかない。

だが、分かったところでどうしようもない。


「まずいわよ、シモンさん!」


「はい・・・・集中力が乱されているんです!」


アスナもネギも、いつだって迷わず突き進んだシモンの、自分たちには一度も見せてくれなかった姿に落ち着いて見ることが出来なかった。

いかに過去の映像とはいえ、何とかシモンに声を掛けられないかと必死に叫ぶ。


すると・・・・


道に迷ったシモンの耳に・・・・



『ここを開けろ、シモンッ!!!!』
最終更新:2011年05月13日 20:39
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