シモンは行った。
誇りを背中に、魂を手に握り締め、走り出した。
散々迷子で道に迷っていた男が、ようやく自分の道を思い出したのだ。
「・・・・・・行ったかい?」
その直ぐ後で、メイド服をボロボロにした奴隷長が現れ、トサカの横に並んだ。
「・・・・ああ・・・」
トサカは短く不機嫌そうに頷いた。
「ケッ・・・・ムカつく野郎だ・・・主役の癖に脇役の手を患わせやがって・・・・大人しく脇役させろよ・・・・クソッタレが・・・・」
「トサカ・・・・」
「へん・・・あれが主役か・・・あれが英雄かよ・・・・・俺には一生なれねえよ」
トサカが走り去るシモンの背中を見ながら、自嘲気味に笑った。自分では一生追いつけない、なれない男の姿なのだと、自分自身を笑って、皮肉った。
だが、そんなトサカの肩を優しく奴隷長は叩いた。
「バカだねアンタは・・・・・・こんな大事なことを気づかないなんてね」
「あん?」
「アンタは確かに主役には・・・英雄になれなかった・・・・でもね・・・・アンタは・・・・英雄をぶん殴れる男になったよ!」
「ッ!?」
「英雄だって同じさ。弱気になりそうになるときや、自信を失いそうになるときもある。そんな時、アンタはぶん殴って奮い立たせた・・・・・誰にも出来ない・・・・物語には欠かせない・・・主役並みの大役さね!!」
「・・・・ママ・・・・」
「穴倉に篭った小さな男が・・・でかくいい男になったじゃないかい」
さあ、見届けろ。
お前が奮い立たせた男の姿を・・・・
そんな瞳で奴隷長は上を見上げた。
「アニキ・・・・アニキ・・・・・・・アニキ・・・は死なナイ!」
「・・・・ア゛?」
ココネが涙を流しながら叫ぶと美空もその通りだと叫んだ。
「そうだよ! アニキはこんなことでくたばったりはしない! 必ず来てくれる!」
涙で顔を腫らしながら・・・
「その通りです・・・・私たちの家族を・・・・・新生大グレン団のリーダーを・・・・侮らないでください!!」
誰もが信じた。
たとえ、今目の前で空からシモンが落とされたとしても、彼女たちは最後まで信じ続ける。
強がりでもいい。
何でもいい。
シモンは来てくれると信じた。
「テ、テメエら・・・・・」
それがチコ☆タンの癇に障り、チコ☆タンはゆっくりと美空たちの目の前に歩み寄る。
そしてギリギリとイラついて歯軋りしながら・・・
「このムカつくクソ女がァ! もういい! 今すぐテメエをミンチにしてやるやるよォ!!」
拳を振り下ろそうとした・・・その時だった!
「んッ?」
艦橋が激しく揺れ、下から突き上げるような振動を感じた。
「なんだッ!? なんだっつうんだ!?」
チコ☆タンは床を見る。
美空たちも床を見る。すると振動は徐々に大きくなり、何やらうれしい音が聞こえてきた。
「アッ・・・・アッ・・・」
「・・・・・ほら・・・やっぱり・・・・」
「我々の言ったとおりでしょう?」
何かを削る音。
それだけで三人は分かった。
美空とココネは余計に泣き、シャークティは小さく微笑んだ。
そしてついに床を突き破り、ドリルが顔を出した。
「アッ・・・ア゛ア゛ッ!?」
ドリルが顔を出し、開いた穴からシモンが飛び出した。
それは彼女たちが信じていた男だ。
そしてシモンは飛び出して直ぐに、美空とココネに嵌められた手かせを砕いた。
「テ、・・・テメエ・・・・何でッ!?」
チコ☆タンがうろたえるがシモンは気にしない。
彼は泣き腫らした二人に両手を広げて、力強く微笑んだ。
「美空、ココネ、助けに来たよ! おいで!!」
ああ、シモンだ。
分かってしまった以上、抑えることはできない。
自分たちはこれほど泣き虫だったのか?
「兄貴・・・兄貴・・・」
「兄貴・・・・・・」
これほど弱かったのか?
だが、構わなかった。美空とココネは開いたシモンの両手に誘われて、その胸に向って飛び込んだ。
「「兄貴ィィィーーッ!! うわああああああああああん!!」」
シモンは抱きしめた。
ようやく捕まえた。
ようやく再会できた愛おしい妹を抱きしめた。
もう絶対に奪われないように、二人の頭を撫でながら、抱きしめた。
「くっ、テメエ!!」
チコ☆タンが後ろから殴りつける。だが、シモンは咄嗟に背中にブースターを出現させ、回避した。
そして少し離れた場所で此方を見て微笑んでいるシャークティの元へと飛んだ。
「シャークティ!」
「はいっ!」
彼女も体の痛みがふっとんだ。
自分の名を叫ぶ男に向って、満面の笑みで飛びついた。
「に、逃がすかよォォ!!」
チコ☆タンが怒り任せに追いかけてくる。
だが、今のシモンは余裕の笑みだ。チコ☆タンの拳を後方へ飛んで交わし、そのままココネを肩車し、美空とシャークティを両手に抱え、空へと飛び出したのだった。
「なっなっ・・・なっ・・・」
チコ☆タンは宙へ逃げたシモンを追いかけることが出来ず、ただ眺めることしか出来なかった。
空が変わって見えた。
戦火の音と色で埋め尽くされているというのに、何故かこの場だけは静かで、自分たちしか居ないように感じた。
シモンも、美空も、ココネも、シャークティも、ようやく再会できた家族の温もりを感じた。
そしてチコ☆タンから離れ、ようやく安全圏へと飛び出したシモンは美空とココネ、そしてシャークティに笑顔で言った。
「遅くなってゴメン・・・でも・・・俺は帰ってきた! 本当に・・・帰ってきたんだよ!!」
美空とココネには少し分からないが、彼女たちはとりあえずうれしそうに微笑んだ。そしてシャークティは今のシモンの言葉に表情を変えた。
「シモンさん!? まさか・・・・記憶が・・・・」
「えっ、何々?」
「兄貴・・・何かアッタ?」
シモンは只笑う。
「大丈夫だ。細かいことは気にするな!」
だが、それだけでシャークティも分かった。そしてそれがどれほどうれしいことなのかと、彼女は改めて心の底から笑った。
「ところで・・・シモンさん・・・私たち・・・その・・・重くありませんか?」
「ああ、重いよ。すごく重い」
シャークティは顔を真っ赤にさせて、身を捩じらせる。しかし、シモンはより一層抱きしめた手に力を入れる。
「ちょっ、・・・降りますよ?」
「いいんだ。それだけ重たいんだ、俺の大切なものは。・・・だからもう少しだけ感じさせてくれ・・・確かめさせてくれ・・・もう二度と忘れないために」
そう言って、シモンは自分の大切なものの重さを感じながら、ゆっくりと甲板へと降りていく。
周りは相変わらずの大乱戦。
今この場に四人が降り立っても、敵はあまり気にしている様子は無い。
「それにしても・・・随分とやばくなってきたな・・・・・」
「うん、・・・みんな私とココネのために来てくれたんだよね・・・・」
「・・・ミンナ・・・友達・・・」
「ええ。今度は私たちが助ける番ですね」
仲間たちが心配だ。
だからシモンは周りを見渡して、三人に告げる。
「よしっ・・・三人は、皆を助に行ってくれ。アイツは・・・俺がやる!」
周りを見渡した後、シモンは艦橋に居るチコ☆タンを見上げる。
「兄貴、大丈夫なの!?」
「アイツ強い!」
「ええ、・・・もし私の予想が正しければ・・・あの魔人の正体は・・・・」
シモンがチコ☆タンを一人で倒そうと言うと、三人が焦ってシモンを止めようとする。
だが、止めようとする三人を手で制して、シモンは笑った。
「おいおい・・・お前たち。忘れたのか?」
そうだ・・・たとえ相手が魔人でも・・・・
「俺を誰だと思っている」
もう、心配など要らないのだ。
僅か数ヶ月の別れ、しかし今の自信に満ちたシモンの表情を、三人は本当に久しぶりに見た気がした。
「ひゃははは! 形勢はほぼ決まったな・・・面白いメンツを引き連れてきたが、結果は変わらなかったな」
笑うユウサは周りを見渡して告げる。だが、うつ伏せになりながら、瀬田はヨロヨロと体を起こしていく。
「ほう、立てるのかい?」
「まだだ・・・・確かに君は・・・僕よりも強い・・・・・だが、負けるわけにはいかないんでね。それに・・・彼がまだ居る」
瀬田は痛む体に堪えながら、ニコッと笑った。それは強がりに見えるが、ユウサにはどちらでも良かった。
「かっかっかっか。シモン君か~。今頃チコちゃんにボコられてるだろ~? まあ、俺も少し話はしたいと思ってたがよ~。俺が旧世界で麻帆良の武道大会の映像見たときは、中々のもんだったからな~。だが、チコちゃんには敵わねえよ」
どうやらユウサはシモンのことを以前から知っていたようだ。だが、それでも瀬田は首を横に振る。
そしてチラッと上を見上げながら笑った。
「どうかな?」
「あん?」
「彼は底が知れない・・・・なぜなら・・・・どこまでも掘り続ける男だからね♪」
瀬田は少しうれしそうだ。
その様子が気になって、サラもハルカも視線を追って上を見上げると、緑色に輝く光が、自分たちの真上を飛んでいた。
その光は徐々に大きく、そして急激に弾けて、力強い光が空に・・・・いや、世界に広がった。
ニアは心が強い少女だった・・・・でも・・・彼女だって怖かった。
だからこそ・・・・
『ニア、助けに来たよ。おいで!!』
出会ってから一番カッコいいシモンの姿と言葉に、今まで張り詰めてガマンしていたものが決壊して、ニアは泣きながらシモンに飛びついた。
『シモンッ!!』
胸いっぱいに空気を吸い込んで、自分を救いに来てくれた男の名を呼んだ。
『俺・・・・分かったんだ! ラガンも教えてくれた! 俺・・・・分かったんだ!』
ニアを膝に乗せながら笑うシモンの表情は、幼さを感じるものの、その表情はネギたちも良く知るシモンだった。
「シモンさん! やっぱり・・・・シモンさんだ!」
意味の分からない言葉に聞こえたが、ネギの言葉にアスナや木乃香たちもネギの言いたいことがよく分かった。
そうだ・・・シモンなのだ。
散々酷い姿を見せられてきた少年時代のシモン。
だが、今の姿を見ろ。
黙々と穴を掘り、ラガンを呼び戻し、今、正にニアを救ったシモンの表情を見ろ。
あれこそ間違いなく、自分たちの知っているシモンだった。
『シモン、手をどけて』
ニアは操縦桿を握るシモンの手にそっと触れた。そしてニアがラガンの操縦桿を握り、シモンに微笑んで頷いた。
その上からシモンがニアの手を握った。
優しく温かい手に、シモンは傷だらけの手を癒されて、心まで癒されていく。
癒されたら、反撃返しだ。
眼下では仲間が敵と戦っていた。
カミナが命懸けで手に入れてくれた自分たちの居場所を、決して渡さないために戦っている。
さあ、今こそ自分の出番だ。
シモンの出番だ。
『ニア、行くよ』
『ええ、シモン』
ラガンのシャッターを閉めて、飛び出す光景を眺めながら、誰もが待った。
伝説が生まれる瞬間を。
『ロシウ!!』
『シモンさん!?』
ロシウが乗るグレンを見つけ、シモンはラガンのドリルを突き出して、叫んだ。
『合体だア!!!!』
その言葉を待っていたのはロシウだけではない。
大グレン団も。
「来る・・・・」
「シモンさんが来たえ!!」
「はい!」
この光景を見ている観客も・・・・
「来たぜ・・・・」
「来たぞ!」
「ついに来たぜ!」
魔法世界の重鎮も・・・・
「来やがったぜ・・・・・」
「うむ、来たのう!」
「ええ、見せてもらいましょうか!」
「ああ、楽しみだぜ!」
「ふん、・・・・つまらぬものなら・・・・承知せんぞ!」
いや、この映像を見ている魔法世界の住人全てが待っていた。
「なるほど・・・・・・これが僕の知っている彼か・・・・・」
「フェイト様・・・・うれしそうです・・・・・」
さあ、ようやくこの時がやってきた!!
そうだ、この時がやってきた!!
「な、何ですの!?」
「な、なんじゃ!?」
「一体なんだってんだい!? この光は!?」
「あれは・・・・・」
「この感じ・・・・どこかで見たことあるです・・・」
その時、戦いの手が一瞬止まった。
「来マシタ」
「来ましたね!」
「「「「リーダァァ!!!!」」」」
総勢千人以上の荒くれ者達が、敵味方、状況も関係なく、急激に眩しく光った上空と、その光の中心に居る男を見上げた。
「なんだこの光は!? な、・・・・なんだテメエはァァァ!!」
誰もが思ったその言葉。
「テ、・・・・テメエは一体なんなんだァッ!?」
チコ☆タンは光り輝くシモンに向って叫んだ。
するとシモンはチコ☆タンを真っ直ぐ見つめ、叫んだ。
「螺旋の力に託された想いをこの身に刻み、まだ見ぬ明日と、新たな道をこの手で掴む!!」
「アア゛!?」
天に向って真っ直ぐ指差して、この世界に響き渡るほどの大声で叫んだ。
「天に広がる星の壁、ドリル突き刺しねじ込んでェ、無理も道理も突き破るッ!!」
「何だァ? 何を言ってやがる!?」
初めて見るものも、敵も味方もその男を見ていた。
「俺を誰だと思っている!」
そうだ、そして誰もが答えを求めている。
チコ☆タンも、千を越える戦士たちも、各国の戦士たちも、駆けつけてくれた仲間たちもシモンの姿を見て、その答えを求める。
お前は誰だと。
「俺はシモンだ! 新生大グレン団のリーダー・・・」
その答えを今こそ答える。
今こそ、その答えを皆が知る。
ゴーグルを装着し、そのゴーグルの形が星の形へと進化して、それで本領発揮だ。
「穴掘りシモンだァァァァァッ!!!!」
銀河に轟く不撓不屈の無法者、グレン団の穴掘りシモンがようやくこの世界にその存在を示した。
そう、この日、世界がシモンを知ったのだ。
「アア゛――ッ!! 御託はいらねえんだよォ!! くらいやがれェ!!」
叫ぶシモンに向けて、チコ☆タンは両手にエネルギーを溜めて一気に解き放つ。
「消し飛べェ! 爆力魔波ァ!!」
爆ぜる魔力を凝縮させた強力なエネルギー砲がシモンに襲い掛かる。
食らえば完全消滅もありえる威力だ。
だが、シモンは逃げない。
冷静に、心はどこまでも熱く、思い出した己の魂を信じてチコ☆タンの技にドリルを突き刺した。
「うおおおおおおおおおおおお!!!」
「な、なにィィ!?」
「消えるかよ・・・・この想い・・・・二度と忘れてたまるかよォ!!」
チコ☆タンは目を疑った。
自身の渾身の力を込めた技が、粉々に砕いたはずのシモンのドリルに受け止められ、眩しい緑色の光に包まれ宙に拡散した。
そして・・・・
「必殺ゥ!!」
「ヌ゛ッ!?」
チコ☆タンの技を拡散させたドリルは、気がつけばこれでもかというほど超巨大なドリルと化していた。
恐らく今のチコ☆タンの技のエネルギーも吸収したのかもしれない。
そのドリルをチコ☆タンに向けて、シモンは叫ぶ。
「超銀河ギガドリルブレイクゥゥゥッ!!」
「な・・・な・・・なろおォォォーーーーッ!!!」
叫びと共に飛んだシモンに、チコ☆タンも正面からぶつかってくる。
再び天に広がる大爆発。
そしてその立ち込める爆炎を突き破り、巨大なドリル掲げて、天に向って突き進むシモンが現れた。
「「「「「「「「「「わああああああああああああああ!!!!」」」」」」」」」」
「や・・・やりおったわい、あの若造!!」
「シモンさんですわ・・・いいえ、あれが本当のシモンさんなのですね!」
「けっ、やりゃあ出来るじゃねえかよクソ野郎!」
歓声を上げるのは共にこの場に駆けつけた仲間たちだ。
絶体絶命のピンチまで追い詰められた彼らが、ようやく知った男の姿に、希望を取り戻して叫んだ。
「おいおいおいおい、チコちゃんがぶっとばされただとォ!?」
そして逆に・・・
「くっ、何だっていうんだい、あの男はッ!?」
敵は戸惑いを隠せないで居た。
戦力的にも明らかに優位に立っているはずの彼らが、たった一人の男の存在に恐れを抱いた。
「たた、隊長がやられちゃったよォォ!?」
チコ☆タンの部下でもあるモルボルグランが大爆発から飛び出したシモンを見て騒ぐ。
だが、その隙に・・・・・
「漢魂ァ!!」
「うわあッ!?」
「麻~帆~良~男子四天王フォーメーション―――」
先ほどまで以上の気合を滾らせた者たちが、飛び出してきた。
「「「「デラーーーーックス!!!!」」」」
「ななななッ!?」
豪徳寺、達也、慶一、ポチの四人が見事なフォーメーションでモルボルグランを押さえつけた。
「リーダーが帰ってきたんだ! 俺たちがボヤボヤしているわけには、いかねえん―――」
そして彼らは叫ぶ!
「「「「だよォォォーーーーーーッ!!!!」」」」
彼らだけではない。
ハカセもエンキも、そしてメガロメセンブリアやヘラス帝国の戦士たちも、負けてなるものかと叫んで敵に立ち向かう。
「「「「「「「「「「だよォォォーーーーーッ!!!!」」」」」」」」」」
傷ついた体を無理やり起こし、瀬田もハルカもサラもブータも、奴隷長もトサカもバルガスもラオもランも叫んだ。
「「「「「「「「「「だよォォォーーーーーッ!!!!」」」」」」」」」」
絶体絶命からの大反撃が始まった。
「うりゃあああ!!」
「なっ、み・・・・・美空さん!? それにココネさんも!」
「へへ~~ん! やっほーー♪」
「ピース」
立ちはだかる敵の壁を次々打ち倒し、美空とココネはVサインをしながら、エミリィたちの前に現れた。
コレットもベアトリクスも高音も愛衣も、再び逞しい姿で登場した二人を見て、更に気合が漲った。
「な、なんなんだ・・・・・」
「なんなんだテメエらはよォ!?」
大反撃を開始する新生大グレン団とその同志達の姿に敵が思わず叫んだ。
「七星剣(グランシャリオ)!!」
―――!?
すると、強烈な光が天より降り注ぎ、彼らが上を見上げた瞬間、その光が一斉に彼らに攻撃を開始した。
「「シャークティ先生!?」」
シャークティの七星剣(グランシャリオ)だ。
彼女の技は群がり戸惑う敵を一斉になぎ払い、そして彼女は残る敵を睨みつけながら告げる。
「申し訳ありませんが、ここからは私たちの時間です!! 美空とココネが・・・あの人が帰ってきた今・・・全てが揃った私たち新生大グレン団を・・・止めることなど誰にも出来はしない!!!」
そう、10倍返しの時間が始まった。
「ひゃはははは!! おもしれえーーーッ!!」
「いくぞ! ハルカ! サラ! ブータくん!!」
「「「おうッ(ぶーむ)!!」」」
「いいぜ、来な! 一家皆殺しにしてやるよォ!!」
散々やられた悔しさを、ただ返すだけではない・・・・
「ゆくぞ、ディーネ!」
「ちっ、なんだってんだい!? 急に元気になりやがって!」
10倍にして返すために・・・・
そして・・・・
「ゆくぞ神速部隊!!」
「「「「「「「「「「了解ッ!!!」」」」」」」」」」
「俺たちも続けえ! 首都の騎士団、ここに在りだァ!!」
「「「「「「「「「「っしゃあああああ!!!」」」」」」」」」」
「無法者共に遅れを取るなァ!! 敵にも! ・・・犯罪・・・・者・・・くっ、ええい! グレン団にも遅れ取るな!!」
「「「「「「分かりました、団長!!」」」」」」
「いくさね、アンタたち! 拳闘家の意地を見せてやろうじゃないかい!」
「「「「おうッ!!!」」」」
「負けませんよ、愛衣!」
「もちろんです、お姉さま!」
そして何より自分たちもシモンに負けてなるものかと、彼らは勇んで戦った。
魔力も体力も底を突きかけたはずの彼らの中に注入された気合という名の最強の武器を振るって、立ちふさがる全ての壁をぶち破っていく。
すると・・・
「こ・・・・ごのグゾったれがァァァ!!!!」
天に広がる爆炎が、更なる爆発で吹き飛ばされた。
中から現れたのは、強靭な肉体に巨大な削られた傷が斜め一直線に付けられたチコ☆タンだった。
爆炎で肉体を煤で汚し、血を僅かに吐き出しながらも、超銀河ギガドリルブレイクから生き残った。
「テ、テメエ・・・・テメエ・・・・テメエッ!! 殺しまっくってやらァァァーーーッ!!」
まさかラカン意外であれをくらって無事な者がいるとは思わなかった。シモンは素直にチコ☆タンの強靭なタフさに脱帽し、感心した。
「あれを食らって無事とはな・・・・やるじゃないか。・・・だけど・・・・俺のドリルは天を突くまで終わらない! 何度だって突き進んでやる!」
叫ぶシモンは今一度、輝くドリルをチコ☆タンに向ける。
対してチコ☆タンも拳を力強く握り締め、今にでも飛び掛かってきそうである。
大気を震わせ伝わってくるチコ☆タンの憤怒の感情。しかし今のシモンはそれを正面から受け止める。
するとその時だった。
「ん?」
強烈な威圧感が二人の間でぶつかり合う中・・・
―――人は問う・・・
シモンの頭の中に、声が響いた。
シモンは不意に胸元のコアドリルを弄り、理論は分からないが、少なくともこの声の主に心当たりがあった。
それはかつて銀河の命運を賭けて戦った宿敵の声だ。
そして記憶を失い、何かがあるたびにシモンの頭の中に響いてシモンを迷わせた言葉だ。
その問いにシモンは結局、最初は何も答えられなかった。
だが・・・・
「・・・・・・・・・・お前も・・・・散々俺を迷わせてくれやがって・・・・・・いいぜ、アンチスパイラル。なんでも聞けよ。今なら何だって答えてやるさ」
最終更新:2011年05月13日 20:43