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気づけばダヤッカやキヨウやキヤルにキノン、アーテンやガバルにテッカンにシベラにレイテたちまで、皆がどこかシモンの顔を見ながらうれしそうにしていた。

まるで懐かしい人と再会したような・・・・


「そういうことだ、シモン」


「ヴィラル!」


そしてヴィラルまでも、ヨーコたちと同じような顔をしていた。


「約束しただろう? 貴様が見せるのは夢ではない。まだ見ぬ明日だとな」


「ッ!?」


その瞬間、シモンは全てを理解した。

こんなことはありえない。とんでもないことだと、驚きのあまりによろめいて尻餅をつきそうになった。

本物なのだ。

別にカミナやニアが偽者とは言わないが、彼女たちはシモンの記憶と心が作り出した存在。

しかしヨーコやヴィラルたちは違う。うまく説明できないが、美空とココネと同じように、彼らは自分の良く知る本物の彼らなのだと。


「ったく・・・・・・・・みんな・・・・・そんなに俺が心配だったのか? 本当に・・・みんな・・・・・」


自分の髪をクシャクシャにしながら、無茶苦茶な仲間に対して笑った。

原理も理屈も何もかもがどうでもいい。今こうして皆がここに居るのだから。



「・・・みんな・・・心配かけてごめんな・・・でも、もう大丈夫だよ。俺の出した答えはやっぱり、俺たちらしかったって分かったからな」



細かいことを気にするなと言って、仲間たちはまた笑った。

そしてシモンは美空とココネを抱き寄せて、生きている仲間、もう居ない仲間、それら全部をひっくるめて告げる。



「夢でも幻でも俺はこの時間を一生忘れない。・・・だから・・・・・・」



そしてひとしきり笑い終わり、シモンの表情が変わった。



「そろそろ・・・・・行くよ、みんな」



もしもの世界の自分ではなく、今の自分を思い出したシモンは皆に告げる。


何も無い胸元で拳をギュッと握り締め、決意を皆に告げた。


仲間たちも力強く頷いた。


だがそんな中、ソラが一人ニアの腕から飛び出して、シモンの足にしがみついた。



「パーパ! どっか・・・・どっか行っちゃうの!?」



「ソラ?」



「やーっ! やだ・・・・やーーーッ!」



もしもの世界で、もしかしたらありえたかもしれない命。


「へっ・・・・・おいおい・・・・兄貴?」


「・・・・・子供・・・居た?」


甘い夢を見た自分が作り出した我が子だ。


その子はいやいやと頭を振り、涙を滲ませた顔でシモンの足にしがみ付いて離さない。


決して出会うことができない、ニアとの子。


自分はこの時間を忘れない。


そしてこの想いも忘れない。


例え世界は本物ではなくても、自分の想いが作り出したこの子への想いは本物。


この愛情は本物だ。


だからこそシモンは、愛しいわが子の頭を撫でながら微笑みかける。



「俺が一人でどこかに行くんじゃない。キタンも言ってたろ? 皆で一緒に行くんだ」



そうだ。もしとか、たらとか、ればとか、そんな想いに惑わされない。


惑わされるぐらいなら全部まとめて持っていく。



「・・・一緒?」



「ああ。一緒だ。そうだろ、皆?」



自分の胸元を指差すシモンに、皆が当たり前だと叫んだ。



「「「「「「「「「「おうっ!!」」」」」」」」」」



そうだ、一緒だ。

現実だとか幻だとか、知ったこっちゃねえ。

シモンが勝手に引いた見えない境界線を、皆が一斉に飛び越えた。



「そうよ。シモン。それが答え・・・それがあなたの世界」



この世界との決別の呪文は「わずかな勇気」という言葉。

しかしシモンは違う。

大いなる決意。大いなる想い。そして倒れていった仲間たちの魂をひっくるめて、世界を突き破る。



「これからもずっと一緒よ」



「ああ!」



ニアの体が緑色の光に包まれた。



「「愛している(わ)!!」」



そしてその体はシモンを抱きしめ、気づけばシモンの手にはソルバーニアが握られていた。



「うん・・・ずっと・・・一緒!」



ソラの体も緑色に包まれた。

そしてソラのその包まれた光は凝縮し、小さくなり、やがてシモンの胸元にコアドリルとなって姿を変えた。

コアドリルが無くて寂しかった胸元が元に戻るどころか、以前より温かく感じた。



「忘れんな、お前の世界は俺たちの世界でもあるんだ!」



カミナも、ロージェノムも、そしてキタンたちの体も緑色の光に包まれていく。

かつて銀河に散った仲間たち。その光が皆シモンの胸元にあるコアドリルに集っていく。



「みんなだけじゃないですよ!」



「そうです、私たちもです!」



「そうよん、シモン!」



「シモン!」



「そして、まだ見ぬ明日とやらを見ようじゃないか」



ギミー、ダリー、リーロン、ヨーコ、ヴィラル、そして他の仲間たちも同じだ。


想いを螺旋の光と変えて、シモンの胸元のコアドリルに全員集結した。


倒れていった者たちも、後から続くものたちも、全部このドリルに織り込んで、まだ見ぬ明日への道を掘る。




「行くぜ、ダチ公!」




シモンがソルバーニアを天に掲げた。

同時にコアドリルから走る光がシモンを包み込む。

大グレン団の想いの詰まった力を、巨大なドリルに変え、シモンは完全なる世界の空に突き立てる。



「偽りの天なんか貫いてやる! これが俺のドリルだ! なんてったって俺のドリルは! 俺たちのドリルは!」



そう、これが大グレン団のドリル。




「「「「「「「「「「俺たちのドリルは!! 天を突き破るドリルなんだよッ!!」」」」」」」」」」




仲間たちの想いと共に、シモンは光となって、真っ直ぐに飛び立った。




その想いは、世界も銀河も超えて伝わっていた。



「ふう・・・寝て疲れるとは思わなかったな・・・貴様らもか・・・」



深い夜が世界を包み、誰もが眠りに付いている時間帯。

カミナシティの会議室にて、寝巻き姿のヴィラルがあくびをしながら呟いた。


「はい。寝てたらなんか急に楽しい夢を見て・・・久しぶりに皆やシモンさんに会えた気がしました・・・凄く幸せで・・・でも、・・・」


「まったく、シモンさん・・・人の夢の中にまで出てきて何をやってるのかな・・・」


同じく寝巻き姿のギミーとダリーも眠そうな目を擦りながらも、うれしそうに胸元のコアドリルを弄くっていた。


「まったくお肌が荒れちゃうわ~ん。でも、不思議よね~、みんな同じ夢を見るなんてねん」


「リーロンさんもですか? 不思議ですよね~。最初は皆が生きていて・・・それが何にも不自然に思っていなかったのに、何か急に空から女の子たちがシモンさんの名前を呼んだ瞬間、私もみんなも夢を夢だと自覚して・・・・・」


「今シモンは別の宇宙に居るはずなのに・・・うれしいわねん・・・次元の壁があるようで・・・私たちはいつも繋がっているってことかしらね~」


そう、繋がっているのだ。


「ひょっとしたらヨーコさんも同じ夢見てるかも・・・」


「明日電話して聞いてみよう」


「それにしても変な夢だったな。でも、おかげで噂のシモンさんの妹でもあり、俺たちの後輩も見ることが出来たけどな」


「そ~ね、中々可愛い子達だったわね~ん。夢の中に居る兄貴を夢の中まで追いかけて連れ戻しに行く・・・あらやだ、グレン団らしいわね~」


「あ~あ、本当にシモンさんに会いたくなっちゃった」


夜遅くだというのに、ギミーやダリー、リーロン、そして気づけばロシウやキノンたちも現われた。

そして皆が変な夢を見たと朝になるまで語り明かしていた。

そんな仲間たちの夢の話での盛り上がりに苦笑しながら、ヴィラルは窓の外に広がる空の遥か向こうまで目を向ける。


「ふん・・・何をしているかは知らんが、シモン。貴様らしくない行動で恥をさらし、俺たちの顔に泥を塗るような真似だけはするなよな」


きっとこの声も、次元を超えてあの男の元に届くだろうと思いながら、ヴィラルはニヤリと笑っていた。

夢から覚めて、明日を見ていた。










「バ、・・・・・・バカな・・・・ポヨ・・・」


割れた。


「あ~~ん、シモンさん良かったえ~~~!」


「待っていましたよ!」


何が割れた?


「これで全員揃いましたね!」


「リーダー! 一番遅えなんてリーダーらしくねえぞ!」


それは偽りの完全なる世界だ。


「兄貴・・・・私たちが分かる?」


あれは幸せな夢だった。だが、自分たちが掴んだ明日ではなかった。


「ああ・・・・ああ・・・」


自分の掴んだ明日には、ニアもソラもカミナたちも居ない。

しかし感じる。

胸の中に皆の想いを感じる。

そしてこの世界には、今の自分を愛してくれる愛しい家族が居る。

たくさんの仲間が居る。


「分かるよ・・・・分かるさ」


目を覚ましたシモンは、息が詰まるほど美空とココネの二人を抱きしめた。

そう、これが自分の掴んだ世界なのだ。


「くっ、これは流石に面倒ポヨね」


「シモンさん!!」


「・・・とうとう・・・起きてしまいましたか・・・・」


イラつくザジ姉。力強く拳を握るネギ。残念そうな顔を見せるクロニア。



「これが俺の現実だ。倒れていったものたちの願いと、後から続くものたちの希望、全ての想いをこのドリルに織り込んで、テメエの決めた道をテメエの手で貫き通す! それが俺たちの証だ!」



立ち上がったシモンの叫びに呼応するかのようにコアドリルが輝いた。


「皆揃いもそろって・・・・・・・その道の先にあるのが・・・・破滅であるというのに!」


「ッ、兄貴危ない!」


クロニアは呟いた瞬間に姿を消した。またワープの力でこの場から姿を消し、そして背後からシモンを貫こうとした。

だが、シモンはそれを跳ね返した。


「無駄だァ!」


「なッ!? か、・・・・硬い!?」


「テメエこそ・・・テメエこそこの力を何にも分かっちゃいねえ!」


身に纏った螺旋力が、クロニアの螺旋の力を防いだのだ。


「何を言うかと思えば・・・・・・・ならばあなたに何が分かるというのですッ!」


「螺旋力は気合! ドリルは魂! そして人を突き動かすのは意思!」


「くっ、何を・・・・」


明らかに違った。

クロニアの目の前にいるシモンから感じる力が数分前とは明らかに違って見えた。

その動揺が反応を遅らせた。


「トロイデルバーストォォォ!!」


シモンは握られたソルバーニアで思いっきり床を貫く。


「これは!?」


「ポヨ!? クロニアさん!」


「・・・・・何のつもりです、シモン!」


するとクロニアとシモンの立っていた床が、二人を中心に崩れ、二人は暗闇の穴へと落ちていく。


「シモンさん!?」


「兄貴ッ!?」


穴に落ちたシモンに叫ぶ美空とネギ。

覗いた穴には底の見えない真っ暗な世界が広がっていた。


「ネギ! みんな! この女は・・・クロニアは俺に任せろ! そしてフェイトに伝えてくれ」


「シモンさん!?」


真っ暗な穴に落ちてもシモンは輝き、そして上を見上げて叫ぶ。



「ちょっと遅れるってな!!」



シモンはクロニアを連れて行く。


「シモンさん!?」


「リーダーッ!?」


たった一人でクロニアを請け負うことを叫んだ。


「私を足止めする気ですか?」


「いや、お前に証明する気だ」


向かい合いながら一緒に落ちる二人。だが、クロニアはこれ以上付き合う気は更々無い。


「ふっ・・・・何を企んでいるか知りませんがワープを使えばこのようなもの・・・・」


そもそもワープが使えるクロニアをどこに連れて行こうと無駄なのである。


「させねえよ」


だが、シモンは笑った。


「させない? 何を言っているのです? あなたの意思は関係ない」


「いや、・・・それに・・・それどころかお前は今から俺の前から消えられなくなる」


「・・・・どういうことです?」


「なぜなら・・・・・・お前は今から俺から目が離せなくなるからだよ!」


シモンの言葉に対して、落下しながらクロニアは無表情にやれやれと首を横に振った。


「・・・くだらない・・・・あなたと私では実力が違う。あなたの螺旋の力は私には及ばない」


既に先ほどの攻防でシモンを見極めたと思っているクロニア。

しかしそれではまだ何も分かっていないのと同じだと、シモンは笑った。


「お前こそ分かっていない。違うのは実力じゃない。使い方だ。お前は螺旋力の本当の力を知らない」


「・・・な・・・・に・・・」


その言葉だけは聞き逃せなかった。

クロニアにとっての螺旋力とは、シモンが現れるまで一族の中でも限られたものにだけしか覚醒できなかった力。

つまりは選ばれた力。

それを誇りと思い、その力を振るってきた。


「聞き捨てなりません。どういうことです?」


少々ムッとしたクロニアに対して、シモンは一年前を思い出す。


「昔・・・今のお前と同じような目で・・・表情で・・・俺を否定した女が居た。絶望に囚われたその女を助けるため・・・いや、証明するために、俺は命を賭けて道を切り開いた。あの時と同じだ。絶望に囚われて閉ざされちまったお前の心に風穴開けてやる。絶対にお前のその顔を笑顔に変えて、俺を分からせてやるさ!」


「な・・・にを・・・・」


「お前が諦めた明日は、俺がこの手で掴んでみせる! それを今から証明してやる!」


かつてアンチスパイラルのメッセンジャーとなったニアは絶望に囚われながらシモンを、人類を、グレンラガンを、そして螺旋力を否定した。

その時のニアと同じような表情でシモンを否定する女が今になって再び現われた。

ならばやることは決まっている。

絶望だとか、あきらめだとか、仕方がないだとか、そんな答えしか導き出せない道などぶち壊して、新たな道を切り開いてみせる。


「見せてやるよ、クロニア。そして教えてやる。螺旋の力・・・その本当の使い方をな!」


シモンは右手で胸元から下げているコアドリルを引き千切った。

それと同時に左手を強く握り締める。その手を再び開くと、その上で小さなドリルが回っていた。


「それは・・・まさか・・・自分の意思で創り出せるというのですか!?」


シモンの掌の上で回転する、シモンが創り出したコアドリル。

今、シモンの両手の中には二つのコアドリルが輝いている。


(ネギの技をヒントに考えた・・・・・・・フェイト・・・本当はお前にぶつけるつもりだった・・・でも・・・・)


その二つのドリルをシモンは・・・


(許してくれ・・・どうしてもこの壁は・・・この力で壊さなくちゃいけないんだ・・・だから少しだけ待っていてくれ! 約束は守る! すぐに、お前の元まで行ってやる!)


ドリルを一つに重ね合わせた。

そのドリルには多くの想いが眠っている。


「いまこそ見せてやる! アレをな!!」


「・・・・アレ?」


「アレって言ったら、決まっている・・・・・」


遥か昔の螺旋族、アンチスパイラル、ロージェノム、そして大グレン団の仲間たち。

その想いが一つになり、大きなドリルがシモンの目の前に形となって現われた。




「合体だァ!!」




シモンが叫ぶ。


その瞬間、シモンの叫びに頷いたかのように、一つになったコアドリルが浮かび上がり、なんとシモンの胸元にねじ込まれた。


「なっ!? の、飲み込んだ!?」


ねじ込まれたドリルから、シモンの体内に螺旋の力が流されていく。

放出されるはずだった螺旋の力をコアドリルという形に固定して、自身の体内に取り込んで力を得る。

ネギの闇の魔法・術式兵装を見たときにシモンがずっと思い描いていた。

そう、これこそがシモンの螺旋の力の使い方。

即ち合体だ。

その叫びは、決してシモン一人の叫びには見えなかった。



「天も次元も突破して!」



幻かもしれない。



「掴んで見せるぜ己の道を!!」



しかしクロニアにはこの時、ハッキリと確かに見えた。

多くの者たちの幻影が、シモンの背後でシモンと同時に叫んでいた。

それは紛れもなく、大グレン団の幻影。


「こんな力・・・私は・・・・知らない・・・あなたは・・・一体・・・」


想いと願い、後悔に希望、過去も未来も全て飲み込んで創り上げた力・・・



「これが・・・・大グレン団の合体!!」



これこそが大グレン団。

そして・・・



「そしてこれが・・・・・・これが天元突破だ!!」



そしてこの想いこそ天を突く力。

人類も世界も宇宙すらも震撼させた大グレン団の天元突破。




「俺たちを誰だと思ってやがる!!!!」




進化した螺旋力により形作られた炎と同化したシモン。

グレン団の象徴である紅いサングラスとグレン団のマントを纏う姿は、正にグレン団の魂そのもの。

シモンは、大グレン団の魂と共に天に向かって叫んだ。



「バカな・・・・螺旋の力を纏うのではなく、自らが螺旋の炎と化すとは・・・これほどの螺旋エネルギーを人一人で制御するなど・・・信じられません・・・」



進化したシモンの姿に当惑するクロニアにシモンが言う。



「俺たちは一分前の俺たちよりも進化する。一回転すれば、ほんの少しだけ前に進む。それがドリルなんだよ!」



揺らいだ心を無理やり御して、クロニアは構わずにシモンに向かう。



「しょ・・・所詮は性質や形態が変わっただけ! 魔法と何も変わりはしません! 仮に体を流動化させて物理攻撃を受け流すようになったとしても、私の螺旋の力を込めた攻撃なら届くはずです!」



精霊化する能力者や、物理攻撃を受け流す者はいくらでもいる。だから恐れることは無い。

しかし恐れることは無くても心はざわつかずにはいられない。

だが、その動揺を振り払い、クロニアは手を掲げる。


「この空間は既に私が支配しています」


掲げた手を振り下ろし、シモンに向ける。するとシモンの体を目に見えぬ何かが抉り取った。


「・・・・透明なドリル・・・・」


「そうです。これが・・・ファントム・スパイラル! 極限まで圧縮された透明な極薄の螺旋をこの空間内に既にいくつも仕掛けました。あなたの動きはもう封じています」


目で確認が出来ないからこそ避ける術は無い。


「後は私の合図と共に全てが一斉に襲い掛かります。目に見えぬ螺旋に風穴をあけられなさい!」


仮に撃ち落そうにも、ソルバーニア一本では防ぎきれない。

攻撃を受け流すにしても、螺旋力を込められた攻撃にノーダメージで居られるほど都合よくは無い。

そしてクロニアがシモンに向けて合図を出し、次の瞬間見えないドリルが闇の中からシモンに襲い掛かってくる。

だが・・・


「舐めんなよ。俺を・・・・いや、俺たちをな!!」


その瞬間、シモンの手からはソルバーニアが消えた。


「武器を消すとは・・・・何を企んでいるのです」


すると丸腰となったシモンの両腕に螺旋の炎が収束し、それがやがて二刀の刀を具現化した。



「マッケン! お前の力を借りるぞ!」



「か、刀!?」



「天元突破モーショーグン! 超銀河ギャラクシー斬り!!」



「な・・・に・・・」



シモンは両手に具現化した剣をその場で我武者羅に振り回し、何と全ての飛んできた攻撃を叩き落した。


「そ、そんな!? 叩き落したというのですか!?」


シモンが具現化したのはただの刀ではない。その刀身にはジェットブースターが付いている。

ブースターから漏れる風が、刀の速度を格段に上げ、目にも見えないほどの連続斬りが目の前で繰り広げられた。

だが、攻撃を防がれたことよりも、クロニアは別のことに驚いていた。

それはシモンがドリルではなく刀を使ったことだ。



(彼は剣術も使えるというのですか!? いえ、・・・しかし・・・あれはただ勢いに任せて振り回しているだけ・・・何も動揺することは無い)



同じ能力を持つもの同士だ。これまでシモンたちが戦ってきた敵よりはシモンのことをクロニアは理解していると思っていた。

しかし、今は違う。

今目の前に居る男の繰り出す力は、クロニアには理解も予想も不可能だった。


「今度はこっちから行くぜ! いくぜ、アイラック!」


シモンが右腕を掲げる。螺旋の炎が右手に集い、やがてそれは巨大な恐竜の口になった。



「天元突破アインザウルス!」



「こ、これは!? 恐竜!?」



シモンの咆哮と共に、巨大な恐竜の口が開き、クロニアを噛み砕こうとする。

右腕が巨大な恐竜の口になった? 

流石にこればかりはクロニアもはじめて見た。

クロニアが恐竜の口に飲み込まれる寸前、何とかクロニアはワープで逃れ、シモンの背後に距離を取る。

だが、シモンは今度は左手に螺旋の炎を宿らせる。そしてその左腕には、螺旋形状の棒が具現化され、シモンはそれをクロニアに向ける。


「次はお前の力だ・・・キッド! 天元突破キッドナックル!」


「何を・・・・・」


だが、ワープで距離を取っていたクロニアとシモンの間合いは開いており、シモンの持つ武器では届きそうに無い。

だが・・・・


「伸びろ!」


シモンが唱えた瞬間、螺旋形状の棒はまるで孫悟空の如意棒のように真っ直ぐに伸び、クロニアの腹部に直撃した。


「なっ!? ・・・がはっ・・・・」


距離があると油断していたクロニアに、これを避ける事は出来なかった。


「超銀河つむじ風ブラザーズ・・・その名を覚えておいてもらうぞ!!」


シモンは右腕の恐竜と左手の螺旋棒を掲げて叫ぶ。


「こ、これは・・・一体どういうことですか? このような武器・・・能力を残していたというのですか?」


思いもよらぬ被弾と痛みによろめくクロニア。

そう、これはシモンがこれまで使ってきたグレンラガンの技ではない。

ロージェノムでもニアの力でもない。

マッケン、キッド、アイラック、頼もしき友の力だ。


「こいつらだけじゃない。今の俺はグレン団全員の想いを背負っている!」


彼らだけではない。

今のシモンは・・・・



「これが天元突破。たった一人では生み出せない、明日へと続く道を掘る力だ!」



全ての仲間たちの力を使える。



「見えるかクロニア! 俺たち大グレン団の魂が! この想いを背負って戦うこの俺に、テメエはどのツラ下げて否定する!」



クロニアは答えない。いや、答えられない。



「この姿こそ俺たちの覚悟! そして決意の象徴だ! 何度でも言う! 俺たちを誰だと思ってやがる!」



認めたくは無い。

幻術も何も使っていないが、これは目の錯覚だ。

シモンの背後に、シモンと同じように力強く叫ぶ者たちの姿が見えるなど、目の錯覚だとクロニアは自分に言い聞かせる。

だが、これは幻術ではない。夢でもない。



「フェイトが待っている。いつまでもグズグズしていられない。だから、さっさと決着を付けてやるぜ!」



クロニアにとって、これまでの自身の存在証明ともいうべきものだった螺旋の力。

その力の更なる先を、今その目に、記憶に、心に刻み込む。

クロニアは今日を忘れない。

何故なら今目の前で輝くシモン。この男の進化した力の渦は更に大きくなり、いつの日か世界のうねりのど真ん中で渦巻くのだから。
最終更新:2011年05月13日 21:31
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