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122-過去も未来も一気にぶち抜け!!

第百二十二話 過去も未来も一気にぶち抜け!! 投稿者:兄貴 投稿日:10/10/21-22:10 No.4412
天を突くほどの魂の波動。

かつて銀河の運命に風穴を空けた無法者たちの叫びが、今この異なる銀河に存在する魔法世界に響き渡っていた。

その姿をその瞳に収めることが出来た者は極少数。

だがその姿を見ることができたものたちの心は、かつてないほど心動かされていた。


「天元突破・・・か・・・やってくれるね、シモン」


映像に映る螺旋の炎と化したシモンの姿に、口元に僅かな笑みを浮かべ、握りしめた拳には汗が出た。

それほどまでに今のフェイトは高ぶっていた。


「ひははは、嫉妬しているかと思えば、そうでもないみたいだな?」


態度があからさまなフェイトに茶々を入れるユウサ。


「嫉妬? 僕が、誰にだい?」


「クロニアちゃんにだよ。シモン君が・・・浮気している恋人が、自分の知らない一面を浮気相手に見せている。そんな感じじゃねえのかい?」


言われてフェイトは少し考えた。

嫉妬、確かにそういう気持ちもあるのかもしれない。

自分の存在証明と世界の運命を賭けた戦い。ネギもシモンも自惚れで無く自分と戦うためにここに来たのだ。

だが、そのシモンはフェイトに会いに来ていながら、今はまったく違う相手に対して内に秘めた力を完全に開放し、シモン特有の気合を叫んでいるのだ。

少し面白くないという気持ちも無くは無かった。


「てて・・・・天元突破・・・・かっ・・・かっこ・・・いいにゃ~」


暦が子供のように画面に映るシモンに胸を高鳴らせていた。


「グ、グレンラガンではないけど・・・・確かにあれもまたあのグレン団の証し・・・・・」


「私も目に見えなくとも感じます。この・・・力強く、熱き想い」


焔も調も、まるで子供がテレビで戦隊物のヒーローが登場した場面を見ているかのように、ワクワクとした表情を見せている。

その光景は異様だった。

世界滅亡を企む悪の組織の大幹部たちが、揃いも揃って敵の男の姿に胸を高鳴らせているのだ。

最早誤魔化せない。フェイトも間違いなく高揚しているだろう。

だからこそ、彼はたまには素直になることにした。

どうせこれで最後なのだ。

明確で、そして自分の全てをなげうってでなければ倒せない敵の存在は、こうも生き甲斐を感じさせてくれるのだと、フェイトはその場から動きだした。


「どこ行くんだい?」


この場から去ろうとするフェイトに、ユウサが尋ねる。


「待っていると言ったけど・・・・やはり待ちきれなくなった。僕は迎えに行くことにしたよ」


気の所為か、フェイトがうれしそうにしているように見えた。


「迎えにか・・・・・・・どっちをだい?」


どちらに。

それは二手に分かれてしまったネギとシモンのどちらに行くのかということだろう。

クロニアと戦うネギ。

そしてネギもまた、ザジ姉を他の仲間たちが請け負って先へと進んでいる。


「そうだね・・・・・・それじゃあまずは・・・・・・・」


フェイトがまず先に選んだ相手。

それは・・・・・・


「お、お待ちくださいフェイト様!?」


「ん? どうしたんだい、暦くん」


胸高鳴らせてこの場を離れようとするフェイトを慌てて暦が止めた。


「侵入者たちはどうすればいいでしょうか? その・・・ネギ・スプリングフィールドにしろシモンにしろ・・・・私たちだけでは・・・その~」


非常に言いにくそうにモジモジする暦。みなまで言わなくても理解できた。

確かにデュナミスや月詠のような主力級の戦士が未だ外で戦っている以上、暦、環、焔、調の四人だけでは厳しいだろう。

デュナミスの召喚魔が宮殿内に何千体も常備されているとはいえ、ネギたちの実力自体は桁外れ。

ましてや暦と環に関しては一度シモンや瀬田と戦いトラウマになっている。

白き翼と新生大グレン団の猛攻を食い止める力は正直ないだろう。


「・・・・・・・・ひはは・・・手え・・・貸してやろうか?」


ユウサがニタニタしながらフェイトに告げる。


「結構だ」


しかしフェイトは間髪居れずに拒否をした。いかに戦力不足とはいえ、大事な部下とこの男を一緒にだけはさせたくない。

フェイトはその申し出だけはアッサリと断った。

だが・・・


「くはははは、安心しろい。俺が出るわけじゃねえ。つうか俺はそろそろ危ねえからまた逃げさせてもらうだけさ」


「じゃあ、どうするというんだい?」


「駒を一匹くれてやる。その代わり事が済むまでは宮殿内をウロウロさせてもらうがな~」


「駒?」


ユウサ自らが出張るのではない。手駒をくれてやると言っているのである。

正直ユウサの言葉だけはフェイトも聞きたくなかった。だが、どうしても達成しなければならない目的があるにもかかわらず、戦力が無いのも事実。

ユウサもそれが分かっているのか、フェイトの少し悩む姿にニタニタしていた。


「フェ、フェイト様、私たちなら大丈夫です! 暦もいつまで引きずっている!」


「でも焔ァ~~、あいつら本当に酷いんだよ~!? 環もそう思うでしょ?」


「アレは確かにイカンです」


戦いを前にして揉めるフェイトの部下たち。

ギャーギャー、ニャーニャー言い合うその姿にフェイトはやれやれとため息をつきながら、仕方なくユウサの話を聞く。


「手駒とは?」


「ひはははは、テメエも知ってる奴さ」


「何?」


ユウサは指を軽く噛み、血を出して印を結ぶ。

印を結んだ手を床に置き、術を唱える。



「口寄せの術!!」



術の効果により煙が少々舞い上がる。そしてその煙が納まる中、フェイトはそこに居た人物に表情が変わった。


「あなたは・・・・」


そこに居たのは拘束具で目を、口を、全身を縛られている一人の女だった。


「ユウサ・・・貴様どういうことだ・・・・・・それに彼女は牢獄に居たはずでは?」


フェイトがユウサを睨む。期待通りの反応を見て、ユウサはケラケラ笑った。


「ひはははは、ありゃあフェイクだ。紙型の人形だ。東洋呪術では基本だぜ? まあ、この俺様が使えば本物そっくりだからあんま見分けは付かないんだよ」


「・・・・あなたと彼女は繋がっていたのか?」


「ひはは、まあこいつはヘマして捕まったちまったがな~。俺の情報だけはバラされたくないから牢獄から連れ出して、お仕置きの地獄を見せてやっていた。秘術・生き地獄をな」


「生き地獄?」


「ああ・・・俺の使う力の一つさ。対象者を時間や空間、質量などあらゆる物理的要因を支配する精神世界へと引きずり込み、終わり無き地獄を体験させる幻術さ。しかもただの幻術とは違い、五感や痛覚をも錯覚させ、実際に体験していると思わせる。精神世界において対象者はどれほどの苦痛を受けても死ぬことも気を失うことも出来ずに生きたまま苦しみを味わう・・・ひははははははは」


聞いているだけで暦たちはゾクリとした。

この男はどこまでも残虐に、どこまでも残酷に、どこまでも非道なことを出来るのだと、震えが止まらなかった。


「幻術が解ければその後はほとんどの者は発狂死する。しかしこの女は生き延びた。少々頭がイカれたかも知れねえが、今じゃあちっとはマシな精神力を持っていると思うぜ!」


そう言ってユウサは召喚した女に近づき、あろう事か蹴り飛ばした。


「なっ!? ひ、酷い!」


「き、貴様・・・・何をしている!?」


同じ女性としてユウサの行為に黙っていられなかった暦たちが叫ぶ。

無理も無い。身動き取れず、目も口も一切封じられている状態で女が蹴られたのだ。正直反吐が出る。


「ひははは、怒んな怒んな。とりあえずこの女をテメエらに貸してやる。まあ、それなりには働くと思うぜ? 少し前までは雑魚もいいところだったが、今は見所がある」


非難を気にせずユウサはゆっくりと蹴飛ばした女へ歩み寄り、女の髪を無理やり掴んで起こした。



「なあ、カス女。テメエは女としても術士としても花咲くことなかった。さらにせっかくこの俺がスクナの封印の解き方を教えてやったのに、幼稚なガキどもに無様に負けて台無しにした。本来なら万回の苦痛を味合わせて死なせてやるところだったが、チャンスをくれてやる。ここで俺を満足させる働きを見せたら、この俺が作る新時代に連れて行ってやるぜ?」



女は何も発しない。身じろぎ一つせず、ただ首を小さく縦に振った。



「いい覚悟だ。さあ、地獄を見てきたテメエの苦しみを・・・・・・・奴らにぶつけてやりな!」



ユウサがパチンと指を鳴らした瞬間、女を封じていた拘束具が全て剥がされた。


拘束から解き放たれ自由になった両手足の感覚を確かめるように女は軽く確認する。


そしてゆっくりと地獄の底から蘇り、闇に染まりきったその瞳を開く。


ユウサが天然の地獄なら、この女は培養された地獄。


作られた狂気の力が、今こそ解き放たれるのであった。












「ガアアアアアア! バカ野郎この野郎!いい加減にくたばりやがれエエエ!!」


一撃殴るごとに巨大な爆音が響き渡る。

普通、打撃戦においては相手の動きを予想したり、相手の隙や攻撃ポイントを見極めて戦うものだ。

しかしチコ☆タンはしない。相手がどう動こうと、攻撃ポイントがどこだろうが知ったことではない。

子供の喧嘩のように我武者羅に振り回す拳、しかしその一撃一撃は確実に化物に傷を刻み込んでいた。


「ゴアアアアアアア!!」


「ゴアアアアっじゃねえっ! この・・・クソトカゲがァ!!」


相手は八つの頭がある巨大な竜。最初はチコ☆タンの攻撃を跳ね返し、大ダメージを与えたほどの力がある。

しかし今はどうだ? 鳴り止むことの無い爆撃が、確実に大竜の肉体に深刻なダメージを与えている。

そして・・・・


「引き・・・千切れやがれええええ!!」


無我夢中で大竜の八つの首の一つにチコ☆タンはしがみ付き、その首を強引な力任せに・・・・・


「ひっ・・・」


「引き千切ったアアアアアア!!」


見ているものも唖然となるほどの滅茶苦茶な戦い。


「あ、あの化物・・・・」


「ああ、・・・・敵じゃなくて良かったね」


恐ろしいような頼もしいような複雑な感情でチコ☆タンを戦士たちは眺めていた。

そしてチコ☆タンの猛攻は止まらない。

七つになった大竜の頭を手当たり次第にボコボコにしていく。もはや爆弾の弾数に限りなど無い。

その鋼のような拳、大木のように太い腕、そしてミサイルのような強烈な一撃が、大竜の顔面を吹き飛ばす。

顔を、首を、羽を、腕を、足を、胴体を、形ある限り飽きることなく痛めつけるチコ☆タンの蹂躙は鳴り止むことは無い。

そして・・・・


「ゴア・・・ガ・・・・・アアア」


「死ねやアアアアアアアア!!」


最早見る影も無くした巨大な化物。その化物の開かれた口の中にチコ☆タンは自ら飛び込んだ。

そして口から首を伝わり胴体へと体内を駆け巡り、中から一気に大爆発を起こした。



「超魔爆炎覇ァァァ!!」



手のひらの上で爆竹を爆発させても、手のひらに火傷を負うだけ。しかし爆竹を手の中に埋め込んで爆発させると、手は飛び散るだろう。

それと同じ要領。チコ☆タンは大竜の体内に侵入し、そこから一気に大爆発を起こして大竜を木っ端微塵にバラバラの肉片へと変えたのだった。



「ガアハハハハハハハハハハハハハ!! この俺様の逆鱗に触れた報いだァァァ!!」



戦場に響き渡る魔人の高笑い。

この魔人が実は味方であるというのが、何とも複雑な感じだった。


「はは・・・流石チコ☆タンだ・・・ナギが手を焼いただけはある」


古くからチコ☆タンを知るタカミチは、昔から変わらぬ化物に苦笑せざるを得なかった。

かつて紅き翼の敵だった魔人と一緒に共通の敵と戦っているのだ。不思議な縁を感じずにはいられなかった。


「僕も負けていられないな」


かつては喧嘩相手だったが、今では喧嘩仲間だ。妙な対抗心が生まれ、タカミチも負けじと重い拳を振り上げた。


「ガトウ・カグラ・ヴァンデンバーグ直伝・・・千条閃鏃無音拳!!」


振り上げ振りぬいた拳を視界に納めることは不可能。ただ極太のレーザー砲のような打撃が幾重にも放たれ、並み居る巨大召喚魔たちを切り裂いていく。


「おおおお! タカミチ氏も負けてねえ!」


「流石だぜ! おいおいおいおい、俺たちも負けてられねえぞ!!」


「化物どもを殲滅しろォ!!」


タカミチとチコ☆タン。

二人が与えた強烈なインパクトは、戦場の戦士たちを鼓舞するのには十分な効力があった。


「人間の数が少なすぎる・・・・タカミチとチコ☆タンだけで戦況をひっくり返すのは難しいが・・・・しかしこれなら耐えられる!」


圧倒的戦力差と敵の能力に一度は臆しそうになったクルトだが、その瞳に光が漲ってきた。


「どこを・・・・どこを見とるんですえッ!!」


「むっ!?」


「神鳴流・黒刀斬岩剣!!」


妖刀によって魔に飲み込まれた月詠が振るう黒刀。

その一撃の重さは、かつて紅き翼であったクルトですら表情を変える威力を秘めていた。


「お、重い!?」


決して支えきることの出来ないほどの威力に、クルトは地に足がめり込み岩島が砕け散る。


「ふふふふふふ、アンタもどういうわけか神鳴流を齧っとるようですが、技のキレが違いますえ!!」


たった一刀の妖刀が人をここまで変え、強化させてしまうものなのか。

魔に飲み込まれるというのは、それほどの力を与えてしまうのか。

ただ、現実に月詠の剣は力だけでクルトをねじ伏せた。



「くく・・・ふはははははははははははは!! 大したことありませんなァ! やはりウチを満足させてくれるんは先輩だけですな!! アア、先輩! 先輩! 待っててくださいな! 今すぐそちらに向かいますえ! あの憎たらしい螺旋の男をバラバラに切り刻んだ後、その血まみれになった腕で先輩を抱きしめ、その髪の毛一本から血の一滴に至るまでウチのモノにしてみせますえ!!」



狂っている。

見るに耐えないほどの狂った声が木霊した。


「このイカレ娘がァ!!」


「あなたをこれ以上好きにはさせないわ!」


見るだけでも薄気味悪い月詠に対し、ディーネが鞭で月詠をぐるぐる巻きにして動きを封じ、その隙をセラスが魔法で撃ちぬく。

かつては肩を並べてアリアドネーで過ごした二人。二十年ぶりではあったが、自然と二人は連携で敵に立ち向かった。

だが、かつての歴戦の戦士たちをも凌ぐ月詠の凶行は想像を遥かに上回るものであった。



「魔法の射手・連弾・雷の17矢(サギタ・マギカ・セリエス・フルグラリース)!!」



「ハアアアアアアアアアア!」



「なっ、拘束を破りやがった!?」



迫り来るセラスの魔法に対し、月詠は力ずくで自身を縛る鞭を引き千切り、素早く剣を構えて直線状に居るセラスとディーネに向けて迫り来る魔法ごと切り裂いていく。



「一瞬千激・弐刀黒刀五月雨斬り!!」



闇と魔で増幅された力も速度も桁違い。

とっさの魔力の障壁で直撃は避けるものの、その剣は確実にセラスとディーネの肉体に鋭い傷を刻み込み、二人の女の鮮血が飛び散った。



「ひは・・・くはははははははははは! 中々綺麗な血ですァ! やはり刻むんやったら女が一番ですなァ! だがあんた達は少し年齢が行き過ぎ取るから・・・・もう別に構いまへん。さっさと死んでもらいますえ!」



月詠は二人に止めを刺すべく刃を振り上げる。だが、まだ終わりではない。


「断罪の焔(コンデム・ブレイズ)!!」


「ぬう!?」


ミルフが割って入った。


「ぬう・・・獣にも雄にも興味は無いんですがなァ!! そんなに刻まれたいんですかえ!?」


「人の半分も生きとらん小娘に、興味を持たれてもうれしくないわァ!!」


魔に飲み込まれた月詠の力は確かに圧倒的だ。

正直一対一の戦いなら、かつての英雄たちにも匹敵するほどの潜在能力が秘められているかもしれない。

しかし・・・



「斬魔剣・弐の太刀・百花繚乱!!」



「なっ!?」



「神鳴流は魔を調伏する剣! 断じて飲み込まれるものではない!」



こうして歴戦の戦士たちが集いその力を合わせても敵わないほど、かつての伝説も安くは無い。


「総督殿!」


「ふっ、あれしきでやられると思いましたか?」


魔を切り裂くクルトの剣は、魔に飲み込まれた月詠にはうってつけの技だった。

刻まれた傷は痛みを増し、月詠のどす黒い血が滴り落ちる。

流れる自身の血をジッと見つめ、何を思ったのか月詠はその血を舐め取った。


「ふ・・・ふふふ・・・ふはははははははははははははははは!」


痛みに苦悶の表情を浮かべるどころか、返って高揚させた。



「いいですなァ! 血と強者! ここは望むものに満たされている! さあ、さあ! とことんウチが飽きるまでイカせてもらいまひょう!!」



ズレたメガネを掛けなおし、クルトは悦に入る月詠に神経を集中させる。

ミルフも。

そして・・・


「ちっ、容赦ないじゃないかい・・・小娘ェ・・・にしても・・・誰が年寄りだって?」


「まだまだ私たちはピチピチギャルというものよ・・・・」


「いえ・・・それ多分もう死語だと・・・」


服が破れ、肌が何箇所も切り裂かれようとも、セラスとディーネは立ち上がる。

クルト、ミルフ、セラス、ディーネ、今正に命を賭けてこの場に集っていた。


「重力100倍!!」


「ぬううううううううう!?」


「圧死せよ!」


「ふはははは、何という重力地獄! あまりの重力変化に空間が歪んでいるぞ! だが・・・私が空間を転移できることを忘れたかァ!!」


アムグの重力魔法から影の中に消え、デュナミスの姿が見えなくなった。


「ぬう!? 相も変わらず逃げ続けるか・・・・」


「クケエエ!! この臆病者めェ!! 20年も逃げ続けて、尚まだ逃げるか!」


「へっ、この腰抜けやろうがァ!」


「少しはネギたちを見習うべきじゃ!」


アムグに続いてマンドラ、リカード、テオドラは容赦なくデュナミスを罵倒する。

するとその罵倒が意外に堪えたのか・・・


「誰が腰抜けだ! これも作戦の内と何故気づかぬ!!」


「出て来たぞい! 皆の衆、集中攻撃じゃ!!」


「き、貴様らァァァ!! 卑怯だぞ! 私を悪の幹部と呼ぶくらいなら正義の誇りぐらい見せぬかァ!!」


「死んだ振りして20年も逃げ続けた男に言われたかねえよ!!」


姿を再び見せたデュナミスに対してテオドラの合図で集中砲火の開始だ。

アムグ、マンドラはもとより、とっくに引退した身であるリカードも果敢に攻めていく。

そう、誰もが戦っているのである。

過去でも今でも、世界の命運に立ち会ったときは皆命を賭けているのである。

全ては明日を掴むため。

明日を賭けた戦いの終わりはまだ先であった。













「しっかしま~、敵を蹴散らして真っ直ぐ突撃とは言ったものの・・・・・私たちの出番まったくないじゃーーーーん!!」


美空はまるで仲間たちの思いを代弁しているかのごとくに叫んだ。


「ネギ君、マジで何なのさァ!! コレも! ソレも! アレも! み~~~んな一人で片付けちまったじゃん!!」


美空は自分たちが通ってきた道のあちら此方を指差した。

そこには最早死屍累々の敵召喚魔の屍の山が築き上げられていた。


「確かに凄まじいですね」


「ウム、ネギ坊主一人でここまで来てしまったでござる」


刹那も楓も呆気に取られていた。

そう、チームが二手に分かれて現在のこの場所にたどり着くまで、何百何千という巨大召喚魔たちが立ちふさがった。

ネギ率いる白き翼に、美空やシャークティー率いる新生大グレン団の面々は、敵戦力を恐れることなく、敵本陣へ向けて一気に駆ける心積もりだったのだが、結局ふたを開けてみれば先頭を走るネギの独り舞台で、並み居る敵をたった一人で蹴散らしたのである。


「うおお~~、何つうか楽だし構わねえが、こ~、振り上げた拳が下ろせねえというのもな~」


「流石子供先生というところだね」


気合入れて後ろを追いかけた豪徳寺たちだが、走るだけで精一杯で結局一体の敵とも戦うことなくここまで来れてしまった。

もはや恐るべしと言ったところである。


「あ~、すみません。シモンさんたちが今頃凄いことをしているんだろうな~って思うと、どうしても力が入ってしまって」


見せ場を全部奪われた美空たちに苦笑しながらネギは言う。


「まあ、良いことです。それにネギ先生も戦いながら強くなっているようで・・・」


シャークティーの言葉に刹那たちも頷いた。


「ええ・・・私たちも感じました。あれだけの敵と戦っているのに、ネギ先生の魔力が減るというよりも、むしろ増えているように感じます」


「・・・闇の魔法とやらの影響でござるな」


戦えば戦うほど闇の魔法に体が馴染み、魔力容量が増大している。

魔力容量とは魔力のタンクのようなもの。その器が大きければ大きいほど、巨大な魔力を要することが出来る。

もっともそれには精神力の強化と術の効率化を伴わなければならないが、今のところ目に見える副作用は無い。

ただのパワーアップと喜んでいい段階だろう。


「しかしそれも限度があります。本当に大丈夫ですか?」


闇の魔法にはリスクが伴うことなど周知の事実。シャークティーがネギの体調を気にかけ尋ねるが、ネギは不安な表情を一切浮かべずに頷いた。



「大丈夫です!」



たったそれだけでも安堵できる。

不思議なものだ。ネギが大丈夫だというと、たとえ強がりだろうと大丈夫だと思えてきた。

ならばこれ以上は聞かない。シャークティーもネギの言葉に納得した。

そうだ、大丈夫だ。今はその言葉を信じて先へ行こう。


「ハカセさんやハルナさんたちは大丈夫でしょうか・・・」


「エンキさん・・・そして何より気合の入りまくっている茶々丸さんも居ます。恐らく心配要らないでしょう」


こうなると少し気になるのは分かれた仲間たち。

壊れた飛行船の修理と脱出路の確保のためにハルナとハカセに高音やコレットたちは残り、護衛としてエンキや茶々丸まで居る。


「小太郎君たちは・・・」


「瀬田さんたちも居ます。尚更大丈夫だと思いますよ」


たとえパーティーを分けても信頼できる仲間たちが居る。何も不安なことはないと皆がそう信じていた。

ネギたちのその精神力は大人のシャークティーでも脱帽だった。

10代の若者が、見事に成長したものだとうれしくなった。

だが・・・・



「では行きましょう、皆さん。全てを救いに」



仲間たちを鼓舞するように告げる。ネギの言葉に皆が頷こうとした、その時だった!




―――ッ!?



「ネギ先生!?」
最終更新:2011年05月13日 21:34
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