アットウィキロゴ

123-3

血に染まる小太郎は、辛うじてその腕をユウサの首まで伸ばそうとする。


だが次の瞬間、体内を貫いたユウサの腕が四方八方に棘を伸ばし、その棘が小太郎の胴体からあらゆる方向へと貫いた。



「針山大地獄!!」



体の内側から来る爆発のような衝撃は、口から血を、目から、耳から、体中の至る所から血となって流れた。


そしてユウサは満面の笑みを浮かべ、もう一方の鬼の腕で、これまでの鬱憤を全て晴らすかのように渾身の拳で小太郎を吹っ飛ばした。



「ひはははははははははははは、鬼殴り!!」



たった一瞬の隙が全てを覆す。

スピードやパワーでも魔力でも、全てが上回ろうとも100パーセント勝てる保証などない、それが戦いであり、殺し合いだ。

ほんの僅かな隙が、血だらけで立つユウサと、血だらけで倒れる小太郎を分けた。



「ふふふ、ひははははは、中々強かったぜ。俺がこれまで戦ってきた妖怪の中では紛れも無くトップクラスだ」



倒れた小太郎を讃えるが、微塵も敬ってはいない。



「だが、所詮は経験よ! 所詮は半端な甘さが、一生後悔してもし切れない差を生み出すんだよ! 俺のように後悔しない己のためだけに生きる奴に、勝てる道理はねえのさ!」



高らかに笑い、小太郎の頭を踏みつけ、これでもかと言葉を吐き捨て、侮辱する。


敬意もクソもあったものではない。


どれほどの善戦をしようとも、屍となれば興味は失せる。


「さあて・・・・ひははは・・・いよいよお楽しみの時間だ」


ユウサは、一頻り笑い終えた後、夏美たちが逃げた方向へ体を向け、興味をそちらに移そうとする。


「泣き叫ぶ現代の中学生・・・・どんな姿を見せてくれるかね~」


これから始まる行為を想像して興奮しているのか、口元を舌で舐め、指をワキワキとさせ、さあ、行くかと足を動かそうとした、その時だった。




「後悔し切れないやと?」




「何?」




自分の足首を捕まれた。

振り向くと小太郎が這い蹲りながらも、ユウサの足を掴んでいた。

そしてゆっくりと顔を上げる。




「俺は後悔してへんで。大事なもんは死んでも守る。夏美姉ちゃんに、ネギに、そして俺自身が誓った言葉や」




血だらけで、死に掛けに一見見えるかもしれない。


しかしその笑みと瞳は、濁りなく真っ直ぐだった。



「テメエ・・・生きて・・・・・・そうか・・・獣の・・・野生の血か。確かに獣の生命力と自己治癒力は人間の比じゃねえな」



小太郎は生きていた。

それにユウサの足を掴む手にも力が篭っている。

流石のユウサもこれには目を丸くせざるを得ない。

だが・・・



「だが・・・そこから何が出来るんだい? 大人しく死んだ振りでもしとけば生き永らえられたものを」



ユウサは中腰になり、小太郎を小馬鹿にするように頭をペシペシ叩く。

だが、小太郎は変わらず笑い続ける。



「笑わすんやない。俺が死ぬときは、自分より強い奴に喰われた時だけや。俺はまだ喰われてへんで?」



「ふん・・・・大口だね~」



もはや強がりだろう。

仮にまだ力が残っていたとしても、もうこの状況は覆らない。

仮にユウサ自身がどれほど傷ついていようとも、ユウサの長年の経験が今の小太郎には力がないと確信していた。

その証拠に感卦法による超獣進化も解けている。

ならば状況は変わらない。

そして・・・



「だがまあ、手負いの獣ってのも厄介そうだからな。そこまで言うならとっととテメエの命を喰らってやるよ。あの女の子たちのことは俺に任せな」



とどめの一撃を刺すために振りかぶり、そして絶望の言葉を投げ捨てるユウサ。

だが、小太郎の笑みは変わらない。



「へへ、出来るもんならな。それに姉ちゃんたちはお前が思っとるほど、ヤワやない」



「あん?」



何かを隠している目。いや、何かを待っているような目だ。



(何だ・・・・・・・何を企んで・・・・・ッ!?)



そしてその一瞬の迷いがユウサの手を止め、そして何かを察知した。


それは自分に向かって走って誰かが向かってくる気配だ。


援軍か?


だが、間違いなく自分に恐れず飛び掛ってくる気配を感じ取った。


ユウサは舌打ちしてその向かってくるものを撃墜しようと振り返る。


だが、一瞬手が止まってしまった。




「・・・・・・・・・・・・へっ?」




それは振り返ったユウサの目の前に・・・・




「・・・・・・・・ぱんつ?」




白いパンツが飛び込んできたからだった。





「うりゃああああああああああああ、アーニャ・フレイム・バスターキーーーーーック!!」





「ぶほおおおッ!?」





飛び込んできた白いパンツに一瞬気を取られている隙に、炎を纏った飛び蹴りをモロに喰らってしまい、溜まずユウサは声を出してしまった。



「ぐ、ぐおお・・・まさか俺が幼女のパンツに気を取られるとは・・・・」



痛む顔面を押さえながら、自分に勇猛果敢に飛び掛ってきた少女を見上げる。


すると彼女は、両手を腰に置き、相手が誰だか知らないのか、実に高らかに、そして堂々としてそこに立っていた。



「コタロから離れなさいよ、この変態!!」



「ああん? 俺は変態じゃねえ・・・変人だ・・・しかしテメエ・・・誰だ?」



小太郎の窮地を救ったのは、フェイトたちに囚われていたアーニャだった。



「ったく、・・・相変わらずやな・・・・・アーニャの嬢ちゃん」



彼女は以前とまったく変わらぬ元気と勇ましさで、この緊迫した状況をぶち壊した。


ユウサが不快そうにアーニャを睨むと・・・



「「捕縛結界弾(グロブス・カブタンス)!!」」



「ぐっ!? テメエらまでかい!」



夕映とベアトリクスが遠距離から結界弾を放ってきた。


捕縛用の弾丸を大剣から放出し、ユウサを捕縛しようというのだ。


アーニャと同様に、一度小太郎によって逃がされた彼女たちが、こうして再び現われたのだ。



「逃げてりゃいいものを、こんなクソ結界じゃあ、1秒ぐらいしか俺を足止めできねえさ!!」



二重の結界弾に捕縛されそうになったユウサだが、ユウサは素手で軽々と結界を破った。


そして結界から自由の身となり、少女たちを怖がらせるような笑みを浮かべる。


だが、夕映もベアトリクスも、体を震わせるも、精一杯に睨み返す。


何故なら彼女たちには、仲間がまだ居るからだ。



「特殊光学系結界兵器メルカパ君!!」



「ガトリング一斉射撃です!!」



「!?」



凝縮されたエネルギーが、細いレーザー砲のようなものになり、束になってユウサに向けて放出される。


それと同時に魔法弾がマシンガンに装填されて、大量に射出される。


さよとサラだ。



「こ、この・・・どいつもこいつも・・・」



そうだ、彼女たちは戻ってきたのだ。


小太郎に逃がされた彼女たちは、当初の目的である人質を救出した後、小太郎の援護に戻ってきたのだ。


応急処置を済ませた瀬田とハルカは気絶したままだが、夕映たちの後方で朝倉が解放している。



「どうでい! 俺たちに仲間を見捨てる奴らは一人もいねんだよッ!」



カモが叫ぶ。



「へへ、小太郎君。お待たせ!」



朝倉が笑う。


そうだ、小太郎はこれに気づいていたのだ。だから笑ったのだ。


命を惜しまぬ勇ましさで、自分のためにこうして駆けつけてくれる仲間の気配に気づいていたのだ。


いや、彼女たちとて怖くないわけではない。



「確かにあなたは怖いです。でも・・・・でも・・・・・」



夕映も・・・



「あのまま逃げちまう方が私たちは怖かった!」



サラも・・・



「だから戻ってきました! それが我々の覚悟です!」



ベアトリクスも・・・



「世界を救うんです! 仲間も助けられないようで、世界なんか救えません!」



さよも・・・



「分かった? この変人変態男! ぶっとばしてやるんだからね!」



アーニャも・・・


こういう時こそ叫ぶのだ。


恐れと不安を全て吹き飛ばす、あの言葉を叫ぶのだ。




「「「「「私たちを誰だと思ってやがる!!!!」」」」」




その合言葉のような言葉が、自分たちを奮い立たせ、力を与えてくれるのだった。



「図に乗りやがって、全員処女の分際で背伸びしてんじゃねえ!!」



ユウサはその奮い立った彼女たちの輝きをぶち壊すかのように、前へと出る。


そして蹲る小太郎の首を掴んだ。



「ま、まずいです!?」



夕映の言葉に反応して皆が前へ出ようとするが、ユウサが手で皆を制す。



「惚れた男でもねえのに、そこまで命を賭けるとは上等だ。だったらまず、お前たちが命懸けで助けたいこの犬から殺してやる!」



「こ、コタロッ!?」



「ひははははははははははは!!」



再び絶望と恐怖に彼女たちを落とす為、ユウサは何のためらいも無く小太郎の首をへし折ろうとする。


だが、その時頭の中に違和感が出てきた。




(ん・・・・・待てよ・・・・・)




小太郎を殺そうとした瞬間、ハッとなった。


自分が今言った、「惚れた男でもないのに・・・」という言葉。


こういう時、先ほどまで一番叫んでいた少女は誰だったか。


夕映やアーニャたちも叫んでいるが、彼女たちの叫びとは少し違う。


まるで愛する男が傷つくのを耐えられないような叫び。




(何故あの女の叫びが聞こえて来ない?)




そしてもう一つ。サラだ。


サラのメカタマとは以前一度戦ったことがある。自分がその時も圧倒したが、もっと強かったような気がした。


それは何故か? ただのメカに、ブータが力を貸すことにより螺旋力が満ち、何倍もの力を得ることが出来たからだ。



(さっきの攻撃・・・・・・螺旋力・・・・・・・・・篭っていたか?)



一度気になれば、疑念は大きくなる。


だが、もはやユウサの手は止まらない。


鈍い音を響かせて、小太郎の首をへし折れ、小太郎の首がダランとありえない方向に曲がった。


だが、その瞬間小太郎の体は、煙に包まれて消滅した。



「ちぃッ!?」



ユウサの顔色が変わる。



「影分身か!?」



小太郎かと思って殺そうとしたが、それは本体ではない。


影分身だった。




(さっきのあのガキ共との攻防の隙に、本物は影分身と入れ替わっていやがった!? なら、本物はどこだ!? どこに消えやがっ・・・・・・・)




それは正に一瞬の出来事だった。


ユウサの左胸が貫かれた。


自身を貫いた腕を見ると、それは紛れも無く小太郎の腕。




「そ、そういうことか・・・・・・・・・・」




そして小太郎に触れられたからこそ分かる。


小太郎に抱きついている夏美。


そうだ、そういうことなのだ。




「あの女どもの攻撃は囮・・・その隙に嬢ちゃんのアーティファクトで小太郎君に近づき、本物と影分身を入れ替えた・・・・・そして俺が隙を作るまで姿を消して隠れていた・・・・か・・・・・・」




夏美のアーティファクトを一度は見破ったユウサだが、乱戦の最中に使われれば、流石に見破ることは出来なかったのだ。


ユウサに決定打を与えた小太郎はニヤリと笑った。




「俺が半端もんで経験も足りんのやったら・・・・・・・・仲間と気合で補ったる」




小太郎はしがみ付いている夏美を離す。


小太郎から離れた夏美は全ての力を使いきったかのように、腰を抜かして座り込んでしまった。



「こ、小太郎君・・・・もも、・・・もう・・・大・・・だだだ・・・い・・・丈夫?」



「ああ、夏美姉ちゃんの想い・・・感謝するで」



泣き出しそうな夏美に傷だらけの顔で精一杯微笑む小太郎。



「でもホンマにアホやな夏美姉ちゃん。無茶しすぎや」



「だって・・・・・らって・・・・らって・・・うう」



「ああ、もう泣かんでええ。夏美姉ちゃんの想いは痛いほど分かっとるから」



そうだ、いかに夏美のアーティファクトが高性能とはいえ、生身で、しかも一度見破られた相手の前を通るのには物凄い消耗と緊張だった。


普通では出来ない。


だからこそ、小太郎は夏美のその想いを十二分に噛み締めたのだ。



「へっ、だが・・・・テメエの残り少ない魔力と気で何が・・・・出来る・・・・」



貫かれた状態のまま、ユウサは笑う。


ここからとどめの一撃を食らわせるほど、もう小太郎に力は残っていないと思っているからだ。


だが・・・




「残念やったな・・・・夏美姉ちゃんは一人で俺んところまでたどり着いたわけやない。こいつが一緒やったんや」



まだ残っているものがある。


そしてそれが、ユウサの感じた最後の違和感の答え。



「ぶみゅうううううううううううう!!!!」



「なァッ!? そいつは!?」



ブータだ。


ブータが小太郎の肩に乗っていた。


大きく鳴き、そしてシモンにも負けぬ膨大な螺旋力を放出し、緑色の光を放っていた。


その力が小太郎に流れていく。



「人類・・・いや、シモンの兄ちゃんの言葉を使うなら、宇宙史上初の試みやろな・・・魔力と気・・・そして螺旋の力の合体は・・・・」



「ッ!?」



科学と螺旋力。


魔法と螺旋力。


シモンはこれまでいくつかの合体を見せてきた。


しかし魔力と気と螺旋力の三種類同時合体はシモンでもやったことがない。



「お前、歯ァ食いしばって戦ったことないやろ。だから根性が無い。殺気や悪意は感じても、ここぞという時の気迫や気合が感じられんのや。限界を超えようて意思が感じられんのや・・・それがテメエの敗因や!」



「このガキィ!!」



まずい。


こればかりはまずい。


ユウサは慌てて離脱する。


プライドも何も無い。これを直撃すれば間違いなく死ぬと直感で感じ取った。


だから逃げる。鬼ごっこの鬼が今度は逃げる役になってしまった。


だが、小太郎は逃がさない。


獣人の姿で魔力と気と螺旋力をその身に宿す。




「我流犬上流・合体変化・超獣進化革命!!!!」




小太郎の姿が変化した。


四足歩行の巨大な黒い獣となり、緑色の光を放つ。


それは小太郎の変化奥義である、狗音影装に似ていた。


だが、身に宿す力は比べ物にならない。




「終いにするで、クソ鬼!! これが俺の・・・ブータの・・・・皆の想いねじ込んだァ」




小太郎はその巨体を回転させた。


先ほどと同じように、体を超強力回転させることで威力・貫通力を最大限に高めた体当たり。


原理は変わらない。ただ、それを先ほどの何倍もの威力で放つのである。




「超獣ギガドリルブレイクやァァァァァァァァァァァァァッ!!」




宇宙史上初のドリルが、全てを巻き込み貫く渦を巻き、ユウサ目掛けて飛び込んでいく。



「ら、羅生門!!!!」



地獄の扉が立ちふさがる。


しかしその宇宙史上初のドリルは、最初からそこに何も無かったかのように問答無用で突き進む。


羅生門をいとも容易く粉々に砕き、ドリルがユウサに迫る。


せめて直撃だけは絶対に避けねばならぬと、直線状に飛び込んでくるドリルを真横に交わそうとするが、完全には無理だ。


そのスピードと究極のパワーに巻き込まれ、空中にユウサの右腕と右足が千切れて、宙に舞った。



「・・・・・俺の腕が・・・足が・・・この世の動乱を操ってきこの俺の肉体が・・・・・」



自分より強い敵や、命の危機はいくらでも味わってきた。


だが、それでも何故自分が今でもこうして五体満足なのかというと、自分にはみっともなさやプライドなどは特に無いからだ。


だからこそ、命の危機を感じると逃げ出した。


誇りなど何も無い。何事も命あってのもの。


これまで過去に自分を討ち取ろうとしたものを返り討ちにしては、敵わないと思えばアッサリと逃げた。


それが今でも自分が健在である証だった。


だから初めてのことだった。


自分の右半身が使い物にならなくなるなど、考えたことも無かった。



「が・・・・・かはっ・・・・・」



ユウサは倒れた。


失った肉体に力が入らず、直ぐに立つことは出来ない。


その姿を見て小太郎はグッと力を入れる。


勝ったのだと。


そしてこれまで堪えていた夏美たちの目からも涙が止まらない。


ついにやったのだと。


自分たちはやったのだと、その思いでいっぱいだった。



「ひははははは、この・・・・ごほっ・・・ウソつきめ・・・・・・感卦法使うには・・・・その獣の姿では出来ないって・・・」



右腕と右足を引き千切られたまま、ユウサは顔を上げて冗談めいた口調で言う。


そう、小太郎は先ほど感卦法を使うには、狗音影装のような獣の姿ではなく、人型でないとダメだと言った。


だが、それでは目の前の小太郎の姿の説明が出来ない。


だから小太郎は嘘吐きだと吐き捨てた。


だが小太郎は、得意気に笑って首を横に振る。



「ウソをついたわけや無い。出来なかったことを出来るようにしたんや。こないなこと、人のためにがんばろうなんて死んでも思わんお前には絶対に出来ひん芸当や。どや、ちっとは自分の人生を後悔したか?」



「・・・・ち・・・・・・」



「へへ・・・・仲間や気合に合体・・・・ほんで・・・言わせてもらえば、アレも中々大したもんやったな・・・・なあ、チビ助、お前の言うとおりやった」



小太郎は突然夕映に振り返って笑った。



「え、私ですか?」



「そや、お前はまだ記憶が戻ってへんのやろうけど、お前は以前学園祭で俺に言ったんや」



小太郎は思い出す。


学園祭で夕映と強さについての口論をしたときがあった。


ネギがのどかとのデートでゴチャゴチャ悩んでいたときだ・・・・



『何やネギ・・・お前女のことで悩んでかいな。女とデートやなんて弱いわ』



『小太郎さん、あなたは無関係です。口を挟むべきではないと思います』



『無関係やて? 関係大有りや、チビ助。俺はネギと決着つけなアカンのや、そのネギが女のことで悩んで弱々になってまったら俺が困るやろ?』



『前から言おうと思っていたのですが、あなたは勝負の勝ち負けにこだわりすぎです。強さ弱さと口に出してこだわっている内は、あなたが真に強いと言える日は来ないと思うのです』



『なんやてぇ!?』



『さらに言えば・・・愛を知らぬ者が本当の強さを手にすることは永遠にないであろう・・・恋愛をバカにしてはダメです』



あの時は、男の戦いの熱さを分からぬ女のムカつく言葉だと思っていた。


しかしその言葉を小太郎は今でも覚えていた。


そして自分が何のためにここまで出来たのか。


夏美との仮契約、その時自分は恥ずかしいと言うかこそばゆいと言うか、ネギのように平然と出来なかった。


自分にとっての一番の大切な女性、一緒に住み、家族のように大切な人、それが夏美だ。


彼女を守りたいという気持ちがある。


そしてその夏美が危険を顧みずにパートナーである自分のために命懸けで駆けつけてくれた。


それで力が沸かぬようでは男が廃る。


そうだ、きっとこういうことなのだろう。


シモンやネギ、そして夕映が以前口にした言葉を思い出し、ようやく少し理解できた気がした。




「確かにバカに出来んな。愛の力っちゅうもんは!」




小太郎が本当に手にしたもの、それが真の勝敗を分けたのかもしれなかった。
最終更新:2011年05月13日 21:39
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。