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126-3

木乃香も、千雨も、のどかも、裕奈も、もう召喚魔たちに押し潰される寸前である。


もう駄目なのか?


希望は無いのか?


いや、そんなことは無い。



「まだです・・・・私たちはまだ・・・生きています。ならば諦めてはいけません。負けてはいけません」



傷つきながらもシャークティは叫ぶ。


足掻いて足掻いてジタバタする。



「それが・・・あの人から学んだ絶対的絶望に打ち勝つ方法。だからネギ先生・・・」



だから、抗う。



「グオオオオオオオオオオオオオオ!!」



「そのような力に頼らず、皆を救ってみせるのです!!」



魔獣化寸前のネギにシャークティが叫ぶ。


しかしネギには届かない。


そしてその時、ネギを背後から襲う巨大竜種が現れた。


ネギは無言のまま手をかざす。


もしこの魔に飲まれた状態のまま、敵を葬り去れば、もう二度と元へは戻ってこれない。


ネギという最後の希望まで潰えるのである。


しかしネギは止まらない。


のどかたちも懸命に叫ぶが届かない。


ただ、自分の仲間を助けるため、ネギはその身も心も闇に売り渡したのだ。


そしてネギは召喚魔を消滅させようとする。


しかし・・・・




その時だった。





「ッ!?」





「「「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」」





強烈な大砲の音が響き、ネギが消そうとした召喚魔が先にぶっ飛ばされた。







「えっ?」







「・・・・・・な・・・・・」







「なに・・・・・」







誰もが目を丸くした。


召喚魔たちもこのときばかりは、何故か動きが止まっていた。


突如現れ、ネギの危機を救ったソレに、誰もが目を奪われていた。


突如現れたソレ。


ソレとは、巨大な砲台を付けた、巨大召喚魔にも劣らぬ大きさの、ピンク色のメカだった。







「すごい夢を見て・・・・どうせ休日だからと思って、久々皆に会おうとしたら・・・変なことやってるじゃない」







「「「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」」







「コレを皆にも見せてあげようと思って持って来たけど、正解だったようね」







ピンク色のメカから人の・・・女の声が聞こえた。







「それにしても、ネギ。確かデートの約束の条件は、良い男になることじゃなかったの?」







その声は、非常に聞きおぼえがあった。



「ア・・・ガ・・・・・・う・・・・あ・・・」



いつの間にか、ネギは呆然としたまま、魔から解放されていた。


その女の声を聞いた瞬間、体が激しく震え、心臓が跳ね上がった



「う、うそや・・・・・・」



「こ、・・・・この声・・・・・」



「ま、まさか・・・・・」



木乃香たちもうまく言葉を発せないでいた。


突如現れたソレ。


そしてソレの中から聞こえる女の声。


それは彼女たちにとっては信じられないものだったからだ。


そしてメカのコクピットが開き、中から声の主の女が出てきた。




「なっ!?」




「嘘!?」




「あれは!?」




この場に居た者は、怪我人も何も関係なく、千草を除いた全ての者たちが驚愕した。


焔たちもその女を見た瞬間、声を上げて驚いた。


たなびく赤い髪。強き瞳。女なら誰もがうらやむそのスタイル。


少女たちは皆が憧れて目指し、少年が生まれて初めて恋した女。




「ちょっと見ない間に・・・随分つまんない男になったんじゃないの? ネギ!」




ヨーコがそこに居た。ヨーコの愛機、ヨーコMタンクと共に。



「ヨ・・・ヨーコさん・・・・何故・・・・ここに」



ネギがようやく絞り出せたのはそれだけだ。



「「「「「「「「「「ヨーコさん!!??」」」」」」」」」」



ネギを含めて、誰もが混乱している。


だが、その時。




「ネギ、後ろよ!」




「えっ・・・」




ヨーコが叫んでネギが振り向く。


すると、時が止まったかのように停止していた召喚魔たちが再び動き出していた。


そして完全に油断していたネギを背後から複数で襲ってくる。


しかし・・・・・・




「・・・・・・・・・・・・・・・・へっ?」




寸前のところで、その召喚魔たちはバラバラに切り刻まれたのだった。




「・・・・・・・・えっ?」




「・・・・・・・・・・あんた・・・・」




突如バラバラに刻まれた召喚魔たちに皆、再び呆然としてしまった。


ヨーコも少し驚き、そして呆れたように溜息をついた。




「は~~~・・・・何であんたまで居るのよ?」




今度は二本の刀を持った巨大なメカが現れた。


そしてネギを助けたその巨大メカから、今度は男の声が聞こえた。





「試運転だ。カミナシティで大量に発見されたコアドリルを動力にし、螺旋エンジンを搭載した、このエンキドゥドゥ・改のな!」





そのメカと中から聞こえた男の声。ネギたちは心当たりがあった。


ヨーコも知っていることを考えると、自分たちの予想は当たっている。


だが、ありえない。


しかしそのありえないことが今、現実に起こっている。




「しかしキサマがここに居るとは思わなかったぞ、女」




メカの中から男が、いや・・・一人の獣人が顔を出した。



「う・・・そ・・・・あの人・・・確か・・・」



「シモンさんの記憶映像に出て来た・・・・」



拳闘大会で流されたシモンの記憶映像に映し出されていた登場人物。





「そして小僧、キサマが・・・ネギか? あいつの言っていた友とは、キサマのことだな」





映像の時と比べて髪が長く、顔つきが引き締まっているが、その眼光と笑みは更に鋭く、頼もしさを感じる。



「そう、・・・あんたもあの夢を見て、居てもたっても居られずにシモンに会いに来たってことかしら? 螺旋力も無いのに良くやるわね」



「侮るな、螺旋力がなくても気合と体力はある。俺は宇宙一打たれ強い男だ」



「そうね・・・あんたならそうね。ヴィラル!」



現れたのはヴィラル。エンキドゥドゥと共に現われた。



「ちょっ・・・ちょ・・・・・・・・・・・」



シモンの、そして大グレン団の宿敵として立ちはだかり続けていたあのヴィラルが、かつての愛機と共にこの場に現れたのだ。





「「「「「「「「「「えええええええええええええええええええええええええええッ!!??」」」」」」」」」」





全員まとめて驚愕した声が、墓守人の宮殿に響いた。


しかもヴィラルもヨーコも互いがこの場に居たのを驚いている。


それもそうだ、二人はバラバラに住んでいる。しかしこの絶対的絶望の中に、同時にネギたちのもとへ現れたのだ。



「シモンは・・・・居ないみたいね。外の謎の高エネルギーが原因で、座標が少しずれたのかしら?」



「ふん、そのようだな。お陰で俺もあいつらとはぐれてしまった。まあ、大丈夫だろうがな。しかし女、貴様はどうやってここまで来た? リーロンの改造を受けていないキサマのガンメンでは、螺旋界認識転移システムを発動できないはず」



「簡単よ。私の螺旋力で来たのよ。私はある戦いで、シモンほどじゃないけど螺旋力をコントロールできるようになったのよ」



ヨーコはかつて龍宮と学園祭で戦ったときに、螺旋力を用いた。


それにより、螺旋力がコントロールできるようになった彼女は、自身の愛機、ヨーコMタンクごとワープしてきたのだ。


対するヴィラルは獣人ゆえに螺旋力は無い。しかし、リーロンの手によってコアドリルを動力にした螺旋エンジンを搭載することにより、この世界までやって来た。


だが、結局はそれほど小難しい事ではない。


要するにただの気合で片づけられる。



「でも、ヴィラル・・・・あいつらって? 誰とはぐれたの?」



「ふん・・・あいつらだ。貴様らの・・・・シモンの意思を受け継いだあいつらと一緒だったのだが、どうやら次元の歪みではぐれたようだが・・・まあ、今は置いておこう。問題は・・・・」



「そうね、こいつらね」



そう言ってヴィラルは辺りを見渡す。群がる醜悪なデカブツたちに、傷つき倒れて涙を流す人間たち。



「さて、そこに居るのがシモンの妹分と俺たちの後輩とやらか。それを傷つけているということは、そこのデカブツどもは敵ということだな」



そしてヴィラルはニヤリと笑みを浮かべて、ガンメンに乗り込んで召喚魔たちに剣を構える。

かつての血が騒いだ。



「デカブツども。貴様らをどこの誰かと訪ねる気も無いし興味も無い。だが、この俺とエンキドゥドゥ・改の力、毛穴の奥まで思い知るがいい!!」



ヴィラルが・・・



「美空・・・ココネ・・・シャークティ。薫たちも・・・それに木乃香たちも、ひどい顔よ? シモンは何やってるの?」



「ヨーコさん・・・ホンマに・・・・ヨーコさん」



「ど、どういうことです?」



「何で・・・・なんで居んのさ・・・・」



「「「「ウオオオオオオオオオオオオオ、ヨーコさあアアアアアアアアアん!!」」」」



「ホラホラ泣かないの。木乃香、みんなの怪我の手当ては任せたわ。その間に私は皆を泣かせた奴らに、ちょっとキツイお仕置きしてやるから・・・後でシモンも含めてね♪」



ヨーコが・・・



「さて、ヴィラル。みんなの頭が整理できるまで、ちょっと暴れてやろうじゃない」



「ふん、相変わらず勇ましいな。だが、異議なしだ」



大グレン団の二人が現われた。



「腕は鈍ってない?」



「愚問だな。貴様こそどうなんだ?」



「あら、決まってるじゃない」



「その通りだな・・・・」



そしてガンメンのコクピットの中で二人は笑う。狙いは自分の友や後輩たちを傷つけたデカブツたちだ。


数は圧倒的に相手が上。


だが二人は微塵の恐れも無い。



「「そう・・・・」」



何故なら・・・





「「俺(私)を誰だと思ってやがる!!!!」」




何故ならこいつらが、銀河最強の大バカ野郎たちだからだ。


こいつらが一体何に恐れるというのだ。


ヨーコとヴィラル。


ネギたちのピンチに、銀河最強の助っ人が現われたのだった。











もはや言葉にならないのは誰も同じ。


老若男女人魔獣。


良い奴も、悪い奴も、囚人も、戦士も、将軍も、王族も、そしてユウサですらこの状況に言葉が出なかった。


魔道大グレンをT・鬼神が掴み取ろうとした瞬間、その腕目掛けてビームを放ち、魔道大グレン団を救った者。


それはあまりにも突然現れ、何故それが現れたのかを誰も説明できない。


開戦以来戦場が、いや、もはやこの状況を、映像を通して見ている世界中が唖然として言葉を失っていた。





「いいのかな・・・・良く分からないけど攻撃して・・・・」





「良いに決まってんだろ? だってあのデカブツ・・・俺たち大グレン団の旗を掲げた戦艦を攻撃しようとしたんだ。良いに決まってる!」





突如現れたソレからは、若い男女の声が聞こえた。まだ、どこか幼さが残っている声だ。




「しっかし、ヴィラルさんとは離れちまったな。あの人どこに居るんだ? まあ、無事だろうけどな」




「見て、あの巨大な建物の周りの渦。あれからとてつもなく膨大なエネルギー反応を感じる。多分あれの所為で私たちの座標が狂ったのかもしれない。だって・・・シモンさん居ないみたいだし」




「だな。でも・・・・シモンさんと関係ありあそうな奴らのピンチに遭遇できた。ならそれでいいんじゃないか?」




聞き覚えのない声だ。


世界中がその声の主が誰なのか分からなかった。


だが・・・・




「ひは・・・・ひははははははははは・・・なんつ~ことだ・・・・お前らは・・・・一体どれだけ世界を驚かせれば気が済むんだ!!」




ユウサは興奮が止まらない。


いや、ユウサだけではない。



「なあ・・・・・あれ・・・・あれは・・・」



「ああ、・・・拳闘大会で見た映像と・・・・間違いない!」



「来たんだ・・・・来てくれたんだ・・・・俺たちのピンチに・・・・世界を救うために現れたんだ!!」



この瞬間、これを知る世界中のすべての者たちが同じ様にその名を叫んだ。







「「「「「「「「「「グレンラガンだァァァッ!!!!」」」」」」」」」」







世界を熱気に包みこんだ、この世界の歴史には無い英雄。


しかし皆がその名を知っている。そして見間違うはずなどは無い。


この堂々とした面構え、燃える炎のように赤い機体。


どうやって見間違えるというのだ。


その名を知っている者たちはとにかく叫んだ。


先ほどまでの絶望や世界の滅亡、T・鬼神なんか知ったこっちゃねえ。


今この瞬間、世界中が一つになって大グレンラガンコールが鳴り響いた。




「おいおいおいおい、ここってシモンさんが居るっている次元の違う宇宙なんだろ? 何で皆グレンラガンのことを知ってるんだ? ダリー」




「私が分かるわけないよ、ギミー。でも、あの人がまたとんでもないことをしてるっていうのだけは分かるよ」




グレンラガンのコクピットに居るのはシモンではなく、その魂を受け継いだギミー、そしてダリーだ。



「あんな夢を見て・・・とにかくシモンさんに会いたいって気持ちだけで来ちゃったけど・・・・良く分からないけど・・・・」



「そうだな・・・ここまで期待されてたら、アレをやるしかないな!」



敵は目の前のデカブツ。


状況はよくわからないが、あのデカブツは大グレン団の旗を掲げた戦艦を、つまり自分たちの仲間を傷つけようとした。


理由はそれで十分だ。


さらにどういうわけか、これほどまでに期待されているのなら、いっちょやるしかない。



「アレ? うん、やるしかないね!」



ダリーも頷いた。


グレンラガンは全身のドリルを突き出したフルドリライズ形態。


それは魔法世界人にとっては自分たちが見た映像そのままの姿。


そして、ギミーは叫ぶ。




「過去の想いを未来へ繋げ、新たな風を銀河に吹かす!!」




ダリーも叫ぶ。




「螺旋の力と想いを刻み、明日の道をこの手で創る!!」




そして二人の声が重なり、あの言葉を魔法世界全土に響き渡らせる。






「「新生合体グレンラガン!! 俺(私)を誰だと思ってやがる!!」」






魂の叫びが魔法世界を震撼させた。


グレンラガンの螺旋の波動が絶対的絶望に風穴を開ける。


諦めずに抗い続けようとした魔法世界に現れた救世主。


そしてこれが、魔法世界最大最強の反撃開始の合図となった。











「な・・・なんだというのです・・・この懐かしいような・・・温かく・・・力強い波動は」


先ほどまで世界を震え上がらせるほどの邪悪な波動を肌に感じていたのだが、この瞬間、一気に力強い波動が肌に触れた。


「私に刻まれた遺伝子が・・・・・共振しているというのですか?」


クロニアは顔を上げて宮殿の外を見る。

しかし、濃密な魔力の渦が視界を遮って、相変わらず良く分からない。

戦いながら、シモンとフェイトもチラッと視線を外へ向ける。


(これは・・・・シモンと少し似ている・・・この感じ・・・一体外で何をやっているんだ?)


フェイトも少し気になっているようだ。



「シモン・・・君には何が起こっているのか分かるかい?」



「・・さあ、・・・分からないよ。・・・ただ・・・」



「ただ?」



シモンも少し気になっているようだが、何故か分からないが心が熱く、何故かうれしくなった。



「何が起こっているかは分からない。・・・・けど・・・・きっと、すごい事が起きたんだと思うよ」



「ふん、君らしいね。まあ、君が言うならそうなんだろうね」



「はは・・・かもな」



シモンはニヤリと笑い、いい加減なシモンの返答にフェイトは小さく笑って、二人は再び戦いを続けたのだった。



「「さあ、続きだ!!」」



二人の間にいかなる者も立ち入れぬのであった。
最終更新:2011年05月13日 21:48
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