第百三十四話 俺を驚かせるぐらい 投稿者:兄貴 投稿日:11/12/27-00:22 No.4470
「ふ・・・ふざけないでください! それじゃあ・・・それじゃあ、これまでの人類の歴史も・・・戦争も・・・悲劇も・・・全てはあなたの望みを叶えるために起こさせたというのですか!?」
ネギたちも全ての真実を知った。
これまで歴史で語られてきた戦争や問題を始め、今だ解決しない人類の問題も全てだ。
「では・・・わ、私たちは・・・なんのために・・・」
「すまんな、クロニアよ。もっともらしい理由がなければ子孫とはいえ貴様らもワシの遺志は次いでくれんかったであろう。まあ、ぶっちゃけた話、おぬしらはワシを隠すための囮でもあり、世界を映す防犯カメラといったところだ」
「なっ、・・・・・・じ、人類の守護者でもなく・・・ただの・・・囮・・・」
その壮大すぎる計画に誰もが絶句してしまう。
当たり前だ。自分たちが住んでいる世界を歴史ごと、ジェノバという男の掌の上で転がされているようなものなのだから。
「し、信じられない・・・そ、そんなことのために・・・」
「ぬはは、冒険王じゃったか? そんなことでもないぞ。何故なら、ワシの存在さえ知らなければオヌシたちや世界もあたかも自分たちの思い通りに生きていると思っていただろう。ワシが直々にこうやって外へ出るのは、本来の人類が辿るべき進化や文明の流れを乱そうとするものが現れた時だけじゃ。それが貴様じゃ、ネギ・スプリングフィールドよ」
誰もがふざけるなとわめき散らしたかった。
これまで人類がたどってきた全てを、まるでジェノバが全て操っていたかのような発言をするからだ。
何を考えていやがる。
人を、世界を何だと思っていやがる。
だが、誰もがその言葉を発せなかった。
何故なら誰もが同じことを思っていたからだ。
―――話していることがデカすぎる
誰もがそう思っていた。
「信じられない・・・国とか世界とかそんな社会のレベルの話ではない・・・」
フェイトも・・・
「我らの戦争どころか・・・1000年前以降の人類や世界の流れは・・・全てこの男の望みで・・・」
デュナミスも・・・
「ジェノム氏が人類の王だとしたら・・・この男はまるで・・・神・・・」
瀬田も・・・
「まさか人類史を持ち出すなど・・・・・・なんという・・・」
シャークティなどの大人たちですらジェノバの発言に驚愕しているのだ。
大半が学生のこの場にいる者たちに、理解しろというのが難しい。
というよりも・・・
――もはや自分たちが口出ししたり、手出しできる問題ではない
気が強くてポジティブなものたちばかりが集うこの一団でも、そう思ってしまうほどにジェノバのデカさは計り知れなかった。
「1000年前の過ち・・・アンチスパイラルの存在も知らずに螺旋力を使い続けた人類の進化・・・だが、予めそれを回避できたならば?」
デカすぎるこのジェノバの空気に、このままでは全員飲み込まれてしまう。
「ワシは見たい。かつて見れなかった地球の・・・人類の・・・銀河の更なる先を!」
そしてその野望も望みも果てしなく図り知れない。
「戦争問題、環境問題、宇宙問題、あらゆる工程や問題を経て地球も人類も宇宙も進化する。あの時・・・アンチスパイラルさえ居なければ・・・だからこそ、その先を見たい! この星をワシらの地球通りに導けば、更なる先を見れる!!」
その本能は制御できないどころか、制御する気がない。
どこまでも先へ先へと掘り進む、純粋な螺旋族の本能。
「だが、魔法世界の問題・・・すなわち宇宙開発や異星間に関する問題に人類が直面するにはもう少し年月が必要だ。だからこそ今滅ぼすのだ。人類がその問題に直面して真剣に乗り越えるのはまだ早い・・・そうじゃな~、ワシの予定ではあと100年ぐらいは先か」
シモンとは違う。しかし、これもまた未来と明日を掴もうとする歴とした揺るぎなき思い。
ジェノバの肉体には、シモンと同じ希望に満ちた緑色の螺旋の光が流れ出ていた。
「ふざけるな。それではアンチスパイラルと同じではないか!」
「いいや、違うぞ、獣人よ。アンチスパイラルは宇宙にこだわりすぎた。だが、ワシは人類にこだわる! ワシは人間が大好きだからのう」
「何が好きよ! あんたにとって都合のいい世界を造りたいだけじゃない!!」
「がっはっはっは、そうとも言うな! しかし、人間はみなそういうもんじゃろ? 自分が望む世界のために敵を倒す! 貴様らは違うのか~?」
そしてその本能にどこまでも従い、何よりも開き直る。ヴィラルやヨーコですら絶句するほど。
まるで、子供のように・・・
「まずはこの時代の地球では人種問題やCO2とオゾン層と核に・・・え~っと、その他諸々の課題が先決じゃな」
もう、ネギは耳を塞ぎたくなった。
「もう・・・やめて・・・ください・・・」
「ぬう? そう落ち込むな、ネギとやらよ。どのみちワシやジェノムがどうにかせんでも、この問題は最初から解決せんように出来ておる」
「やめてください!!」
ネギは両耳をふさいで頭を激しく振る。
「やれやれ分からんかのう。少なくともワシに委ねておけば、地球人類はあと何千年も存続できるというのに」
ふざけている・・・
狂っている・・・
そしてそれを悪気も無く、心も痛まずにやる。
ユウサとは違うかもしれないが、まるで世界を玩具のように扱うところは通ずるものがあった。
「僕たちは・・・僕たちはあなたの人形ではありません!! この世界も、人類も、地球も火星も魔法世界も宇宙も!! あなたの玩具じゃありません!!」
デカすぎる・・・
だが、それでも鵜呑みになんてできない。
ここで鵜呑みにして道を途絶えさせてしまえば、全てが無になってしまう。
だからネギは叫ぶ。
たとえ相手が地球の道標であろうとも、この標に従うわけにはいかない。
「ふん・・・当然だな」
「そうね、これはネギたちだけが戦う相手じゃないわ。私たちの先祖の問題でもあるようだしね」
当たり前だ。
ネギの言葉に、そう言っているかのような空気を纏ったヨーコとヴィラルが、ガンメンを引っさげてネギの隣に並んで、ジェノバと対峙する。
「ああ・・・彼は不愉快だ」
「ふざけるな。勝っても負けても、我らが情熱を燃やしたあの大戦すらも貴様の思惑通りだったなどとは思わせん」
フェイトもデュナミスも同じ。
これまで己を切り、心を切り、人生すらも大義に捧げて生きてきたのだ。
敗北してその道が途絶えるのならば仕方ない。しかし、こんな誰かのシナリオの一部でしたなどというようなことだけは絶対に許さない。
「そうっすね」
「ああ、気に食わんで、おっさん!」
「・・・私が味わった人生や悲劇や悲しみも・・・全てはあんたの計画の一部みたいに思われるんは癪や」
「私たちは・・・フェイト様と共にある!」
「新生大グレン団は、どこまでも自由に生きるぜ!!」
美空や小太郎、千草や他の者たちも同じだ。
人類とか世界とか宇宙とか、ましてや進化の順序などがどうとかではない。
この男はここで止めなくてはならない。
ジェノバという道標から自分たちは解放しなければならない。
そうでなくては、例えジェノバの望む明日になったとしても、それは本来自分たちが見るはずであった明日とは違うから。
ここに先程までの敵も味方も無い。
この宇宙に住む人類たちが真実を知ってから出した答えはコレであった。
「ふん。ええのう。気に食わんから倒す。シンプルじゃな。全身全霊の戦で歴史を分かつことこそが、何億年経っても変わらぬ人類の原点じゃァ!」
いいだろう。受けてたってやろう。
ジェノバが己の身に纏う螺旋の力をどこまでも高ぶらせていく。
「じゃがしかし、このワシを燃え上がらせるほどの戦いが貴様らに出来るかァ?」
そして彼がコアドリルを天に向かって掲げて叫ぶ。
「来い、マジンガンよ!!!! 1000年ぶりにワシと駆け抜けようぞ!!!!」
空間に亀裂が走る。その空間の切れ目からドリルが、そして人型の巨大ガンメンがぶち破って現れた。
それはクロニアがシモンとの戦闘のために持ち出したガンメンであり、1000年前のアンチスパイラルの戦から逃れた、ジェノバ本人のガンメン。
「ちょっ!?」
「見たことないガンメンッ!・」
「ってか、またガンメンッ!?」
ジェノバはガンメンに乗り込むと、マジンガンの両目が見開き、螺旋のエネルギーが天を突くほど爆発的に猛り出した。
「ヴィラル! こ、これは・・・」
「ああ、厄介だな・・・グレンラガンタイプのガンメンだ!」
マジンガンはグレンラガンタイプのガンメン。
「そう、1000年前には壊れておったが、この時代レベルの科学力ならこの通りじゃ!! 完治じゃァ!!」
それだけでその驚異が皆に伝わる。
「がっはっはっは、胸が踊るわい! 男は拳で語る。ガンメン乗りはガンメンで語る! さあ、アンチスパイラルを倒した英雄達よ、そしてこの宇宙に住む種族どもよ! 魔法でもガンメンでもなんでも持ち出して、このワシを倒してみるがよい!!!!」
敗れたとはいえ、かつては銀河を所狭しと駆けめぐって武勇を奮ったジェノバ。
未だ星の地平の上での争いを続ける原人類の文明や想像を遙かに超越した戦場を駆け抜けてきたのだ。
別に相手を嘗めているわけではない。油断しているわけでもない。
「さあ、ワシの想像を、キサマらで超えることが出来るかッ? ワシをしびれさせろ! うならせろォッ!」
ただ、ジェノバは自信に満ちあふれているのだった。
「ふん、笑止! キサマらの想像を遙かに超えたアンチスパイラルを倒したのは俺たちだ!!」
しかし己に自信があるのは彼も同じ。
「もはや時代は次の世代へと続いている! 古の亡霊など成仏させてやろう!!」
「ぬはははは、面白い! やってみせてもらおうではないか!!」
ヴィラルのエンキドゥドゥ・改の剣撃が嵐のように吹き荒れてマジンガンを斬り刻まんとする。
だが、マジンガンはその巨体からは想像もつかぬ軽快さと柔軟な動きで、エンキドゥドゥ・改の剣を全て見切る。
その状況に、ヴィラルは笑みが零れる。
「面白い。久方ぶりに骨のあるガンメン乗りだな。この俺の血が滾るぞ!」
当たり前だ。相手はロージェノムと肩を並べて銀河を駆けめぐった歴戦の猛者だ。
ヴィラルの武人としての血が騒ぐ。それはジェノバも同じ。
「かっかっか、螺旋力のない獣人にしては良いガンメン捌きじゃ!」
「侮るな! 今の我らの世界の技術でこのガンメンには螺旋エンジンが搭載されている! 螺旋族に遅れはとらん!」
「ほう」
エンキドゥドゥ・改の剣とマジンガンのドリルの拳が互いにぶつかり、鍔迫り合いのように押し合いを始める。
本来ガンメン同士のパワー勝負になれば、覚醒した螺旋族が上乗せする螺旋力にヴィラルが勝てる道理がないが、今のエンキドゥドゥ・改には螺旋エンジンが搭載されて通常のガンメンよりも遙かに出力がアップされている。
なによりも・・・
「なによりも、螺旋力はなくとも体力がある! 俺は宇宙一打たれ強い男だ!!!!」
「ッ!! こやつ!?」
押し合いを制したのはエンキドゥドゥ・改。
「ナイス・ヴィラル!! そう、そして私には螺旋力が・・・」
「ぬっ!?」
エンキドゥドゥに押し負けたマジンガン。
その上空には、巨大な銃口を下へ向けるヨーコ・M・タンク。
「これ以上ないぐらいありあまってんのよッ!!」
「ほほう・・・」
放たれるギガドリルの弾丸。ギガドリルバースト。
空間すら歪ませるその直進力が、マジンガンを捉え、宮殿内に大爆発が起こる。
「ぶっとびなさい!!」
完全に直撃したはずだ。
本来なら穴あきか大破だろう。
だが、これで終わるような相手ではないと、二人は誰よりも理解している。
「よし、命中したぞ!」
「油断は禁物よ、ヴィラル!」
「当然だ! 覚醒した螺旋戦士の恐ろしさは、この俺が一番よく知っている!!」
彼らに油断はない。
そして・・・
「全力解放(フォルティッシメー・エーミッタム)!! 百重千重と(ヘカトンタキス・カイ)重なりて(キーリアキス)走れよ(アストラ) 稲妻(プサトー)!!」
長い詠唱と共に最高潮にまで溜め込んだ、人智を遥かに超えた大魔法。
「ふっ、なかなかのエネルギーを感じるな! ネギとやら!」
「成長したじゃない、ネギ!!」
手を休めず間髪入れない。
戦うのはヨーコとヴィラルだけではない。
誰よりも本来戦わなければならないのは、ジェノバという道標に囚われているこの宇宙の人類であるネギたちだ。
「容赦はしません! 遠慮はしません! その壁、必ず突き破らせて貰います!!」
放たれるのは世界最大の雷。
「千の雷(キーリプル・アストラペー)!!!!」
千の雷が束になり、ヨーコのギガドリルバーストの巻き起こした爆炎の中にいるであろうマジンガンに落雷した。
螺旋の起こす渦と爆発と雷。
並の者ならば既に跡形もなく消滅して居るであろう威力を目の当たりにして、誰もがガッツポーズをする。
「よっしゃア!! これはデカイで!!」
「ええ、あれだけの威力の攻撃をまともに食らえば、いくらガンメンとて・・・」
いくらガンメンとて・・・なんだ・・・?
―――――ッ!!??
もちろん誰もこれで「終わった」などとは思ってはいない。
しかしヴィラルとヨーコとネギの一斉攻撃だ。
ジェノバとてただではすまない。
はずであった・・・
「ぐわーはっはっはっはっはっはっは!!!!」
「ッ!!??」
突如聞こえてくる男の高笑いと地中を削る音。
「下だ! 避けろッ!!」
「ヨーコさん!?」
マジンガンが地中から現れた。
「えっ・・・」
「捉えたわい!!!!」
その腕には猛々しいドリルを回転させ・・・
「まずい!?」
「ヨーコさん!!??」
ヨーコ・M・タンクを紙切れのように切り裂いたのだった。
「「「「「「「「「「ヨーコさんッ!!!!????」」」」」」」」」」
それは正に紙一重のタイミングであった。
「くっ、緊急脱出!!!!」
ヨーコはマジンガンのドリルがガンメンの機体を切り裂いて、コクピット内にいる自分に届く寸前に、操縦席の下にある脱出用のバーを引き上げて、座席ごと宙へ飛び出した。
「あ、あぶなかった・・・でも、どういうことなの!?」
瞬間的に脱出のパラシュートで機体から飛び出したヨーコ。
思わず仲間たちからは安堵のため息が漏れる。
ヨーコも脱出の際に機体にぶつけたであろう肩などから血がにじみ出しているが、怪我の方は浅そうだ。
だが、問題なのは精神的なダメージの方だろう。
「うそでしょ・・・なんで無事なのよ!? ちゃんと直撃したはずよ!?」
そう、攻撃は確実に命中していたはず。それは間違いなかった。それが何故無事なのか。
そして何よりも・・・
「くっ・・・ヨーコ・M・タンク・・・」
何よりもガンメンとは自分の分身のような物であり、最大の相棒でもある。
共に幾多の戦場を駆け抜けた宇宙史にも誇れるであろうヨーコのガンメンが、容易く切り刻まれて屑鉄と化したのだ。
いかにヨーコといえどもこのショックは計り知れない。
「ちい、キサマ!!」
「ぐわはははははは、来るがよい獣人よ。キサマのガンメンも切り裂いてくれる!!」
「嘗めるな!! このエンキドゥドゥに勝るガンメンなど、グレンラガンを置いて他にいない!!」
先ほどはパワーの押し合いだった。ならば今度はスピードだ。
超重量級の目にも止まらぬ超高速剣技。しかしジェノバは捌く。
「ぐわははははは、ホレホレどうした! その程度のガンメン乗りならばワシらの時代にもおったぞ!!」
「ぬう・・・こいつ、流石にできる!」
スピードで翻弄するはずであったヴィラル。しかし、逆にマジンガンの動きに徐々に置いていかれる感覚にヴィラルは襲われた。
(おかしい・・・)
ヴィラルは疑問に思った。
(確かに強い・・・確かに早い・・・だが、そんなことは既に重々に承知している)
別にジェノバが強いことなど一々驚くようなことではない。ロージェノムの弟でもあり、かつては銀河に轟いた戦士の一人なのだ。
驚くべきは・・・
(こうして撃ち合えば一見何の変哲もない・・・ならば何故先ほどの攻撃を受けてダメージがない? 地中に逃れた? いや、それでも機体にダメージはあるはずだ)
そう、マジンガンはこうして戦えば普通のガンメンと同じように戦う。ならば攻撃を直撃すれば普通にダメージをくらうはず。
ならば先ほどは何故無傷だったのだ?
(何か・・・ネタを仕込んでいるか・・・)
ただでさえ強敵の相手なのだ。
もし相手が奥の手を残しているのであれば早急に解明する必要がある。
ならば、これで見極めよう。
「エンキ・サン・アタック!!!!」
「ぬう?」
エンキドゥドゥの額にエネルギーが凝縮され、一気に解き放たれるレーザー砲。
スピードと火力で破壊力を生み出す必殺技。
マジンガンは避けられない。ヴィラルは目を見開いてその瞬間を見極める。
すると・・・
「なんじゃい、温すぎるわァ!!」
「ッ!?」
ビームの直撃で巻き上がる粉塵の中、何事もなかったかのようにマジンガンの拳が飛び出してエンキドゥドゥ・改を殴り飛ばした。
「ヴィラル!?」
「ヴィラルさん!?」
「エンキドゥドゥが!?」
シモンたち大グレン団に、そしてグレンラガンに何度も立ちはだかった伝説の敵ガンメン・エンキドゥドゥが未知のガンメンに殴り飛ばされ、宮殿の壁に勢いよく激突した。
「ふん、確かになかなかやるわい。操縦の腕前や戦にも慣れておる。大したモンじゃ。しかし、やはり所詮はコアマシンの無いガンメンなどたかが知れている」
ヴィラルとヨーコのガンメンが完全に圧倒される光景は、シモンの記憶映像を魅せられ熱狂した者たちにはあまりにもショッキングな出来事だろう。
「これでアンチスパイラルを倒したじゃと? どうやらキサマらというよりも、よほどそのシモンとやらか犠牲になった戦士たちが優秀だったのであろうな」
強い。
それはシモンの記憶映像に置いて、グレンラガンを完全に圧倒したラゼンガンのごとき強さ。
「それにアンチスパイラルを倒したと言ってもコアマシンあってのことであろう? 今のままでは、ワシをしびれさせるものではなさそうじゃな~」
その強さ。歴戦の猛者として恥じぬものであった。
そしてコアマシン。それはラガンのこと。合体したメカを取り込んで支配下に置く螺旋族最強のガンメン。
あの、グレンラガンを生み出し、シモンと共に時代を駆け抜けたガンメンがここに居ない。
それに対して相手はグレンラガンと同タイプのガンメン。同じガンメン乗りでもヴィラルとヨーコには抗えぬ要因がここにあったのだった。
だが・・・
「まだです!」
「ぬっ?」
「「「「「「「「「「ネギくん!?」」」」」」」」」」
ヴィラルとヨーコという二大英雄をも圧倒して悠然と戦場を見下ろすマジンガンに、ネギはただ一人立ち向かっていく。
だって、それはあの男もそうしたからだ。
(そうだ・・・例え相手がどれほど強くても・・・)
大グレン団なら・・・
「シモンさんならそうするから!!」
ネギが雷速で駆け抜ける。その光のごときスピードに、ガンメンと比べれば虫のように小さい標的は、マジンガンとて正確に狙いを定めることは出来ない。
そうだ、立ち向かえ。そして動け。
それが絶望を打破する唯一の手段。
「ジェノバさん、人間は・・・負けない! この世界はあなたには導かせない!!」
渡さない。
だってそうだろう。
もしここでこの男に世界を明け渡してしまえば、全てが無になってしまう。
たった一人の人間の望みのために、世界の全ても未来も明け渡すものか。
「ぬはははは、往生際の悪さ良し! 人間らしくてよろしい!」
「はああああああああ!!!!」
陽気に笑うジェノバ。その余裕を打ち砕いてやると、ネギは猛りだす。
例え相手の質量が遙かに上回っていようとも、火力でそれを補うのが人間であり、魔法だ。
(でも、千の雷は何故か無傷だった・・・ヴィラルさんのビームやヨーコさんのドリルも・・・・・・ならば・・・)
飛び道具ではダメだ。
相手を打ち抜くには、直接的な打撃につきる。
雷の魔力を放出するのではなく、纏う。
(ならば、この手で切り開く!! 右拳はジェノムさんとの戦いで砕けたけど・・・僕にはまだ左がある!)
その膨大な魔力を拳の一点に集中し、相手を打ち抜く究極の拳。
「超雷華崩拳!!!!」
当たれば鉄のかたまりなど軽くふっとぶほどの威力を秘めた拳だ。
マジンガンの胴体に鈍い音を響かせてネギの拳が突き刺さる。
やったか?
いや・・・
「えっ!?」
マジンガンに傷一つつかない。
「いや、・・・違う!?」
ネギの攻撃に無傷なのではない。
何故なら直接打撃を打ち込んだネギに、手応えがなかったからだ。
まるで自分の攻撃が全て無効化されたかのように・・・
「ぬはははは、確率変動場じゃ」
「ッ!?」
「ヌシらの攻撃がマジンガンを破壊する確率を弄くった」
そう、それはもはや人間では本来届き得ない神の領域の力。
「なんですって!?」
「やはりか! どうりで俺たちの攻撃が届かないはずだ!?」
ジェノバはサラッと言うが、ちょっと待て・・・
「「「「「「「「「「か、確率を弄くった!?」」」」」」」」」」
確率を弄くるなどどういうことだ?
「ちょちょちょちょちょーッ!? か、確率っておい!?」
「テルティウム! あれは確か、シモンとやらと同じ!」
「ああ、なんて種族だ・・・螺旋の一族は!」
そんなものが人間に出来るはずが・・・
「よって、ヌシの攻撃でワシは破壊されなかったということじゃ。魔力も威力もお構いなしに、確率に嫌われたということじゃ」
「そ、そんなッ!?」
「ふん、確率も覆せないとは・・・まだまだヌシらにワシをしびれさせるほどのものは無かったということじゃ!!!!」
マジンガンがハエでも払うかのようにネギを払いのける。
「鬱陶しいわァァァァァァ!!!!」
軽々とはじき飛ばされたネギ。そして雷天状態が解除してしまうほどのダメージを受けた。
「うっ・・・ぐっ・・・」
巨大化したジェノムの攻撃すら防いだネギが、今度は一瞬でなぎ飛ばされる。
「くそっ・・・なんという・・・!」
「いかん!」
「ネギ先生!?」
「あかん、モロに受けたで!」
全身に伝わる痛み。そして相手から感じる力。それはジェノムとは明らかに違うものであった。
「ぬはははは、しみったれて堅物でつまらぬジェノムと一緒にするでないぞ? あやつは螺旋力を扱う技術に長けていたが、本質を知らなすぎた。心も伴わぬあんなオーラでは、本来の十分の一の力すら出せなかったであろう」
マジンガンから聞こえてくるジェノバの高笑いが響き渡る。
「だからこそ貴様らは温すぎる!! そんなもので『何か』を変えようなどとはな!!」
しかし、ネギはそれでも歯を食いしばって立ち上がる意思を見せる。
「つう・・・確かに・・・密度が違いますね・・・本能に身を任せたあなたたちがこれほど強いなんて・・・」
だが、立ち上がったところでその姿では何もできやしないとジェノバは見下す。
「その通りじゃ!! そして何よりも、戦闘においてワシには絶対に敗れられぬわけがある! 世界を背負ってる? んなもん知るか! ワシが背負っているのはワシらの時代と宇宙そのものじゃ!!」
桁が違うのか、それとも格が違うのか。
修練の数。乗り越えてきた修羅場の数。覚悟の量。
いや、そんな口で表現できるようなものではないだろう。
(別にパワーも威圧感もジェノムさんとそれほど差があるとも思えない・・・なのに・・・なんでこんなに・・・)
ジェノムを圧倒できたネギだが、ジェノバに圧倒される。これはどういうことだ?
それはある意味根本的な違い。
ジェノムが赤い光で、ジェノバは緑色の光。
たかが光の色の違い。
しかし実はそれこそが螺旋族においてはもっとも重要な力の源となるのだ。
「銀河の戦で育まれ!! 戦で銀河に名を轟かせ!! 銀河史上最大級の敵と出会い!! 全身全霊を捧げて仲間と共に戦いの日々に明け暮れた!!」
だからこそ、ジェノバはジェノムとは違う。
「例え宿敵に敗れた敗将とて、あの激熱の銀河の歴史を創ったワシらにキサマらの小さき信念と情熱ごときで砕き飛ばせるものか!! ワシらを誰だと思っている!!」
世界のために本能を封じ込めたジェノムと、己の本能を制御せずにどこまでも先へ先へと目指すジェノバ。
「あの時に滅んだワシの友や仲間、同じ種族の民たちの無念を抱え、この新たなる可能性の宇宙で、ワシはまだ見ぬ明日を螺旋の友へ見せる! その邪魔はさせんぞォ!!!!」
「「「「「「「「「「ッッッッッッ!!!!!?????」」」」」」」」」」
あまりの大きさに腰を抜かす。
大きさとはガンメンの大きさではない。
その人物そのものの大きさだ。
世界を語ったジェノムですら大きさを感じたのに、ジェノバから語られるのは時を越えた宇宙規模の話だ。
考えることすら呆れてしまうぐらいの大きさだった。
だが・・・・
「ふっ・・・ふふふ」
「なんじゃ、小僧。何がおかしい?」
「すごい・・・世界がどうとかそういうのじゃない・・・今のあなたはあくまでも未来を目指し、そして過去をも全て抱えて戦っている・・・確かにシモンさんと似ているかも知れない・・・」
だが、誰もがジェノバの大きさに飲み込まれそうになる中、何故かネギだけがうれしそうに笑っていた。
「でも、だからといって、それがこの世界を好き勝手していい理由にはなりませんよ。たとえあなたがこの戦いに勝ったとしても」
そうだ、なんの理由にもなり得ない。
例えジェノバが何者であってもだ。
しかし、それすらもジェノバは跳ね除ける。
「だからどうした。所詮は戦いになった時点で重要なのはどちらが正しいかではなく、どちらが勝つかのみ。アンチスパイラルに負けた千年前の戦士たちはアンチスパイラルに従い、アンチスパイラルを倒した者たちは彼らの宇宙を創る。正論や道理など知ったことか!」
そこでネギは、その言葉を待っていたかのようにビクンと体を跳ね上がらせて顔を上げる。
その表情は、ずっと追い求めていた何かを見つけたかのようにキラキラと輝いた瞳だった。
何故か?
それは・・・
「そう・・つまりあなたを超えられれば・・・僕たちだって変えられるってことですよね・・・」
「ぬう?」
「半端では決して届くことのできない・・・『何か』を・・・変えられるってことじゃないですか」
「ぬっ!?」
そう、これまでフェイトやデュナミスやクロニア、そしてジェノムがネギを否定してきたのは「何も変えられる訳がない」と思っていたからだ。
例えネギの理論や救済案が正しくても、正しいからといってその流れが世界に届くかと言えば、そうとは限らない。
やはり『何か』を変えなければいけない。
だが今、ネギの前にはジェノムに続いて、ジェノバという男が現れた。
世界を、宇宙を、人類をも変えようとしている者たちだ。
ならば、こう考えられる。
目の前のこの壁を乗り越えられたならば、自分たちも変えられるはずだと。
変えなければならない『何か』に向かって立ち向かえるはずだと。
「超えてみせますよ・・・・・・どんなスケールが大きい人だろうと関係ありません。そういうスケールの大きい人にはもう、慣れてますから」
「・・・・むむ」
二カッと笑うネギは、ジェノバにとってはあまり面白くはないものであった。
だが、同時に「なるほど」とも思った。
「ふむ・・・確かにのう。ジェノムどころかワシまで倒したならば、貴様を阻むものはないと言えるな~。だが、・・・それが一番難しいと分かってそんな口叩いているのかの~!」
「そこに僕たちが望む明日があるのなら!」
「ぬ? くっくっくっく・・・ガーハッハッハッハッハ!!!!!」
自然とジェノバも笑みが溢れた。面白くないようで、実に面白い。
恐らく、10歳の子供にここまで言い返されたのは生涯初の出来事だった。
それがジェノバを高ぶらせた。
「こんな戦いで過去ほど燃えるとは思わんが・・・まあ、悪くはない。悪くはないぞ! 少しだけワシも熱くなってきたぞ、小僧!!!! 久方振りに昔のワシらを少し思い出した!」
マジンガンがジェノバの思いに呼応しているかのように猛る。
みるみるうちに螺旋のオーラが渦巻いていく。
眩しく目を覆いたくなるほどの強い光。
「ならば、ご託はやめてかかってくるが―――――」
しかし・・・・
「燃える仲間の割り込みパーーーーーーーーーーーーーーーーーンチ!!!!!」
「ほでゅわああああ!!!????」
それは何の前触れもなく起こった。
「「「「「「「「「「えええええええええええええええええええええええええええッッ!!!!????」」」」」」」」」」
猛るマジンガンがネギたちにとどめを刺さんと駆けだした瞬間、墓守人の宮殿の外壁がぶちやぶられ、外からマジンガンを遙かに上回る巨大な拳が顔を出し、マジンガンを殴り飛ばした。
「でででで、でかッ!!??」
「な、なんだありゃ!?」
「あのガンメンより更にデカイ、グーパンチが!?」
通常のガンメンですら、人間の何十倍もの巨体なのだ。そのマジンガンの全長よりも拳一個だけで既にデカイなど、この拳の主は何者だ!?
もはや人間などチッポけと化したこの状況で多くの者が床にヘナヘナと腰が抜けた。
「いやー、ワリーワリー! ヴィラルさんたちが危なかったから思わず殴っちまった! 悪いな! ・・・良かったんだよな~?」
すると、そんな戦場の空気をうち破ったのは、やけに明るい青年の声だった。
「今更言わないでよ、ギミー。ほら、皆さんすごいびっくりしてるじゃない。って、あれ? うそ、ヨーコさんまでいる!?」
青年の明るさを戒めるように、女性の声もスピーカーから聞こえてきた。
どちらもネギたちにはまったく聞き覚えのない声だ。
するとデカく空いた宮殿の壁の穴からのぞき込む、もはや一目では全体を視界に納めることが出来ないほどの巨大ロボットが、顔をのぞきこんできた。
「「「「「「「デ、デカッ!?」」」」」」」
でかさも度を過ぎている。
なぜなら、マジンガンですら首を大きく曲げなければ見上げることすら出来ないほど大きいというのに、そのマジンガンがまるで玩具に思えてしまうぐらい、更にデカイ人型の超巨人。
しかも、魔法世界でシモンの記憶映像を見た者たちはどこかその大巨人の面影が「何か」に似ていたことにもすぐに気づいた。
「キサマら、よりにもよってものすごい物を引き連れてきたな! ギミー! ダリー!」
「一瞬、シモンなんじゃないかと思ったわ! すごいわね! 過程は聞かないけど、成長したじゃない、二人とも!!」
そんな顔を除かせている超巨人に向けて興奮の押さえ切れぬ笑みを浮かべるヴィラルとヨーコ。
「ヨーコさんたちの知り合い!? って、どっからどう見てもそうだけど!」
「あれ? そう言えばギミーとダリーって・・・」
「うん! ほら、あの双子じゃない? よく大グレンの中でウロチョロしていた子供だよ!」
「確か、アダイ村あたりで仲間になっていた・・・」
ギミーとダリーという名前を聞いただけで、その名を知る者たちだけがザワザワと騒ぎ出した。
意外に詳しいな・・・
それがヴィラルとヨーコたちの感想だった。
しかし、今はそれどころではない。
「ちょっと待て!! まずはこいつらが誰かよりも、この全長何メートル? いや、何キロかを計ることすらアホらしくなるデカ物が先だろ! 何なんだよおめーらは!!!!」
「「「「「「「「「「確かにッッ!!!!」」」」」」」」」」
千雨が叫んだ言葉だったが、誰もが大きく頷いた。
そうだ、まずはこの超デカイ物体は何だ!?
だが、多分皆は既にその答えは分かっている。
ただ、確認の意味を込めて知りたいのだ。
一部ではもはや呆れを通り越して頭を抱え、一部では瞳を輝かせてウズウズしている。
「おっ、そうか。自己紹介がまだだったな。なら教えてやる。俺はカミナシティ・新政府軍のギミー」
「私はダリー。皆さん、よろしく」
「俺たちは銀河の壁を超えてやってきた、銀河最強大グレン団の意思を次ぐ者たち!! そしてこいつが・・・・・・」
すると、スピーカー越しに青年の誇らしげな声が聞こえてきた。
「魔道大グレンラガンだ!!!!」
「「「「「「「「「「やっぱグレンラガンだアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!??????」」」」」」」」」」
その瞬間、戦場が大歓声に包まれた。
「すごい! すごいすごいすごい!!!!」
「ったく、ほんまかいな! 学園祭の時から続いて登場かい!」
「しかも、アニキじゃなくて、他の大グレン団のメンバーも続々! やばすぎっしょ!」
「フェ、フェイト様!? 見てください! グレンラガンですよ!」
「しゃ、写真を! うおおおお、携帯カメラじゃ収まりきらねええええ!?」
「ちょっと待て! これがグレンラガンなのは分かったが、『魔道大』って何だ!? しかも学園祭の時に見た奴よりも遙かにでかいぞ!? こいつら、アレだろ!? ぜってー何かとアレしただろ!?」
「アレしましたね・・・多分・・・魔法世界の何かと・・・合体を・・・」
正に天地が、いや、絶望と希望が一瞬でひっくり返るこの衝撃。
ついにグレンラガンまでもが、ネギたちの前に現れたのだった。
その衝撃は、ちゃんとこの二人にも届いていた。
「で・・・・手出し無用って・・・俺は見ているだけってことなのか?」
超にこれから始まる戦いにシモンは手出し無用と言われてしまい、結局何をすべきかわからないシモン。
確かに今の疲弊し切ったコンディションでは出来ることは限られるかもしれないが、本当にこのまま黙っているだけでいいのかとシモンが尋ねた。
すると超は、シモンの腕を肩に回したまま、「チッチッチ」と人差し指を振った。
「違うネ。ネギ坊主たちが忙しいからこそ、私とシモンさんはネギ坊主が本来やるはずだったけど出来なくなったことをやる・・・今、そのための場所に私たちは向かっているネ」
「えっ? どういうことだよ。もったいぶらずに教えろよ」
「ふふ・・・それは・・・」
――――ッ!?
その時、宮殿全体が激しくグラついた。
一瞬、この巨大な墓守人の宮殿が上下にひっくり返りそうな衝撃だった。
「つっ・・・・なんだ、今のは!?」
「あ~・・・・・・多分・・・シモンさんが昔使ってたあのガンメンが乱入でもしたか?」
「ッ!? 俺が使っていた・・・まさか!?」
まさか・・・・
そのまさかだ。
「まあ、アレだろうとギミダリコンビだろうと、シモンさん自身が手を出さないなら・・・まあ、アリ・・・カ?」
そしてついに・・・
「ギミッ!?・・・ふっ・・・・あいつらか・・・懐かしい・・・会いたいな・・・俺を驚かせるぐらい、大きくなってるかな?」
魔法世界大戦のファイナルラウンドが幕を開けるのだった。
そして、もうじきシモンすら知らない古の螺旋族の本領が発揮されることになる。
そう、ジェノバの螺旋の力に、魔法世界の天地が揺れることになるのだった。
後書き
やばい・・・なんかしらんけど、誰が誰だか、誰がいるのか、もはや分からん!
分かりづらくて申し訳ありません。
最終更新:2012年01月10日 14:20