第百三十七話 俺たちに明日を見せてみろ! 投稿者:兄貴 投稿日:12/01/04-22:50 No.4473
そこに、魔道の極みを超越した巨人が誕生した。
絶対的絶望を打ち砕くために現れたのは、絶対的希望の超魔道ダイグレンオー。
想いと願い。意思と希望。過去と未来。人の魂。
そして魔法と螺旋が捻って交わり、生命の炎に包まれたその巨人こそ、歴史の道標に反逆するために生み出された最大の力。
世界そのものと化したジェノバも、その天地を揺るがす魂の叫びは感じ取れた。
『ほほう。全機合体か・・・複数のメカを大量に合体させるにはかなりの経験が必要じゃが、キサマら・・・どうやら本気でワシを討ち取るつもりか』
天地四方から、世界と化したジェノバは隅々まで超魔道ダイグレンオーを凝視した。
その心は、現れたその超巨大ガンメンにどこか懐かしさを感じていた。
『現時点での腕前はまだしも、確かに才能だけなら飛び抜けているようだな・・・・・・・しかし・・・・』
しかし、郷愁を感じたところで、それはまだジェノバをしびれさせるほどのものではなかった。
何故なら・・・
『で? 結局、それでどうやってワシを倒すつもりじゃ?』
そう、何故ジェノバがこれほど余裕なのかといえば、今のガンメンで自分を仕留められるはずがないと分かっているからだ。
『いくらダイガン級のメカが複数合体したところで、まだまだワシの想像は超えられんぞ! ようやくスペースガンメン、スペースダイガン級が一体分程度じゃろう?』
ガンメンの大きさにはランクがある。ヴィラルのエンキドゥドゥ・改のような通常の大きさのガンメンから、ダイガン級、そしてガンメンでガンメンを操縦するスペースガンメン、そしてスペースダイガン級だ。
スペース級のガンメンの力になれば、その一体の力だけで一国をも転覆させられるだろう。
しかし・・・
『ワシの居た時代には、それ級のガンメンなんぞ、それこそ星の数ほど居たぞ!』
そう、どれほど合体しようとも、どれほど巨大で強大になろうとも、所詮はこの星の中での話し。
この世界そのものとなったジェノバから比べれば・・・
ましてやかつての銀河の戦を知るジェノバからしてみれば、全ては想像の枠内に収まる話しでしかなかった。
それは決してハッタリなどではない。
『では・・・その証拠として・・・いでよ! スペースダイガンザン! スペースダイガンカイ! スペースダイガンド! スペースダイガンテン!』
それは、この世界を触媒にして現れた巨大な怪物。
山、海、大地、空
全てを操れるジェノバは、この空域に集った戦士たちがようやく生み出した超魔道ダイグレンオーと同サイズの人型の物体を生み出した。
それも四体もだ。
「そんな・・・、で、でかい!?」
「あれは、シモンの記憶映像に出てきた螺旋王配下の奴らが乗ってたガンメンに似てる!」
「でも、大きさは桁違いよ!?」
やっとの思いで到達した自分たちの力をアッサリと生み出された。
ネギたちのショックは相当大きかった。
「なんてことだ!」
「ふん、この世界のエネルギーを使って生み出したか! しかし、嫌な性格している! 俺たちの想像などまだまだ枠内だと言いたいのだな!」
答えたのはヴィラルだ。
全機合体として取り込まれたエンキドゥドゥ・改のコクピットにいるヴィラル。しかしここで彼は面白いことに気づいた。
「しかし、敵の力もさることながら・・・こちらはこちらで面白いことになっているな~」
それは、元々自分用のコクピットのあるガンメンを取り込まれたために、ヴィラルは全機合体と化したこのガンメンの操縦に干渉できた。
つまりそれはギミーとダリーのグレンラガンのコクピット以外からでも、このガンメンの操縦に干渉できるということ。
ならば他の連中はどうだ? そこにはヴィラルの思ったとおりの状況になっていた。
「うおおおおお! すげえ! なんだこりゃあ!」
「妾ら一人一々にコクピットがついているぞ!」
「信じられない・・・私にも・・・」
「俺もやーっ!」
「ウチにもあるえっ!」
「わ、私にも!?」
「うおおおお、俺たちにもだ!」
「なんと・・・完全なる世界のメンバーでもある私にも・・・」
「僕たちにも・・・」
「うがあああ! 俺様もだアアア!!」
なんと、全機合体したこのダイグレンオーには、このガンメン内に居る人類全員に、それぞれ独立したコクピットが与えられていたのだ。
「へへ、俺はそういう仕様にしようとは思ってなかったけど、一人一々に抗う権限があるってことだな!」
「なんか・・・この感覚・・・懐かしい!」
ギミーとダリーもグレンラガンのコクピットの中で体温が上昇するのを感じた。
一人一々にコクピットがあるなど、操縦はどうなるのだ?
みんなが勝手に動いたり自分勝手に操縦したりなどして、返って滅茶苦茶になるのではないか?
しかしなぜか、ギミーとダリーも、そして他の人間たちもそんな心配はしていない。
まるで、全員の意思が何もしなくても繋がり、統一されているように感じたからだ。
――――俺たちを誰だと思っていやがる!
それこそが人類の意思を統一させるための魔法の言葉だったのかもしれない。
「やれやれ・・・まさか僕までもがこんな展開に巻き込まれるとは・・・」
ネギたちと同じように自分専用のコクピットが与えられ、どこか好戦的な笑みを浮かべながら操縦桿を握りしめるフェイトが呟いた。
「フェイト・・・まさかこんな形で手を組むとは思わなかったね」
「まったくだよ、ネギ君。しかし今はこの特等席に遠慮なく座らせてもらおうか」
「うん。心強いよ」
心強い・・・素直にネギはそう言えた。
それは彼らも同じ。
「ふん、まさかのめぐり合わせだな。タカミチ、そしてクルト」
「デュナミス・・・そうだな・・・だが今は」
「ああ。僕も過去を簡単には流せない。でも今は、君と共に戦うことにワクワクするよ」
「おうおう、俺たちも混ぜろよな!」
「妾も!」
「ふふふ、20年前以上に私も興奮するわ」
デュナミスやタカミチやクルト、さらにはテオドラやリカードにセラスなど、決して水に流しきれない過去の因縁を持つ者たちですら、今はその全てを忘れて共に戦うのだ。
正義も悪も関係ない。
人種だろうと役職だろうと階級だろうと身分だろうと全てがちっぽけな問題だ。
こんな現実に直面しては、誰もがつまらぬしがらみを消し去り、ただ同じ想いを抱いているのだった。
「さあ、盛り上がってるところ悪いけど」
「来ます!」
ギミーとダリーの言葉が合図となり、スペース級のガンメン四体が超魔道ダイグレンオーを四方から囲んだ。
四対一。
いや、この世界そのものがジェノバと考えると、実質は一対全だ。
そして、現実的な話し、これほど巨大すぎて複数のメカと人が入り交じった合体は今のギミーとダリーには困難を極めた。
少しでも気を抜けばすぐに合体が解除されてしまいそうな予感がヒシヒシとギミーとダリーは感じた。この敵相手にそれは難しい。ならばと、彼らはある提案をした。
「みんな、聞いてくれ。気合が漲っているところに悪いんだけど・・・情けない話し、今の俺じゃあ、合体を維持しながら戦うのは難しい!」
「そこで、私とギミーでグレンラガンを中心とした合体の形態を維持することに全力を注ぎます! だから、戦いは・・・皆さんにお願いすることになると思います!」
ギミーとダリーが告げた言葉に、戦士たちは震え上がった。
それは、恐怖ではなく武者震い。
何故ならギミーとダリーの言葉の意味は直訳すると・・・・
―――この馬鹿でかいガンメンで戦ってくれ
と言っているようなものだ。
誰もがゾクゾクしてきた。自分専用のコクピットが与えられて、こんな馬鹿でかい物を動かすのだ。
心を持つ者たちの興奮は頂点に達した。
「へへ、すごい。我々はどこまで行くんだ?」
名も知らぬどこかの国の軍人が呟いた。
その言葉に名も知らぬチンピラが応えた。
「おいおい、決まってるじゃねえか」
その言葉に名も知らぬ戦乙女が頷いた。
「その通りです」
名も知らぬ騎士も頷いた。
「そう・・・」
あまりにも多すぎる者たちが乗っているこの機体、正直顔見知りがほとんど居ない。
だれもが話したことがあるどころか、顔も名前も知らない人どころか、今日初めて出会った人たちばかり。
だが、既に彼らは何年も共に戦い続けた同志のような空気を持っていた。
「「「「「「「「「「どこまでもだよ!!!!」」」」」」」」」」
英雄も天才も王族も常人も凡人も落ちこぼれもチンピラも犯罪者も全員が対等な仲間。
そこに異議を唱える者はなく、皆同じような頼もしい笑みを浮かべながら個々のコクピットの中で操縦桿を握っているのだった。
「「「「「「「「「「さあ、行くぞコラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」」」」」」」」」」
比喩ではなく、文字通りその巨大な一歩は世界を股に掛けていた。
超魔道ダイグレンオーとジェノバが生み出した四体のデカブツにはこの世界全体ですら小さいかも知れない。
それほどまでの巨体と化したこの戦争で、まず動き出したのは超魔道ダイグレンオーだ。
単純な拳の打ち込み。しかしそれだけですら隕石墜落並の衝撃だろう。だが、四体のスペースダイガン級の化け物も伊達ではなかった。
これほどの巨体でありながら軽々と攻撃を回避し、それどころかなんと四体はダイグレンオーを四方から取り囲み、狙いを定めさせない。
「げげ! こんなデカイくせに集団戦法も使えるのかよ!」
「ギミー、合体に集中して! そんなこと四体全部がジェノバの意思と繋がっているんだから、当たり前だよ!」
これほどのデカ物に周りを囲まれて集中攻撃されたら一溜りもない。
まずは距離を離し、そして一体一体確実に仕留めるのが定石だ。
するとその時、まっさきに動いたのが彼女だった。
「まずは引き離す! ここは私にお任せを!」
ギミーとダリーがシモンたちの後輩なら、彼女はギミーとダリーの後輩に当たる。
シモンの妹としての肩書きと、新生大グレン団のメンバーとして、既にグレン団のマークに恥じぬ成長をした彼女が、先陣を切って動いた。
「超魔道カソクソーチ!!」
それはアーティファクト。何気なく使ってみたが、なんと美空の足が速くなる靴のアーティファクトを巨大にした物を超魔道ダイグレンオーが装着していた。
どうやらこれが超魔道ダイグレンオーの能力。
発動した魔法やアーティファクトをパワーアップさせて超魔道ダイグレンオーが使うようだ。
「がーはっはっはっはっは、ジェノバのおっさん。あんたには足りない! 足りないよー! 速さが足りない!」
「「「「うおおお、美空ちゃんすげええええ!!」」」」
超魔道ダイグレンオーが、まるで美空のように高速で駆けだした。そのスピードに四体のスペースダイガン級のガンメンは追いつくことすら出来ない。
「よっし! 間合いから引き離した! 後はよろしくッ!」
「了解、美空ちゃん! 今度は私だよーう!」
四体に囲まれていた状況から脱した超魔道ダイグレンオー。次に力をふるうのはハルナだった。
「超魔道・落書帝国(インペリウム・グラフィケース )召喚! 簡易・超魔道ダイグレンオーゴーレム!」
ハルナはスケッチブックに描いたモノを簡易ゴーレムとして召還できるアーティファクトの持ち主。彼女はなんと超魔道ダイグレンオーを描いて、同サイズの分身体を20体近く召喚した。
勿論、戦闘能力は再現されないだろうが、目くらましになる。
「うおおお、パルすげええ!!」
「へへん、戦闘能力は再現されないけど、ビビッたっしょ!!」
これにはジェノバの意思が少しギョッとしたのだろうか、スペースダイガン級の化け物たちは動きを止めた。
しかし・・・
『ぐわははは、知るかいそんなもん! 下らぬままごとよ! 全部まとめて消し去ってくれる!』
スペースダイガン級の四体がそれぞれ砲台を構える。エネルギーが凝縮されるその空気が戦士たちのコクピットまで伝わった。
ケタ違いの規模の砲の乱れ打ち。
その破壊力と規模に分身体全てが撃ち抜かれて四散する。
だが・・・
『なに! 全部偽物者と!』
そう、なんとその中に本物の超魔道ダイグレンオーは居なかったのだった。
全てがハルナの作り出した偽物。
なら、本物は?
「っしゃあ、夏美姉ちゃん最高や!」
小太郎の声が響く。
それは空から。
『むう!』
ジェノバが世界全土に神経を張り巡らしてようやく超魔道ダイグレンオーの存在を索敵した。
それは大陸の地平から遥上空だった。
そしてその超魔道ダイグレンオーは、取っ手の付いたマスクを装着していた。
「超魔道・孤独な黒子(アディウトル・ソリタリウス)!!」
それは夏美のアーティアクト。存在感を極限まで薄くさせるアーティファクトを、もはや存在感の塊とも言えるこの超魔道ダイグレンオーに使用してジェノバの意識を逸らした。
「でで、でももう気づかれちゃったったよー!! 早くみんななんとかしてー!?」
だが、存在感を薄くしたとて流石に気づかれた。そして上空から降下していく超魔道ダイグレンオーの真下にはデカ物四体。
しかし、これだけで他の者には十分すぎるサポートとなったのだった。
「超魔道・不思議な注射器! 超魔道の濃縮還元ドーピングスープで全員パワーアップ!!」
「亜子ッ! ナイスサポート!」
亜子のアーティファクトの能力により、気合に続いて全員の出力も大幅アップ。
もはや抑えきれぬ全てを今こそ戦士達はぶつけまくる。
「さあて、脳筋組も行くぞ!!!! ガキ共に遅れを取るなァ! ハデにやれええええ!」
「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」」」」」」
元軍人のリカードの号令に一斉に応える戦士達。
その魔道を超越させた力を、今こそ歴史に刻むのであった。
メガロメセンブリアの騎士団たち。
ヘラス帝国の軍人たち。
アリアドネーの戦乙女たち。
大監獄から出てきた荒くれ者たち。
さらには・・・
「うらああ! 超魔道・爆壊弾!」
「ゆくぞよ! 超魔道・ヘラス帝国流拳法!」
「いくわ! 超魔道・雷の斧(ディオス・テュコス)!!」
「ぐわはは、超魔道・殺人回転木馬!」
「ワシもじゃ! 超魔道・破軍の刃陣(アルカイド・ブレイド)!」
「やってやんよ! 超魔道・ブラッディフラッパー!」
「散れェ! 超魔道・デモリッション・ブルー!」
「見ていてください、シモンさん! 超魔道・雷光剣!」
「行くアル! 超魔道・神珍哲自在棍!」
「私もだよーん! 超魔道・七色の銃(イリス・トルメントゥム!)」
「私だってやりますー! 超魔道・ガトリング砲!」
「いくよー! 超魔道・自在なリボン(リベルム・レミスクス)」
「では拙者も! 超魔道・朧十字!」
「まあ、たまには私もノリに乗ろう! 超魔道・魔眼解放!」
「ガキどもばかりにやらせられるかい! 超魔道・三枚符術 京都大文字焼き!!」
「行くぞー、ブータ! 超魔道・メカタマインパクト!」
「なら私も! 超魔道・竜連牙!!」
「僕も! 超魔道・六王銃!」
「よく分かんないけど、もうやるんだからねー! 超魔道・アーニャフレイムバスターキック!」
「ココネもヤる! 超魔道・南十字星(サザンクロス)!」
「美空ちゃんとココネちゃんに続け! 極漢魂ァァァーーーーーーーッ!!!!」
「そのとおり! 超魔道・ダブル・疾空掌!!」
「ヨーコさんにいいところを見せるぞ! 超魔道・3D式ドラゴンスクリュー!!」
「義を見てせざるは勇無きなり! 超魔道・百華崩拳突き!!」
「では私も行きます! 超魔道・イナヅマパンチ」
「本望。超魔道・田中エンキ・サン・アタック!」
「私たちもですわ! 超魔道・黒衣の夜想曲(ノクトゥルナ・ニグレーディニス)!!」
「私だって負けません! 超魔道・オソウジダイスキ!!」
正に一斉攻撃。
「げっ・・・」
「ちょちょ、みなさん、やりすぎじゃないですかー!?」
そのあまりに容赦のなさすぎる、星の原型すら変わってしまうのではないかと思われる怒涛の攻撃の嵐に、ギミーとダリーは顔を引き攣らせてしまった。
もはや大陸に上がる巨大なキノコ雲は、スペース級の弩級ガンメン四躰を完全に飲み込んだ。
「いや、相手は世界そのものだ! この程度で根を上げては苦労はない!」
油断は絶対にしてはならぬと念を押すのはヴィラル。
彼もこれだけで終わるはずがないと分かっていた。
「私の能力で索敵するよん! 超魔道・渡鴉の人見(オクルス・コルウィヌス)! あのキノコ雲の中のデカ物を見つけてきて!」
そこで登場するのが、朝倉和美のアーティファクト。数躰のスパイロボットが粉塵の中に突入し、映像を通してデカ物四躰の行方を捜索する。
だが、これで終わりではないとヴィラルが呟いたものの、いくらなんでもこれほどの集中砲火を受ければ・・・
『この程度か・・・?』
――――――――!!!!????
だが案の定、世界に声が響いた。
『くだらぬ。やはりこんな戦では滾らんのう』
その時、巻き上がる超巨大キノコ雲の中からその煙に匹敵するかもしれぬほどの巨大なサイズを誇る何かを朝倉のアーティファクトが捉えた。
「なな、なになに!? なんか・・・なんかさっきよりデカイ何かが煙の中に居るじゃん!?」
「な、なんですかアレ!?」
「こ、これは!?」
その流れた映像を各々のコクピット内で見ていた戦士達も気づいた。
先程までは超魔道ダイグレンオーと同サイズの超デカ物が四体居た。
しかし今、超魔導ダイグレンオーの超集中攻撃によって巻き上がるこの巨大キノコ雲の中に居るのは僅か一体。
だが、その一体は先程の四体や超魔道ダイグレンオーを遥かに超越するサイズの超弩級のデカ物なのであった。
『地中、空中、海中、山岳、あらゆる地形で最大最強の力を発揮するスペースダイガン級の合体じゃ!!』
デカさの比較が何ともできない。
『東西南北陸海空・三界四方に死角なし! これぞ完全要塞スペースドテンカイザン!!!! 』
もはやデカすぎて人類の思考では収まりきらない。
『アッサリとヌシらの極みよりもスゴイの生み出してしまったわい! もはや星の大陸と同等の質量を誇るデカブツじゃ! その威力、思い知るがよい!!』
それは、防御する間も無かった。
巨大爆炎の中から飛び出したスペースドテンカイザンの巨大砲撃が容赦なく超魔道ダイグレンオーに降り注いだ。
『何度も言わせるな小さき者どものよ! ワシラが築き上げた時代を何と心得る!!!!』
超魔道ダイグレンオーがまるで玩具のように軽々と吹き飛ばされる。
そしてその態勢を立て直すまもなく、スペースドテンカイザンの猛攻が続く。
『銀河級の螺旋力! 銀河級の人類! 銀河級の精神力! 銀河級の絶望! 銀河級の希望! 銀河級の魂! 銀河級の生命! 銀河級の軍事力! 銀河級の知恵! 銀河級の天運! その全てですらまだ足りぬ無限大の銀河の舞台でワシらは正に完全なる宇宙の時代を築き上げてきた!! もはやこの宇宙の文明では何千何万と時を重ねてもまだ見れぬ時代の果てを生き延びたこのワシを! そしてその更なる先を見ようというワシに! キサマらが敵う道理があるものかァァァァァァァ!!!!!!』
その猛攻が世界を揺らす。
『数え切れぬ銀河と戦場を駆け回り、数万、数億、数兆の戦友を失い、その全てを賭けるに値するアンチスパイラルとアニキとワシラが作り上げた銀河の時代! その全ての螺旋の友の想いが今のワシに宿り、明日へと誘おうとしている! その邪魔はさせん!!』
これが本当に人間の生み出した力なのか?
「し、信じられねえ・・・」
「つ、強すぎる! 全く・・・」
「全く歯が立たない!」
ただ、デカすぎて分からない。
超魔道ダイグレンオーという新たなる力を手にしてなお、相手のデカさも強さも桁違いであることに戦士達はうろたえた。
だが、それに対してこの男が声を上げた。
「誰一人諦めるな! 君たちが魅せられた大グレン団たちの代名詞は、諦めないものにしか穴を掘らせないはずだ!」
ガラにもなく叫んだのは、フェイト・アーウェルンクスだった。
「そして思い知るのはあなただ、ジェノバ。僕たちに恐れることなど何もない! 怯みはしない! あなたのドリルなどではね!」
先程までの全軍の集中砲火で放たれた魔力とは格の違う魔力がうねりを上げた。
(そうだろう、シモン? 君もこうやってデカイ壁を突き破ってきたのだろう?)
そう、あの男もこうやってずっと戦ってきたのだろう。ならば負けるわけにはいかない。
フェイトとシモン。一対一の戦いで敗れたからといって、心まで負けたままで居ていいはずがない。
このまま朽ちて良いはずが無かった。
「フェイト様が猛っておられるのだ! 我々がボヤボヤしているわけにはいかない!」
「どこまでも付いていきます!」
「やるです!」
「フェイト様と共にあれるのならば、火の中水の中、銀河の果てまで!」
「ネギさんや白き翼の方々たちにばかり遅れを取るわけにはいかない!」
焔、暦、環、調、栞。
少し前まではネギたちと世界の命運をかけて対立していたのに、今では共に戦う頼もしき同志。
人類のため、世界のため、そして愛すべき主君のために、彼女たちに恐れるものは何もない。
「ふっ、子供や悪党ばかりに任せてはおけません!」
「その意気だ、クルト! 遅れを取るなよ、デュナミス!」
「ふん、笑止! 誰に物を言っているのだ、タカミチよ!」
何十年と続く因縁を誇るクルト、タカミチ、デュナミスですら・・・
「ウガアアアアアアアアアアア!!! 全員死ねェェェェェェェ!!!!」
伝説の魔人チコ✩タンも・・・
「シモンさん・・・我がライバル・・・見ていてください・・・いつまでもあなたの背中ばかりを見ません!」
科学で生み出されたロボットの茶々丸も同じ。
「へっ、フェイトもやるやないか。んで、こうゆーときは、アレやったな! ネギ! ほら、カミナの兄ちゃんが生身でありながらデカイガンメンに啖呵切った時のアレや!」
「うん、そのとおりだよ、小太郎君!」
その全ての反逆者たちを代表してネギは世界に向かって、ジェノバに向かって言う。
「ジェノバさん! こういう時に僕たちはこう言うんです! 負けねえ、引かねえ、悔やまねえ 前しか向かねえ、振り向かねえ、ねーねーづくしの男道です! 僕たちは一歩も下がる気はありませんッ!!!!」
「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「いや、私たち女の子・・・っでもそういうことよ!!!!」」」」」」」」」」
ネギの生徒たちを含め、かなりの人数の女の子が超魔道ダイグレンオーに乗っているため、ネギの言う「男道」というものは誤りがあるのだが、女の子たちもノッた。
重要なのは性別ではなく、男気だからだ。
「ぷっ・・・ぷぷぷ、やば・・・マジおもしれえ!」
「も、もう、私こんなに緊迫した状況なのに可笑しくって笑っちゃうよ。シモンさんって、この世界で一体何をやらかしたのよー!」
「ふっ、ギミー、ダリーよ、もはや笑いを堪える必要などない! 逆に盛大に笑え、あのカミナのように! 最高だ! この次元丸ごと気に入った! 毛穴の奥まで響いたぞ!」
もはやコクピットの中で大笑いするしかないギミー、ダリー、そしてヴィラル。
この心、魂、そして気合。かつての自分たち大グレン団とまるで同じじゃないか。
どうやらシモンはこの世界に大グレン団の気合を伝染させたのだなと、もはや三人は嬉しくてたまらなかったのだった。
「さあ、派手に行くよ! 僕を・・・いや、僕たちもね! 地割り来れ 千丈舐め尽くす灼熱の奔流 滾れ!迸れ!赫灼たる亡びの地神!」
フェイトが己の魂を振るう。
自分たちの闘争の歴史を、ジェノバの手ではなく自分たちで刻むために。
「超魔道・引き裂く大地!!」
「フェイト様に続け! 超魔道・炎精霊化(チェンジ・ファイア・スピリット)!!」
「当たり前! 超魔道・ブラッククロウ!!」
「当然! 超魔道・ドラゴンバウト!!」
「どこまでもお供いたします! 超魔道・救憐唱(カントゥス・エレイモシュネース)!!」
「神鳴流・超魔道・百花繚乱!!」
「超魔道・七条大槍無音拳!!」
「超魔道・虚空影爪 貫手八殺!!」
「ウガアアアアアアアアアアアア! 超魔道・怒号裂波ァ!!」
「魔力、エネルギー、そして気合は200パーセント! 二一三〇式超包子衛星支援(ニイチサンマルしきチャオパオジーサテライトサポート)システム! 超魔道・空とび猫(アル・イスカンダリア)!!」
相手のデカさも知ったこっちゃない。
飲み込めるものなら飲み込んでみろ。
逆に飲み込んでやると、再び敵のデカ物が超魔道の力に飲み込まれていく。
「さあ、行くで! 超魔道・超獣進化革命!!」
「その通り! 超魔道・雷天大壮2!!」
しかしまだだ。
まだ足りない。
小太郎とネギが創造神にすら匹敵するほどのエネルギーを放出させて超魔道ダイグレンオーの螺旋エネルギーと同化させる。
――いける!!!!
一体となった膨大なエネルギーをその身に感じたからこそ、全戦士達の胸の中の希望が更に大きくなった。
だが・・・
『しかし変わらぬ・・・仮にそのスペースドテンカイザンを倒したところで、ワシの人形遊びの玩具が一つ消える程度じゃ・・・貴様らは何も分かっておらん。貴様らの相手はデカブツではなく、世界と一体化したワシだということをな』
ジェノバの言葉に気づいた者、それをずっと考えていた者、それを考えないようにしていた者と様々だが、今全員そのことを気づく。
そう、仮に幾多のデカ物を葬り去ろうとも、ジェノバには痛くも痒くもないのだ。
何故ならジェノバはこの世界そのもの。この世界の一部から生み出されたスペース級のデカ物をいくら倒したところで、どれほどの影響があるか。
『まあ、しかし。それで限界だというのなら・・・遊んでいないで一気に終わらせるのもまた慈悲かのう?』
そして、真実はそれだけではない。
『さて、小僧共! 本来は幻の筈のこの魔法世界なんじゃが~、ワシはそれでも大陸や空や大気を操っている。それがどういうことか分かるか?』
それは、誰もがそうだとは思いたくなかった真実。
『ワシは火星を触媒にした魔法世界を操れる。それならば即ち、こんな超常現象どころか、魔法世界と同じもので出来ているこの世界そのものや、魔法世界人をかき消すことなど造作もないとは思わんか?』
―――――――――!!!!!!??????
その言葉の意味は、魔法世界が幻だということが分からぬ大半の者には意味不明の言葉に聞こえただろう。
ただ、ネギたちや魔法世界の真実を知るクルトやフェイトを始めとする世界の主要な人物たちだけにはそのあまりにも無慈悲な意味を知った。
「まさか・・・テルティウム・・・あの男!?」
「ああ! なんということだ・・・こんな形で・・・」
「ちょ・・・それってつまり・・・」
「や・・・やばいじゃん・・・・」
そう、魔法で出来たはずの大陸や空や大気を操れるのなら、同じ素材でできている世界そのものや魔法世界人も、ジェノバの意思一つでどうにでもなるということだ。
大半の者たちは頭に「?」を浮かべるが、事情を知る者たちには正に死刑宣告と同じ。
「や、やめてください、ジェノバさん!! この世界はまだ―――」
「やめろ! やめてくれ!」
ネギとクルトが同時に叫ぶ。
それは強さや敵がどうとかの問題ではない。
抗いようのない、絶対的究極の絶望。
だがその慈悲を求める言葉すらジェノバにはまるで届かない。
『ワシは手に入れる! 必ず手に入れる! ワシらの世界が辿り着けなかった『明日』をな! だから・・・この世界は・・・これで終いじゃあああああああああああああああああああ!!!!!』
悲鳴すらかき消えるジェノバの宣言。
天が砕け、空が割れ、大海が果てる。
魔法世界を構成する全魔力が昇華し、今正に世界が終わりを・・・・
『・・・な・・・・・・・・・・・』
終わりが・・・・
「あ・・・あれ?」
「・・・なんとも・・・ない?」
「フェ、フェイト様?」
「アレ? 私たち魔法世界人は・・・消えるはずでは・・・?」
「なんだ。奴は何をしようとしていたんだ? 何も起こってないぞ?」
事情を知る者知らない者含めて言えること、それは「何も起こらなかった」ということだった。
「どういうことや、ネギ! あの、おっちゃん止めてくれたんか?」
「わ、分からない・・・でも・・・アレ?」
魔法世界人にも、この火星を触媒にした魔法世界も何の変化もない。
それはジェノバが直前でやめたのか?
いや、その様子はない。何故ならその証拠に、ジェノバ本人が一番戸惑っているからだ。
『ど・・・どういうことじゃ? ワシの合体は完璧なはず! この世界と完全に一体となった! ならば何故この世界を消すことができぬ!?』
それは、初めて見せたジェノバの狼狽えかもしれない。
出来るはずのことが出来ない。
出来ないことを出来るようにする螺旋族には一大事とも言える問題だった。
『何がどうなった!? 何故・・・何故消えぬ! 何故なにも起こらぬ!!』
何故何も起こらないんだ!
世界に向けて発したジェノバの疑問。
するとその時、その疑問に答えたのは・・・・・・
『ふ~、危ない危ない、・・・結構このおじさんは世界の奥深くで合体してるわね。おじさんの力を押さえつけることはできても、完全に無効化することと合体を引き剥がすのはちょっと私の力だけでは無理そうね』
『ぬっ!?』
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ッッッッッッッ!!!!!!???????」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
『まあ、でもそれならそれでどうにかして引きはがしてやろうじゃない! うん、私たちなら出来るわ! 気合で! そう、気合でやってやろうじゃないの!』
その声は、ジェノバと同じように、世界そのものから聞こえてきた。
『それにしても、魔法世界を滅ぼすですって? そんなこと私がさせるわけないじゃない!』
その声に、一部の者たちは聞き覚えがあった。
『だって私は魔法の国の伝説のお姫様であり、新生大グレン団に対抗する白き翼のメンバーなんだから!! 変なおじさんの勝手になんかさせないわ!』
それはどこか幼さが残り、しかしその活発な声からは無限の元気と気合を感じる。
『まったく・・・そもそもあんたが遅いから・・・シモンさんたちに先に叩き起こされちゃったじゃないのよ~』
それは間違うことなくあの少女だ!
『なにやってんのよ、ネギ!! みんな!!』
本物の・・・
『な!? た・・・・・・・黄昏の姫御子ッ!!??』
「「「「「明日菜さん!?」」」」」
「「「アスナちゃん!?」」」」
「「「「「アスナ姫!?」」」」」
「「「「「アスナァァァッ!!??」」」」」
明日を芽生えさせる少女。明日菜。
そんな彼女がいないまま、トゥルーだろうとバッドだろうと、物語がエンディングへ向かうはずがない。
彼女がいないまま、明日が来るはずがない。
「へへ、その通りよ! ようやく気づいたの? みんなしてそんなんだから、シモンさんたちに遅れるのよ! まったく・・・」
墓守人の宮殿の最上部。
ジェノバも超魔道ダイグレンオーも気づいていないのだろうが、その最上部にて、アスナが額に手を当てて念話のような態勢で世界に向けて叫んでいた。
その手には『造物主の掟・最後の鍵』
その彼女の後ろでは・・・
「手出しできない代わりに、ネギたちの出来なくなったことを代わりにする・・・なんのことかと思ったけど、これだったのか」
「その通りネ。おっさんの所為でお姫様を救出するタイミングを完全に無くしてしまったネギボウズたちのため・・・戦いに手は出せないまでも一肌脱いだネ!」
「それにしても・・・みんな若いわね♪」
「ヨーコさん・・・そんな発言をするから超さんに生き遅れと言われるのですよ?」
「最早・・・言葉もありませんが・・・」
アスナの後ろには、苦笑しているシモン、超鈴音、ヨーコ、シャークティ、クロニアが居た。
そしてシモンは、超魔道ダイグレンオーに胸の高鳴りを感じながら呟く。
「さあ、ネギ、ギミー、ダリー、アスナ、そしてみんな! 役者は揃ったぞ! 後は・・・後はお前たちがやるんだぞ! 俺に・・・俺たちに明日を見せてみろ!」
さあ、見せてみろ。
そのシモンの言葉に呼応したかのように、アスナが舞う。
「さあ、やってやろうじゃないのよ! 私を誰だと思ってんの!!」
ついに眠れる姫が目を覚ましたのだった。
後書き
アスナの能力はよーわからんけど、多分世界を色々と操作できるから、アスナの力でジェノバと相殺し合ってる的なイメージです。
アスナ目覚めのくだりは次話。回想みたいな形で説明します。
しかしまー、アスナを書くの結構久しぶりかも。しかも本物。
最終更新:2012年01月10日 14:58