【理由】
夕闇がのしかかる。
狭い部屋に、ぼくはきみと二人きり。
吹き込む風にあおられた甘い香りが、鼻腔にぶつかった。
れいむが死んだ。
手を乗せて体重をかけたら破裂した。
裂けたところから噴き出す餡子は、なかなか壮観だったかもしれない。
泣き叫ぶ悲鳴というより、単純でやかましい音が響いた。
中身を撒き散らして潰れる音が、れいむがこの世に残した最期のものだった。
別にどうってことはない。
ぼくが殺した。
きみは死んだ。
ただ、それだけのことだった。
夕日が墜ちる。
そろそろ、ママが帰ってくる頃だ。
今日の晩御飯はなんだろう。
ぼくの好きなハンバーグだったらうれしいな。
ママの帰りを待つ間、テーブルと床に広がったゴミを掃除することにした。
完
最終更新:2010年10月12日 21:21