【嘘と無知】
れいむ、おきて。あさだよ。
「ゆっ! おはようおきゃあしゃん! きょうもいっぱいゆっくちちようにぇ!」
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ぽかぽかのお日様を浴びて
おいしいご飯を食べて
たくさん遊んで
ゆっくりゆっくりゆっくりしよう
どこまでも続く緑の草の海を駆け抜けて
優しい風が吹く丘を登って
輝く太陽を見上げて
ゆっくりゆっくりゆっくりしよう
―――――
道端にれいむがいた。車に轢かれたのだろう、半身が潰れて虫の息だった。飼いゆっくりの証明であるバッジは辺りを見渡しても見つからない。
もしも、迷子になったり事故に遭った飼いゆっくりを助けて保護したならば飼い主から相応の謝礼がいただけるのだが、こいつは野良のようだ。
せめて楽にあの世へ送ってやろうと思い片足を上げた、次の瞬間。
「おきゃあしゃんどこにいっちゃったにょおおお!? ゆわあああん!」
少し離れた場所から、ゆっくりの幼体の泣き声が聞こえてきた。
「ゆっ……あがぢゃん?」
俺は驚いた。声を出す気力も体力も無くなっているはずの瀕死のれいむが、声を出した。こいつらは、親子なのだ。
「あがぢゃん……」
自らは既に助からないことを悟っているであろうに、れいむは我が子を捜そうと少しずつ動き出す。破けた部位から餡子を垂れ流しながら、蛞蝓のように這ってゆく。
そこで、はたと思いつく。俺はれいむからお飾りを奪い、そして――――。
「あがぢゃゆぎゅぶ!!!」
とどめをさした。お飾りは、自分の頭に装着する。
―――――
あかちゃん、おかあさんのそばをはなれちゃだめだっていったでしょ!
「ごめんなしゃい……ばったしゃんをおいかけてたら、はぐれちゃったんだよ……」
もう、これからはちゃんとおかあさんのいうこときいてね! ……さあ、そろそろおうちにかえってごはんにしようね! きょうはあかちゃんのすきなどんぐりさんだよ!
「ゆわーい! どんぐりしゃんだいちゅきだよー!」
―――――
ゆっくりのお飾りとは、個体の区別において最大の効力を発揮する。
「このお飾りを付けたゆっくりはこのゆっくりだ」と認識してしまう。……たとえ、それが血肉を分けた愛する家族だとしても。
―――――
「れいみゅのおきゃあしゃんは、でっきゃくてかっきょいいゆっくちなんだよ!」
完
最終更新:2010年10月19日 12:03