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【壁】

【壁】

 壁がある。
 れいむの前に、巨大な壁があった。
 縦も横も、どこまでも続いている、大きな大きな壁。あらゆるものの侵入を拒み、そして内にいるものを逃さぬ壁。
 れいむは、生まれたときから今まで、ずっとひとりぼっちだった。食料はその辺に生えている雑草や花、小さな虫などで、話し相手はこの壁だった。寂しさで泣いたのは、一度や二度ではない。
 どうして自分には仲間も両親も兄妹もいないのか、疑問と不安は常に胸にあった。食事をするのも、住み処を作るのも、運動をするのも、すべて自分一匹だけだった。
 それでも、いつか同じゆっくりに出会うことを信じて生きてきた。壁の向こう側に広がる世界で、みんながれいむを待っているはずだ。
 れいむは壁を壊す手立てを考え、実行した。 
 そして、今。れいむの眼前には、穴があった。何度も何度も重い石をぶつけた成果だった。壁にぽっかりと開いた、れいむがぎりぎり通れるかどうかというくらいの穴。ここをいけば、この壁の向こうには……。

―――――

 壁がある。
 ただしそれは、一つではない。壁の向こう側にはもう一つ壁があって、その向こう側にはまた壁がある。
 この世界には無数の壁がある。壁を壊すものがいれば、乗り越える者、地下を掘り進む者もいる。とあるまりさは体を酷使して衰弱死し、とあるぱちゅりーは壁に絶望して自ら命を絶ち、とあるありすは欲望を壁にぶつけて嘆きながら死んだ。

 れいむは、いくつもの壁を突破してついに他のゆっくりに出会ったが、それはすでに風化した命のかけらに過ぎなかった。


      完

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最終更新:2010年11月23日 19:53
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