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『まだ…死ねるかッ!!』
ハンニバルは片膝を付いた無理な体勢のまま垂直に跳躍した。軸に使った右脚部が無機質な悲鳴を上げるが、そんな事は関係無い。
そのまま右腕のアンカーを上方の壁面に撃ち込み、それを引き戻す反動でハンニバルは高さ十数mの位置まで一気に飛び上がった。一瞬だけ眼下を破壊の渦が通り過ぎ、後方の何かを抉っていく様が彼の視界に映る。
最大上昇点通過と同時に側面の壁を蹴り飛ばし、上昇のベクトルを推進方向へと変換。速度を維持したままハンニバルは数百m先のメインストリートに着地した。その衝撃で右脚の機能がダウンしたが左脚のホイールで強引に機体を疾らせ、大型の十字路まで辿り着いた時に彼は気付いた。
(気配が…消えている…?)
自身に付き纏っていた気配が消失し、別の気配…ドス黒い殺気が漂っている。
(何だ…これは…?)
それは誰かに似ていた。彼の良く知る人物に…
『ククク…ゲームオーバーだ…』
『なッ…!?』
ハンニバルが突然凄まじい力で投げ飛ばされ、彼は避ける隙も無く地面に叩き付けられた。更に追撃を加えるように振り下ろされる"腕"がその装甲を徐々に破壊していく。
"撃つ"でも"斬る"でもない。純粋な力の塊を"ぶつける"だけのその戦法は、僅かな反撃すら許さずにただ一方的に彼を蹂躙する。既に機能しなくなったバルカンポッドは砕かれ、残っていた右腕は引き千切られて傍に転がっていた。
『ククッ…どうした、もう死んだかァ?』
『ふざ…けるな…!!』
『そうかァ。なら…』
右脚部を支点にして再び地面に叩き付けられたハンニバルの装甲が更に悲鳴を上げる。谷塚の身体も既に限界を超えていた。
襲い来る異形のRAはハンニバルの左腕に突き刺さっていた矢を強引に引き抜き、自身の右腕にその杭を携えハンニバルの中心へと打ち付けた。
『―――!!?』
ハンニバルの装甲を浅く穿ったPAが、谷塚のASの背部に傷を付ける。
『死ね…!!』
そして異形は浅く突き立っていた杭に片脚を載せ、全重を掛けて踏み下ろした。
『――ァ…』
杭はハンニバルの前面装甲まで貫き、地面に達したところで止まった。穿たれた穴からは白い人工血液と混ざり合った紅い液体が噴き出し、異形の身体と瓦礫の散らばる地面を不気味な色に染め上げていった。
最終更新:2011年06月14日 23:31