83 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:2008/05/23(金) 14:28:37 ID:???
まずは唱える魔法の呪文。パラレルパラレルルルルルルー
マイの性格なんてしらねーゼ!!
とある五月晴れの日曜日。
マイ「ふむ………」
落ち着いた言動ゆえに、にぎやかな家族のなかに埋もれてしまいがちな青年、
オリヴァー・マイ・Gは青く、そして静かな空を見上げてうなずいた。
マイ「
ロラン君、アレはどこにしまってあるのかな?」
ロラン「アレ…? ああ!アレでしたら、ジュドーが離れの方にしまってましたよ」
マイ「そうか、ありがとう」
弟にも丁寧な礼を言うと、マイは中学生が建てたとは思えないほどしっかりした造りの
離れへと向かい、裏側にある物置の扉を開いた。
マイ「うーむ、
ジュドー君はこの辺りのものをどうやってしまったんだろう…」
目当てのものはすぐに見つかったが、その後ろには、どう見ても戸口より大きい
コロニー外壁のかけらなどが納められている。
かけらとは言え、戸板を外してもこの物置には入らないはずのサイズである。
マイ「そもそも、こんなもの、何処から持ってきたんだか…」
ひとしきり唸ると、考えても仕方がないと、荷物を担いで物置を後にする。
庭へ戻ると、片隅の菜園でウッソがシャクティやスージィの手を借りて何かの苗を植えていた。
スージィ「あっ、こんにちはー」
マイ「こんにちは。精が出ますね」
シャクティ「こんにちは。…それ、何を持ってるんですか?」
マイ「パラソルですよ。ほら、海水浴場でよく並んでいるでしょう。ちょっとホースをお借りしますよ」
ポリエチレンのベースにホースで水を入れると、それが重石になる。
マイはパラソルを開くと、ベースの中央に差し込んだ。
スージィ「うわぁ、おっき~」
マイ「ウチは大家族ですから」
さらに椅子を持ち出してすえると、最後に大きなケースを持ち出す。
スージィ「これ、なに?」
マイ「チェロですよ。見たことはありませんか?」
幅の広いベルトを外し、プラスチックのケースを開くと、
そこには深い飴色に輝く木製の楽器が収められていた。
スージィ「おぉ~、バイオリンのお化けだ…」
マイ「さて、久しぶりですから、機嫌よく鳴ってくれるかどうか…」
弦を張り直し、弓の調子を見ながら松脂を塗る。
少女の、キラキラと興奮の隠せない目に苦笑しながら、弓を当てる。
ウォン!
スージィ「うひゃっ!」
マイ「おや、失礼」
シャクティ「大丈夫?スージィ」
スージィ「びっくりした…こんなにおっきな音がするって思わなかった…」
マイ「なにしろ、ネズミ君の病気を治すくらいですから」
スージィ「ネズミ?」
シャクティ「あ、宮沢賢治ですね」
マイ「良くご存知ですね。それではせっかくですから、ゴーシュ君に倣って、第六交響曲でも…」
ベートーベンを奏で始めたマイに、二人の少女はすっかり聞き入ってしまう。
何のための手伝いなんだか、と陽性の苦笑を浮かべつつ、ウッソは三人の邪魔をしないように
黙々と土を返し、苗を植えていった。
84 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:2008/05/23(金) 14:30:17 ID:???
ロラン「皆さん、喉は渇きませんか?」
マイの演奏が一段落するのを見計らっていたのだろう。
ポットとバスケットを手に、銀髪の少年が現れる。
ロラン「ウッソもいかがです?」
ウッソ「これで終わりだから…もうちょっと」
スージィ「あっ!」
シャクティ「いけない、お手伝い!」
ウッソ「だから、もう終わりだって。ゆっくり聞いてて」キラリン
ロラン「だ、そうですよ、お嬢さん方」ニッコリ
スージィ「あう~、ごめんなさい、ウッソ…」
シャクティ「ごめんね、ウッソ、自分から手伝うって言っといて…」
マイ「それはいけませんね…罰として、お二人には徹底的にお付き合いいただきますよ」
スージィ「へ?」
シャクティ「あの、それって…」
マイ「うむ、私一人で罰を与えるのは大変だ。ロラン君、手伝ってください」
ロラン「そーきますか。はいはい」
パラソルの作る日陰にレジャーシートを敷き、ティーセットとお茶請けを置いたロランは、
足取り軽く母屋へと向かう。
マイ「さて、それではいったいどんな罰を与えましょうかね、ふっふっふ」
などと笑いつつ、ケースの中から取り出した楽譜の束を確かめる。
ロラン「お待たせしました」
やがて現れた少年は、手に黒いケースをもっている。
こちらは良く見るサイズのケースだ。
シャクティ「ロランさん、バイオリンを?」
ロラン「そうですよ。ほとんど独学の我流ですけど」
弦を爪弾き音を確かめると、少年は背筋をまっすぐ伸ばしてバイオリンを構える。
スージィ「………かっこいい~」
ロラン「ええっ!そ、そうですか?」
シャクティ「そうですね、当者比で3割りはかっこよく見えますよ」クスクス
ロラン「あ、あはははは」
マイ「むう、私の時にはそんな
コメントはなかったのに………やりますね、ロラン君」
ロラン「…カンベンシテクダサイオネガイシマス」
普段から美人だ綺麗だと、男としては微妙な評価ばかり受けている少年は、
思わぬほめ言葉にただでさえ低い腰が、最底辺まで落ちてしまう。
マイ「さて、ロラン君をいぢるのはコレくらいにして、そろそろ始めましょうか」
ロラン「ううっ、マイ兄さん…真面目な顔してふざけるから始末に終えないんですよぅ…」
言いつつ構えるロランに、スージィが嬉しそうに拍手を送る。
85 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:2008/05/23(金) 14:31:23 ID:???
ウッソ「僕にもお茶ちょうだい」
シャクティ「ウッソ、本当にごめんね、一人でやらせちゃって」
ウッソ「いいよ、元々手伝ってもらうほどの作業じゃなかったんだし。
それより、マイ兄さんがチェロを引っ張り出してきたのってかなり久しぶりだから。
ちゃんと聞いとかないと、もったいないよ」
シャクティ「うん、そうする。でも、ウッソ」ハイ、オチャ
ウッソ「ん?なに?」アリガトー
シャクティ「ウッソはやらないの?演奏」
ウッソ「僕が得意なのはエレキギターだからね。兄さんたちの楽器とはちょっと合いにくいんだ。
準備も大変だし」
シャクティ「ふぅん…でも、私は聞きたいな、ウッソのギター」
ウッソ「………また、今度、ね」
シャクティ「うん」
この後、コントラバスを担いだヒイロ。
ヒイロ「支援行動を開始する」
ヴィオラを抱えた刹那。
刹那「刹那・F・セイエイ、弦楽三重奏に介入する」
この二人を得て、突然始まったコンサートは結局夕暮れ近くまで続いた。
それは、とても素敵な一日。
スージィは、この日のことをずっとずっと忘れなかった。
ロランが出たのに変態仮面が出せませんでした。
あと、ヒイロと刹那が超おざなりw
一応色々考えてたんですけどねぇ…難しいなぁ…
最終更新:2013年09月16日 22:05