716 名前:時間です1/2 :2008/08/22(金) 17:46:53 ID:???
ピッ……ピッ……ピッ……ポ~ン♪
《9時になりました。ムルタ・アズラエルの、『時間です』。
本日はアザディスタンの皇女こと、
マリナ・イスマイール様をゲストにお迎えしての1時間。普段訊けないあんなことや
こんなこと、たっぷりとトークしていただきます。
では皇女様、よろしくお願いします》
《よろしくお願いいたします》
ジュドー「あれ? テレビに出てる人って、マリナさんじゃん」
コウ 「豪華な民族衣装で正装してるね」
ウッソ 「貧乏な生活してても、公の場に出るときはきっちりしてるトコなんかは、さすがですね」
《アズラエル「早速ですが、実は、皇女様はアルバイトをなさっておいでだとの極秘情報を入手しました。これは本当なのですか?」》
《マリナ「ええ、本当のことです」》
シン 「え? 極秘だったの?」
ガロード「ご町内では、おおっぴらに働いてるよな。シロー兄、なんか知ってる?」
シロー 「守秘義務がある。悪いがいくら家族でも、言えないな」
ヒイロ 「アズラエルめ。相変わらず切り口が鋭い」
シュウト「ヒイロ兄ちゃんも、なんか知ってるみたいだね」
《アズラエル「一国の皇女がアルバイトをしている事実が、たったいま判明してしまったわけですが、これは問題になるのではありませんか?」》
《マリナ「なぜでしょうか?」》
《アズラエル「国家の威信に関るではありませんか。安全上の問題だってある。あなたの国はいま、とても困難な局面に立っています。
一国の皇女が、国の指揮を執らずに国外に滞在なさっているだけでもおおごとなのに、ましてや労働に従事していらっしゃるなど、有り得ないと申し上げてもいい。
理由がおありならばなぜなのか、是非ともお伺いを立てたい」》
《マリナ「そうですか。……強いて挙げるならば、チャンスだから、だと思います」》
《アズラエル「チャンス、ですか?」》
《マリナ「はい。確かに、我がアザディスタンは存亡の危機に瀕しております。支援協議を重ね、各国にお願い申し上げる日々です。ですが、事はそううまくは運びません。
そんなときだからこそ、わたくし自ら率先して働いてお金を得るたいへんさを知り、その苦労と喜びを学ばねばならないと考えました。
一般の方々と同じ目線に立って生活することで得られる経験は、きっと窮乏の脱却に生かせるはずです。これはわたくしの身勝手な行動に変わりはございませんが、国民の方々からは、すでに了承をいただいております」》
キラ 「まさに絶句だね」
シーブック「国の経済を助けるためにバイトしてるんだと思ってたよ」
マイ 「ひとりふたりの稼ぎで国の経済が賄えるわけもない。
なぜだろうとは思っていたんだけど、すごいねこの皇女様は」
717 名前:時間です2/2 :2008/08/22(金) 17:47:22 ID:???
《アズラエル「合点がいかないことばかりだ。一般人ではできない仕事だってある。その仕事はあなただからこそできるものも多いはずですが?」》
《マリナ「それは、祖国に残ってくださっているお偉方がいらっしゃいますから」》
《アズラエル「あなたを国外へ追いやるための謀略だという説もあります」》
《マリナ「そうですね。ですが、わたくしは信じております」》
《アズラエル「では百歩譲ってそれはいいとしても、なぜアルバイトなのですか? あなたほどの器量ならば、仕事に就くにしても高給を取るのは容易いはず。
身軽さを保ち、いつでも祖国へ帰れるようにするためですか?」》
《マリナ「いいえ。見聞を広げるには、様々なお仕事を経験させていただくのがよいと、現在では判断しているからです」》
ドモン 「ご馳走を見て卒倒してるのを見てるからなあ。どうも別人にしか見えん」
カミーユ「言えてる。マリナさんは、一般人と皇女の、ふたつの顔を持ってるのかもな」
《アズラエル「ある筋からの情報によれば、あなたはご自分の稼ぎを祖国へ送金しているそうですね。そのため、生活はとても苦しいそうですが?」》
《マリナ「おかげさまで、よき友人たちに巡りあえ、充実した日々をおくらさせていただいております」》
セレーネ「これ、絶対ウチよねえ。やったじゃないロラン。アザディスタンに貸しひとつよ」
ロラン 「恐ろしいことを言わないでください。
でもマリナさんすごいなあ。弱音をおっしゃらず、やんわりと話を逸らすなんて」
アムロ 「ウチはウチで、変わりなく彼女と付き合っていけばいいさ。
マリナさんも、きっとそれを望んでいるだろう」
ロラン 「NTとしての勘ですか?」
アムロ 「さあ、どうだろうな」
おしまい
なぜマリナ皇女はアルバイトをしているんだろう。こう思ったのが出発点でした。
強引かな?
最終更新:2013年09月19日 22:32