172 名前:ストロベリー兄弟 :2008/08/31(日) 23:45:31 ID:???
アムロ 「ふむ……しかし、刹那とマリナさんの仲も、思ったほどは進行していないようだな」
ロラン 「二人ともそういったことに対して、積極的とは言えませんからね。まだまだ時間がかかるかも」
アムロ 「……ロラン。ここはひとつ、試してみようと思うんだが」
ロラン 「何をですか?」
アムロ 「二人の気持ちさ。いや、二人と言うよりは刹那の気持ちか。あいつのは分かりにくいからな……」
ロラン 「へえ。兄さんならとっくにお見通しかと思ってましたけど」
アムロ 「NTはエスパーじゃないんだ、分からないことだってあるさ。さて、それじゃあちょっと頼まれてくれるか……」
ロラン 「刹那」
刹那 「なんだ、兄さん」
ロラン 「ちょっとね。最近、成績が上がってきてるみたいだから。マリナさんのおかげかな?」
刹那 「ああ。あの人の指導は的確だ。実に
ガンダムだ」
ロラン 「そう。それは良かった。ところで、さ」
刹那 「?」
ロラン 「刹那にとって、マリナさんはどういう存在なのかな」
刹那 「どういう存在もなにも……家庭教師だ」
ロラン 「それはなんというか、マリナさんの仕事じゃないか。
そうじゃなくて、えーと、友達とか、知り合いとか、そういう感じの」
刹那 「……姉か、母親」
ロラン 「!! そ、そうなんだ……」
刹那 「ああ。真面目なときのセレーネ姉さんがずっといるような感じだ」
ロラン (なるほど。少なくとも、完全な『他人』ではない、と。
いい傾向だな。ここはアムロ兄さんの言うとおり、もう一押し……)
刹那 「どうした?」
ロラン 「ううん。でもそっか、マリナさんはお姉さんみたいな人、か」
刹那 「ああ、そうだ」
ロラン 「もしかしたら、その内本物のお姉さんになるかもね」
刹那 「……? どういうことだ?」
ロラン 「刹那の成績が上がってきてるっていうんで、アムロ兄さんもとても喜んでいてね。
『いや、マリナさんは非常に素晴らしい女性だな! 今度一緒に食事でもしながら、
刹那の今後についてじっくり話し合ってみるかな!』って」
刹那 「……そうなのか」
ロラン 「うん。あ、そういえば、今日ちょうどマリナさんが来る日で、その上兄さんも休みだから、
ひょっとしたら今日辺り二人っきりで食事に行くかもね。きっと雰囲気のいいレストランとかに行くんだろうなー」
刹那 「……」
ロラン 「……刹那も、大好きなアムロ兄さんとマリナさんが仲良くなったら嬉しいよね?」
刹那 「……いや……」
ロラン 「ん? なに?」
刹那 「!! ……ガンダムだ」
ロラン 「……あ、そろそろマリナさんが来る頃だね。きちんとお出迎えするんだよ」
刹那 「……」
173 名前:ストロベリー兄弟 :2008/08/31(日) 23:47:20 ID:???
ロラン 「……と、こんな感じでしたけど」
アムロ 「よくやってくれたロラン。これは予想以上の収穫だな」
ロラン 「うーん、そうですかねー。僕にはよく……」
アムロ 「ふふっ、まあ見ていろ、きっと今頃は……」
刹那 「……」
マリナ 「あら刹那、こんにちは。わざわざ外で待っていてくれたの?」
刹那 「……あ、ああ」
マリナ 「ありがとう。それじゃ、今日もお勉強……」
刹那 「……だ、ダメだ」
マリナ 「? どうして?」
刹那 「今日は、アムロ兄さんが……」
マリナ 「お休みだって聞いてたけど」
刹那 「!! あ、ああ、家にいるが、急に……仕事が」
マリナ 「まあ、それじゃあお家の中でお仕事を?」
刹那 「ああ。その、非常にガンダム的な仕事で殺人的な作業量なので、家の中は足の踏み場もない。
だから今日は家で勉強するのは無理だ」
マリナ 「そうなの……それじゃあ、図書館にでも行きましょうか」
刹那 「……」
ジュドー 「あれ、二人ともなにやってんの」
ガロード 「家に入んないの?」
マリナ 「あら? でも……」
刹那 「は、早く行こう!」
ジュドー 「ええ!?」
ガロード 「ちょっと、二人とも……!」
ジュドー 「……ってなわけで、二人して手ぇ繋いでどっか行っちゃってさー」
セレーネ 「へえ……若い人たちはお盛んね」
ジュドー 「セレーネ姉さん、その物言いはおばさん臭いよ」
セレーネ 「あなたこそもう少し言動に気を使いなさい……ところでガロードは?」
ジュドー 「珍しく顔赤くしながらマリナさんの手を引いて走っていく刹那を見て、
『刹那に負けてられるか! 今日こそティファと手をつないでやる!』とか言いながらどっか行った」
セレーネ 「……あんなラブラブなのにまだそんな段階だったの、あの子は」
ジュドー 「なんだかねー。ロラン兄さんとアムロ兄さんもなんかにやけてるしさ。みんな変だぜちょっと」
セレーネ 「そういうあなたはいつも通りね。小さな女の子と遊ぶのもいいけど、少しはガロードを見習ったら?」
ジュドー 「ちぇっ、嫁き遅れのセレーネ姉さんに言われたくないぜ」
セレーネ 「だから言動に気を使いなさいって。くれぐれも、ハマーン先生にそんなこと言っちゃダメよ?」
ジュドー 「大丈夫だよ、俺だってまだ死にたくないし……」
セレーネ 「……なにやら家の中に甘酸っぱい空気が漂いつつあるわね……。
ちょっと観察して、
スターゲイザーちゃんに教えてあげようかしら。
こういうのも、人の思考を学ぶ上でいい刺激に……」
コンコン
セレーネ 「はい、どなた?」
刹那 「……俺だ。姉さん、精神衛生的な面で医者の立場からの助言をもらいたい」
セレーネ (……これは、思ったよりも詳細なレポートが書けそうね)
こっそりICレコーダーを準備しつつ、一人ほくそ笑むセレーネ姉さんであった。
最終更新:2013年09月20日 21:26