242 名前:通常の名無しさんの3倍 :2008/12/23(火) 22:18:46 ID:???
ガラッ
シャア「アムロはいるか?」
ロラン「シャアさん…兄さんは今、ちょっと……」
ロランの制止を振り切り、奥に入ってゆくシャア。
一番奥の部屋の、隅に、疲れはてて白眼+下着姿のアムロがいた。
アムロ「しゃあ…なにしにきた…ぼくをわらいにきたのかい?」
ロラン「しばらくそっとしてあげ……あっ!」
押し入れに引きこもろうとするのを、無理矢理引っ張り出す。
シャア「君を笑いに来た…と言えば満足か?」
アムロ「シャアっ!」
シャア「元気ではないか……ロラン君、アムロを借りていくぞ」
ロラン「あ、あ、ちょっと……まぁ、シャアさんだから大丈夫かな……」
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アムロ「……何の真似だ、シャア?」
シャア「忘れたのか?今日はクリスマスだ」
アムロ「明日じゃないか」
シャア「現実世界では、な」
アムロ「深く気にしたら負けだな……で、何故俺がこんな格好をするんだ?」
妙な帽子を被り、全身真っ白な服。クェスに無理矢理着させられた物だ。
シャアは対称的に、赤の、同じ服を身につけていた。一色ってのは何か不気味だな。
シャア「鈍い奴だな……クリスマスと言えば何だ?」
アムロ「彼女達との複数デート」
シャア「半殺すぞ……サンタクロースだ、サンタクロース!」
言われてみれば、俺達が着ているのはそんな服装だな。
シャア「サンタは赤白の服装……白い悪魔のお前と、赤い彗星の私…
    サンタに扮してプレゼントを配るのにピッタリと言うわけだ」
アムロ「確かにそうだが…貴様の機体は赤と言うよりはピン
シャア「私はサザビーで出る。アムロ、お前はνガンダムで来い」
アムロ「何故お前がνを持ってるんだ!それに、どこに行くんだよ」
シャア「ロラン君に借りて来た。なに、あちこちの孤児施設だ……先に行くぞ」
アムロ「あ、あ、ちょっ……仕方ないな……」
呆れながらパイロットスーツを着込むアムロ。
そこにナナイが入って来た。ナナイはアムロを見、深く礼し、アムロも釣られて礼する。
ナナイ「いきなりの事で申し訳ありません」
アムロ「いいえ…いつもの事ですからね……」
ナナイ「しかし、分かってあげてほしいのです。あの人が何故、こんな事をするのか、を」
アムロ「何故、ですか」
スーツを着込む手を止め、ナナイの話に耳を傾ける。
窓の外では、雪が降り始めていた。

続く

243 名前:通常の名無しさんの3倍 :2008/12/23(火) 22:24:03 ID:???
ナナイ「あの人は今年から、クリスマスに孤児施設にプレゼントをする事を決められました」
アムロ「孤児施設……か。そういえばシャアは小さい頃に実父を…」
ジオン・ダイクン。彼の死には未だ謎が多い。
単なる病死説からザビ一族に暗殺されたのだというゴシップネタまである。
シャアの情婦と言われるこの人なら、シャアから何か聞いているかもしれない。
しかし、アムロは、それはこの話には関係ないな、と脳内から切り捨てた。
ナナイ「はい。ですが、運良く里親が見つかり、孤児施設に入る事はありませんでした……

シャア『私は運が良かった。しかし、めったに親は見つからないのが実情だ』
ナナイ『そうですね…施設の人による虐待と言うのも問題になっていますね……』
シャア『子供の心が傷つくのは、虐待だけではない……親が見つからず…
    『自分は世界に要らないのだ、必要ないのだ』と自暴自棄になる子もいるだろう…』
ナナイ『………』
シャア『小さい時から世界に対する、自分に対する希望を捨ててしまってはならない…だから…私は…
    私は偽善と言われようと、子供達に『サンタクロースのプレゼント』という形で希望を与えたい…
    分かってくれるか、ナナイ?』
ナナイ『私はあなたを信じています。ですから、あなたの決めた事に従うだけです、大佐……』
シャア『感謝する、ナナイ……』
ナナイ『あなた……』

ナナイ「……と言う事なのです」
アムロ「成る程な…それならそうと言ってくれればいいものを…水臭いな」
ナナイ「あの人は素直ではありませんから……多分、恥ずかしいのでしょう」
アムロ「はは、違いないですね」
そう言って軽く笑った時、シャアが再び入って来る。
早く来い、わかってる。ナナイに軽く礼してMS発着場に向かう。
ナナイ「いってらっしゃいませ……ん…今日はホワイト・クリスマスね……」
窓の外を、ABCマントで作ったプレゼント袋を担いだMS二機が飛んでゆく。
粒子の光が美しく、尾を引いて空の彼方に消えてゆく。
雪は相も変わらず、しんしんと降り続けていた。
おしまい。

何故今まではやらなかったんだ?とかは無しで…
後、今までのネタにあったらごめん。

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最終更新:2013年09月29日 21:39