91 名前:僕らの節分戦争・四 1/4 :2009/02/03(火) 19:29:03 ID:???
 水素エンジンを搭載した高級リムジンが、連邦学園小等部の正門前に止まる。
 大仰な名前の割に公立である学園は、もちろん一般市民の生徒、児童がほとんどである。
 黒塗りで対戦車ロケットでも跳ね返しそうな、いかつい車を見慣れている子供は少ない。
チェイ「すっげー、ロールスだ!」
テルコット「初めて見たー」
 何事かとさざめく子供たちの前で、助手席からイリア・パゾムが降り立つ。
 どよどよっ!
 この日の装いは大人しいスーツ姿だったが、それでも強い意志を感じさせる褐色の美貌と
 メリハリの利いたスタイルはそれだけで耳目を集めた。
アル「あれ? イリアさん?」
シュウト「じゃあ、あれ、ミネバちゃんちの…」
 周囲を一瞥して安全を確認したイリアが、観音開きの後部ドアを開いた。
ミネバ「行って参ります、母上」
ゼナ「いってらっしゃい、ミネバ」チュッ!
 ミネバの額にキスをして送り出すゼナ。
イリア「いってらっしゃいませ、ミネバ様」
ミネバ「うん。 母上を頼む」
イリア「はっ」
 きびきびとした動きでイリアが助手席に乗り込むと、リムジンは粛々と帰路へとつく。
シュウト「ミ」リィナ「ミネバちゃん!!」
リィズ「え、ほんと?」
ミネバ「リィナ! リィズ!」
リィズ「ほんとだー!! ミネバちゃん来れるようになったんだね!」
リィナ「元気してた?」
ミネバ「ああ。 二人とも変わりがなくて何よりだ」ニッコリ
リィズ「………」
リィナ「………?」
ミネバ「? 私の顔に何か付いているか?」
リィズ「えっと…」
リィナ「何て言うか…ねぇ?」
リィズ「うん。 なんか…ミネバちゃん…変、じゃないけど…」
リィナ「背が伸びた?」
リィズ「あ!」
ミネバ「私が休んだのは十日ほどだぞ。 そんなに急に伸びるわけがないだろう(苦笑」
リィナ「うーん、なんだろ…」
リィズ「でも、なんか、変わったよね、ミネバちゃん」
ミネバ「そうか?」
リィナ「うん! それは、そう」
リィズ「何て言うか…そう、かっこよくなってる。 うん」
リィナ「それだ!」
ミネバ「なんだ、それはw」


92 名前:僕らの節分戦争・四 2/4 :2009/02/03(火) 19:30:20 ID:???
 あるいは、困難な訓練をやり遂げたと言う自信の表れであったのかもしれない。
 成長期の早い女の子たちの中にあって、小柄なミネバはその真っ直ぐな性根もあり、
 どちらかと言えばクラスの妹的なポジションであった。
 だが…
ミネバ「セーラ」
セーラ「はーい?」
ミネバ「落し物だ」っ【ハンカチ】
セーラ「まーぁ、ありがとうございますー」
ミネバ「せっかくの綺麗なハンカチなのだ。 気をつけよ」キラリン!
セーラ「は…い…」
シュウト「あれ? セーラちゃん?」
セーラ「………ポ」(////)
シュウト「セセセセセ、セーラちゃん!?」

マユ「…ナニソレ」
リィズ「とにかく、なんでかわかんないけど、ミネバちゃんがなんかカッコイイのよ」
リィナ「もともと礼儀正しいし、男子と違って落ち着いてるし…
    それがなんだか…頼りがいがある?」
リィズ「あー、それはあるね。 任せて安心!って感じがする」
マユ「まぁでも、ミネバちゃんは女の子なんだから…」
リィナ「そうよねぇ…」
リィズ「でも…ミネバちゃんが、男の子だったら…」

 聖バレンタイン戦線(小学生方面)に重大な変化が訪れた瞬間であった。(笑)



93 名前:僕らの節分戦争・四 3/4 :2009/02/03(火) 19:31:45 ID:???
マリュー「ハマーン先生♪」ポン!
ハマーン「っ!!!!!」
 雷に撃たれたかのように、全身を硬直させるハマーン。
 その様子に、声をかけたマリューが驚く。
マリュー「ご、ごめんなさい、びっくりさせちゃったかしら?」
ハマーン「い、いえ…別に、驚いた訳では、ありませんので…」
マリュー「そう? だったらいいんだけど…あら?」クンクン
 マリューの鼻先を、強いメントール臭が擽る。
ハマーン「………(冷や汗」
マリュー「……筋肉痛?」
ハマーン「ぐっ…」
マリュー「あら、図星だったみたいね」
ハマーン「その、昨日まではなんとも無かったのですが、今朝起きた時から…」
 事を成し遂げた安心感からか、この日、ハマーン・カーンのコンディションは最悪だった。
マリュー「あちゃぁ…休み間に何をやってたのか、
     ナタルたちとじーーーっくり聞き出してやろうと思ったのに。
     そのざまじゃぁ、今日は無理そうね」
ハマーン「私事でご迷惑をお掛けしました。 この埋め合わせは後日…」
マリュー「ふふん、約束よ? ま、私も中学生の相手なんて久しぶりだったから、
     けっこう楽しかったですけどね」
ハマーン「そう言っていただけるとありがたいですが」
マリュー「ま、人生の先輩から言わせていただけば」
ハマーン「はっ」
マリュー「人間、二十歳過ぎると、体力は覿面に落ちるのよ~~」
ハマーン「はぁ?」
マリュー「いつまでも若いつもりでいちゃ駄目よ?
     油断してると皮下脂肪が…重力が…」ヒソヒソ
ハマーン「………」ガクガクブルブル

ガロード「おろ?」
ジュドー「マリュー先生と、ハマーン?」
ガロード「なんか、仲良さそうだな」
ジュドー「つーか、マリュー先生、生き生きしてないか?」


94 名前:僕らの節分戦争・四 4/4 :2009/02/03(火) 19:33:32 ID:???
けい子(鬼)「がおー!」
 ボール紙の鬼の面をつけたけい子が、ノリノリで児童たちに襲い掛かる。
けい子(鬼)「つーかーまーえーたーぞー」
リィズ「きゃ~~」
ミネバ「リィズ!」
けい子(鬼)「こちょこちょこちょこちょ」
リィズ「きゃははははははははははは!」
リィナ「リィズ!」
ミネバ「行くぞみんな! リィズを助けるのだ!」
子供たち「「「「おー!!」」」」
 鬼はー外!! 福はー内!!
けい子(鬼)「ぎゃあああああ!!」
 大仰な悲鳴を上げ、教室から逃げ出すけい子(鬼)。
 実に正しい節分の光景と言えよう。


 ちなみに中等部では、三年生と二年生の間で壮絶なサバイバルゲームへと発展し、
 後に『一週間戦争』と呼ばれる騒動へと至るのだが…
 それはまた異なる物語である。
アムロ「お前たちは向こう三ヶ月間小遣い無し!!」
ガロジュド「「えええ~~~!!」」



ミネバ「戻ったぞ、ハマーン」
ハマーン「お帰りなさいませ、ミネバ様」
ミネバ「うむ。 …中等部は何やら大騒動だったらしいな」
ハマーン「はぁ… いったい何がどうなったのやら…」
ミネバ「ふふっ、明日にでも首謀者に話を聞くとしよう。
    だが、とりあえずはこれからの事だ」
ハマーン「はっ、マシュマーからの報告では、大型トレーラーを中心とする
     コンボイがジオン体育大学を出発したとのことです」
ミネバ「そうか。 …ハマーン」
ハマーン「は」
ミネバ「私は、勝てるだろうか… あの父上に…」
ハマーン「ご安心ください。 ミネバ様には、心強い味方が付いております」ニッコリ
ミネバ「なに? …そなたらは!!」



95 名前:僕らの節分戦争・四 :2009/02/03(火) 19:34:41 ID:???
つづく。 orz

まだだ、まだ終わらんよ!チクショー

110 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/02/04(水) 07:27:29 ID:???
94
GJ!と言いつつ、

 >アムロ「お前たちは向こう三ヶ月間小遣い無し!!」
 >ガロジュド「「えええ~~~!!」」

お前ら小遣いなんかなくても、いやさ一文無しだったとしても、別に困りゃせんだろ。
必要なものを手に入れる才能に長けてるんだから……。

112 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/02/04(水) 09:44:26 ID:???
110
ガロード「貰えるもんなら喜んでもらう!」
ジュドー「一円を笑うものは一円に泣くんだぞ!」

ロラン「別に銭ゲバキャラって訳じゃないんですけどねぇ…」
アムロ「なんでこう、がめつい性格になってしまったんだか…
    そんなに俺の稼ぎって信用ないのか?」
シロー「金がほしいって言うより、小銭を稼ぐのが楽しいみたいに見えますけどね」
マイ「あの二人にとっては、預金通帳の残高がゲームのスコアみたいなものなのかもしれません」

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最終更新:2013年10月12日 20:19