395 名前:僕らの節分戦争・漆 1/4 :2009/02/09(月) 19:45:10 ID:???
203の続きー!

ラカン(鬼)「こ、これは敵わん!」
 豆をぶつけられ、ドズル(鬼)には武器がわりに扱われ、
 雑魚鬼たちの士気は一気に奈落へ潜った。
 ばん!
 たたたたたたん!
鬼s「「「ひえ~~~」」」
エンツォ(鬼)「デラーズ殿、こちらは総崩れですぞ」
デラーズ(鬼)「ま、まさかミネバ様のご器量がこれほどとは…
        我が目を以ってしても見抜けなんだわい」
 すたこらと逃げ出す重鎮二名。

ミネバ「正門から外へ出た者は放っておけ。 鬼は外!だからな!」
シュウト『了解』
アル『うん!』
 これまたシュウト謹製のインカムで連絡を取り合う子供たち。
アル『ミネバちゃん、何人か左の花壇に回りこんだみたい!』
ミネバ「そっちで燻り出して! あの天使像を狙えば…」
アル『了解! シュウトー、後ろの方に一発行くよー』
シュウト『おっけー』
 アルが鬼たちの陣形を見抜き、ミネバが指示を出す。
 シュウトはドズル(鬼)の足止めをしつつ、遊撃戦力として、周囲の鬼へも一撃を加える。
カリウス「我が方よりもよっぽど組織的な動きですな」ヒリヒリ
ゲイリー「いやぁ、油断したと言えばそれまでだが…
     ミネバ様の将来が、ますます楽しみですなぁ」ヒリヒリ
ボブ「いやまったく」ヒリヒリ
 はっはっは、と明るく笑いあう負け鬼たち。

ガトー(鬼)「最早これまで…ならば、せめて一太刀!!」
 こちらも人間離れした反射神経で攻撃をかわし続けるガトーであったが、
 周りの味方が総崩れとなればジリ貧に陥るだけである。
ガトー(鬼)「うぉおおおおお!!」
 両手で頭部をかばいつつ、突進するガトー。
ミネバ「アル! クラッカー!!」
アル「了解!」
 投擲用のクラッカーを取り出し、安全ピンを抜く二人。
 ジジ…とゼンマイ式のタイマーが鳴るそれをガトーの足元に転がす。
 かん!
 スプリングの力で小爆弾が打ち出され――
 ずぱぱん!
 合計12個の小爆弾それぞれが、さらに十数個の煎り豆をばら撒いた。
 ザアアッ!
ガトー(鬼)「むうっ! くっ…ま、まだまだぁ!!」


396 名前:僕らの節分戦争・漆 2/4 :2009/02/09(月) 19:46:44 ID:???
 さらにミネバとアルへ肉薄するガトーであったが、二人は左右へと別れて猛ダッシュ。
ガトー(鬼)「ぬっ!」
 大将はミネバであるが、この騒動はミネバを討って終わり、と言う単純な話ではない。
ガトー(鬼)「ならば、アルフレッド君をっ!」
 ずざざーーっ!と砂煙を上げで方向転換。
 だが。
アル「あわわわわっ!」
 アルはガトー(鬼)を見ていなかった。
ガトー(鬼)「むっ?」
シュウト「ごめんねっ!」ガーーーッ
 シュウトがガトー(鬼)の目の前を駆け抜ける。
 ドドドドドドド…
ドズル(鬼)「グオオオオオオ!」
 シュウトを追って、ドズル(鬼)が走る。
 その姿、ビッグリグか重戦車か。
ガトー(鬼)「なんとっ!!」

 どかーーーーん!!

ガトー(鬼)「ぅ私は帰ってくるぞーーー!!」キラーン! ミ☆
アル「うわー、飛んだなー」
ミネバ「うん… はっ! シュウト!」
シュウト「鬼さんこちら~~♪」ガーーーーッ
ドズル(鬼)「ウガアアーーーー!!」ドドドドドド…
 どやらシュウトのジェットローラーとドズル(鬼)の走る速さはほとんど同じらしく、
 逃げるシュウト、追うドズル(鬼)の両者は距離が開きも縮みもしなかった。
 そして、それを良いことに残った鬼たちの中へ飛び込むシュウト。

 どかーーーーーん!!

「ぎゃあ~」「ぐわあああ!」「ひぃぃぃぃぃ!」
 繰り広げられる阿鼻叫喚Part2。
 それが彼らへのトドメとなった。



397 名前:僕らの節分戦争・漆 3/4 :2009/02/09(月) 19:48:07 ID:???
 とは言え。
シュウト『アル! ジェットの燃料がそろそろヤバイ!』
 無限の愛と無尽の体力―などと称されるドズルのタフネスに比べれば、
 ジェットローラーのタンクもまるで頼りにはならない。
アル「その先を右に! 小道に入って!」
ミネバ「アル?」

シュウト「あそこっ!」ガカカッ!
 両手を振り回し、体重移動で進路を変える。
 二次元上ではあるが、まさにAMBAC機動のそれである。
ドズル(鬼)「ゴアアアアーーーー!!」
 玄関前のロータリーから中庭へ続く小道を、逃げるシュウトと追うドズル(鬼)が駆ける。

アル「“スネアー”セット!」
ミネバ「なんだ?」
 インカムのヘッドセットに備えられたモノクル型モニターに、
 赤いラインに向かって進む二つの光点が表示される。
 モニターの隅に「Stand by」の文字が浮かぶ。
 ぴ! ぴ! ぴ! ぴ! …
 程なく前を行く光点が赤いラインを超え…
アル「ファイヤー!」

プル「えーーい!!」
 掛け声と共にプルがレバーを引くと、滑車に固定してあった錘が落ち、
 引き上げられたザイルが地上20cmほどの高さに張り渡される。
 びしっ!
ドズル(鬼)「が?」
 そこへ走りこんできたドズル(鬼)の足を、ザイルが掬う。 
ドズル(鬼)「んが~~~!!」ジタバタ
 ずどん! どしん! ばたん!
プル「やったぁ!!」

ミネバ「エルピー・プル?」
アル「“カタパルト”! セット!」
 「Stand by」ピ!
アル「ファイヤー!」



398 名前:僕らの節分戦争・漆 4/4 :2009/02/09(月) 19:49:55 ID:???
プルツー「っ!」ガチン!
 ばん!
 自転車のタイヤチューブを束ねた巨大な“パチンコ”が、
 5Kgはありそうな量の煎り豆を打ち上げる。
 ドズル邸の屋上―エアコンの室外機が備えられている一角から打ち出された煎り豆は、
 重力加速度により莫大なエネルギーを与えられて、ドズル(鬼)に降り注いだ。
 きゅばばばばばばっ!
プル「あわわわ~~~~」→→→→脱兎
ドズル(鬼)「ウゴ~~~!!」

シュウト「すご…」
プル「ちょっと! あたしに当たるところだったよ!」
プルツー『トラップを起動したら直ぐに離脱と決めただろう。
     調子に乗ってはしゃいでた姉さんが悪い』
ミネバ「プルツー! お前もいるのか!」
プルツー『帰還報告が遅れて申し訳ございませんでした、ミネバ様』バララッ!
 ドズル邸の屋上からザイルが降ろされ、ラペリングで降下してくるプルツー。
プル「あたしたち、フグ平だから内緒だったの」
プルツー「それを言うなら“伏兵”だ、姉さん」
プル「あれ?」
ミネバ「そうか…無事に退院したんだな」
プル「もうね、すっっっっっっっっっっ…………っごく退屈だったんだから!」
プルツー「ただの検査入院で…どこか悪くて入院していたわけではありませんから(苦笑」
アル「ごめんね。 いざと言う時の切り札になってもらえるかなーって、
   退院したことを内緒にしてもらってたんだ」
シュウト「ドズル先生があの調子じゃ、あんまり意味無かったみたいだけどね~」
アル「そうだねぇ」
プル「そう言うの、『ザクがサクに奢る』って言うんでしょ?」
プルツー「策士、策に溺れる、だ!」
プル「あれれ?」

 ずしん!
ドズル(鬼)「グルルゥゥ………」

ミネバ「皆、積もる話は後だ。 さすがの父上も疲労が隠せぬようだぞ」
 ぐいっ!と顔をぬぐったミネバが、ドズル(鬼)をにらみつける。
ドズル(鬼)「ゴッフ、ゴッフ……」
 まるでふいごが唸るような、激しい呼吸音が響く。
ミネバ「我ら全員でかかれば、鬼神とて何するものぞ! 行くぞ!」
「「「「了解!」」」」



399 名前:僕らの節分戦争・漆 :2009/02/09(月) 19:51:59 ID:???
つづくー。

ようやく終わりが見えてきた気がする… orz

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最終更新:2013年10月13日 14:14