カイ「いよぅ、久し振りだなガロード!元気してたか?」
ガロード「あれ、アムロ兄さんの知り合いの…え~と……」
カ「ありゃ、俺の名前覚えてない。まぁアムロとはよく会うがこの家には殆どこねぇからな、忘れられてもしょうがねぇか」
ガイ「あ、そうだそうだ思い出した!白スーツ着たブン屋のオッサン!」
カロ「ちょっとまて、それじゃあ見たまんまを言ってるだけじゃねぇか!それに俺はブン屋じゃなくて…まぁいいや、ドモンかヒイロの奴いるかい?」
ガイ「ヒイロはリリーナさんの護衛で留守、ドモンの兄貴なら師匠さんに連れられてどっか行っちまったよ。伝言あるなら帰ってきたら伝えとくけど何か用?」
カイ「いや何、これからちょいとフォートセバーン社って所を取材しに行く所でな、あいつらのどっちかに手伝いをしてもらおうと思ってたんだ」
ガロ「ならオレ行こうか!?手伝いって言うからには働いた分の報酬は出るんだろ!?」
カイ「お前がぁ?本当に大丈夫かぁ?」
ガロ「なめてもらっちゃ困るよ。これでもそんじょそこらの大人よりはよっぽど役に立つぜ」
カイ「…ま、いないよりはマシか。じゃあ頼むわ。けどその前に…」
カイ「おう良かった、サイズ合わねぇかとおもったがぴったりじゃねぇか」
ガロ「ちょっとちょっとカイさん。確かに取材の手伝いだから普段着はマズいってのは分かるけどさ、なんでオレまで白いスーツ着なきゃならないわけ?」
カイ「そりゃオレと一緒に行動するんだ、いつヴァチカンに行ってもおかしかないだろ?いいじゃないの、結構似合ってるぜ」
ガロ「ホントかよ…」
カイ「ホントホント。それじゃあいざ、取材へと行きますか。行くぜ、とっつぁん坊や」
ガロ(とっつぁん坊やって…さっきブン屋とかオッサンって言われた事を根に持ってるのか?)
フォートセバーン社に到着したカイとガロード。本社ビルを見上げてガロードが感嘆の声を上げる。
ガロ「はー、すっげえなあ。アムロ兄さんが勤めてる会社よりでけえや」
カイ「ここ最近急に伸びてきて今や製薬関係じゃ上位に食い込んでる程の会社だからな。ま、その分黒い噂も絶えないってのも事実なんだが」
ガロ「ナルホド、そこんとこにつけ込んで取材を取り付けることに成功したって訳か」
カイ「うるせえ。あー、今日そちらの社長にインタビューする事になってるカイ=シデンだけど」
社員「お待ちしておりました。社長は三階の応接室でお待ちです。どうぞこちらへ」
ガロ「あ、ちょっと待って!俺緊張してきたらなんかトイレに…」
カイ「はあ?ったくしょうがねぇな。とっとと行って来い。俺たちゃ先に行ってるぞ」
ノモア「ようこそ。私がフォートセバーン社の社長、ノモア=ロングです」
カイ「カイ=シデンです。それでは早速お話を…」
そんな感じでカイのインタビューは始まった。10分ほど経って半分ほどインタビューが終わった時、ドアが開いてガロードが入ってくる。
ガロ「いや~ゴメンカイさん!三階にいるってのは分かってたんだけど応接室ってのがどこにあるのか分からなくてさ…あれ?」
笑いながら謝るガロードだったが、目の前のノモアを見ると途端におかしな物でも見たかのような顔をした。
ガロ「カイさん、なんでこいつがここにいるの?」
カイ「こい…馬鹿、この人がフォートセバーン社長のノモスさんだよ!」
ガロ「社長?冗談!こいつがこんな会社の社長なわけないじゃん!」
カイ「なんだ?知り合いか?」
ガロ「こいつはねカイさん、ドーラッドっていって、元『ニタ研』の
強化人間開発部の研究者だよ」
カイ「!」
ガロ「俺だって直接会った訳じゃなくてヒイロが持ってる『裏社会要注意人物一覧』ってのを見せてもらった時に見たのを思い出しただけなんだけどね。いいとこ新薬開発にかこつけて相変わらず強化人間に投与する薬物の人体実験でもやってたんでしょ」
カイ「本当ですかノモア社長。強化人間の開発は人道的行為に反するとして法律で禁止されている…」
ノモア「カリ――ス!」
カイの言葉を遮るようにノモアが声を上げ、それと同時に人影が部屋へ飛び込んできた。人影―ガロードとさほど変わらぬ年齢であろう少年はガロードの左手を絞り上げてうつ伏せに組み敷く。
カイ「ガロード!」
カイはガロードの元に行こうとするが、足元に銃弾が打ち込まれて動きを止める。飛んできた方を見るとノモアが拳銃をこちらに向けていた。
ノモア「動かないで貰おうか。いかがかね少年。彼…カリスはNT能力だけでなく身体能力も向上させている。私が手がけた強化人間の最高傑作だよ」
ガロ「この野郎!人間を機械かなんかみたいに…」
カイ「チッ…」
カリス「すみません、僕もこんな手荒な真似はしたくないんですが……ぐっ!」
ガロ「?」
カリス「くうっ!い、痛い…頭が…!」
ガロ(何だ?急に苦しみだしたぞ)
ノモア「くっ、シナップスシンドロームか。よりによってこんな時に!」
ガロ「(よくわかんないけどチャンス!)うりゃ!」
カリスの力が緩んだ隙を突いてガロードは腕を外し、そのまま反転しつつカリスの脇に右肘を入れる。
カリス「ぐぅっ!」
ノモア「カリス!」
ガロ「そらよっ!」
起き上がると同時にガロードはスーツの上着を脱ぎ、ノモアに向けて放り投げる。それに視界を遮られてカイのタックルをかわせず、ノモアは転倒した拍子に椅子に頭を打ち、気を失った。
カイ「ガロード!この隙に逃げるぞ!」
ガロ「よいしょ…カイさん、こいつも一緒に連れてっていいかな?」
カイ「当然!そいつはこの件の重要な証人だからな!行くぞ!」
カイはノモアから奪った拳銃を持ち、ガロードはカリスを担いで廊下を駆け抜ける。階段の手すりを滑り降りながらガロードがカイに言った。
ガロ「どうだいカイさん、俺充分役に立っただろ?」
カイ「ああ、充分すぎてお釣りが来るぜ!悪かったな、『いないよりはマシ』なんて言っちまって!」
ガロ「いいってことよ!だけど悪いね、せっかくのスーツ台無しにしちゃってさ!」
カイ「なあに気にすんな!そんなもんで特ダネがみつかりゃ安いもんだ!スーツ代払えなんてケチな事は言わねえ、報酬もはずんでやるよ!」
ガロ「いよっ、太っ腹ぁ!さっすがは名ジャーナリスト!」
かくしてフォートセバーン社による新薬開発を隠れ蓑とした人体実験はこの騒ぎをきっかけに明るみに出る事となり、ノモア社長は逮捕される事となった。
カリスは未成年という事と強化人間という実質被害者である事からお咎めは無く(裏では色々と彼を巡る暗闘があったらしいが関係ない話なので割愛させてもらう)、
その話を聞いたシャアのツテでナナイの家に預けられる事となった。時々ガロードはカリスに会いに行き、彼の話によるとナナイやギュネイとも結構うまくやっているらしい。
事件からしばらくたったある日の兄弟宅。庭にはMSコンテナが置いてあり、ジュドーとガロードがその中を見ながら話をしている。
ジュ「で、これがカイさんからの報酬だってのか…」
ガロ「差出人はそうなってる。まあカイさんも律儀というかなんというか…」
ジュ「律儀なのはいいけどさ、もうちょっと送るものを考えてもらいたいよなぁ…」
ガロ「RX-77-2 ガンキャノンC-108…ガンキャノンタイプじゃレア中のレア物だけどこれだけレア過ぎると逆になかなか売れないんだよなぁ…買い手が引いちゃって」
ジュ「かといってバラしてもパーツが古すぎて使い物にならないし…どうするよコレ?」
ガロ「そうだなあ…今度シャアさんが来たときにでも話持ちかけてみるか。あの人なら案外買いそうだしな、赤いし」
ジュ「そうだな。ヒソヒソ(それとロランが風呂入ってるとこを覗いてる写真でもつけるか)」
ガロ「ヒソヒソ(万全を期してロランの寝顔を写した写真でいこうぜ。アレなら一発だ)」
終
最終更新:2017年06月01日 13:57