968 名前:乙女の雛祭り(後編)1/4 :2009/02/20(金) 19:31:32 ID:???
965続き

クリス「こんにちはー」
シュウト『はーい』トタトタ
クリス「や! クッキー焼いたから、おすそ分けに来たわよー」
シュウト「ほんと? やったあ!!」
クリス「んふふ~、そうやって素直に喜ばれると嬉しいわねー。
    ロランはお出かけ中?」
シュウト「ううん。 今、手が離せないって」
クリス「ん? 何やってるの?」
シュウト「お雛様の着物縫ってるんだって」
クリス「はい?」

ロラン「…と言うことらしいんですよ」チクチク
クリス「へぇ~、ガロードがねぇ…」
ロラン「“荒熊”さんにはよくお世話になってますし。
    そういう事ならって、僕もお手伝いしてるんです」ヌイヌイ
クリス「なるほど… ところで、美人で優しくて手先にはちょっと自信のある人材に
    心当たりあるんだけど。 助っ人、いる?」


ガロード「む~ん…」
シン「なに唸ってるんだよ」
ガロード「あ、シン兄… いや、人形の頭がなんか難しくって…」
シン「へぇ~、これがそうか? よく出来てんじゃん」
ガロード「それがさぁ」つ【手鏡】
シン「ん? これに映すのか? …うわ」
ガロード「…ってことで、なかなか難しいんだわ」
シン「おいおい、そんなんで間に合うのかよ?」
ガロード「む゛~~、まあ最悪、男女で一個ずつ完成したら、レジンで量産ってテもあるけど…」
イアン「そいつは趣ってもんに欠けるな」
ガロード「そーなんだよなぁ…って!」
シン「…誰?」
刹那「CBのメカニックをやってもらっている、イアンだ」
イアン「ロックオンから話を聞いた。
    昔とった杵柄だが、わしも一肌脱いでやろうかと思ってな」
ガロード「おっちゃん、やる人なの?」
イアン「昔の話だ。 娘が産まれた時にすっぱり足を洗ったが…
    フェルトもわしの娘のようなもんだからな。 ほれ、貸してみろ」チョイチョイ
ガロード「すげぇ、ちょっと手を入れただけで…」
イアン「まだ腕は錆びちゃいないみたいだな。 よし、どんどん行くぞ!」



969 名前:乙女の雛祭り(後編)2/4 :2009/02/20(金) 19:33:13 ID:???
 数日後…

 ばさっ!
ティファ「ガロード、そっち押さえて」
ガロード「こうか?」
 アルミの台に緋毛氈がかけられ、人形や小道具が並べられてゆく。
スミルノフ「これは…プラスチックかと思ったら、漆器か!?」
 蒔絵細工も美しい、艶やかな光沢が雰囲気を出している。
ガロード「菱餅とか雛あられとか盛る器は、プラ用の塗料使うわけにいかないっしょ?
     キラ兄が通販で漆塗りのキット見つけてくれたからさ」
スミルノフ「…感心を通り越して、呆れるな、君は」
ガロード「あははー、良く言われる」
スミルノフ「将来は、この道へ進むのかね?」
ガロード「んー、どーだろ。 何かを作るのは楽しいけどさ…
     仕事って、楽しいだけじゃやってけないもんじゃん?」
スミルノフ「まぁ…間違いではないが…ずいぶんと夢がないな(苦笑」
ガロード「俺的には、ティファとずっといっしょに居られるなら、
     仕事は何だっていいよ。 何か作る仕事なら言うことないけどね」
スミルノフ「おやおや…これはご馳走様という所かな?w」


ラッセ「すげぇな、この刀、抜けるぞ」
リヒティ「こっちの扇も開けますよ!」
アレルヤ「これも、イアンさんが作ったんですか?」
イアン「いや、わしは人形の頭だけで手一杯でな。 細々したものは全部、ガロードがやった。
    あそこの兄弟が何人か手を貸してはいたみたいだがな」
ラッセ「へぇ…たいしたもんだ」
ロックオン「お前ら、手伝うっつっといて遊ぶな。
      クリスの足止めもいつまでも出来るもんじゃないんだぞ?」
ラッセ「っと、すまんすまん」
リヒティ「がんばるっす!」
ティエリア「馬鹿者! 左大臣は内裏から見て左! すなわちこちらからは向かって右だ!」



970 名前:乙女の雛祭り(後編)3/4 :2009/02/20(金) 19:34:14 ID:???
ソーマ「………」
スミルノフ「雛人形といってな。
      娘の健やかな成長を願って、古来より飾られていたものだそうだ」
ソーマ「………」
スミルノフ「本当なら一流の職人の手によるものを用意したかったのだが…
      私がこの風習を知ったのが最近でな。
      予約販売しかしないと言うので…その、ガロード君が音頭をとって、
      皆で手作りしようと言うことになった」
ソーマ「………」
スミルノフ「店の皆も手伝ってくれたよ。
      そのせいで少しちぐはぐな所はあるが…込めた気持ちは、皆、一緒だ」
ソーマ「………」
スミルノフ「その…少尉?」
ソーマ「………」
スミルノフ「気に入っては、もらえなかったかな…」
ソーマ「ち…ちがっ」
スミルノフ「ん? …しょ、少尉!」
ソーマ「ちがっ…ます! こ…な立派な…」ヒック
 はらはらと涙を零すソーマ・ピーリス18歳。
ソーマ「こ、こ…な立…な雛、祭りを! わたっ…がして、…ては申し訳が!
    (こんな立派な雛祭りを…私などがしていただいては申し訳が…)」ヒック
スミルノフ「少尉…」
ソーマ「あじがどうございま゛ず! あじが…」ウァーーーーーン…

物陰のミン「(よし!)」
 小声でガッツポーズをとるミンと、そして物陰でハイタッチを交わす従業員ず。



971 名前:乙女の雛祭り(後編)4/4 :2009/02/20(金) 19:35:52 ID:???
クリス「じゃ~~ん!」
 ソレスタル・ビーイング日本支部。
 その、リビング・スペースに踏み込むと…
 パン! パパン!
スメラギ「お雛祭り、おめでと~~!」ヒック
クリス「…もう出来上がってる……」
ハレルヤ「スメラギさん、おめでとうは、すこし違うと思うよ…」
フェルト「みんな…これは?」
ロックオン「なーんか、全部ミス・スメラギに持ってかれたよーな気もするが…
      ほら、お前の雛人形だ」
フェルト「雛人形…私の!?」
ロックオン「いやぁ、苦労したんだぜ? 店はどこ行っても売約済みっつーし。
      結局、ティファとガロードの手ぇ借りて、作ろうって事になって」
フェルト「ティファ? ガロード?」
クリス「ええっ! これ、手作りなの?」
ロックオン「そ。 人形の頭はイアンさんが」イアン「あ、こら、言うな!」
ロックオン「え、まずかった? なんか」
クリス「っていうか! それなら私にも手伝わせなさいよ!」
ロックオン「お前さんじゃフェルトに隠しきれないだろーが」
 ぎゃいぎゃい
フェルト「みんな…」ウルッ
リヒティ「いやぁ、でも、ほんとに良く出来てるっすよ。
     ほらほら、これ、俺っす」
 五人囃子の一体を指すリヒティ。
 それは確かに目の前の陽気な青年の面影がある。
フェルト「…これ、みんな?」
 改めて見直すと、五人囃子だけではない。 ラッセやマイスターたちも並んでおり…
フェルト「あたし…ロックオン!?」
 最上段に並んでいるのはどう見てもフェルトをモデルにしたらしいお雛様と、
 髪型こそ普通の和人形だが、ロックオン似の男雛が並んでいる。
 ぼふっ!(////)
フェルト「~~~~~」

 三人官女の真ん中で、ティファに良く似た人形が微笑んでいた。

おわり



972 名前:乙女の雛祭り(番外編) :2009/02/20(金) 19:36:50 ID:???
マリナ「ここを…こう」キュッ!
シーリン「………なにやってるの、マリナ?」
マリナ「お雛様を折ってるの」
シーリン「お雛様? 折る?」
マリナ「リィズちゃんに教わったのよ。 折り紙」
シーリン「おりがみ?」
マリナ「じゃーん!」 ○【お雛様】
シーリン「うわ、細か…」
マリナ「アザディスタンの、施設の子供たちに送ってあげようと思って」
シーリン「あんた、いったい幾つ作るつもりよ…」




こんどこそ本当におわり。

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最終更新:2013年10月15日 21:29