407 名前:は つ こ い :2009/09/12(土) 23:49:52 ID:???
僕がまだ小学生だったころ、家の近所に一人のお姉さんが住んでいた。
その人は近くにいても、どこか違う世界にいるような、触れてはいけないようなそんな不思議な空気を纏っていた。
僕はその人の纏う空気が好きだった。一緒にいるとどこか、自分に近いような、懐かしいような気持ちになれた。
その人はいつも決まった場所には現れず、学校から帰ると彼女を探して走り回るのが僕の日課だった。
当時の僕はあまりに幼かったので、大人の詳しい事情はわからない。ただ、あの人を見る周りの大人の視線の冷たさと
家に帰ったあとの兄さんの、もう彼女に会ってはいけない、という言葉が僕はただ悲しかった。
そんな事を彼女は気にもせず、今は、住む世界がちょっと違うだけ、と少し微笑んでくれたのを覚えている。
長い黒髪と、真っ白な肌が似合う、とても奇麗な人だった。
ある夏の日、その人と会った後、突然振り出した夕立に祟られ僕は熱を出してしまった。
姉さんが言うには随分酷い熱だったらしい。高熱の中で僕は夢を見た。彼女だった。
彼女は悲しげな顔で僕に言う。もう会えないと。僕も悲しくなってどうして、と尋ねたが、彼女は黙って首を振るばかりだった。
あなたが本当に強い子だから、私は傍にいられないの。最後にそういい残して彼女は去っていく。
僕は必死で追いかけた。待って、僕はまだ、あなたの名前さえ知らない。それでもどんどん小さくなっていく彼女の背中。
待って、そう叫んだ自分の声で僕は目が覚めた。心配そうに僕を覗き込む兄さんと姉さん、弟たちの顔があった。
その日から彼女に会うことはできなくなった。兄さんに聞いたら引越しでもしたんだろ、ぶっきらぼうな答えが返ってきた。
ただ、僕は不思議と悲しくは無かった。僕が今生きていられるのは彼女のおかげ。彼女が生命を僕にくれたから。
根拠は無い、だけど確信がある。僕はそう思った。
408 名前:は つ こ い :2009/09/12(土) 23:52:21 ID:???
マイ「そうですね……これが、僕の初恋と言えば初恋かもしれませんね」
セレーネ「そう…珍しいわね、マイが
こんなこと話すなんて」
マイ「そうですね…姉さんに付き合って、今日は少し酔っているのかもしれませんね」
セレーネ「いいじゃない、たまにはそんな夜があったって…ねえ、そう思わない?」
ガロード「凄く綺麗な思い出話にしてるけどさ…」
ジュドー「今の話の女性って、多分」
ウッソ「
死神姉さんでしょうね、確実に」
カミーユ「たまにマイ兄さんを睨み付けて口惜しいって感じの顔してるもんな」
コウ「と、いうか、何故僕ら兄弟の中でマイ兄さんだけ死神さんが見えないんだろう」
シーブック「今もセレーネ姉さんの横でアタリメ齧ってるのにスルーしてるし」
ヒイロ「(死亡)フラグクラッシャーには見えない類のものなのだろうな」
ロラン「それに加えて重度のKY体質というのもあるでしょうね」
ガロード「まあ、何にせよ持ってこうとしたのがマイ兄さんだった時点で死神も運が無いっていうか…」
マイ「そうですね……もし、彼女にまた会えるのなら会いたいですね」
ジュドー「(おーい…マイ兄さん、その会いたい人は兄さんの目の前でチューハイ飲みながら手ぇ振ってるよー)」
最終更新:2014年03月01日 14:07