イーサン・ライヤー。シローが勤務する08分署の署長で、相当な切れ者という評判だ。
ライヤー「シロー捜査官、実は君に折り入って話があるのだが」
シロー「何でしょうか」
ライヤー「ココではなんだ…私のオフィスで話さないかね?」

しかし、彼にははた迷惑な趣味があった。
コジマ(警部)「署長の悪い癖が始まったな」
テリー「悪い癖、何ですか?それって」
コジマ「君はサイド七曲署から来たばかりだから知らないのか。所長の趣味は仲人だよ。趣味と実益を兼ねているがね」
テリー「縁結びをすればコネも出来ると?」
ミケル「しかし、捜査官にはお付き合いしている女性がいるはずじゃ…。署長はご存知じゃないんですか?」
コジマ「知らないはずだが、もし署長が知っていたとして、それで遠慮すると思うかね?」
カレン「ハッ、あの俗物にそんな繊細な神経あるわけ無いだろ」
テリー「頑張れデカ長(=シロー)…」(TへT)

署長のオフィス。
ライヤー「まあ、かけたまえ」
シロー「はい。それで、今日はどういったお話でしょうか?」
ライヤー「うむ、先日の誘拐事件だが、君は実によく頑張ってくれた。私も面目を失わずに済んだよ」
シロー「いえ、俺、いや私は市民の安全を守るという義務を果たしただけです」
ライヤー「実にすばらしい。シロー君、君は天才だ」
芝居がかった様子でそう言ってライヤー署長は懐に手を入れた。
昨日のデートでアイナと見た映画では、そう言っていきなり部下を射殺しようとする上官が出てきた。
まさかとは思うが、上司でも油断ならない人物。シローは思わず腰を浮かせたが、署長が取り出したのは写真だった。
ライヤー「ところで、私事で恐縮なのだが、実は知り合いからこの娘さんの縁談を頼まれていてね。
      将来有望な人物を、ということなので君を紹介したところ、先方がいたく気に入ってね。
      一つ、今度の日曜日に会ってくれんだろうか?」
シローはもちろん、「俺はアイナと添い遂げる!」と断るつもりだったが、
ライヤーの続けた言葉が彼の口を封じた。
ライヤー「ところで先日、ウルグスクを視察に行って来たのだが、寒冷地ながらなかなか快適なドームシティだったよ」
ライヤーの声音はいつもと変わらない様子だったが普段見せない恐ろしげなプレッシャーを発し、シローは冷や汗を流す。
まさかとは思うが、必要とあらば汚い手でも使う署長だ。下手に怒らせると本当に辺鄙なウルグスクに左遷させかねない。
シロー「しばらく考えさせて下さい…」
ライヤー「なるべく早くしてくれ。期待しておるよ」

夜、残業しているアムロの携帯電話にシローのコールが入った。
シロー「兄さん、相談したいことがあるんだけど。俺の人生に関わるかもしれない、重大なことなんだ」
アムロ「一体何なんだ」
シロー「上司に見合い話持ちかけられたんだよ!」
アムロ「な、何だって?!……一時間後に『ピンクエレファント』で。場所はわかるな」

一時間後、バー『ピンクエレファント』。
アムロ「どうして見合いなんか?しかも次の日曜日とは、話が急だな」
シロー「うちの署長が持ちかけてきたんだ。左遷をほのめかしながら」
シローは優秀な捜査官だがトラブルメーカーでもあり、去年は表彰数も始末書の数も署内トップだった。
アムロ「左遷させるにしても理由が必要だろう。…十分あるのか。しかし理由があるのにやらなかった」
シロー「兄さんはハッタリだと?だったら『俺はアイナと添い遂げるぅッ!』って啖呵切れば良かった」
アムロ「…こういう話は、持ち込まれた以上は無下に断るわけに行かないだろう。会わずに断るのは上司だけじゃなく先方に失礼だ」
シロー「うーん。俺、どうすれば良い?」
アムロ「会った方が、お互い断る理由もつけやすくなる。相手が気に入らなかったら、向こうから断ってくるかも知れないしな。相手は?」
シロー「これだ」
シローは署長に渡されたファイルを見せた。プラチナブロンドの美人の写真が貼られている。


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最終更新:2018年10月29日 14:03