通称ガンダム兄弟達は今、非常に騒がしくなっていた。
もしかしたら家の経済事情が好転するかもしれないのだった。

ことの起こりは一枚のハガキ、そしてその後舞い込んだニュースだった。
ガロードは地方のゲームセンターで行われた予選を勝ち抜き、
見事決勝トーナメントへの出場を果たし、その旨を伝えるハガキが届いたのだ。
これは別にこの兄弟達にとって驚くべきことではなかった。
ガロードは得点ランクでも対戦でも全国で常に上位に位置するつわもので、
かなりのゲーマーなら誰でも知ってるほどの腕前の持ち主だったからである。
しかし所詮遊びは遊び、学校の人気者にはなれても家庭内ではたいして騒がれもしなかった。
だが・・・・・・それを一変させるニュースが舞い込んだのである。

「一千万円!!?本当にか!!?」
「ああ、間違いないみたいだよ。アムロ兄さん」
「もしも上手く行けば俺以上の高給取・・・・・
まじめに公務員やってるのが馬鹿みたいだなぁ・・・・・・」
始まりはネットで飛び交ったうわさだった。
「某ゲーム会社が今度の大会の優勝者をプロゲーマーとして向かい入れる準備をしている。
それも契約金は年間1000万円以上を予定しているらしい」
最初は一笑にふされた。プロゲーマー、それはまだ世間的にはまだまだ認知されていない職業である。
特にこの国ではまだ一人もいないのが現状だ。
しかし・・・・・隣の国で実際に1000万円並の給金を受け取っているプロゲーマーの存在の事実、
その会社のそのゲームに対する入れ込み具合、等など様々なニュースソースが
ネットで飛び交うたびに「もしかして?」と皆が思い始めていた。
しかも今回の大会の規模は今までのゲームの全国大会の比ではなく、
そのことが更に期待を膨らませていたのだ。

「1000万、もしも入れば兄弟はあと10年は食いつなげる!」
「1000万・・・・・大型任務10回分か、やるな、ガロード」
「1000万・・・・・それだけ入ればご飯をもう少し豪華に出来ますね」
「なんとぉぉぉぉ!!1000万といえばアンパン分!!」
「ゲームしただけで1000万なんて・・・・・世の中おかしいですよ!!ガロード兄さん!!」
「給料が入ったら少し貸して欲しいな・・・・・最近はガンプラも高いから」
「ほう!その若さで1000万とはな!貴様ギンガナム隊に入らんか!?」
どんどん兄弟のボルテージが上がっていく、まるで確定事項のような話し方にすらなってきた。
「お前らちょっとは落ちつけよ、それとギムのおっさんは相変わらず言ってることわけわかんねーよ」
一方当の本人のガロードは周りが騒ぎ立てることで逆に冷静になっていた。
「その噂が本当かどうか全然わかんねだろ」
「いや、結構信用できる『ニュースサイト』でも扱ってるし本当な可能性がかなり高いと思うよ」
PCの鬼のキラが『信用できるニュースサイト』と言う以上ただのニュースサイトではない。
一般人など立ち入るどころかその存在すら知らない裏サイトである。
「いや、でも優勝出来るかどうかわからんねーだろ、自信がないわけじゃねーけど・・・・」
「勝算は何割程度?」
シローの質問にガロードはしばし考えるとこう答えた。
「3割強ってとこかな・・・・・格ゲーは流れの要素が強いし」
「3割強・・・・・・それではダメだ!!
いいか、皆!!これから俺達の力を総動員して勝率を9割、否、10割まで上げるんだ!!」
「ええ!?それはちょっと無「「「「「「「「「「「おう(はい)!!」」」」」」」」」」」

後にガロードはこう語りました。
「皆目がいってました、あんな兄弟達を見たのはあれが始めてだぜ・・・・・」

その1・ドモン・カッシュの特訓
「格闘を扱ったゲームなら格闘のことを学ぶべきだ、
まずは軽くマシンガンの弾を手で受け止める練習だ!!」
「ぎょわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「うわぁ。こりゃミンチより酷いや」

その2・ウッソ・エヴィンの特訓
「左手も右手も同じ様に使える訓練をしましょう。
これで事故や何かで片手を怪我しても安心です」
「いや、ゲームは両手使うし意味無いんじゃ・・・・・」
「口答えをしないでください!!まずは箸を左手のみで使って
こっちのお米一合分をこっちの器に移してください。終わるまでここを離れさせませんよ!」
「・・・・・・・・」

その3・カミーユ・ビダンの特訓
「お前の技術とNTの感が合わされば絶対に勝てる!!」
「それはいいけど・・・・・なんで地上にいるのにノーマルスーツを着させるんだ?
しかもなんだ?この足元の機械は・・・・・・・」
「ノーマルスーツのみで宇宙を放流すれば『宇宙の心』がわかるようになる!」
「いや、それはあまりに無茶苦茶・・・・」
「幸いここには物資を宇宙に送るためのカタパルトがある!!では早速・・・・・射出!!」
「ぎょわあああああああぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・」
               ・
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               ・
「なんだろう、あれは。ゲーム画面かな?いや、違うな。
ゲーム画面はもっとこうぶわぁぁと音がするもんな・・・・」
「良し、見事に成功だ!」
「そうか?」

その4・シロー・アマダの特訓
「ボタンが潰れるまで打ち続けろぉぉ!!!」
「今更連打の練習かよ!!俺がやるのはファミコンか!!?
今時連射力なんてゲームの腕に関係するかよ!!」
「目標は秒間16連打だ!!」
「俺は高橋名人かよ!!」

その5・ヒイロ・ユイの特訓
「目標をしとめるにはまず目標の観察を怠らないことだ」
「うん、まぁ基本だな」
「幸い敵はお前のキャラを倒すことに集中している。その時が最大のチャンスだ」
「攻撃してくる時の隙をつく、か。これまた基本だな」
「敵がゲームに集中している隙にこの極小の毒吹き矢で相手を・・・・」
「敵って対戦相手そのものかよ!!ただの反則じゃねーか!!」
「心配するな、この矢は特殊な素材で出来ていて人間の体液で溶ける。
毒は体内で完全に分解されてしまうから証拠は何も残らん」
「そういう問題じゃねー!!」

その6・キラ・ヤマトの特訓
「大丈夫!僕に良い考えがあるんだ」
「どんな?」
「そのゲーム向けに遺伝子改造すればどんな大会でも優勝間違い無し!」
「・・・・・・・・帰れ、お前はもう」

「もうやってられっか!!なんでこんな無意味な特訓に付き合わなきゃいけないんだよ!!
これならディアッカとかの下手糞相手にゲームしてたほうがよっぽど上達するぜ!!」
それだけ言うとガロードは家から逃げ出した。
「なんとぉぉぉぉぉぉ!!ガロードが逃げてしまうなんて!!」
「流石にちょっと無茶しすぎたんじゃないかなぁ・・・・・」
「アル、お前は1000万という数字の意味をわかっていない!!」
「連れ戻せ!!!」
「ガンダムで出ます!!」
「第8課!!シロー・アマダだ!!緊急出動!目的は手配犯の捜索だ!!」
「ヒイロ、お前の友人達にも力を借りるんだ!」
「任務了解」
なんかもう、戦争でも起きそうな雰囲気である。
「皆待ってください!落ちついてください!!」
「ロ、ロラン・・・?」
「無理強いして連れ帰っても逆効果です、見つけたら僕に教えてください。
何とか説得して見ますから・・・・・・」

「こちらシャギア&オルバだ、目標を発見した」
「目標は現在○○公園のベンチに座っているよ」
『了解した、こちらが向かうまで見張っていてくれ。
しかし良くこんなに早く見つけられたな・・・・』
「ふ・・・・ライバルの行動パターンなどとっくに把握済みだ、なぁオルバ」
「そうだね、兄さん。僕らにかかればこれぐらいは容易いね」

「ガロード・・・・あの程度で逃げ出すとは根性の無い奴だ!
やはりここは俺が拳で・・・・・」
「だからまずはロランが説得する手筈だろ、ドモンはしばらく下がってろ」
「では・・・・頼むぞ、ロラン」
「はい、任せてください」



「皆!俺はやるぜ!!どんな辛い特訓でもこなして見せる!!
そして・・・・・必ず優勝の二文字を掴んで見せるぜ!!!」
「おお!良くやる気を出してくれた!!さぁ、早速帰って特訓だ!!」
そして駆け出していったガロード達を見送った後、シーブックはロランに尋ねた。
「凄いな、前とは180度態度が変わってるじゃいないか。
一体なんて言って説得したんだい?」
「簡単なことですよ、もしも年収1000万円なんてことになれば・・・・・」
「なれば?」
「ティファさんが絶対に惚れ直しますって・・・・・・
それにそれだけ安定した収入があれば、高校卒業後に即結婚だって可能ですって。
家の兄弟は皆結構単純だからこれぐらいの誘導は楽なものですよ。
特にガロードなんてティファさんの名前さえ出せばイチコロです」



シーブックは笑顔で話すロランを見ながら思った。
絶対敵には回したくないタイプだな、と・・・・・・・



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5コマ以上 ガロード・ラン ガンダム一家

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最終更新:2018年11月06日 15:29