283 名前:高校生クイズ1投稿日:04/07/25 19:06 ID:???
 真夏日の球場の真ん中で、マイクを握ってギレン・ザビが吠えた。
ギレン「我が勇敢なる高校生クイズ参加者よ、今やクイズ参加者の半数が我が第一問によって球場の外へ消えた。
    この容赦ないふるいがけがこそ高校生クイズの地方予選の証しである。
    第一問目から躓いた連中に如何ほどのムダ知識が残っていようとも、それは既に形骸である。
    敢えて言おう、カスであると!
    それら軟弱の集団が、この第一予選会場を出ることは出来ないと私は断言する」
スタンドの参加チームから声が上がった。
参加者B「第一予選会場に残るのは勝者の方じゃないんですか?!」
ギレン「誰がそんなことを決めたのかね?
    私は第一問「現在のニューヤークの自由の女神像は四代目である」で、
    マルと答えたチームを外に出し、バツと答えたチームをここに残しただけである」
ここで自分たちが負け組だと察したいくつかのチームはこっそり出入り口を抜けてマル組に紛れ込もうとしたが、
警備員に阻止された。
ギレン「愚かな。時すでに遅いのだがな(ニヤリ)。正解はマルだ」
参加者B「オンドゥルルラギッタンディスカー!!」
ギレン「このスタンドに残った諸君はは彼ら選ばれた勝者の踏み台になって、
    『ひと夏の思い出』として編集されて初めてTVに出ることが出来る。
    これ以上戦い続けては番組進行そのものの危機である。
    今こそ諸君らは敗者という立場理解して帰らなねばならぬ時であると!
    ジーク・ラ○○ン!」

炎天下のため球場のスタンドには熱気がこもって鍋のように熱く、
気が立っていた敗者チームは怒りに任せて野次やブーイングを飛ばすが、
ギレンは演説の締めくくりにクイズのスポンサーを称えて悠然と演壇を降りる…
はずが、目に強烈な光が当たって平衡を失い、階段を踏み外して転がり落ちた。

ギレン「目が…見えん!ガルマ!」
ガルマ「兄さん?!」
ギレン「私の目の治療が終わるまで、貴様が私の代役をやれ。わかるな?」
ガルマの承諾を聞くと、ギレンはたんかに乗せられて運ばれていった。

(つづく)

284 名前:高校生クイズ2投稿日:04/07/25 19:07 ID:???
 ガルマは拡声器を持って予選会場の外に出ると、外でたむろしているマルと答えたチームに呼びかける。
ガルマ「暑い中お待たせしました。マルの諸君にいいお知らせです。
    自由の女神像の一代目は西暦時代のアメリカ合衆国政府が作ったもの、
    二代目はネオアメリカ政府が秘密兵器として設置しましたがその秘密兵器の事故で崩壊し、
    三代目はナノマシンに分解されて土に還りました。
    現在あるものは四代目です。
    というわけで、第一問目「ニューヤークの自由の女神像は四代目である」の正解はマルです。おめでとう、諸君」
打ちひしがれていたマルを解答したチームは一斉に歓声を上げた。兄弟たちの姿もその中にあった。
カミーユ、シーブック、キラにガロード、それに専業主夫のロランも正規の通信制の高校で学んでいるので、
高校生の年齢の兄弟は、任務があるといってキャンセルしたヒイロ以外全員この高校生クイズに出ているのだ。
シーブック「いやあ、一時はどうなるかと思った。冷や冷やさせてくれる」
ガロード「いや、俺は向こうが間違ってるんじゃないかと思ったよ」
カミーユ「どんでん返しで盛り上げるのはこの番組の常套手段だろ」
キラ「ねえアスラン見なかった?」
ロラン「いや。結構目立つはずなんだけどね」
キラ「でも夏だから日差し除けに帽子かぶると思うよ」
ガロード「夏じゃなくてもここ最近いつも帽子だぞ」
ロラン「…ま、まあ一問目は5割の確率で落ちるんだし、兄弟が全部残れただけでも」
シーブック「おいスタッフが何か言ってるぞ」
ロランの強引な話題転換をシーブックがフォローする。
ガルマ「諸君は「三本の矢の教え」という言葉を聞いたことがあるでしょう。
     一本の矢はすぐ折れても三本束ねたら折れにくい。
     個人の知力・体力・時の運も大事ですが、チーム戦ではメンバーの協調が最も重要です。
     参加者諸君もこの三本の矢のようにあることを願います」
口ではこうは言ってもガルマの上の兄弟3人は先ほどのギレンも含めた全員が仲が悪いのだから皮肉なものだ。
カミーユ「そう、全員チームが違う以上、これからはチームのために戦うんだ。
     兄弟でも試合中は皆ライバルだからな。手加減はするなよ」
ガロード「へへっ、こっちにはティファがついてるから負ける気がしないね!」
そうして5人はそれぞれのチームに別れた

(つづく)

295 名前:高校生クイズ 番外編1の1投稿日:04/08/03 18:53 ID:???

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カミーユ「う、うう…ここは?」
目を覚ますと空手部主将のメズーン・メックスの顔があった。
メズーン「対戦相手の正拳で気絶してたんだよ、お前は」
カミーユ「試合は?」
メズーン「負けたよ。5人抜きされちまった」

カミーユが戻ってきて、空手部のメンバーがそろった。車座になって全員正座。
メズーン「それじゃ反省会を始めるぞ。残念ながら今年も地区大会敗退という結果になってしまった。
     それで、これからの活動だが」
部員のランバン・スクワームが手を上げて発言。
ランバン「きょ、強化合宿だ」
メズーン「その予算がないので無理だ」
カミーユはそれは良かったと思った。
これで空手部に邪魔されずにプチモビ作りも出来るし、フォウとの仲を深めて夏の思い出作りも夢ではない!
いやいや、ファにロザミィ、エマ先生も捨てがたいし、迷うなぁ。アヒャヒャヒャヒャ。

(つづく)


296 名前:高校生クイズ 番外編1の2投稿日:04/08/03 18:54 ID:???

カミーユの楽しい妄想は主将の一言であっさり砕かれた。
メズーン「というわけで、空手部を代表して俺とランバンとカミーユとで、高校生クイズに出る。
     奨学金名目で賞金が出るからな。それで強化合宿だ!」
部員A「さすがです主将」
部員B「3人ならもうもらったようなものだ!」
カミーユ「異議あり!実力不足だ。それに二位以下は賞金無しなんだぞ?!本気で勝つ気なのかよー!!」
メズーン「本気だ。知力担当のお前、体力担当のランバン、時の運の俺。そして皆が応援してくれるんだ。
     やってやれないことはない!いや、男ならやってやれ!」
カミーユ「信じられるものか!クイズの専門家だっているんだ。素人で出来るはずが」
メズーン「賢しいだけの小僧が何を言う!」
カミーユ「賢くて悪いか!」
出る気かどうかはともかく、3人の中では知力担当とは自覚しているらしい。
カミーユ「俺の体を皆に貸すぞ!」
ドカッ!バキッ!ゴスッ!コキャッ!
部員たちにそれぞれパンチ3発ほど貸して、カミーユは目を回してしまった。
メズーン「これが空手部の意思だ。貴様も一緒に連れて行く」
こうしてカミーユのチームは(強制的に)決定した。

カミーユ(何が悲しくて空手バカ一代2人と一緒の夏休みなんだ…)orz

(注)
メズーン・メックス、ランバン・スクワーム:カミーユの空手部の同僚。Z第一話にのみ登場。

(つづく)

302 名前:高校生クイズ 番外編1の3投稿日:04/08/05 07:30 ID:???
 夏休みは思い切り羽を伸ばすはずが、強制的にカラテカチームで高校生クイズに出ることになり、
カミーユはがっくりと肩を落として家に帰ってきた。が、
カミーユ(そういやここにも空手バカ一代が居たんだ…)
ドモン「お?カミーユ帰ったのか?」
異様にニヤニヤしながら近寄ってくるドモンに危険を感じた。目が笑っていない。
ドモン「カミーユ、お前が今感じている感情は敗北感と挫折感だ。
    それを克服する方法は俺が知っている。俺に任せろ」
そんな、彼にしては妙に回りくどい言い方をしながら、ドモンはカミーユの腕をつかんだ。
同時に、感受性の強いニュータイプのカミーユの脳裏に断崖絶壁とその上の緑の密林のイメージが流れ込む。
カミーユ(やばい!ギアナ台地だ!)
前から度々ドモンはカミーユを修行に連れ出そうとしていた。
空手部で3番程度に甘んじているカミーユを基礎から鍛えなおすためという理由で、今回もその気のようだ。
カミーユ「ざ、残念だなあ。実は空手部の仲間達と特別強化合宿をする予定が先に入ってるんですよ。
      ドモン兄さんの好意だけありがたく受け取っておきます」
カミーユは断る理由付けに高校生クイズだという事実を隠して夏休みの空手部の活動予定を並べ立てた。
ドモン「だが学校の部活レベルでちまちまやったって実力は伸びないぞ。
    お前は実戦的な流派東方不敗を習って基礎から鍛えなおした方が良いんだ」
カミーユ「それでは兄さんは男と男の約束を破れって言うんですか!兄さんはそういう人なんですか!」
ドモン「何?!う…うーむ」
食い下がるドモンだが、「男の約束」など「男の」という言葉を持ち出されると弱い。勝負はついていた。

ただ、カミーユがどちらを選んでも空手漬けの夏休みは決定済みだったわけで、虚しい勝利ではあるが。

(番外編1終わり)


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最終更新:2018年12月11日 13:34