630 名前:秋名残・前1/3 :2010/12/03(金) 22:14:57 ID:???
ビーチャ「枯ーれー葉よ~♪ 枯ーれー葉よ~♪」
モンド「なに、その歌w」
ビーチャ「知らないのか? これは昔のいでででで!」
エル「こぉら! 口じゃなくて手を動かす!」
ルー「そーよ! わざわざアタシたちが手伝ってんですからね!
ちゃっちゃと終わらせる!」
ビーチャ「ちゃっちゃと…って、言ってもよぉ…」
モンド「これは、ねぇ…」
毎度おなじみネオトピア連邦学園。
その校門から続く並木道を、舞い落ちる枯葉が埋め尽くそうとしている。
それは幻想的とも言える光景ではあったが――
ジュドー「ウチの学校、緑が多いのは良いんだけどさ。
こういう時、困るよねぇ」ガッサガッサ
――それを掃除する者にとっては、やる気のゲージをごりごりと削られる仕打ちである。
ビーチャ「言えてる」
モンド「あーあ、こんな事ならリーダー、サボるんじゃなかった」
ルー「うわぁ…ハマーンの授業サボったの?
怖いもの知らずにも程があるでしょー」
ジュドー「いや、しょうがないんだって!
今日のハマーン、すっげー怖かったんだから!」
ルー「? ハマーンが怖いのはいつものことでしょ?」
モンド「いやいやいやいや! あれは、そう言うんじゃないから!」
ビーチャ「これを見ろ!」つ>>520
ルー「…うわーお」
ジュドー「てゆーかビーチャ、ちゃっかり写メってんのな」
ビーチャ「この事実を俺たちだけのものにはできん!」
エル「…字面だけみれば立派なこと言ってるみたいよね」
モンド「実際には不幸のお裾分けだけどね」
リィナ「もう! ルーさんまで手止めちゃって!」
イーノ「ほんとだね。 あ、ティファ、次はこっちね」
ティファ「はい」
フェルト「よいしょ」ガサガサ
こちらは大雑把な他の者たちとは違い、丁寧に枯葉を集めて行く生真面目組。
リィナ「あ、すみません。 でも、いいんですか?
お兄ちゃんたちは自業自得ですけど、お二人は別に罰当番じゃないんですよね?」
ティファ「はい」
フェルト「えっと、お付き合い? こう言うの、CBの仕事で慣れてるし…」
イーノ「それを言うなら、リィナだってそうでしょw」
リィナ「だって、お兄ちゃんたち、見張ってないとすぐ逃げ出すし…」
ティファ「皆でやった方が、早く済みます」
こくこくと頷くフェルト。
631 名前:秋名残・前2/3 :2010/12/03(金) 22:16:22 ID:???
ビーチャ「そもそも、ガロードの奴はドコ行ったんだよ!」
ジュドー「…愛しのティファさんを放って消えるなんて、珍しいな」
エル「まぁガロードは罰当番じゃないから、あんたたちが文句言う筋合いは無いんだけどね」
周りから見れば常に一緒に行動しているように見られるガロードとジュドーたちではあるが、
何かと授業を抜け出すジュドーたちとは違い、
ガロードの出席率は高く、ほぼ皆勤である。
ルー「まー、あのガロードがティファと一緒に居られる機会を捨てる筈ないし」
ただし、居眠り、内職、ティファに見蕩れて上の空、等々、
授業態度は決して褒められたものではないのだが。
ジュドー「けど、自分から手伝うって言っといて、すぐにドロンはどうでしょね?」
ティファ「いいこと…」
エル「え?」
ティファ「いいことを、思いついたって…」
イーノ「いいこと?」
ルー「ってなんだろ?」
モンド「さあ?」
ビーチャ「いやな予感しかしない…」
ガロード「あ、そーいうこと言っちゃうわけ?」
ビーチャ「うわあ!」
ジュドー「おかえり」
ガロード「ただいま、…ってのも変か?」
朗らかに笑う少年に、ティファが駆け寄る。
そのまま熱い抱擁を交わして――などといった事が出来る二人でもなく。
立ち止まったティファにガロードが人好きのする微笑みかけると、
少女もその日本人形を思わせる整った面に、大輪の花が開いたような笑みを浮かべる。
エル「うっく」
ルー「…いーかげんこの子たちとの付き合いも長いけど」
モンド「むず痒いと言うか…」
リィナ「中てられちゃいますよねぇ…」(////)
フェルト「(私もロックオンと…)」(////)
ジュドー「ん? どした?」
イーノ「あはははは…」
ルー「………はぁ」
ジュドー「それで? いいことって何よ?」
ガロード「おう! ウッソの所から貰ってきた♪」
そう言って、少年は抱えていた箱を差し出した。
632 名前:秋名残・前3/3 :2010/12/03(金) 22:17:54 ID:???
キュピーーン!√
ハマーン(ネコミミOff)「この匂い…まさか!」
期末テストの問題を作成していたハマーンが、鋭い視線をモニターから上げる。
カトック「あんの悪がきどもがあっ!」
その視線の先を、カトックが年齢を感じさせない力強いスライドで走って行く。
ハマーン(ネコミミOff)「…あの方が行ったなら、大丈夫か」
そうして悩める女教師は、PCのモニターに視線をもどす。
ドズル・ザビ邸にて家令も勤める彼女の毎日は激務続きである。
問題用紙の作成はこの日の内に済まさねばならなかった。
ガロード「次も、そろそろ…かな?」ガサガサ
エル「わーい!」
ジュドー「ほい、熱いから気をつけろよ」
カトック「くぉおらあああ! ガロードオオオオ!」
文字通り、地面を埋め尽くさんばかりだった枯れ葉もすっかり掃き清められた並木道。
ガロード「げげっ!」
アルミホイルに包まれた“焼き芋”を手に、不敵な少年が顔色を変える。
ずざざーーーっと砂煙を巻き上げて急停止するカトック。
カトック「貴様~~~、校庭で何をやっとるかー!」
その鬼の形相に、焚き火を囲む一同の顔が青ざめる。
だが。
マリュー「まーまー、カトック先生、そんな興奮なさらずに」
冬も間近なこの時期に、常夏の青空が似合いそうな、
そんな艶やかな声が壮年教師の怒気をフラッペのように溶かして行く。
カトック「ラミアス先生!?」
マリュー「ども~~♪」
ナタル「………」
カトック「バジ
ルール先生まで…」
にこやかに手を振るマリューと、そしてさすがにばつが悪いのか、頬を染めて視線を逸らすナタル。
マリュー「ちゃあんと私たちが監督してますから!
ここは課外授業の一環ってことで、一つ」
カトック「………」
マリュー「カトック先生?」
カトック「あー、焼き芋を握り締めた姿でなければ、納得もしたんですがね」
マリュー「あ、あら…ヲホホホホ」
カトック「教師が生徒に買収されてどうするんですかい…
バジルール先生、口の横にイモが着いてますぜ」
ナタル「!!」
慌てて口元を拭うナタルであったが、その為に後ろ手に隠していた、
食べかけのサツマイモを晒してしまうのであった。
最終更新:2014年12月13日 20:42