257 名前:機動ライダーステイメン :2012/06/24(日) 06:43:57.54 ID:???
―優しさを忘れた現代、街行く人々は他人を思いやる心を失っていた。だが、そんな時代に生きる1人の若者がいた!―
コウ「とほほ、まさか山道で迷うなんて……標識も無いし、全然分からないや」
コウ「ん?あそこに家があるな。ちょっと聞いてみよう」
コウは1軒だけぽつんと建つ、表札の無い小さな家を見つける。
そしてバイクを止めると、玄関脇の箱に置いてあるベルを鳴らした。
コウ「ごめんください、誰かいますか?」
少し経ち、鈍い音を立ててドアが開く。そこにいたのは、若い男だった。
シロー「やあ、道に迷ったのかい?」
コウ「ええ、そうなんです」
シロー「だったら、道を教えるついでに少し休んでいってくれないか?お客さんは珍しいんだ」
コウ「はい、ありがとうございます」
コウは、小さな家の、小さな客間に通された。しばらくすると、青年はコーヒーと地図を持ってやってきた。
シロー「今いる場所がここ。こっちに進んで、ここを曲がれば大きな道路に出られる」
コウ「なるほど、ありがとうございます」
シロー「そう言えば、名前を聞いていなかったな。俺はシロー・アマダ。君は?」
コウ「コウ・ウラキです。シローさんは、何故こんな山奥に?」
シロー「……普段ははぐらかしているけど、君には本当の事を言った方が良いかな?
コウ君……いや、迷子の機動ライダー」
コウ「!? 何故それを!」
シロー「俺も昔はそうだったからさ。今はもう、違うけどな。それに、君の事はほんの少しだけど知っていてね」
シローはそう言うと、黒い光を体にまといEz-8っぽい怪人に変身した。
コウ「ロンド・ベルの怪人と同じ!?いや、ガーベラと同じ、黒くても温かな光だ」
シロー「ガーベラも?懐かしい名前だ。そうか、君はそこまで出会ったのか……」
コウ「教えてください!ロンド・ベルや……ガーベラさんの事を!」
シロー「ああ。俺にはその義務があるんだ……」
いつの間にか、シローは元の姿へと戻っていた。
258 名前:機動ライダーステイメン :2012/06/24(日) 06:44:46.00 ID:???
シロー「昔……世界にジオンという悪の秘密組織があった頃の話だ。
俺達、正義のライダーはジオンに対抗する為にチームを作った。これが、ロンド・ベルだ」
コウ「ロンド・ベルは、元は正義の組織だったんですか!?」
シロー「ああ。そしてロンド・ベルとジオンの戦いは一進一退を繰り返していた。
だが、1つの転機が訪れる。隕石鉱物サイコフレームの発見だ」
コウ「サイコフレーム……知っています。心の光を増幅する鉱物だって……」
シロー「そうだ。ジオン……その頃はもうネオジオンだったな。
奴らは世界征服の為に、サイコフレームを使おうとした。
そして、俺達はそれを阻止する為に戦い、何とかネオジオンを壊滅させたんだ」
コウ「そんな過去があったなんて……でも、そのロンド・ベルがどうして悪の組織なんかに……」
その言葉に、シローはいっそう真剣な顔をして答える。
シロー「ここからが本題だ。ネオジオンとの戦いの後、ロンド・ベルの中に、
悪を生まない為にサイコフレームを使おう、というグループが生まれ、大きくなっていった。
そして、反対派の俺やガーベラ達はロンド・ベルを去り、サイコフレームを破壊する為の争いが始まったんだ」
コウ「……」
シロー「酷いものだった……仲間を傷付け合い、お互いの心の光は黒く染まっていった……」
重い沈黙の後、コウが口を開く。
コウ「それで、その後は……」
シロー「最後に、サイコフレームは塵になって消えたよ。こいつを除いてね」
そう言うと、シローは小瓶に少しだけ入った、緑色に鈍く光る、灰色の粉を見せた。
コウ「これがサイコフレーム……」
シロー「微かに残っていたのを集めたんだ。本当は、こんなものは存在してはならないんだよ」
コウ「じゃあ、何故……」
シロー「別の可能性を探りたかった。魅せられたんだな、俺も、あいつらも……」
259 名前:機動ライダーステイメン :2012/06/24(日) 06:45:23.85 ID:???
再び、重い沈黙の時間が流れる。今度は、シローが口を開く。
シロー「嫌な話が続いたな。何か明るい話がしたいし、聞きたい事はあるかい?」
コウ「ええと……そうだ、ガーベラって、いったい何者なんですか?何故か、他人の様な気がしないんです。
それに、さっき俺の事を少し知っているって、教えていただけませんか?」
シロー「そうだな……全部は話せないが、実は俺達は……」
??「ごめんなさい、誰かいますか?」
ふと、女性の声とベルが聞こえ、話が途切れる。その穏やかな声に、シローの顔つきが厳しくなる。
シロー「コウ君。手伝ってもらう事が出来た」
コウ「え……?」
外にたたずむ女性は返事が無い事を知ると、片腕を前に伸ばす。そして……
クリス「いるのは分かっているのにね……」
クリスはNT-1っぽい、灰色の怪人に変身する!そして腕からガトリング弾を発射する!
蜂の巣になった家から、Ez-8っぽい怪人となったシローがドアを開け出てくる。
シロー「ずいぶん手荒なノックだな……何の用だ?」
クリス「やっと見つけたわ。サイコフレームの欠片を持っているんでしょう?渡してもらうわ」
シロー「確かに俺は持っている。だがお前達に渡すわけにはいかない!」
シローはバズーカを発射し隙を作ると、飛び上がりエネルギー弾を連射する!!
シロー「俺の家の……倍返しだああ!!」
クリス「くっ……!」
NT-1の装甲がボロボロになる。だが!
クリス「えいっ!」
NT-1が装甲を勢いよくパージする!そしてその破片でシローを攻撃する。
シロー「うわっ!?」
そして、体の先から中心へと、再び装甲が形成されてゆく!
クリス「私は装甲を自由に生み出せる。忘れたの?貴方に私は倒せない!」
シロー「まだだ!」
シローは着地すると体制をすぐに建て直し、ビームサーベルを持って突進する!そして!!
クリス「くっ……!」
シロー「ぐ……!」
突進のEz-8と迎撃のNT-1、互いに胸にビームサーベルを指し合う!
クリス「装甲が直る前に、刺し違えるつもり……!?でも……エネルギーは私の方が上よ!!」
260 名前:機動ライダーステイメン :2012/06/24(日) 06:46:12.15 ID:???
シロー「その通りだ。このままじゃあ俺の光が早く無くなる!だが……今だ!!」
ベルト(cv:デュオ)「Maximum Brightness……」
小さな家を飛び越え、機動ライダーステイメンが現れる!その足には、ニンジン状のオーラが纏われている!
クリス「ステイメンですって!?まさか……あなたごと倒すつもり!?」
シロー「……勝ったぞ!!」
コウ「俺……シローさんを信じます!うおおおっ!!」
ベルト「ZEPHYRANTHES!!」
そして、必殺のゼフィランサスがシローごと、ビームサーベルで開いたNT-1の装甲の隙間を貫いたのだった!!
瀕死のシローにコウが駆け寄る。
コウ「シローさん、大丈夫ですか!?」
シロー「ああ。なんとか耐え切ったよ。それより、サイコフレームを……」
コウ「はい」
コウは小瓶からサイコフレームを取り出し、シローの体にふりかける。
シロー「見ていてくれ……これが……俺の研究した……使い道……だ……」
シローがサイコフレームに手を当てると、サイコフレームの光が強まる。
コウ「傷が、塞がっていく……」
シロー「過去と今、留まる命と流れ出る命が共感し、生命となるんだ……」
帰り道を知り、バイクで出発しようとするコウにシローが言う。
シロー「コウ君、今日の出来事は胸の内に深く、深くしまっておいてくれ。
これは誰でも使えるものでは無いし、まして頼る事なんてもっての外だ」
コウ「はい、分かりました。今日は色々とありがとうございました」
シロー「俺の方こそ、希望を見つけられたよ。ありがとう、気をつけてな」
過去を紡いだ歯車が、新たな歯車を動かし始める!
平和の歯車が回り続ける未来まで!戦え、ステイメン!!続く!!!
この放送は、スプーンから宇宙戦艦までのアナハイム・エレクトロニクスと、
ラー・カイラム、リリー・マルレーン、ご覧のスポンサーの提供でお送りしました。
261 名前:機動ライダーステイメン :2012/06/24(日) 06:46:45.17 ID:???
シロー「まさか隠遁モードだなんて……結局蹴られたけど」
ブライト「警察官を敵役にするわけにもいかないからな」
アイナ「出られるだけ良いじゃない」ぷす~っ
ノリス「妻として出る筈が、尺の都合で出番が無くなったのがご不満の様です」
クリス「私は敵役かあ……同じヒタイダーのガトーは2号ライダーなのに」
アムロ「仕方ないさ。それに、ヒロインが別の作品で悪役ってのは結構ある事さ」
クリス「ま、いっか。それよりこっちが大変だしね」
刹那「ヒタイダーが……敵……!?」バタンキュー
アムロ「刹那!?ショックで気絶したのか」
クリス「自分だって敵役なのに……」
ブライト「さあ、救急車も来た事だし、
次の撮影を行うぞ。皆、気を引き締めろよ」
一同「「はーい」」
おわり
最終更新:2015年01月29日 19:29