いま、フレイとキラは2人だけで部屋の中にいる。フレイは巫女衣装であった。
 しかし、中高生の妄想を凌駕するシチュエーションであるにもかかわらず、キラは体が震えて、怯えていた。なぜ怯えているのか?そもそも、どうして、こんな事になったのか?
 話は十日前にさかのぼる。

キラ「今度の休日に神社に行くの?」
アムロ「そう。悪霊を祓ってもらうために。この前の家族の集合写真に霊が映っていてね」
キラ「非科学的な……」
 アムロはおもむろに写真を撮りだした。「ほら、ご覧」
キラ「うわ、本当に心霊写真だ。ウッソの背後に映っている恐ろしい形相の怨霊はカテジナ?」
アムロ「生き霊らしいがね。ウッソの話だと全身全『霊』をかけて愛してくれているらしいが」
キラ「これは?……ロランの後ろに映っている」
アムロ「それはナマ物。シャアかグエンだろ」
キラ「お祓いをするために神社に行くのは分かったけど、この近くに神社なんてあったかなあ」
アムロ「最近オープンした種神社に行こうかと思っている」

 キラは最近オープンしたのかよ!という言葉を飲み込んで、アムロの提案に賛成した。興味があったからである。こうして、兄弟達は種神社に行くことになった。
(続く)


470 名前:神社へいこう2投稿日:03/09/12 21:55 ID:???
 種神社にやってきた兄弟。ガイドを頼むことにした。
カズイ「やあ、キラ」
キラ「ガイドって君なの?カズイ・バスカーク」
ロラン「キラのお知り合い?」
カズイ「同級生でガイドのバイトをやってます。この神社は僕たちの学園が経営していまして」

ウッソ「お祓いはどこで?」
カズイ「いろいろとコースがございまして、マリューコース、ラクスコース、カガリコース、フレイコースがあります。マリューコースは馬鹿高いですね」
ジュドー「おい、どうした?キラ。なんで頭を抱え込んでいるんだ?」
キラ「いえ、コースの名前が……全員知り合いなんで」
カズイ「うん、キラの言うとおりだよ。それぞれ、お祓い役の巫女さんの名前が付いているんだ」
ジュドー「おい、キラ。知り合いだったら、4人のスリーサイズぐらい知っているよな?」
キラ「それは分からないけど、ラクスはお嬢様っぽくて、優しい感じがする。マリューさんはかなり年上で、カガリは僕と顔が似ていて男勝りで……フレイは触った感じが」
全員「触った感じ!?」
キラ「あ、いや、ごめん、言い間違えた。見た感じが優しそうかな」
全員「……」

ジュドー「……ともかく、予算は限られているんだ。ガッカリコースはやめておいて」
キラ「カガリ」
ジュドー「そう、カガリコースはやめておいて、皆、ラクスコースで行こうじゃないか」
キラ「僕はフレイに言わなきゃならないことがあるから、フレイコースを選ぶ」
アムロ「マリューさんって他の3人より年上だったよな。ポケットマネーを出すから、マリューコースを」
カミーユ「歯ァくいしばれ!そんな大人、修正してやる!!」
アムロ「ぶった!二度もぶった!親父にも殴られたことないのに!!」
ジュドー「まあまあ、っていうか、本当はカミーユ兄さんも行きたいんだろ?年上好きだし」

 かくして、兄弟はそれぞれのコースを選んだ。キラはフレイコース、アムロとカミーユはマリューコース、他の兄弟達はラクスコースを選択するのだった。
(続く)


471 名前:神社へいこう3投稿日:03/09/12 21:58 ID:???
ラクス編。
ガロード「なあ、ウッソ。失敗したよな」
ウッソ「そうですね」
ジュドー「俺達は、いま、何をやっているんだ?」
ウッソ「ラクスさんのありがたい説法とやらを正座して聞いているんです」
ラクス「あなた達は何と戦わなければならないのか。云々かんぬん……」

ガロード「そもそも、あのド派手な服装はなんなんだ?」
ジュドー「黒服を着てないハマーンの衣装に似てるな」
ウッソ「巫女巫女ナースのコスプレじゃないでしょうか」

ガロード「すごいよな、ヒイロとロランとドモンは。じっと我慢して聞いてるぜ。」
ウッソ「ドモンは修行で慣れているでしょうし、ヒイロとロランは、女王様と付き合っていますからね。聞き上手なんだよなあ」

ラクス「では、最期に、私の歌で、悪霊を祓いたいと思います」
 このとき、兄弟は皆、嫌な予感に襲われた。
ラクス「ミコミコナース!!」
 強烈な電波の歌(しかも下手)に、その場にいる全員はもだえ苦しんだ。特に、電波を受信しやすいニュータイプのジュドーが最初に逝ってしまった。
ガロード「ガンダムを売るから、売るから許してくれぇ!!」
シロー「俺はアイナと添い遂げる!こんな所で……」
ヒイロ「お前を殺す!」
ドモン「俺のこの耳がァァ電波で唸るぅぅ!!!」
ラクス「まだまだ行きますわよ!!ミコミコナース!!!」
全員「ひいい!!」
(続く)



472 名前:神社へいこう4投稿日:03/09/12 22:00 ID:???
マリュー編
アムロ「乳揺れ最高。こんなに嬉しいことはない」
 アムロはマリューからお祓いを受けて、恍惚状態に陥っていた。
 外で待たされていたカミーユが尋ねる。
カミーユ「どうだった?サービスゥサービスゥとかあったのか?」
アムロ「激しく踊っていたな。それで乳揺れがもう」

カズイ「次の方、お入り下さい」
 カミーユは期待に胸をふくらませながら部屋に入った。しかし、部屋の中には、男が一人いるだけだった。
カミーユ「お前がなぜここに?」
シロッコ「マリューは疲れているからお休みだ。代わりに私がお祓いする」
カミーユ「なんだと!」
シロッコ「では、お祓いを始めるぞ。お前に憑いている霊は蚊トンボだな。地獄へ落ちろ蚊トンボ。落ちろ蚊トンボ。」
カミーユ「おまえは!いつもっ!!人をもてあそんで!!!」
 期待を裏切られたカミーユの怒りは頂点に達した。
(続く)


473 名前:神社へいこう5投稿日:03/09/12 22:03 ID:???
フレイ編
キラ「フレイ、君に謝らなきゃならないことがあるんだ」
フレイ「ちょっとぉー、コーディネーターのくせに馴れ馴れしくしないでよ!」
キラ「フレイ?」
フレイ「除霊をするから、声をかけないでよ!」

 フレイは巫女の服装をしている。が、なんだか微妙に違う。頭にろうそくをつけ、まるで八ツ墓村の殺人鬼のようだった。さらに、手には釘と金槌とわら人形。ドス黒い光を放つ目がキラを恐怖へと誘う。恐ろしいことに、意味不明な事を喋り始めた。
フレイ「(カツーン)うふふふ、戦って、戦って死ぬのよ……。(カツーン)でないと、許さないんだから」
キラ「フレイ?それって、呪いをかける儀式だと思うけど」
フレイ「なによ!?私、ずっとこれでやってきたんだから!」
キラ「いや、……なんでもない」
 というわけで、2人きりであるにもかかわらず、わら人形に釘を刺すフレイをじっと見ておかなかればならないキラ。冒頭で怯えていたのはこのためである。

 そんなところへ、突然、部屋の中へカズイが飛び込んできた。
カズイ「大変だ!キラ。君のお兄さんが!」
キラ「どうしたんだ?」
カズイ「とにかく来てくれ!!トランス状態のフレイは放っといていいから!」
(続く)


474 名前:神社へいこう6投稿日:03/09/12 22:06 ID:???
 キラが駆けつけると、アムロと車椅子に乗ったカミーユがいた。
カミーユ「あはは」
キラ「何があったの?」
アムロ「いや、それが俺にもよく分からないんだ」
 アムロの話によると、お祓いを受けに入ったカミーユが暴れ始めたという。アムロが中に入って取り押さえようとしたが止められず、悪霊と戦っていたシロッコに頭から体当たりしたのである。そのままシロッコは絶命したようだ。

キラ「まさか悪霊の仕業?」
アムロ「そういえば、複数の女の霊がカミーユの周りを取り巻いていたな」
キラ「カズイ、どうすればいい?」
 カズイの姿はなかった。逃げ出したらしい。
アムロ「とにかく、霊を祓わなきゃならない」

セイラ「アムロ、どうかしたの?」
アムロ「セイラさん!どうしてこんな所に?」
セイラ「バイトよ」
 確かにこの神社の袴を履いていた。
アムロ「実はかくかくしかじか……」

セイラ「分かったわ。霊を祓うからちょっと待ってなさい。悪霊退散!」
カミーユ「あ、パぁーと光ってるナあ」
セイラ「く、霊力がこんなに強いだなんて……。ショック療法を試してみるべきね。(バチン!)それでも男ですか!軟弱者!!」
カミーユ「俺は男だよ!はっ!」
 正気に戻ったカミーユにキラとアムロが駆け寄る。「兄さん!」
カズイ「いやあ、良かった。良かった。一件落着だね」
全員「……」
(終わり)


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最終更新:2018年11月29日 11:09