767 名前:最近平和なので。1/11 :2011/09/14(水) 22:33:01.27 ID:???
投下します!



‐‐それは、平和なガンダム家を突如襲った。
いや、突如ではない。それは、動き始めるその日まで闇に潜伏し……力を蓄えていたのだ。

その日、ガンダム家の兄弟達は皆、戦慄した――

君は、生き延びることができるか?


~プロローグ~


「ただいまー!」
「ふ~今日も大量大量っと!」

正午を過ぎた頃、玄関の扉を勢いよく開いて帰還したのは、いつも騒がしい二人組――
兄弟家のトラブルメーカー筆頭・ガロード&ジュドーである。

「お帰り、早かったですね……うわ!その荷物は!?」

出迎えたロランは、ガロードを見て言った。
ガロードは、ドアをやっと抜けられるような大きさのダンボールを大事そうに抱えている。

「へへ、今日手に入れたジャンクパーツさ。……おっとと」
「大丈夫大丈夫!俺たちの部屋に置いとくから!」
「もう、二人の部屋は置くとこないですよ……少しは片付けをしなさい」
「「は~い」」

二人はけだるそうに答えた。いつも聞き慣れた、ロランの小言である。
ことあるごとにロランは二人の部屋を片付けたがるのだが、二人は決してそれをさせない。

ガロードもジュドーも、自分達の部屋が汚いことは自覚している。
だがガロード曰く「ロラン兄が片付けると綺麗過ぎて落ち着かない」、
ジュドー曰く「ゴミに見えるかも知れないけど、いつか使う日が来るから捨てない」――
だそうである。なんだかんだ言いつつも、部屋の片付けが面倒なだけなのだ。

しかし、後に二人はこの忠告を聞いておくべきだったと後悔することとなる――

768 名前:最近平和なので。2/11 :2011/09/14(水) 22:35:24.03 ID:???
~1・鳴動~


とりあえず部屋に荷物を運び入れた二人は、今日の出来事について語りあっていた。

「……でさぁ、あのオヤジの悔しそうな顔といったら」
「俺たちに先を越されて……痛快だったなぁ」

ガンダム家の一部屋に、ガロードとジュドー二人の笑いが響く。

笑顔の二人はまだ知らない。
部屋の隅で、それは、確実に、活動を始めていることを。

「所でジュドー、今回の戦利品はどのくらいでイケると思う?」
「そうだなぁ……オーブの最新鋭量産機のパーツだし……売り込みによってはこんくらい」

ジュドーが手をかざす。

「そいつは吹っ掛けすぎじゃないか?俺は競りに掛けるべきだと思うぜ?
それなら、今ジュドーが言った額もイケるはずだ」
「それだ!さっすがガロード兄!」
「競売に掛けて、誰かにサクラを頼んでもいい。滅多に手に入らないシロモンだし、
みんな血眼になって値をつり上げるって寸法さ!」
「ガロード兄、おぬしも悪よのう……」
「いえ、お代官様ほどでは……なーんてな!」
「「ウシシシシシ……」」

ここにたくましい商売人達がいた。その目に写るのは、輝かしい未来(金銭)である。
だが不気味な笑いは、部屋のドアをノックする音でかき消された。

「はーい、どうぞー」

ガロードが返事をするとドアが開く。顔を覗かせたのは、先ほど二人を出迎えたロラン。
月の女王からプレゼントされた、ピンク色のエプロンが眩しかった。

「二人とも、どちらかでいいので少しお使いを引き受けてくれませんか?」
「買い物?」
「はい。今お菓子を作ろうとしたら、お砂糖を切らしていたのを忘れて……」

そこでロランは言葉を切った。そして、部屋の中を一瞥する。
ロランは独り言のように呟いた。

「久しぶりに見たけど、汚いな……」
「え?そう?」

所狭しと床に散らばったジャンクパーツ。ベッドの上には眠るスペースが無いほどの雑誌。
使わない勉強机にはホコリが堆積し、
小さなゴミ箱の口からは、スナック菓子の袋が顔を覗かせている。

そして極めつけは、部屋中にほのかに漂う異臭だった。

ロランが放ち始めたオーラに、二人はまだ気付かない。

「やっぱりお使いは他の誰かに頼むことにします」
「いいの?」
「そのかわり……」
「そのかわり?」

「今すぐ……今すぐ部屋を片付けなさいッ!!いくらなんでも汚すぎです!!」

769 名前:最近平和なので。3/11 :2011/09/14(水) 22:37:52.05 ID:???
~2・予兆~


「ロラン兄、あそこまで怒らなくても……」
「しょうがない。愚痴るヒマあったら片付けようぜ。晩メシ抜きは勘弁だしな」

何度も見ているうちに慣れてしまっていたのか、やはり改めて見てみると部屋は汚かった。
綺麗好きな兄に言われるまで、部屋の異臭にさえ気付かなかったのである。

「まずは窓を開けよう。確かになんか臭いぞ……」
「えっと、窓……どこだっけ?」
「バカ、ボケてる場合かよ。窓は……あれ?」

部屋の窓なんてしばらく開けたことがなかったガロードは言葉に詰まった。
ここは地下でも白い部屋でもない。必ず窓があるはずだが、見つからないのだ。

「あっ、そこ!そこの山積みダンボールの裏じゃない?」
「よし、まずはあれをどかそう……イテッ」
「!?」
「てて……ゴミ踏んずけちまった……」
「うん、足の踏み場もない!」
「感心してる場合か!」

ジュドーの予想通り、天井まで届くほど積み上げられたダンボール箱を苦労してどかすと
明るい外の陽射しが差し込んだ。この部屋に自然の光が届いたのは何ヶ月ぶりだろうか。

二人は手始めに、床に散乱しているジャンクから整理することにした。

「おい、ドタバタとうるさいぞ。何して……うわ!」
「あ、シン兄。今片付けてるから入って来ないほうがいいよ」
「片付け?確かに汚いな……何をしたらこんなになるんだ?」
「へへ、凄いでしょ」
「ほめてねえよ!……ったく、早く終わらせてくれよ」
「へーい」

呆れた兄がドアを閉め、二人は作業を再開した。
その時。

ガサッ……

ジュドーの視界の隅に、黒光りをする何かが映った。

「……ン?」
「どした?」
「……いや、今そこで、なんかが動いたよーな……」
「ゴミが風で飛んだんじゃねーの?」
「いや、ゴミの動きじゃなかった。なんかこう、直線的にスーッと」
「お、お化けか?」
「なんでそうなるの。こんくらいのミニお化けがいるかっての」
「ちょっと待て、それは……」

770 名前:最近平和なので。4/11 :2011/09/14(水) 22:40:21.43 ID:???
~3・恐怖~


二人の身体が凍り付いた。
ジュドーの視界の隅を通ったモノは一体なんだったのか、
二人は同時に、同じ答えを導き出したからである。

「おお落ち着けジュドー。まままずは状況を整理しよう」
「おお落ち着いてないのはががガロード兄の方でしょ」
「俺たちは片付けを始めた。なぜか。それは汚かったから」
「うん」
「俺たちはまず窓を開けた。なんか匂ってたし、湿気がこもってたからだ」
「うんうん」
「そこで床を片付け中にジュドーが動く何かを見た。これくらいの大きさだ」
「そしてその物体は黒く光を反射して、もの凄いスピードで通り過ぎた」

「そしてそれは決してゴミじゃない」
「ウン」
「間違いないな?」
「間違いない。視力は両方とも2.0の俺が言うんだから」

沈黙――長い沈黙が、二人を包み込む。
何も聞こえない。静かである。部屋はとても……静寂に満ちていた。
しかし本来、人の心を穏やかにするはずの静寂だが、今の二人にとっては効果がない。
例えるならば、破滅への序曲であろうか。

二人の頬を、一筋の汗が伝う。

まず沈黙を破ったのはガロードだった。

「うぁぅあうあぁあ!!」
「落ち着けガロード兄!」
「えー被害者はジュドー・アーシタ、死亡時刻は午後3時くらい、死因は……」
「死んでない!俺死んでないから!」
「奴だ……奴がいるんだ、この部屋に……」
「あの伝説の……」

それは、悪魔の化身である。
人の拠り所である家宅へ侵入、寄生し、闇に巣くう。
神聖なる台所へ度々出現しては人間から生きる糧を奪い、成長する。
そしてその固体数を着実に増やすのだ。そして彼らは広範囲に渡って侵食していく。
それは、悪魔の化身である。

その名は……

「「G!!」」

戦いが、始まった。


772 名前:最近平和なので。5/11 :2011/09/14(水) 23:06:14.37 ID:???
~4・戦慄~


先に動き出したのは向こうだった。

カサカサッ!

「でっ出た!!」
「やっぱりGか!」

ジャンクパーツの下から下へ。小さな隙間を機敏な動きで巧みに駆け抜けていく。
その忌々しい姿、機動力、反応速度は間違いなかった。

「奴だ!黒い悪魔だっ!!」
「ガロード兄、コレ使って!」
「サンキュー!」

ジュドーはベッド上にあった古雑誌を丸め、ガロードへ手渡した。
自身も同じものを装備する。Gに対抗するには、武器を使用するほかない。

カサカサッ

「そこだっ!食らえ!」

バンッ!
ガロードの月刊自爆4月号が火を吹いた。
しかし、狙いは正確であったがタイミングがずれ、雑誌は床を虚しく叩く。

「くっ、外したか!?」
「そこだあ!」

NTであるジュドーは先を読み、Gの進行方向へと一撃を繰り出す。

ササササッ

だが命中する直前、なんとGは進路を90度変更した!

「なにぃ!?」
「隅だ!部屋の隅に追い込むんだ!」
「んなこと言ったって、片付いてないココじゃ無理だって!」
「ほら、そっち行ったぞ!」
「待てーっ!」

戦闘はしばらく続いた。Gは回避に徹し、二人の攻撃をかわし続ける。

「今度はドアの方だ!」
「へーんだ!逃げようったってドアは勝手に開かないぜ!」

しかし天はGに味方をした。Gの目前で、部屋のドアが自動で開いたのだ!

「なっ……!!」
「シン兄!!」
「いい加減にしろお前ら!たかが片付けで、なんでこんなにうるさいんだよ!」
「シン兄どいて!」
「そいつ殺せない!」
「はぁ?」

怒りの形相をしたシンが現れたが、二人の目に写るのはGのみ。
だが時すでに遅し。
Gは勢いよく部屋を飛び出し、廊下へと消えて行ったのである。

773 名前:最近平和なので。6/11 :2011/09/14(水) 23:08:25.32 ID:???
~5・増援~


「ただいま。ほらロラン、頼まれてた砂糖だ」
「ありがとう」
「おかえりカミーユ」

バイト先から帰ったカミーユを迎えたのは、17歳組の二人だった。

「なんだいたのかシーブック。今日バイトは?」
「いたのかとは酷いな。ロランが菓子作るって言うから手伝ってるんだよ」
「ふぅん」

大して興味なさそうに言うと、カミーユは天井を見上げた。何やら上の階が騒がしい。

「何の音だ?」
「それが……」
「さっきからこの調子。ガロードとジュドーがいるから、何かやってるんだろう」
「さっきシンに様子を見に行ってもらったんですけど……」
「部屋があんまり汚いから、片付けさせてるんだとさ」
「んじゃ俺も様子を見てくる。もしシンも一緒に騒いでたら、修正してやる」
「お手柔らかに頼みますよ」

ミイラ取りがミイラに。
この3名が戦線に加わるのは、これからおよそ10分後のことである。

そして、さらに20分後――

「ただいま」
「ミッション終了。帰投を確認」
「おかえりヒイロ、刹那。とりあえずお前らも手伝え」
「「?」」
「いいから任務だ」
「よく分からないが任務了解」
「というか内容を教えてくれ」

それからまた30分が経過。戦闘は膠着状態が続いていた。
この後大学から帰ったコウと引きこもっていたキラ&ウッソを加え、作戦が展開される。

キラの部屋を作戦司令室とし、家中のセキュリティシステムは最高レベルに設定され
G一体の為に、かなりの大事となっていた。

パソコンのマイクに向かって、キラが喋る。

「えーマイテス、マイテス……みんな聞こえる?
えーっと、最高司令官・ロラン兄さんのお言葉です。心して聞くように。どうぞ」

『いいですか?Gは我々家族にとって害をもたらします。
いえ、人類最大の敵と言っても過言ではありません!何が何でもGを排除するように!』

ロランの声がガンダム家に響きわたる。

『ただし!家を破壊しかねない強力な兵器は使用禁止です!いいですね?』

「つまり武器は丸めた雑誌か新聞紙のみか……キツいな」

ボソッとコウが呟いた。

774 名前:最近平和なので。7/11 :2011/09/14(水) 23:21:20.22 ID:???
~6・死闘~


まずロランは兄弟を2チームに分けた。

ガロード率いるAチーム……シーブック・シン・ヒイロ

ジュドー率いるBチーム……カミーユ・コウ・刹那

全体の指令はロラン、各種センサーや監視カメラの確認、伝令はキラとウッソが行う。

Aチームにウッソからの伝令が届いた。

『ガロード兄さん聞こえますか?センサーに反応がありました。
その近くにいる可能性が高いです、気をつけて!』

「分かった!」
「ん?」
「どうしたヒイロ?」
「Gが今そこを通過した」
「よし、動体視力No.1のヒイロが言うんだ。間違いないだろう」
「行くぞ!散開だ!」
「「了解!」」

ガロードとヒイロが、シーブックとシンがそれぞれ回りこむ。

「おっしゃあいくぜ!そりゃあ!」
「おい!ちょっと待て!」
「なんで止めるんだヒイロ!奴はそこにいるんだぞ!」
「なんでお前が俺の月刊自爆を持っている!?しかも探していた4月号だ!」
「知らねえよ!俺の部屋にあったんだ!」
「とにかくそれを使うな!汚れたらどうする!?」

15歳の二人が揉めるうち、Gは射程圏外へと脱出していた。

「来たぞ、シン!」
「うおおおーっ!」

ッパーン!
シーブックとシンが同時に攻撃を入れる。
威力もタイミングも完璧、正確無比な一撃が決まった!

「やった!手応えあり!」

しかし、何事もなかったかのようにGは再び前進を始める!

「質量を持った残像だと!?」
「なんとぉーっ!」

驚く二人を尻目にGは再び姿を消したのであった。

「さっさとそれを返せ。さもなくば……」
「分かった!分かったから銃を向けるな!」

ガロードとヒイロの口論だけが、虚しく廊下に響いていた。

775 名前:最近平和なので。8/11 :2011/09/14(水) 23:23:21.12 ID:???
~7・憤怒~


「ダメです。Aチーム、Gに振り切られました!」
「ヒイロでも無理でしたか……」
「くだらないことでケンカしてるから……」

ウッソの報告に、ロランとキラは表情を曇らせた。

「敵の現在位置は?」
「分かりません、ただGが逃走した方向から、リビング周辺だと思います」
「キラ、Bチームに指令を」
「了解。こちら司令部キラ・ヤマト、Bチームへ。
現在、敵は廊下を南下しリビングの方角へ逃亡中。至急現場に向かって下さい」
『了解、任せてくれ!みんな行くぞ!』
『おう!』

ジュドー達Bチームの返事がモニターの奥から聞こえてきた。
その自信に満ちた声から、なんらかの策があるようだ。
キラは通信を一旦切ると、少し考える動作をしてからふと言った。

「ねえウッソ、おかしいと思わない?」
「何がですか?キラ兄さん」
「現在確認されているGは一体だけ?」
「ええ……
あ!他にもたくさんいるってことですか!?」
「うん、家中にセンサーが張り巡らせてあるんだ。
固体数が多いなら、もっと反応があってもいいはず。
これだけ騒いでたらもう一匹くらい見つかってもおかしくない」
「いえ、それはあり得ません」

ロランが会話に加わる。

「どこから侵入したかは分からないけど、あれが最初の一体です」
「ロラン兄さん、その根拠は?」
「僕は毎日欠かさず全部屋の掃除をしている。これまでにGを見たことがないからですよ」
「そういえば、今までGホイホイに獲物がかかったことはないね」
「家にGがいないのは、ロラン兄さんのおかげだったんですね」
「だからこそ、ガロードとジュドーの部屋が許せなかったんですよ……!」

ゴゴゴゴ……とロランの周りにオーラが走る。
そのあまりの迫力に、キラとウッソは戦慄を覚えた。

(ウッソ、今度から僕たちの部屋も掃除を徹底しよう)
(僕も同意見です……)

二人は密かに決意を固めるのであった。

「とにかく、ジュドー達になんとかしてもらわないと」
「発端はジュドー兄さんとガロード兄さんですしね……」
「頼みましたよ、ジュドー」

3人の言葉は、もはや祈りとも取れるものであった。


777 名前:最近平和なので。9/11 :2011/09/14(水) 23:44:26.83 ID:???
~8・収束~


Gの排除作戦が開始されてから1時間が経過した。
ジュドー達はそれぞれ手に袋を持ち、迫りくる敵に備える。
まずGを捕獲してから叩こうという算段である。

「来た!」

居間へ無粋な侵入者が現れる。そこへカミーユとコウが飛びかかった。
バサッ!
2つの袋が空振る。

「外した!?」
「どこだ!出てこんと辺り一面を吹っ飛ばすぞ!」
「コウ兄落ち着いて!キャラ変わってるから!」
「そっちだ刹那!行ったぞ!」
「ここでGを食い止める……トランザム!
「奴を倒せばガンダムだ!行け刹那!」
「ガンッダアァ――ム!!」

刹那の目の色が変わった。

パサッ!
通常の3倍の速度で繰り出されたマクダニエルの紙袋は、一瞬で黒い悪魔を捕獲した!
そしてすかさず紙袋の口を閉じる。
捕らえられた敵は出口を探そうと中で動きまわるが、すでに袋の鼠であった。

「……Gを捕獲した」
「おっしゃあ!」
「よくやったぞ刹那!」
「やっぱお前はガンダムだ!」

兄弟から賛美を受けた刹那は顔を輝かせた。

「……ところで、この袋はどうする?」
「決まってる!憎きコイツを潰すんだ!」
「よし、踏むんだジュドー」
「え!?俺嫌だよ!カミーユ兄頼む!」
「ななんで俺にやらせるんだ!……コウ兄さん!」
「や、やめてくれ!俺はこういうのダメなんだ……やっぱりジュドーが」
「頼むよカミーユ兄!」
「コウ兄さんがやるべき……」

グシャッ

「「あ」」

3人が言い争っているうちに、刹那は容赦なく袋を踏み潰した。

「Gを排除した。ミッション完了、司令部へ報告する」

778 名前:最近平和なので。10/11 :2011/09/14(水) 23:48:01.35 ID:???
~9・安堵~


「皆さんお疲れ様でした!」
「よく捕まえられたね。まぁ僕でも出来たけど」
「これで我が家は安泰です」

司令室へ戻ったジュドー達をオペレーターと司令官が出迎えた。
ガロード達のチームは作戦終了の連絡を受け、先に戻っていたようだ。

「……で、Gは無事やっつけたのか?」
「えーと……コレ」

ジュドーが取り出してみせたのは、ペチャンコに潰れたマクダニエルの紙袋。
よく見れば、内側に何かがこびりついているように見える。

「ゲッ……」
「なんで持って来るんだよ……」
「ごめん、怖くて中を確認してないんだ……」
「気持ちは分かるけど……」
「しかしその様子だと、敵は確実に沈黙しているだろう」
「ヒイロの言う通りだ。確認するまでもない」

ジュドー達は刹那に袋を開けさせ確認しようとしたのだが、捕獲し排除までさせた手前、
そこまでさせるのは少し心が痛んだ。

「と……とにかくお疲れ様でした。その袋は僕が責任を持って処理します」

ロランが紙袋を受け取った、その時。

ガチャ

「ただいま!」「ただいまー」「今帰ったぞー」

外出していた他の兄弟が玄関を開けたようだ。

「あ、みんな帰って来たみたいですね」

これで、兄弟家を騒がせた一つの事件は終わった。

「ふぅ……一時はどうなることかと思ったよ」
「あ~あ、腹減った!」
「はいはい、今からご飯にしますから」

だが。

「うわ!!なんだこの有り様は!?」
「リビングが滅茶苦茶だー!」
「随分汚いな……一体何があったんだ?」

帰った兄弟達の驚愕の声が聞こえた。

「……しまった!!」
「G退治に夢中で、家中が散らかったままだった!」

779 名前:最近平和なので。11/11 :2011/09/14(水) 23:51:15.61 ID:???
~エピローグ~


家中がG騒動で荒れた為、帰還組も巻き込んでの片付け作業が始まった。

「うぅ~なんで俺がこんな目に……」
「シン兄さん、愚痴る暇があったら手を動かすんだ」
「そうそう、早く片付けないと晩飯が食べられないよ♪」
「うるさい!ヒイロはともかく、元はと言えばお前のせいだろガロード!」

「割れた食器はこっちで……プラスチックはあっち……」
「ああもう面倒だ!まとめて燃えるゴミに……」
「ダメだカミーユ兄さん、それではガンダムになれない」
「お前のガンダムとやらはゴミの分別で決まるのかよ!」

「ファイナルフラ――ッシュ!
……くそっ外れた!!」
「こっちの片付けは進んでますか?」
「いや全然」
「コウ兄ちゃんがゴミ箱にシュート失敗してて」
「このまま続けた場合、夕飯までに片付けが終わる確率は12.689パーセント……」
「……………」

そして、作業も終わる頃――

「いやあ、みんなで片付けってのも悪くないな」
「だな。ついでに俺たちの部屋もみんな使って片付けしようぜ」
「お~、それナイスアイデア!!」

二人は気付かない。背後に影があることに。

「でもさ、みんな勝手に物捨てちゃうしさ」
「そうだな……やっぱし片付けないほうがいいかも」
..
それを感知した他の兄弟が退避し始めたことにも、二人は気付かない。

「やっぱりあの部屋はあのままの方が落ち着くよな」
「そうそう、そのほうが気持ち――」

ぽんっ
二人の肩に、手が置かれた。
金縛りのように、身体が動かない。

「気持ち?気持ちがなんですか?」
「ききっかっかっきっ」
「正直にイイナサイ。オコラナイカラ」
「き」
「き?」
「かかか片付けないほうがきき気持ちいいいかなって」
「ヘヤヲカタヅケナイホウガキモチイイ……?」

「「そんな訳ないでしょうッッ!!!もう二度とこんな事態を起こさないよう、
常に綺麗にしなさ――いッッ!!」」

‐‐ガロードとジュドーはこの後3日の間、すっかり綺麗になった部屋で
白目で体育座り状態なのであった――

fin.

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2015年04月18日 22:16