123 名前:1/2 :2012/02/26(日) 18:01:31.27 ID:???
シュウト「シロー兄さん、まだ戻ってきてないんだ」
ハロ長官「うん、ヅダの事故が長引いちゃってるからね」
シュウト「今日は早番って言ってたから、一緒にサテリコンに行く約束してたのに……」
ハロ長官「それなら、ここで少し待っていくかい?」
シュウト「いいの?」
ハロ長官「うん。でも、僕達も忙しいから……」
ハロ長官は周りを一通り見渡して…
ハロ長官「アリー警部、ちょっと、作業のついでにシュウト君を見ていてくれないかな」
アリー「はいはい」
ハロ長官「それじゃあ、僕は今から出張だから、後は頼んだよ」
そう言って、ハロ長官は忙しそうに署を後にした…
アリー「……ったく、ここは託児所じゃねえんだぞ」
シュウト「う、うん。ごめんなさい……」
アリー「ま、気にすんな。大人しくしてりゃ何の問題もねえよ」
そう言いながら、アリーは折りたたみ式のナイフを取り出す。いわゆる肥後守と呼ばれるものだ。
そして机の上には先の丸くなった鉛筆が、山の様に置かれていた。
シュウト「ナイフと鉛筆?何するの?」
アリー「……ああ、お前らはもう使わねえのか」
アリーが慣れた手つきでナイフを操ると、鉛筆はみるみる内に錐を取り戻していく。
アリー「こういうわけだ。昔は誰でも出来たんだけどな……」
シュウト「すごい、綺麗!」
シュウトの目が輝く。アリーはそれを見て、ちょっとだけ悪い顔を浮かべた。
アリー「やってみるか?」
シュウト「いいの?」
アリー「勿論だ。ガキに正しい刃物の使い方を教えるのも、警察の仕事だしな」
124 名前:2/2 :2012/02/26(日) 18:03:07.11 ID:???
そして…
ミケル「お疲れさん」
シロー「シュウトと銭湯行く約束してたのに、すっかり遅くなっちゃったよ」
ミケル「ああ、シュウト君なら……」
シュウト「完成!どう?」
アリー「おう、その調子だ。お前の兄貴に教えた時より、ずっと飲み込みが早いぜ……残りもやるか?」
シュウト「うん、任せてよ」
アリー「ははは!こりゃ楽で良いや」
シロー「シュウト。アリー警部に鉛筆削りを教えてもらってたのか」
アリー「ん~?シローか、遅かったな」
シュウト「シロー兄ちゃん、おかえり」
シロー「ただいま。それにしても上手いもんだな。ここまで1人でやったのか?」
シュウト「そうだよ! ……最初の方はアリーさんが仕上げしてたけど」
シローがよく見ると、シュウトの指には絆創膏が巻かれている。
シュウト「あはは、これ、ちょっと失敗しちゃった」
シロー「ま、それも経験だな。深くは入ってないんだろ?」
アリー「ああ。1回、少し切っただけだ」
シュウト「ねえ、シロー兄ちゃん。もう少しで全部終わるから、その後でサテリコンに行かない?」
シロー「いいぜ。どうせ、退勤の引継ぎがあるしな。アリー警部、それまでシュウトをお願いできますか」
アリー「おうよ」
その日入ったサテリコンは、少し痛かったけど、少し大人になった気がした。
○月△日
シュウト・ガンダム
最終更新:2015年06月06日 21:54