……暑いな。
もう街には初夏の兆しが表れ始めている。
サーカスの公演もないし、いつもの雑務(激務)も終わらした。
人類最下層に位置する俺――トロワ・バートン――はしばしの休息を楽しんでいる……はずだっのだが……。
久しぶりの休みだから部屋で新作同人のお披露目と憩うとしたら。
「くぉらっ!トロワ!少し暇が出来たらまたソレ!!この青白坊主!。」
い、いや……たまの休みだからこそ至福の時間を楽しむのが普通では…。
「アンタの場合楽しみ方が不健康なのよ、少しは外で遊んできなさい!!。」
と、キャスリンに叩き出され、仕方ないのでぷにばんの家でも行くかと思った次第である。
「はーーい。」
ガチャッ。
こんにちはロランさん、ヒイロは居らっしゃいますか?。
「あっ、ようこそトロワ君ちょっと待っててね、ヒイローー!」
いつ見ても(゚∀゚)イイ!!なロランたんは……(;´Д`)。
げしっ!横腹に蹴りを入れられた。
苦悶の表情でいつの間にか現れたぷにばんを睨む。
「何の用だ?」
いや、暇だからぷにばん先生のアシスタントでもしy。
がすっ!ぷにばんの電光石火のフックが俺に入る。
な、何をするんだ!俺が文句を言うと。
「スレ違いだ、巣に帰れ。」
た、確かにいつものスレとは雰囲気が違う気が……はっ!お前に兄弟が居る!?まさかこれは……パラレルワールド!!。
「そういう事だ、このスレでのお前の位置はただの無口な俺の友達Cであり変態キャラは飽和状態だからな、お前の存在価値は無い。」
そんな……ん?じゃあこの世界の俺は?それにお前の家まで辿り着けたし、ロランさんにも違和感を感じなかったぞ。
「おそらくこの世界のトロワにお前がシンクロしたのだろう。」
なる程な、じゃあひとしきり楽しんだら巣もといスレに帰るとするか。
「まあウチに入れてもいいが、ロラン兄貴に手を出したら……殺すぞ。」
ふっ、男に手を出す程落ちぶれては居ないさ。
「どうだかな。」
ガチャッ。
この世界のお前の部屋は相部屋か、あれ?あのスケッチブックは。
「!?」
ぷにばんが素早く動く、が俺の前髪がしなりながら伸びスケッチブックを奪取する。
「しまっ!。」
焦るぷにばんを尻目にスケッチブックを開く。
こ、これは!!スケッチブックの所せましと描かれている女体化ロランの陵辱画、まさかお前も……。
「……朝起きたら何故か無性に描きたくなった。」
お前もシンクロした、ということか……とりあえず口封じにこのスケッチブックは貰って行く。
「そういえばトロワ、日曜日とはいえサーカスの公演準備、日々の過剰労働を貸せられているお前が何故ウチに来れた?。」
今は公演もないし日課の仕事も終わり、久々の休みなんだ。
……だったはずなんだがな、生憎いつものように試写会をしていたらキャスリンに叩き出されてな。
「それでウチに来たのか、迷惑な話だ。」
そういうな、うん?キャスリンといえばぁ?そういえばキャスリン……向こうの俺にたいするような対応をしていたな……。
(この青白坊主!!。)
そこまで言うことないのに、…グスン。
「キャスリンもシンクロしているのか。」
ま、まさかぁ~(汗。
こっちまであの調子でやられたら適わん。
だいたいこっちの俺はクールでニヒルな好青年の筈だ!!。
「自分で言ってて悲しくないのか?。」
ぐっ……人の弱みに付け込むものではない。
バッターン!
『ただいま~~!!』
「こらジュドー!ガロード!ドアは優しく開けなさい!後、靴を玄関に散らかしていかない!ちゃんと並べてから家に入る!!。」
『ご、ごめんロラン兄貴。』
「わかればよろsっって!ジュドーどうしたの!?その首の歯型は?!。」
「あのさ…今日近隣の主なジャンク屋のトップ集会があったんだ。」
「ジャンク屋の集会ですか?なんだか妖しい……。」
「たかがジャンク屋ってなめちゃいけねえよ!この辺りのジャンク屋はキッドとかデュオとか凄腕が集まってんだ。」
「でもそれがジュドーの首筋の歯型と何の関係が?。」
首を痛そうに摩るジュドー。
「トップの集会ってーとまぁ、俺とジュドーコンビとキッドとデュオなんだけど。」
少し自慢気に語るガロード。
「その面子で縄張りとか今後の方針とか会議をするわけなんだ、そしたら今日突然デュオが
来ないって言い出して。」
その会話に耳を傾けるトロワとヒイロ。
「理由を聞いても答えてくんねーからデュオんチ行ったんだ、そしたらビックリ!アイツんチの窓全部黒いカーテンかかってんの、まだ昼間だぜ?。」
何か思い当たる節のあるトロワとヒイロ。
おいヒイロまさか…。
「あぁ、そのまさかだろうな。」
「家のドア蹴飛ばして入ったんだ、そしたら顔面蒼白のヒルデさんが出て来て。」
(なんか今日のデュオおかしいのよ、さっきっから「URYEEEEEEEEE」って呻いてばっかり、朝起きたらいきなり家の窓全部にカーテンかけて黒く塗り潰したのよ?、電気もつけさせてくれないわ。)
『!?』
その話を聞いて二人は確信に至る。
「体調が悪いならそういえばよかったんだ、せっかく来たんだから次いでに見舞いしてくか!って思ってアイツの部屋に入って電気つけたら……。」
(ぎゃぁぁぁああぁあぁあああ!!。)
『お、おい?大丈夫か!?。』
(灰になるぅぅぅううぅ!!。)
「今思えば気付くべきだったな…ヒルデさんの首筋の歯型に………。」
(お!おのれぇぇえ糞ガキどもが!!。)
(デュオ!また発作なの!?。)
騒ぎを聞き付けたヒルデさんがデュオを介抱しようと近づいたんだけど。
がぶっ!。
(あ、ぁぁ……。)
「ヒルデさん!。」
(腐腐腐……こんな小娘の血では我が傷は治るまい、太陽…そして波紋の力を克服するにはやはり!超人類であるNTの血が必要だ!!。)
と、言いながらデュオはジュドーに視線を向ける。
「く、くんなよぅ…くんなよ!。」
「おいジュドー!ヒルデさん連れて逃げるぞ!!。」
「まっ、奴は家から一歩も出れないみたいだし?命からがら逃げて来たって訳。」
「俺は微妙に噛まれたけどなぁ!。」
「そ、そんな事があったんですか……とにかく二人共無事で良かった…。」
ガロードとジュドーに抱き付くロラン、少し照れる二人。
「それでヒルデはどうした?ジュドー。」
「あっヒイロ兄貴、とりあえず今はエレガント総合病院に居るよ、血は実際たいして抜かれてないみたいだし命に別状はないって、……ショックで寝込んでるみたいだけど。」
ふむ、デュオもか……それに究極覚醒状態とはな、ああなったら最後家からは一歩も出ないだろう。
「もはや偶然ではすまされんな、恐らく向こうのスレ主要メンバーは皆……。」
どっごーーーん!!!。
「何だぁ!?。」
「隣の家だ!。」
突然の爆音に驚くジュドー&ガロード。
全く穏やかじゃないなこの平和な時代に、所で隣の家って誰が住んでるんだヒイロ?。
と、言いつつ野次馬根性を発揮し外に出るトロワと兄弟達。
「変態仮面兄弟だが……?!、あれはトーラス!!。」
「ぜぇぇえぇくぅすぅうぅうう!!産ませろーー!!。」
「ノ、ノイン!毎回毎回人の家を壊すな!。」
そんなことは全く意にも介さず恐るべき敏捷性と、瞬発力でゼクスに襲いかかるノイン。
まるでリッカーの如く醜悪な動きをしているが、表情には恍惚を浮かべていて物凄く恐い。
「何事だゼクス!?。」
「と、東方不敗兄貴~~。」
頼りになる兄弟が来て、身の安全を確保したゼクスはノインをなだめようとしたが……。
「ノイン、いつも言ってるだろう欲望のまま行動するなと。」
「産ませろーー!!。」
ゼクス男泣き。
「この不埒者がっっ!根性叩き直してくれる!!。」
「兄貴(汗、火に油をそそぐようなまn。」
「髭オヤヂに興味はない!!。」
「なっ!。」
突如伸びたノインの舌に、家の外まで弾き飛ばされる東方不敗。
「馬鹿な!あの東方不敗兄貴が……お、落ち着くんだノイン。」
「キシャァァアッッ!!。」
「いやぁぁぁあああああああ!!・・・・あふっ、ぅっ!。」
……ノイン、ゼクスもか全くこっちに来ても心休まる暇もない。
「トロワ。」
だいたいこっちの俺の体を使ってキャスリンと……甘い蜜時フォーエバーラブ感動した!計画が台無しではないか!。
「聞いているのか?。」
やっぱキャスリン……もなんだろうなぁ(泣、諸君等の愛するマリーメイアは死んだ!何故daへぶほっ!。
「ボウヤだから…もといマリーメイアは生きている、それと人の話を聞け、お前は自分の妄想に篭る悪い癖がある。」
だからといってガゼルパンチはないだろう……。
「知るか、間近でお前の恥ずかしい想像を聞かされる身にもなれ。」
お前に俺の何がわかる!!悲願達成なるかと思われた俺の!臥薪嘗胆の思いをっ!
「そんな事より、俺は重大な事に気付いた。」
そ、そんな事扱いか、俺の悲願が……重大な事とはなんだ?。
ぷにばんには珍しくシリアスな表情に戸惑うトロワ。
「トロワ、明日は何曜日だ?。」
月曜日だろう?何か特別な日だったか?。
「向こうに居る時の俺達だったら何等問題はない、だが……明日にはこっちの世界にしかないものがある。」
………学校か!?。
(無言の肯定。)
だが学校は楽しそうぢゃないか、本編でも向こうでも……そんなまともな青春……俺達には送れなかった。
「学校という公共の場に、俺達は異質過ぎるな考えてもみろ、向こうの俺達の……特にお前の日常を。」
俺達の日常?お前はカリスマ同人作家、デュオは引き篭り、俺は人畜無害のサーカスの雑用………!?。
「気付いたか。」
……カトルか。
「そう、明日お前は制服を着るし、しか学校という特別なシュチエーション……いつもより余計に興奮して襲いかかってくるだろうな。」
)ザクグフゲルググ。
「大量のクローンとマグアナック隊付きだ、それにたいしてお前はどう対応する?」
どうって、いつも通り全弾発射で一網打尽だろうが。
「学校でか?」
!?、俺達の学校は中高一貫だ……生徒職員もかなりいる……。
「それ等皆、お前達の壮絶な争いに巻き込まれる事になる。」
俺は
どうすれば……。
「カトルもそうだが、……もっと深刻な問題がある。」
俺には生死を分ける問題だぞ!。
「五飛を見たか?。」
いや、見ていないが?。
「明日は快晴で陽射しの強い真夏日だそうだ。」
まさか!?いや……でもこっちの俺達は十四歳だし、五飛のソーラシステムもそんなに進行していない筈だが?。
「体は若くても中身は向こうの五飛、アイツは{植物は水をあげ過ぎると腐る}理論を解っていない。」
それに奴の行う育毛行為や、髪に良い食事は全て逆効果、しかも中々生えて来ない髪に憤る奴はそれをエスカレートさせ、さらに悪化させる。
「追い撃ちに俺達の虐めによるストレス、元々奴の頭皮環境は最悪だった、……そんな奴が突然生えた髪にたいしてどう思う?。」
狂喜乱舞して自分の髪を可愛がるだろうな、さらにその髪を保全しようとし、また頭皮環境を悪化させる。
「奴は自分の頭皮に恐れを抱くだろう、また禿げるんぢゃないかと、向こうのの自分に重ねてな。」
病は気から…か、奴なら一晩で急激に禿げそうだな。
「しかもこっちの五飛にはトレーズの開発した{超強力!艶消しスプレー}を塗っていない。」
ああ、俺達が増大する五飛のソーラレイ被害防止に夜中こっそり塗ったアレか。
「一年戦争事連邦軍は五飛を兵器に転用、かの
ドズル・ザビ中将率いる宇宙要塞ソロモンに壊滅的な被害を与えたのも奴だ。」
……本気でコロニーの十や二十は軽く沈むな。
「俺達は現状を知る唯一の人間だ、……なんとしても阻止しなくてはならない。」
!?お前本当にぷにばんか?自分とリリーナにさえ被害が及ばなければ、他人が居ようが俺達が居ようが、平気でバスターライフルぶっぱなすあのぷにばんなのか?。
「……ふっ、こっちの俺は随分幸せみたいだな、心に余裕があり他人への配慮、兄弟達への優しさを持っている。」
自嘲的な笑いを浮かべるぷにばん。
「向こうの俺には無い物だ、恐らくシンクロしたせいだろう。」
自分で言うなと言ってやりたいが……ええ話や(泣、(兄弟愛……か、俺とキャスリンは兄弟って説が昔あったな。)
「今夜中にはケリをつけよう、……その前に腹ごしらえするか。」
ふと空を見上げると日が落ちかけていた。
もうこんな時間か。
「家に入れ、一食分くらいどうにかなるだろう。」
俺にロランたんの手料理を食わしてくれるのか!?。
「お前の場合、最後の晩餐になりそうだからな(ニヤリ。」
グッ…、ホモとハゲが相手だ一筋縄ではいかないだろう。
「飯を食った後はミーティングだな。」
だな、それにあれこれ考えてたら腹が減った。
「さあ!早く私にロランたんの手料理を授けてみせろ!!。」
突如物影から現れた赤い人を前髪で黙らし、後ろに控えるハイエナどもを牽制する。
『ただいまーー!。』
兄弟達も続々と集まって来ている。
「人参を入れるなよ!ロラン!。」
「甘ったれるな!そんなんだから今だに彼女も出来んのだ!。」
「(プチッ)それでも俺は野菜人の王子だぁぁぁっっ!!。」
「なっ、コウ……もちつk。」
ドガシャーン!!。
「邪魔するなら出てって下さい!!。」
『(´・ω・`)ショボーン。』
ふっ、……久々に賑やかな食事になりそうだ。
食事も終わり兄弟達も散りぢりになっていく中で、俺はぷにばんの部屋に移動した。
「まずはカトルから攻略していこう。」
イエッサー!。
「というかカトルについては心配はないだろう。」
はっ?こちとらうまい飯食って元気百倍だし、あの糞ホモどもを絶滅させる算段を整える気満々なんすけど。
「さっきリリーナにカトルの現在地を聞いたんだが……どうも監禁されてるらしい。」
最終更新:2019年01月21日 23:28