ムウ・ラ・フラガ。
兄弟達の通う学園の体育教師である。
男子生徒にはウケが良いが、女子生徒にはすこぶる評判が悪い。
それというのも女子生徒や女性教師にセクハラを繰り返し、肝心の授業もエロ本片手に自習で済ます有様である。
学園側もこれ以上見過ごす事はできないと判断、
理事長ムルタ・アズラエルはその処分を校長のギルバート・デュランダルに委ねた。
校長室にて。
「最近の君の勤務態度には目に余る物がある」
「はぁ」
「理事長は君をすぐにでも懲戒免職にしたいそうだ」
「クビ……ですか?」
「それでは事が表沙汰になってしまう。あくまで君自身が態度を改めねばならない」
「はぁ」
「君は男子生徒には人気がある。私も君を失うのは惜しい。
そこで君にはもっと模範となるような教師になるよう、ペナルティーを課そうを思う」
そう言ってデュランダルは三枚の書類をデスクに並べた。
「これは……?」
「我が校が受け入れる予定の転入生だよ。実は寮が満室で彼らの下宿先が決まっていない」
「まさか……」
「そのまさかだよ。彼らを君の所に下宿させようと思うのだが」
「うっひょー!カワイイ娘も居るじゃないか!」
「言い忘れていたが、彼らはブーステッドマンだ。その娘に手を出そうものなら、
ミンチはまぬがれないと思いたまえ」
「え゛……」
「ではがんばって彼らの模範となるような人間になってくれたまえ」
「まいったなぁ……」
フラガが途方に暮れながら帰宅していると、民家の窓から何かが投げ捨てられた。
「ゼクス!いつまで変態仮面同盟なんていう怪しげな連中とつるむ気ですか!」
「私はゼクスではない。火消しの風、ウィンドど呼んでもらおう」
「それは消防団のでの呼び名でしょうが!今度という今度は許しませんよ!?」
「ま、まてノイン話せば判る。だからこれ以上絞り取らないでくれ……!」
「……?どこのスレの話です?とにかく、これ以上変な連中の所には行かせませんからね!」
ノインはそう言い放つと、変態仮面同盟の証ともいうべきマスクを窓から投げ捨てた。
「なかなかかっこいいじゃないか、コレ」
フラガはマスクを拾うと被ってみた。
その時変態仮面同盟の呪いか、異変が起こった。
フラガが被ったマスクがメタモルフォーゼを起こしたのだ。
赤いラインが入り、ゼクスが被っていた時よりも鋭角的なデザインとなった。
そしてフラガ自身の髪が伸びたのだ。
マスクを脱ぐと元通りになる。
「ふうん、中々面白いじゃないかコレ」
こうしてゼクスの物だったマスクは新たな主を得たのである。
90 名前:仮面の奇士ネオ・ロアノーク ~誕生編~投稿日:2005/10/11(火) 02:04:29 ID:???
自宅のそばまで来た時、トラブルを目撃した。
一人の少女が三人の若者──学園内でも有名な問題児、常夏三兄弟に絡まれていた。
「オマエ、ドコ見て歩いてるんだ、ああ?」
「う、うぇーい……」
「うざーい」
「撃滅!」
彼らもブーステッドマンなので、流石のフラガも三人同時に相手にするのはミンチを意味する。
「さてと、どうしたものか……説教した所で逆ギレするのがオチだし……お礼参りも怖い」
その時、手にしていたマスクの事を思い出した。
多少の防御力はありそうだし、何やら不思議な能力もある。
何となくコレを被れば大丈夫な、そんな気がしたのだ。
「俺は不可能を可能にすると言われた男、ええい、ままよ!」
「待て待て待てーい!」
「チッ、誰だ?」
「私はネオ・ロアノーク!その娘を放してもらおう!」
ごく自然にそう名乗ったが、思えばこれも変態仮面同盟の呪いだったのかもしれない。
「うざーい」
「滅殺!」
「ガムリンキーック!!」
フラガの放った跳び蹴りが常夏三兄弟を薙ぎ倒した。
このマスクはブーステッドマンにも負けない力をフラガに与えていたのだ。
「クソッ!覚えてやがれ!」
常夏三兄弟は引き上げていった。
マスクで素顔が判らない以上、お礼参りの心配は無い。
「ありがとう……うぇーい……」
「(何処かで見た顔だな)はっはっは、今度から気を付けるんだよお嬢さん」
「おーい、ステラー!」
「こっちニダ!」
彼女の兄とおぼしき二人がやってきた。
「スティング!アウル!」
「心配したんだぞ!」
「?こいつは誰ニダ?」
「……ネオ……助けてくれた……」
「妹が世話になったようだな、礼を言うぜ」
「(こいつらも何処かで見た顔だな)はっはっは、妹を大事にな!それではさらばだ!」
そう言うとフラガは自宅のドアを開けた。
「ちょっと待つニダ」
「この辺にムウ・ラ・フラガっていう人の家があるって聞いたんだが」
「(どこかで見た顔だとおもったら、こいつら下宿予定のファントムペイン三兄弟じゃないか!)」
「ステラ、フラガの家見つけた……ココ」
「(まずい、正体がバレる!)」
フラガは焦った。
別に正体がバレた所で大した問題は無いのだが、急にマスクを被っている事が恥ずかしくなった。
「ココはフラガっていう人の家じゃないのか?」
「アンタ、何者ニダ?」
「実はムウ・ラ・フラガは引っ越した。(待てよ何言ってんだ俺)
私はネオ・ロアノーク。君達の事は聞いている。ようこそ!(俺の言葉じゃないぞ!)」
思ってもいない事を仮面が勝手に口にさせた。
「なんだ、やっぱここでいいのか」
「お世話になるニダ」
「うぇーい……」
「(ちょっと待てよ俺!これじゃマスクを脱げないじゃないか!)」
こうしてフラガは自宅ではネオ・ロアノークと名乗る事となったのである。
最終更新:2019年01月24日 14:58