749 名前:その1 :2012/10/20(土) 22:06:48.98 ID:???
爽やかな土曜の朝。しかしそれに似合わない、落ち込んだ様子の少女が1人…
ユノア「はあ……アセムお兄ちゃんの家に行ったらロマリーとアリーサと出かけてる、って……」トボトボ
ユノア「やっぱり1年くらいみっちり予定入れないとダメなのかなあ……」
ユノア「そうだよね……もう何やってんだ私ー!」
そう叫ぶと、ユノアは手に持っていた空き缶を思い切り投げる。それは前を歩いていた赤髪の男の脳天へ吸い込まれてゆき……
ユノア「あ……!」
ぱしっ
アリー「ああ?投げたのはお嬢ちゃんか?危ねえじゃねえか?」
ユノア「ごめんなさい!」
アリー「ごめんで済んだら警察はいらねえんだよ。
偶然後ろ向いて取れたから良かったけどな、こりゃ傷害罪だぜ?ちょっと来るとこ来て貰おうか」
ユノア「そ、それだけは……(お兄ちゃん……助けて!!)」
ノイン「どうしたのだ?」
アリー「ああ?今取り込み中だ、口出すんじゃねえ」
ノイン「この子は私の妹だ、私が解決できる事なら、代わりに話を聞くが……」
ユノア「(私が妹……そういう事か!)お姉ちゃん!ユノア、実はね……」
751 名前:その2 :2012/10/20(土) 22:08:53.33 ID:???
ノイン「……それは済まなかった。ユノアにはしっかり言い聞かせておくから、子供のした事で許してはくれないか」
アリー「ま、テメエが説教してくれるんならありがたいけどな、もう2度とこんな真似させるんじゃねえぞ」
ノイン「分かった」
アリー「それと、正義感かなんか知らねえが姉ちゃんも下手なウソ付くなよ。じゃあな」スタスタ
ノイン「……ふっ、この程度の嘘も通せんとはな」
ユノア「ありがとうございます。えっと……」
ノイン「ルクレツィア・ノインだ。ノインと呼んでくれ」
ユノア「ノインさん、ですね。見ず知らずの私を助けてくれるなんて、優しいんですね」
ノイン「君にかつての私と同じ気配を感じてね、私の説教と引き換えに、君も話してくれないか」
ユノア「……という事なんです」
ノイン「なるほど、想い焦がれる相手か……その上競争率は高い、か」
ユノア「私、このままじゃ負けちゃう……」
ノイン「(私のこの胸の高鳴り……教え好きの血が滾っている!?ならば!)」ドキドキ
ノイン「甘えるな!」
ユノア「はいい!?」
ノイン「弱音を吐き男を縛るなど敗者への滑落路!
甘えに来いと言える良い女でなければ、
ガンダム家程の男は手に入らんぞ!」
ユノア「ノ、ノインさん……?」
ノイン「教官と呼べ!これも何かの縁だ。ユノア・アスノ、私は君を一流の戦士に鍛え上げる」
ユノア「(この気迫……初対面なのに私のことを本気で考えてくれてる……よし!)」
ユノア「教官、お願いします!私、アセムお兄ちゃんが甘えに来る女になりたいんです!」
ノイン「よく言った、逃げ出すなよ」
ユノア「はい!!」
752 名前:その3 :2012/10/20(土) 22:10:15.40 ID:???
こうしてノインによる厳しい訓練が始まった…
<国語>
ノイン「教養は大切だ。まずは森鴎外の舞姫、源氏物語は六条御息所の描写を中心にやっていく」
ユノア「う、漢字ばっかで頭痛い……」
<数学>
ノイン「いいか、女は何時如何なる時も想い人と別れてからの時間を答えられなくてはいけない」
ユノア「5時間18分23秒、24、25……」
<理科>
ユノア「惚れ薬に痺れ薬に眠り薬……作るものはたくさんありますね!」
ノイン「調合は私も専門外でな……講師を呼んだ」
シン「んな古いネタ引っ張ってくんなよ!つーか兄貴に飲ませるつもりかよ!」
<社会>
ノイン「女性単独犯から男性への行為に対する法整備は未成熟であり、一般的な認識においても……法律は自分なりに噛み砕いて覚えろ」
ユノア「ええと、今がチャンスって事ですね」
<体育>
ノイン「私の訓練の成果を見せてやろう」
ユノア「うわっエロっ!」
<家庭科>
ノイン「同じ効果でも複数の粉を用意し必要に応じて適量混入する事が大切なのだ」
ユノア「味と食感の変化に気をつけて、と」
<技術>
ノイン「新品の近藤さんのふたを開け、何割かに見えない穴を開けたらふたを締め糊付けして元に戻す」
ユノア「あ、またずれた……」
753 名前:その4 :2012/10/20(土) 22:11:43.47 ID:???
そして…
ノイン「良く耐えたな、合格だ」
ユノア「ありがとうございます!」
ノイン「しかしまだ基礎の基本を覚えたに過ぎん、精進は怠るなよ」
ユノア「はい!あの、それで質問なんですけれど……」
ノイン「何だ?」
ユノア「私はまだ未熟です。これからも教官に鍛えて頂いてもよろしいでしょうか?」
ノイン「勿論だ。しかし、これからは共に高めあう戦士として、だがな」
ユノア「ありがとうございます!よろしくお願いします!!」
何故か河川敷で固い握手を交わす2人を、夕日が照らしていたのだった…
木|_・)》(私も弟子入りしようかな……)
おわれ
最終更新:2015年11月11日 18:10