335 名前:通常の名無しさんの3倍 :2014/01/08(水) 16:43:35.78 ID:???
 今日も今日とて兄弟家の家の中。何事もなく平和なようだ。

フリット「ちょっと出かけに行ってきます」
アムロ「ああいいぞ。一人で行くのか?」
フリット「女の人と一緒に」
アムロ「ああ、エミリーちゃんかい? それとも……」
フリット「フレイ=アルスターって人とです」

アムロ「……フレイ=アルスター? フレイ=アルスターだと!?
    なぜ行くんだ!? どこへ行くんだ!?」
フリット「どこでもいいじゃないですか」
アムロ「フレイとAGEのキャラであるフリットとは接点が何もないはずだぞ!?」
アセム「学校に通っているって接点はあるよ」
アムロ「それだけだろうが!」

フリット「早く帰るようにはします。じゃ……」

 フリットは兄弟の家を出るとどこかに出かけていった。
複雑な表情をするアムロ。

アムロ「うーん、これは……」
アセム「兄さん……? 兄さん?」
アムロ「よし、いい方法があるぞ」

336 名前:通常の名無しさんの3倍 :2014/01/08(水) 16:45:52.03 ID:???
青空の下、フリットが歩いている。その先には私服姿のフレイが立っていた。

フリット「待ちました?」
フレイ「全然。今来たとこなの。
    では行きましょう。この間は守ってくれてありがとう」
フリット「いえ、大したことはしてないですよ」

 このように話しているのを少し離れた距離で物陰に隠れてこっそり聞いている二人組がいた。
ヒイロはエミリーに家でのことの一部始終を伝える。

ヒイロ「……というわけだ」
エミリー「それでアムロさんに『任務了解』と言ってスパイしに来たわけですか」
ヒイロ「エミリーこそどうしてここにいるんだ?」
エミリー「私はフリットがあの女の人と学校で話しているのを聞いたんです。
     どこに行くのかは分からなかったけれど。
     それでフリットが学校から帰って家を出るまで
     ずっと建物の陰に隠れてあとをつけてたんです」

ヒイロ「ちょっとストーカーっぽいな。だが小さいうちはそれでいいのかもしれん」
エミリー「小さいうち? ヒイロさんだって私とほとんど年齢が違わないじゃないですか。
     それに切実な問題なんですよ。私はフリットのお嫁さんになりたいんですから。
     それで子どもを産んで……」

ヒイロ「そろそろ追跡調査を再開するぞ。二人とももうかなり向こうに行っている」

337 名前:通常の名無しさんの3倍 :2014/01/08(水) 16:48:20.00 ID:???
 フリットとフレイのあとを距離をとりながらヒイロとエミリーが追っている。
フリットもフレイも相変わらず仲良く会話をしている。

フリット「僕も自分の銅像が建つくらい立派な人になれるかな……」
フレイ「きっとなれるわ」

 その時、エミリーが『あっ』と声をあげた。

エミリー「この角を右に曲がればガンダム記念館!」
ヒイロ「ガンダム記念館? なんだ、それは」
エミリー「ガンダムについてのものがたくさん展示されている博物館です!
     きっと二人ともそこへデートに!? フリット、ガンダム大好きだし」
ヒイロ「テム=レイが喜びそうな場所だな」

 しかしフリット達は次の角を右へは行かなかった。そのまま直進する。

エミリー「あれ?」
ヒイロ「ちょっと待て。
    この先の角を右に曲がると俺の集めたデータによればフレイの家だ」
エミリー「ええっ!? 家!? じゃああの女の人はフリットを自分の家に連れ込んで……?」

 しかしフリット達は次の角をまたもや右へは行かなかった。そのまま直進する。

エミリー「あれ?」

 そのまま商店街へ出て、店でお菓子を購入するとまた歩き出した。
二人の目的地はあるWのキャラの家だった。

ヒイロ「ここはサリィ=ポォの家だ」
エミリー「え?」

 その時、サリィの家からヒイロにはよく見知った顔が現れた。
まずサリィ、その他に見かけない赤い髪の女の子が一人。

フリット「こんにちは」
サリィ「はい、いらっしゃい。それから後ろのヒイロ達も」

 『え!?』と驚くフリットとフレイ。

ヒイロ「任務失敗。自爆する」
サリィ「ヒイロ、自爆しないで!」

ヒイロ「任務了解。自爆しないことにする」

339 名前:通常の名無しさんの3倍 :2014/01/08(水) 16:52:03.78 ID:???
 サリィの家は自宅兼個人医院になっている。サリィの本業は医者である。
その彼女の家の患者用の待合室のソファーに六人が座っていて
フレイ達が買ったお菓子をそれぞれ取って食べている。

サリィ「さて、どこから話したものかね」
フレイ「私が助けられたところからで」
フリット「この間、キラ兄さんとクルーゼさんがお互いガンダム同士で戦ってたんです」
ヒイロ「ほう」

フリット「その時、倒れた人を介抱しているフレイさんに
     クルーゼさんのビームが当たりそうになったのを僕がAGEー1で助けたんです」
ヒイロ「そうか」
フレイ「それで二人でけが人の人達をこの医院に運んだのよね」
フリット「そうしたらサリィさんの家でこの子に会ったんです」

 それを聞いて赤毛の女の子はぺこんと頭を下げた。

ルウ「ルウといいます」
エミリー「ねえ、こんな子このスレにいたかしら」
ヒイロ「俺の頭の中のデータによればヴェイガンの少女でAGEのキャラだ。確かにこのスレの住人だ」

サリィ「この子はね、マーズレイというタチの悪い病気にかかってるの。
    日常的に薬を飲まないといけないのよ」
ヒイロ「ミンチになってその後復活すれば病気も治るのではないのか?」

サリィ「あのねえ……。それじゃこのスレに医者がいる意味がないでしょ。
    ミンチになっても復活するのが遅かったり、ルウみたいに病気が治らない子もいるの。
    ちゃんと医者の需要はあるのよ」

 赤毛の女の子はお菓子を食べながら少しずつ、しかしはっきりした声で話し始めた。

ルウ「私、キオやウェンディの友達なんですけど……」
ヒイロ「キオ達もこのことを知っているのか?」
フリット「もともとキオ達の友達だったそうです。
     今日はキオが用事で来れないからって僕がフレイさんと二人でここに来ました」
ヒイロ「そうか……」

 すると突然フレイが話の話題を変えた。

340 名前:通常の名無しさんの3倍 :2014/01/08(水) 16:55:44.34 ID:???
フレイ「みんな将来の夢ってある?
    私、自分の父親みたいになるのが夢だったけど、この間けが人を介抱したり
    サリィさんの仕事を見ているうちにこういう直接人を助ける仕事もいいなって思ったの」
ヒイロ(フレイの父親……、俺のデータによれば政治家だったか軍人だったか……。
    どうやら俺の記憶もそう確かなものではないな)

フリット「僕はAGEシステムでマーズレイという病気を治したい」
エミリー「AGEシステムってMSのためのものでしょ? それで病気を治せるの?」
フリット「まだわからない……。だけどAGEシステムは人を助けるために使いたいんだ」

ヒイロ(リリーナの夢は確か外交官だったな……)
エミリー(私、フリットのお嫁さんになることしか考えてなかった……)

 サリィは紅茶を用意すると五人にふるまった。その表情はとても嬉しそうだ。

サリィ「将来の夢について考える。とてもいいことなんじゃないかしら。私はそう思うわ」

ヒイロ「ルウを俺達の家に招待したらどうだ?」
フリット「それ、考えたんですけどルウのことを話し始めた途端にアムロ兄さんが
     『パイパー=ルウ!? パイパー=ルウのことなのか!?』って怒り出すんです」
エミリー「パイパー=ルウって何?」
ヒイロ「イデオンのキャラ」
エミリー「あっ、そう」

 どうやらエミリーもアムロの前でイデオンの話をするのはタブーだと知っているらしかった。

フリット「ルー=ルカさんの話をしてもアムロ兄さんは平気なのに……」
ヒイロ「よし、わかった。今日のことはみんなには内緒だ。特にアムロ兄さんには絶対内緒だ」

 ひとしきり話をした後、サリィの家を出たヒイロ達は家路についた。
家の玄関のドアを開けてヒイロとフリットが中に入る。

フリット「ただいまー」
ヒイロ「今帰った」
アムロ「おお、何事もなかったか。ん? ヒイロ! フリットに追跡がばれたらダメじゃないか!」
ヒイロ「俺が危惧するようなことは何もなかった。それだけだ」
キオ「ねえ、兄さん。女の子は元気だった?」
フリット「よかったよ。それからヒイロ兄さんにばれた」
キオ「そうかばれちゃったかー」

アムロ「『ばれ』!? 何か隠し事をしているのか?」
ヒイロ「アムロ兄さんには特に教えられないことだ」
アムロ「ヒイロまで!? まさかフレイに洗脳を受けたのか!? いやいやヒイロに限ってそんな……」
ヒイロ「そんなことではない」

 そう言うとヒイロはフリットやキオと一緒に薄く笑った。

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最終更新:2016年02月25日 05:44