901 名前:通常の名無しさんの3倍:2014/05/18(日) 13:34:47.87 ID:???
 ここは街の屋台の前。
屋台ではサイサイシーがお店の店主と一緒に料理を作っている。
皿に盛られた食べ物を店の前に置かれているテーブルに持っていくのは
サイサイシーの彼女のセシルである。すでにお店にはたくさんのお客様がいる。

 その場所をドモンとレイン、それからフリットとエミリーが通りがかった。

ドモン「よっ、サイサイシー」
サイサイシー「あれ、どうしたの?」
ドモン「サイサイシーがここのお店を手伝っているって聞いたから食べに来たのさ。
    それとこの弟がな」

 ドモンはフリットを見た。

ドモン「どうしてもサイサイシーの料理を食べたいというから一緒にな」
サイサイシー「どうぞどうぞ。みんな座ってよ。ご飯ごちそうするよ」
ドモン「悪いな」

 ドモン達4人はテーブルの前に置かれた椅子にそれぞれ座った。
みんな屋台の料理を楽しみにしているようだ。

フリット「ドモン兄さん」
ドモン「何だ?」
フリット「そういえば雑談なんだけどなんでハロを使わないの?」
ドモン「ハロか? 俺はそもそも持ってないし、それにサポートならな……」
フリット「何?」
ドモン「レインがいるからな。ハロはいらないのさ」

レイン「ちょっ、ドモン!」
エミリー「うふふ、いい関係ですね」

 みんなが会話を続けている間にセシルがとびきりの笑顔で料理を持ってやってきた。

サイサイシー「はい、どうぞ」
フリット「おいしい!」
ドモン「そうだろ。サイサイシーは一流の料理人だからな。
    ロランのとどっちがうまい?」
フリット「えっ?」

902 名前:通常の名無しさんの3倍:2014/05/18(日) 13:36:06.30 ID:???
 ドモンの意地が悪い質問にフリットはこう答えた。

フリット「それは究極と至高の料理の違いかなあ……」
ドモン「どういう意味だ?」
フリット「両方ともうまいって意味だよ」
ドモン「あえていうならどちらなんだ?」
フリット「えー、困るなあ……。あえていうなら究極の……」

 フリットがそうどちらかの名前を言いかけた時、店の前に一人の男が現れた。
サイサイシーに注文を頼む。

ハンス「……というのを頼みたいんだが」
セシル「は、はい!」

エミリー「えーと、あの人は確か……」
ドモン「ハンス。マーメイドガンダムのガンダムファイターだ。
    セシルの兄でもある」
エミリー「このスレの兄キャラってシャアやギレンだけではなくたくさんいるのね……」
ドモン「当然だな」

フリット「知ってるよ、あのハンスって人。Zザクのイーノと同じ声の人でしょ。
     『Zザク』、イーノがいうには注目度はいつでもNO.1の機体。
     Zにザクの頭をのせたMSで……」
ドモン「このスレのイーノは着実にZザクのアピールを浸透させているな……」

903 名前:通常の名無しさんの3倍:2014/05/18(日) 13:37:26.65 ID:???
 ハンスは手早くサイサイシーが作った料理を食べ終えた。
表情は食べる前と変わらず暗いままだ。

ドモン「どうした、ハンス。何があった?」
ハンス「別に……。ただ料理がおいしくないだけだよ」

 その時、フリットが座席から立ち上がって叫んだ。

フリット「この料理が美味しくなかったっていうのですか!?」
ハンス「ああ、そうだよ」
フリット「ドモン兄さんもレインさんもエミリーも今食べてる最中、ずっと笑顔でした!
     料理が美味しかったからです! 自分も美味しいと思いました!」

ハンス「現実にこの皿の料理は美味くなかった。だが腹がふくれればそれでいい……」

サイサイシー「うっ……」
セシル「それは……」

ドモン「待て。俺も食べたがサイサイシーの料理の味が前より落ちているとは思わんがな」
フリット「わかりました。一週間! 一週間待っていただけたら
     今よりもっと美味しい料理を食べることが出来ると思います!」
ハンス「……わかった。だがあまり期待しない」

 ハンスはクルリと後ろを向くと街の雑踏の中に消えていった。

ドモン「サイサイシー」
サイサイシー「ん? ああ……」
ドモン「フリットの言う通り一週間で美味しい料理を作れ。
    ウチの人間も協力してくれるはずだ」
フリット「究極の料理を作りましょう!」

904 名前:通常の名無しさんの3倍:2014/05/18(日) 13:38:57.96 ID:???
 ところ変わってここはガンダム兄弟の家。台所である。

ロラン「……それで僕を頼ってきたんですか」
ドモン「すまん」
ロラン「話は大体分かりました。では料理の内容を考えましょう」

 ここにはロランやドモンだけではなく、レインやフリット、エミリー、
そしてサイサイシーとセシルがいる。

エミリー「レインさんも料理得意なんですよね」
レイン「え? まあ人並みには」
ロラン「これ、僕が全部作っては意味ないですね」
ドモン「サイサイシーが調理に参加しないとな。だが俺の見立てだがロランもサイサイシーも
    同じくらい料理がうまい。逆にいうと……」
ロラン「僕でもハンスさんの舌を満足させるのは無理かもしれませんね」

 みんなは思い思いのメニューを言い合い、作り、試食した。
そのたびに時間が経過する。

レイン「料理のメニューは和洋中、色々作ってみたけど」
ドモン「単に薄味が好きだとか濃い味が好きとかそういうことはないか?」
サイサイシー「それはないよ。だって最近よくあそこのお店に来るんだけど、
       いつもそのたびに味付けをいろいろ変えてるんだ。
       それなのにずっと顔が暗いままで……」
ドモン「ハンスがか? ではセシルの料理が好きだっていうのは?」
セシル「それが最近私が作っても暗い顔のままなんです」

 その時、自分やロラン、レイン達が作った料理とセシルが作った料理を
食べ比べていたフリットがあることに気付いた。急いでセシルに尋ねようと耳打ちする。

フリット「……ということなんだけど」
セシル「だってそれは……」
ドモン「どうしたんだ二人とも? そこで話をして」

フリット「今聞いたことはこういうことなんです。実は……」
ドモン「セシル、なぜそれをもっと早く言わないんだ!
    これで問題解決か!?」

905 名前:通常の名無しさんの3倍:2014/05/18(日) 13:42:52.80 ID:???
 一週間後、ハンスはドモン達兄弟が住む家にやってきた。
ハンスを出迎えるサイサイシー達。

ハンス「本当に今日の料理は美味しいのか?」
サイサイシー「実は料理はオイラだけではなく、ここのロランやフリット、
       他にもいろんな人に手伝ってもらいました」
ハンス「ふうん。で、本当に今日のは美味いのか?」
サイサイシー「これです」

 セシルが持ってきた皿には一週間前と同じ魚料理が載っていた。

ハンス「おい! これはこの間と同じじゃないか」
サイサイシー「食べて見て下さい」
ハンス「……美味しい? 美味しいぞ! なぜだ!?」

 ハンスは食べた。涙を流しながら食べた。

フリット「これはハンスさんの地元でとれた魚を使ったメニューです」
ハンス「あっ!?」
フリット「セシルさんに聞いたんです。
     セシルさんの作っている料理は魚を代用しているんじゃないかって」
ハンス「代用?」
フリット「つまり地元でとれた魚をここのスーパーで買えないから
     代わりの魚を使って調理しているということです」

ハンス「そうか!」

フリット「というわけでみんなでその地元の海や川へ行って魚をとってきました。
     もちろん調理もみんなでしました」

ハンス「サイサイシー、ありがとう! 美味しい、美味しいよ!」
サイサイシー「いいや、オイラこそ一つ勉強になったよ」

 片手をサイサイシーの方に差し出すハンス。
サイサイシーはそれを固く握った。握手したのだ。横ではセシルが泣いている。

フリット「あれがハンスさんの究極のメニューなのかも……」
アムロ「ロランが結婚して家を出たらフリットがこの家の料理をあずかるのかもな」
ドモン「アムロ兄さん、そこでその発想!?」

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最終更新:2016年03月24日 20:16