834 名前:前半 :2014/06/29(日) 14:49:43.20 ID:???
マリーダ「バナージとデート……?」
ロニ「ああ。フロンタルのコロニー建設視察に2人で付いて行く事になった」
マリーダ「それはデートとは言わないのでは……」
ロニ「フロンタルなんて些細な事じゃないか。ねえ、何を着ていけばいいと思う?」
マリーダ「そうだな……」
マリーダ「(私はロニを応援したい。やっぱりバナージにミネバ様を任せるのは不安だ。
でも、ミネバ様はバナージと一緒にいる事を望んでいる。私は
どうすれば……)」
ロニ「マリーダ?そんなに真剣に考えてくれているの?」
マリーダ「あ、ああ。あいつの事だから何を着て行っても喜ぶんじゃないかな」
ミネバ「バナージがフロンタルと出掛ける?」
マリーダ「はい。コロニー作業用モビルスタンダードの現場を見せに行くと言っていました」
ミネバ「今すぐ止めさせよう。フロンタルがバナージに何もしない筈が無い」
マリーダ「心配しすぎです、ミネバ様。
フロンタルは単にバナージと仲良くなって、あわよくばネオジオンに入れようとしているだけです」
ミネバ「マリーダは楽観視しているんだ!私も行く」
マリーダ「ミネバ様、お気持ちは分かりますが、今はバナージとフロンタルを信じましょう」
ミネバ「……マリーダ、何か隠しているな?」
マリーダ「……ミネバ様には言えない事です」
ミネバ「……バナージの安全は保障されているんだろうな?」
マリーダ「私は関与していないので分かりません。
ただ、もしバナージが擦り傷1つでもする様であれば、どんな手を使ってでもフロンタルを
ミンチにします」
ミネバ「……マリーダ、貴女を信じます」
マリーダ「ありがとう……」
835 名前:前半 :2014/06/29(日) 14:50:43.64 ID:???
フロンタル「特にドリル等の実体装備は消耗が激しいから、1日の作業でも換える事が殆どだ。
大抵は、こういう休憩時に換装する」
バナージ「あの……フロンタルさん?」
フロンタル「何だね?」
バナージ「モビルスタンダードを見せるなら
日登町でも十分なのに、わざわざ俺達を宇宙まで連れてくる理由ってあるんでしょうか?
いや、嬉しいです。嬉しいですけど、ここまでする意味はあるのかなって」
フロンタル「私はシャア総帥から、君達の様な優秀な人材を確保するのに手段と予算を選ぶなと言われている。
若者の為にこういう事が出来るのがネオジオンだと、分かって貰いたいだけだよ」
ロニ「バナージ、深く考えすぎだわ。今は楽しめばいいじゃない」
バナージ「そう、ですよね」
ppp
フロンタル「ん?」
バナージ「どうかしましたか?」
フロンタル「少し、私が出る用事が起きた。すまないが、あそこのエレベーターに乗って先に行っていてくれないか?
着いた先は視察用の、完成したら展望室になる場所だ。好きに見て回っていい」
バナージ「分かりました」
フロンタル「では、失礼する」
フロンタル「(ロニ、チャンスは与えた。あとは上手くやるんだな)」チラッ
ロニ「(!?……感謝します)」
バナージ「このエレベーターだよな。よし、動いた」
ロニ「意外と狭いんだね」
バナージ「人間専用で、機械は外から搬入するのかな……」
ガコンッ
バナージ「うわっ!?停電!?」
パッ
バナージ「点いた!……非常用電話を!」
ppp
バナージ「済みません、エレベーターが急に揺れて、停電ですか!?どうなっているんです?」
アンジェロ「停電で安全装置が作動したらしい。よくある事だ。
確認できる限り空調は壊れてないし、こちらの作業を優先したいから、2時間くらいで助けに行く。
構わんな?」
バナージ「ロニさん、2時間掛かるみたいですけれど、大丈夫ですか?」
ロニ「私は構わない」
バナージ「分かりました。では、ここで待っています」
アンジェロ「右後ろに非常用の道具や水もある。気長に待っていろ……」
836 名前:前半 :2014/06/29(日) 14:52:02.79 ID:???
アンジェロ「……専務、バナージへの伝達が終わりました」
フロンタル「上出来だ。これでドズル閣下にも顔が立つ」
アンジェロ「しかし、あの2人のために専務の顔を汚す必要など……」
フロンタル「こうでもしなければ、ミネバ様よりロニの方が近くはならない」
アンジェロ「さすが専務、完璧な作戦です。あとはロニがあのガキに迫れば……」
フロンタル「万全を期す為にエレベーターの温度を上げてくれ。私はドズル閣下に報告をする」
バナージ「とんだ事になってしまいましたね」
ロニ「もし誰も来なかったら……」
バナージ「大丈夫です。こういう時大切なのは落ち着く事です。のんびり待ちましょう」
ロニ「バナージがそう言うなら……それにしても、少し暑いね」
バナージ「そうですね……エレベーターの環境データだと27度です」
ロニ「そんな事まで分かるのか?」
バナージ「ええ。宇宙の個室には必ず付いているんです」
ロニ「私は宇宙に出るのが初めてだから、知らなかったわ」
バナージ「それと……はい、水です。熱中症になると大変ですから」
ロニ「バナージは物知りなんだね、ありがとう」
ロニ「また、暑くなってないかな……28度になってる」
バナージ「本当だ、このまま上がり続けるんでしょうか?」
ロニ「下がるならともかく、宇宙で上がるなんてありえるの?」
バナージ「空調が少し壊れているのかも……暖房ですから、エアコンと自然廃熱が釣り合うまでは……」
ロニ「それってかなりまずいんじゃない……?」
バナージ「こういう所だと、32度位って聞きました。信じましょう」
837 名前:前半 :2014/06/29(日) 14:53:29.76 ID:???
ドズル「フハハ、そうか。宇宙のエレベーターにロニと小僧を閉じ込めたか」
フロンタル「ある程度気温も上がるよう設定してあります。
彼の知識ならば余計な事を言って、危機感を煽る事でしょう」
ドズル「うむ、中々の手際。お前に頼んで正解だったな」
フロンタル「光栄です」
ドズル「フフ、これで小僧とロニの仲は急接近。ミネバから離れてくれるだろう」
ガルマ「……」
バナージ「暑いですね……うちわがあって助かりました」パタパタ
ロニ「ええ。あなたの言った通り気温は止まったけど、それにしても暑い」
ロニ「(もしかして、フロンタルはここまで考えてくれている?なら……)」ズイッ
バナージ「ちょっ……ロニさん、近いですよ!?」
ロニ「私を扇いでくれるのは嬉しいが、離れていると風もあまり
来ないんだ」
バナージ「そ、それはそうですけど……(匂いが!匂いが!)」
ロニ「私は嫌?」
バナージ「寧ろ光栄です!(嫌ではないですけど、オードリーが見たら誤解されますよ……)」
ガルマ「……と言う訳だ」
マリーダ「閣下自らのお電話で……まさかその様な事が」
ガルマ「一応、彼らの安全は保障されているが、どうなるかは分からない」
マリーダ「ありがとうございます……しかし、1つ疑問があります。閣下は何故、私に情報を?」
ガルマ「ドズル兄さんの味方だと思ったのか?」
マリーダ「そういう事では……」
ガルマ「茶番でも君の友人が危険に晒されている。それを看過する事が出来なかっただけさ。
友人を応援して静観するのか、危機と見て助けに行くのかは自由だ」
マリーダ「……お心遣い、感謝いたします」
マリーダ「……」
プルツー「何かあったのか?まあ、なんとなく察しは付くが」
マリーダ「……ロニの為だ。もう忘れた」
プルツー「本心じゃないな。
マリーダがどちらに味方するかはともかく、関係ない奴の謀略で勝負が決まるのは納得いかない。そう言いたいんだろう?」
マリーダ「姉さんに何が分かるの!?」
プルツー「分かるさ。私はお前なんだから!
ロニを傷付けずにバナージを引き戻す。本当にしたい事をするのが私達で、姉さんだ。違うか?」
マリーダ「……私一人では出来ない。姉さん、協力して」
プルツー「私も参加させてくれるのか?なら、姉さんが勘付く前にやっちまうよ」
838 名前:前半 :2014/06/29(日) 14:54:28.12 ID:???
ロニ「助けが来るの、遅いね。もう時間も過ぎている」
バナージ「大丈夫ですよ、必ず来ます」
バナージ「(そういえば……なんでロニさんは長袖なんだろう……いや、疑問に思うなバナージ。きっとそういう服の趣味なんだ。
それにもし脱いだら、この部屋は良い匂いで満たされて、俺は生命の可能性の獣になってしまう!
嗅ぎたい!耐えろ!こんな所でオードリーへの光を閉ざしては駄目なんだよ!)」
ロニ「暑いな……脱ごうかな」
バナージ「駄目ですよ!女の子が軽々しく脱ぐなんて言ったら!!(脱いでくれえええ!!!)」
ロニ「良いじゃないか、こんな所にこの時間閉じ込められているだけで、もう一線は越えているだろう?」
バナージ「落ち着いてください!暑さと緊張で変な気分になっているだけなんです!(そうだ!もう全てが手遅れなんだ!!)」
スルッ
バナージ「脱いだ!?(匂いのアトミックバズーカが!!!核の光が!!!!)」
ロニ「私はね、親の都合で男に肌は見せないようにしているんだ」
バナージ「も、もし見てしまったら……!(アムロ兄さんが言っていた、複数の女性を波風立たない様愛するのも甲斐性だと……)」
ロニ「殺されるか、私と結婚するか、2つに1つね」グイッ
バナージ「ロニさん!?(オードリィィィィィィィこれは浮気じゃないんだああああああ!!!)」
どっかーん
ロニ「な、何だ!?」
バナージ「うわっ!?防護システムが作動した!?だけどエレベーターは動いてる!?これって……」
ロニ「テロ!?私達人質にされるの!?」
バナージ「小窓があります!外を……黒い、ユニコーン!?」
??「お前達を救出しに来た。酸素区画へ移動させるから、大人しくしていろ」
ロニ「この声……マリーダ?」
??「マリーダ?知らないな」
バナージ「じゃあ貴女は何なんです!その声と、この感覚と、宇宙を伝わる匂いはマリーダさんだ!」
??「私は『12番目の女』。それ以上でもそれ以下でもない」
ロニ「マリーダ、何でこんな事を!」
12「名も知らないお前の友人から『大切な友人が閉じ込められているから助けて欲しい』と頼まれた。
それに……『こんなものに頼らなくても勝てる』ともな。それがマリーダとかいう奴かは分からない」
ロニ「……」
12「酸素区画に着いた。開けるぞ」
839 名前:後半 :2014/06/29(日) 15:08:36.95 ID:???
バナージ「開けるだけ開けて、行っちゃい……ましたね」
ロニ「ええ、何だったのかしら?」
プルツー「バナージ、ロニ、無事か!?」
バナージ「プルツー!?」
プルツー「話は後だ、後ろに乗れ!早く脱出する」
バナージ「え?」
プルツー「マ……真っ黒な
ガンダムがここにテロを仕掛けるって予告があったんだよ!急いで離れるぞ!」
ロニ「え、ええ……!」
バナージ「はい……」
マリーダ「クィン・マンサが離れていく……これで心置きなくやれる!」
フロンタル「ミネバの差し金か?どこから情報が漏れたかは知らないが、過ちは償えという事か」
アンジェロ「咎を受け入れる専務も美しい……!」
ちゅどーん
マリーダ「私はこれで良いんだ。決めるのはミネバ様と、ロニと、バナージなのだから」
ロニ「あ、コロニーが壊されてる」
プルツー「いいよ別に。どうせいつもマフティーに襲撃されてるんだから」
バナージ「そんなものなのかな……」
ロニ「(ちょっと残念だったな……)」
プルツー「で?2人はどこまで行ったんだ?」
ロニ「はあ!?」
バナージ「行ってません!どこにも行ってませんよ!!」
プルツー「そうか……そういう事にしておくか。私がプルじゃなくて良かったな」ニヤニヤ
バナージ「そういう事って本当なんだよ!!信じてくれよ!!」
プルツー「はいはい、信じた信じた」
バナージ「何なんだよその言い方ー!?」
おわり
最終更新:2016年04月05日 17:18