211 名前:通常の名無しさんの3倍 :2014/09/30(火) 07:24:15.68 ID:dwsOUxak0
 その男は兄弟スレの街を歩いていた。
男の名前はキングT@KED@。本当である。
大事なことだからもう一度書くと本当である。
もちろんれっきとしたガンダムのキャラだ。
その男の登場作品はデスティニー。ミーアのマネージャーをやっている。

 キングT@KED@は歩きながら、
新しいアイドルになれる女性はいるかと街を見渡していた。
マネージャーの仕事をしている彼は、
職業柄なのかアイドルの金の卵を探していたのである。
はたして彼の目にかなう女性はいるのか。

 いた。彼は美しい、誰が見ても美人だといえるような女性に声をかけた。

セレーネ「はい?」

 セレーネである。

212 名前:通常の名無しさんの3倍 :2014/09/30(火) 07:26:29.45 ID:dwsOUxak0
セレーネ「ただいまあ」
アムロ「おかえり、セレーネ」
マイ「姉さん、おかえりなさい」
セレーネ「あれ、今日は二人しかいないの?」

 今日のガンダム兄弟の家にいるのはアムロとマイの二人である。
そこにセレーネが帰ってきたところだ。

セレーネ「実は街でアイドルのスカウトにあっちゃって」
アムロ「ふうん」
セレーネ「まあ断ろうと思っているんだけど。
     キングT@KED@って名前のスカウト」

アムロ「キングタケダ? なるほど、そういう人もいるのか」
セレーネ「ええとね、タケダの部分はアルファベットの大文字、
     さらにその大文字のエーの部分はアットマーク。
     紙に書くとキングT@KED@」

 セレーネはそばにあった紙にキングT@KED@と書いた。

アムロ「嘘だろう」
セレーネ「は?」
アムロ「どう考えてもそんな名前の人はいない! ガンダムにいない!
    どこかよそのスレから来た人だな? スレ違いだ」

セレーネ「本当だって。名刺ももらったのよ。
     はい、ミーアのマネージャーをやっているんですって」
アムロ「ううむ」

 アムロはセレーネに手渡された名刺を見た。まだ半信半疑である。

アムロ「よし。ミーアに電話で聞いてみよう」

 数分後、アムロはまだ信じられないという表情でセレーネとマイに言った。

アムロ「事実だそうだ」

213 名前:通常の名無しさんの3倍 :2014/09/30(火) 07:29:16.05 ID:dwsOUxak0
セレーネ「なんで兄さんがミーアの電話番号知ってるのよ?」
マイ「あれ、知らないんですか? アムロ兄さんは顔が広いですから。
   みなさんから電話番号教えてもらって、
   ミーアに限らずよく家から電話してますよ。
   電話番号の記録に関してはマメですね。
   このスレには人がいっぱいいますから」

セレーネ「いつもレポートレポート言う生粋の記録者のマイにそう言わせるの?」
マイ「はい」

アムロ「俺達が住んでいる兄弟スレには
    キングT@KED@なんて名前の人物が存在していたのか……」

マイ「ここで重要なことはスカウトの名前ではなく、
   姉さんがアイドルになるかどうかということだと思うんですよ」

 マイの言うことももっともである。
アムロは自分の考えを述べることにした。

アムロ「俺はセレーネがアイドルになるのに反対だな」
セレーネ「あら、そう」
アムロ「俺がセレーネに望むのはアイドル活動ではなくて結婚だな。
    前から思っていたことを改めて言わせてもらうとセレーネには結婚を望む。
    むろん、結婚しながらアイドル活動ならいいが」

マイ「自分はですね、やっぱりアイドルになるのに反対ですね」
セレーネ「なぜ?」
マイ「個人的なことなんですけどスレ違いの話ですみません。
   兄弟スレの自分はトロワスレのマイなんですよ」

 不思議がるセレーネ。マイはスレ違いの話題になるが、
自らの意見を述べることにした。

214 名前:通常の名無しさんの3倍 :2014/09/30(火) 07:31:45.60 ID:dwsOUxak0
マイ「あっちには、トロワスレにはマイは存在しないんです。
   つまり自分はトロワスレのマイで同一人物なんです。
   フロスト兄弟あたりも同じようなものと聞いています。
   トロワスレの住人にして兄弟スレの住人」
セレーネ「それで?」

マイ「トロワスレのアイドルって女装したカトルとかロランとか……。
   正確にはTカトルとかTロランとか……。
   彼らの活動を知っているのでアイドルはあまりおすすめできないんですよ。
   自分はトロワスレのアイドル活動の裏も表も知っているので」

 アムロとマイは次々にアイドル活動に反対の意見を言った。

アムロ「反対だな」
マイ「反対ですね」
アムロ「結婚」
マイ「反対です」
アムロ「結婚」
マイ「反対です」

セレーネ「私、この話断ろうと思っていたけど……」
マイ「はい?」

 セレーネは不機嫌な顔をした。

セレーネ「二人がそんなに反対、反対っていうなら
     ちょっとアイドルをやってみようという気になってる……」

アムロ「やめろ、やめるんだ!」
マイ「やめて下さい、姉さん!」

セレーネ「私、スカウトの人に名刺もらったのよね。そこに電話番号載ってるし」

 アイドルをやってみるという電話をかけようとするセレーネ。
それを止めようとするアムロとマイ。
セレーネが受話器を取り、結局断りの電話をいれるまで、
もうひと悶着あったのはいうまでもない。

 明くる日、仕事帰りのアムロは居酒屋にいた。
あることに相談にのってほしいというシャアと待ち合わせていたのである。

215 名前:通常の名無しさんの3倍 :2014/09/30(火) 07:34:16.88 ID:dwsOUxak0
シャア「すまんな。私の方が呼び出したのに先に来させてしまって」
アムロ「いや、いいさ。それより相談とは?」

 カウンターの席に座ってお互いお酒を飲むアムロとシャア。
夕方のお店の中には夕日の光が差しこんでいる。

シャア「実はセイラと名乗るアルテイシアのことなのだが……」
アムロ「俺達の間ではセイラの方が通りがいいからな。
    それでセイラさんが何か?」
シャア「妹がアイドルにスカウトされたのだ」
アムロ「へえ、セイラさんは美人だからな」

シャア「なんでもアイドルのマネージャーをやっている男が
    同時に個人的にスカウトもやっているらしくてな。
    妹はその男にスカウトされたのだ……。
    私は妹にアイドルをやるかどうか相談されたのだが
    どう返答すればいいだろうか」

アムロ「……そのスカウトの名前って何ていうんだ」
シャア「キングT@KED@だ」

アムロ「ぶっ!」
シャア「どうしたアムロ! いきなり酒を吹き出したりして!
    カウンターがすごいことになってるぞ!」

 キングT@KED@は今日もこのスレでアイドルをスカウトしているのである。

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最終更新:2016年04月23日 13:10