929 名前:通常の名無しさんの3倍 :2015/03/16(月) 16:55:45.40 ID:gaIS5M260
ここは
ガンダム兄弟達の家。怪盗キンケドゥはニュースの話題になることが多い。
今日もキンケドゥは予告状を出したということで警察は徹夜で警備にあたっている。
アムロもキンケドゥのことは気になってはいたが一番頭を占めていたのは別の事であった。
アムロ「セーラームーン?」
ディアナ「はい、最近『セーラームーン』と叫びながらセーラー服を着た女性が夜中に現れるそうです」
アムロ「それは偽セーラームーンだろう。このスレにセーラームーンがいるのか?
もしそうだとしたらスレ違いだ。他のところから来たということになる」
ロラン「でもそのセーラームーンの噂、僕も聞きました。最近夜にこの街に現れて
『お仕置き』をして去っていくそうです」
アムロ「それは誰から聞いたんだ?」
ロラン「ティファさんからです」
アムロ「うむむ。セーラームーンのコスプレをするのはいいが
『お仕置き』というのは問題だな。おおかたそれはみんなに対する迷惑行為だろう。
その偽セーラームーンを捕まえて説得して止めさせるか、それとも最悪警察に逮捕させるか……」
ディアナ「セーラームーンは好きですし、その人物に会ってみたい気もしますけど」
ロラン「とりあえず今日は怪盗キンケドゥを捕まえるのに忙しいんじゃないですか? 警察は」
……その夜、アムロは家にいる分のみんなが寝たことを確認すると
こっそりと上着と帽子をつけ玄関へと向かった。
アムロ(シーブックもフトンの中で寝ているようだし、これでいる分は全部確認だな。
よし、偽セーラームーンを止めに行こう)
こうして今晩のアムロは夜の街へとさっそうと向かっていったのである。
930 名前:通常の名無しさんの3倍 :2015/03/16(月) 16:58:29.73 ID:gaIS5M260
夜の街は月明かりに照らされている。ちょうど時刻はみんなが寝た頃の様だ。
家の照明が消えているのがよくわかる。
月明かりは建物の壁に貼られたポスターを映し出した。
それはWのサーカス団のポスターである。その広告には団長の姿が大映しになっている。
サーカスのライオンでもなく花形スターでもなくこの男がポスターに
デカデカと載っていることからすると、どうやらこの団長は自己顕示欲が強いようだ。
そんなポスターが沢山貼られた建物の屋根や屋上の間をひらりひらりと跳んでいるのがアムロである。
早く偽セーラームーンを捕まえねばと思ったアムロはこうやって探しているのだ。
その時、不意にアムロは気配を感じて立ち止まった。男が現れたのだ。ヒイロだ。
ヒイロ「今日のところは家に帰ってくれ。偽セーラームーンは俺が探す」
アムロ「俺が探すさ。もし本物のセーラームーンだったらスレ違い。お帰り願おう」
ヒイロ「それはアムロ兄さんが言えることなのか……?」
アムロの格好は黒い上着に黒い帽子、そして仮面……。いわゆるタキシード仮面の姿だった。
ヒイロ「その服装こそスレ違いだと思うが……」
アムロ「偽セーラームーンを捕まえるならこの格好だろう」
ヒイロ「その発想はよくわからないが……。とにかく偽セーラームーンは俺が捕まえる」
アムロ「ヒイロこそどうしてその偽物を追うことにこだわるんだ?」
ヒイロ「アムロ兄さんは明日も朝早くから仕事だ。睡眠時間が増えれば仕事の疲れもとれる。
こんなことで寝る時間を減らさせるわけにはいかない」
アムロ「俺はいい兄弟を持ったな……。だがヒイロの任務達成率は高いとはいえないしな。それ!」
アムロは身をひるがえして建物の下に飛び降りた。あわてて同じように下に降りるヒイロ。
下にいた人を避け、華麗に着地するアムロ。そして下にいた人を踏み台にそのまま着地するヒイロ。
T団長「ヒイロくん……。痛いんだが早くどいてくれないかな?」
その男はポスターの束をかかえたトロワスレのT団長だった。
931 名前:通常の名無しさんの3倍 :2015/03/16(月) 17:01:02.43 ID:gaIS5M260
夜の街に3人の男が立っている。アムロ、ヒイロ、そしてT団長である。
アムロ「T団長がなぜこんなところにいるんだ?」
T団長「私はトロワスレのサーカス団の団長でポスター貼りをしているところです。
アムロさんこそその格好は何ですか?」
アムロ「実はかくかくしかじかで」
T団長の持っているポスターはサーカス団宣伝のものに間違いはなかった。
T団長「今度、このスレでサーカス団の公演をするのです」
アムロ「なるほど。T団長は俺が見る限り悪い人間ではない」
T団長「ありがとうございます」
アムロ「しかしこのスレの者に無断でポスター貼りをしているのはまずいが」
T団長「ううっ!」
アムロ「よってT団長は悪! 正義は俺が決める!」
T団長「それはアムロさんじゃなくて五飛のセリフでしょう!?」
その時、『悪? このスレの住民に代わってお仕置きよ!』という女の声が響いた。
続いて『セーラームーン……』という声も聞こえる。
アムロ「でたな! 偽セーラームーン!」
ヒイロ「このタイミングでか?」
サラサ「ムーン!」
ラサラ「その妹のセーラームーンムーンムーンです」
サラサ「セーラームーンムーンとセーラームーンムーンムーン参上!」
セーラー服を着たサラサとラサラ、そしてなぜかモンドも建物の上に現れた。
932 名前:通常の名無しさんの3倍 :2015/03/16(月) 17:04:05.53 ID:gaIS5M260
T団長「何ですか? 彼らは」
アムロ「サラサとラサラだ。モンドもいるが……」
サラサ「サラサ? ノー! セーラームーンムーン!
このスレの住民に代わってお仕置きよ!」
ラサラ「その妹のセーラームーンムーンムーンです」
モンド「ここで悪に対してお仕置きするわけだ」
アムロ「悪ならそこにいるぞ。T団長だ」
T団長「はい!?」
サラサ「お仕置きよ!」
バシャー!
T団長の上からなぜか大量の水が降ってきた。びしょ濡れになるT団長。
T団長「……冷たい。何ですか、これは?」
サラサ「お仕置きよ!」
ヒイロ「……ここは偽セーラームーンを捕まえるチャンスだと思うんだが」
アムロ「ヒイロ、実はこの偽セーラームーンがいい人に思えてきてな。
なにしろ悪のT団長をお仕置きしてくれる」
T団長「私は悪なのですか!?」
サラサ「スレ違い! お仕置きよ!」
バシャー!
上空からなぜか大量の水が降ってきた。
今度はアムロが上から降ってきた水でびしょびしょになった。
933 名前:通常の名無しさんの3倍 :2015/03/16(月) 17:07:23.73 ID:gaIS5M260
アムロ「なぜだ! なぜ俺がお仕置きされるんだ!」
ヒイロ「格好がタキシード仮面でスレ違いだから……」
アムロ「サラサもスレ違いの格好だろうが!」
サラサ「お仕置きよ! 懺悔を!」
バシャー!
なぜかヒイロは頭上から来た大量の水によりずぶ濡れになった。
無言で上を見上げるヒイロ、そしてアムロ。
そばの建物の屋上にちらりと人影を見た。そして人影はバケツを持って消えた……。
アムロ「あれは光族の奴らか? こんなことをやるとはなかなかひょうきんな一族だな。
ひょうきん族だ」
サラサ「お仕置きよ。懺悔を」
サラサは自分の身体の前で腕を交差させた。X(バツ)のマークだ。
アムロにまたしても水がかかり……。
ヒイロ「そこの偽セーラームーンこそ悪で懺悔すべきじゃないのか……?」
アムロやヒイロは走って急いでサラサを捕まえようとするが、
そのたびに逃げられ、上空からバケツの水が降り……。
次の日の新聞には『怪盗キンケドゥ盗みに成功する』の記事が載っていたが、
偽セーラームーンとアムロ達のバカ騒ぎの一部始終は
どこの新聞にも載っていなかったという……。
最終更新:2016年05月08日 06:50