85 名前:デンドロビウムの入手先投稿日:2007/03/29(木) 00:36:33 ID:???
シーマ「あたしとした事がねぇ・・・」
ベッドで目覚めたシーマは一人で愚痴る。
昨夜大学の後輩に混ざって参加した合コン、相手の中の一人を
酔いつぶれさせようとしたはずがいくら飲ませても潰れない。
逆にシーマの方が先にダウンしてしまったのだ。
それだけならいざ知らず・・・

コウ「大丈夫・・・ですか?」

年下の坊や、コウに心配された。それがシーマのプライドに傷を付ける。
だがそれだけではない「何か」が頭の中でモヤモヤし続けていた。
頭がガンガンする。できる事なら誰かのように迎え酒でもしたい所だが
今日は大型家電チェーン「A・E」の代表と会議の予定がある。
シーマ「今週の蠍座の運勢は・・・最悪だったかねぇ」
再び愚痴をこぼした後シーマは化粧を済ませた後スーツに着替え、
お気に入りのサングラスをかけると自宅から出ていった。

86 名前:デンドロビウムの入手先(2)投稿日:2007/03/29(木) 00:39:49 ID:???
一方場所は変わってカフェ「砂漠の虎」。
コウはマスター手製のブレンドコーヒーをすすりながら考え事をしていた。
コウ「はあ・・・」
考え事は二つ。一つはモビルスーツ、一つは彼女だ。
コウ(なんか俺のガンダムだけ他の兄弟と比べて弱いような・・・
アムロ兄さんみたくファンネルも無いしシロー兄さんみたく武装も豊富じゃないし
ドモン兄さんみたく特化した性能も無いしカミーユみたく変形もできないし・・・ry)
元々コウのガンダムはアムロが勤めている会社の取引先「A・E」の試作品を
いつの間にか譲り受けただけであり特徴らしい特徴もなかった。
そしてもう一つの悩みが頭をもたげる。
コウ(彼女も・・・ウッソはハーレムだしキラも一人はともかくもう一人はアイドル、
ガロードは相思相愛でヒイロはいいとこのお嬢さん・・・)
なんだかんだでいい年して彼女がいないのは自分だけなのだ。
いや、いるにはいたが問題があるらしく何故か兄弟全員にダメ出しされすぐ消滅した。
コウ「はあ・・・」
大きな溜め息をつき冷めかけたコーヒーをすする。
      • と、そこに一人の女が声をかけてきた。

?「あの・・・コウさん・・・ですよね?」
コウ「は・・・はあ・・・」
?「申し遅れました。私、こういう者です」
女が小声で一枚の名刺を差し出す。そこには
「家電量販店アナハイム・エレクトロニクス製品開発部 ルセット・オデビー」
と書いてあった。しかしそんな大企業が一体自分になんの用だというのか。
ルセット「率直に申し上げます。私は貴方を我が社が開発した新モビルスーツの
テストパイロットとして推薦したいんです」
コウ「え、ええっ!?」
コウは驚いたがルセットの目は真剣その物だ。コウ自身は感覚が麻痺しているが
あの兄弟と比較しなければコウのモビルスーツに対する知識や操縦技術は相当の物で
その名前は意外と多くの人間に知られていたのだった。
コウ(そうだよな・・・いつまでもウジウジしてたって何も変わらないし・・・)
コウ「分かりました。よろしくお願いします」
ルセット「ありがとう・・・じゃ、早速行きましょうか」
ルセットはコウの手を取ると勘定を支払い外へと駆けていった。
バルドフェルド「やれやれ・・・いいねえ、若いって」

87 名前:デンドロビウムの入手先(3)投稿日:2007/03/29(木) 00:42:13 ID:???
15:00、A・E本社。
シーマは秘書のバーグマンを従え会議の後オサリバン常務と廊下の一角で会話をしていた。
シーマ「ふぅん・・・ずいぶんと商売上手だねぇ」
オサリバン「とんでもない・・・貧乏暇無し、ってやつですよ」
他愛の無い話をしながらふと通路に目をやる。・・・と、そこには。
シーマ(まさか・・・昨夜の!?)
そこには昨日の坊や、コウが女子社員と手を繋ぎながら歩いていた。
しかも何を話しているかは分からないがにこやかに談笑しながら、である。
シーマは心の奥底にドス黒い物が湧き上がるのを感じていた。
シーマ(なんだってんだい・・・ったく!)
バーグマン「社長・・・社長?」
シーマ「急用を思いついた!残務処理はバーグマンに任せる!」
そう言うとシーマはスーツをマントの如く翻し、コウ達が向かった方へ走り出した。

コウ「これが・・・新型機・・・?」
コウは目の前の機体を見て失望した。これでは自分の試作機とほとんど変わらない。
背中に付いている物以外は・・・
コウ「・・・ん?」
コウの動きが止まる。
コウ「そうか、そういう事か!」
コウは先ほどとは打って変わって興奮した表情になり
合体機構など開発者にしか分からない秘密を次々に言い当て
それを聞いているルセットも満面の笑みを浮かべていた。
ルセット「そうよ、その通り!ようやく(この機体の)全てを託せる人に出会えた・・・」
      • その時二人は気付かなかった。その光景を見つめる二つの冷徹な瞳がある事を・・・
シーマ「憶えておきな・・・あたしを二回もこんな気持ちにさせたのは・・・コウ、あんたが初めてだよ・・・!」

88 名前:デンドロビウムの入手先(終)投稿日:2007/03/29(木) 00:45:39 ID:???
…次の日、A・E本社。
「辞令 ルセット・オデビー 社内機密漏洩の為アラスカ支社への転任を命ず」

ルセット「嘘・・・どうし・・て・・・?」
あの時の光景をシーマはカメラに収めオサリバンに渡したのだった。
もちろんコウの顔は写らないように気を配り。
写真の機体とは別の試作機受け渡しの密談ついでに・・・
更に数日後、オサリバン常務は巨額の横領がばれ失脚した。


アムロ「・・・なあコウ、これどうするつもりだ・・・?」
コウ「・・・」
二人の目の前には巨大なモビルアーマーの下側にガンダムが付いている機体があった。
匿名でコウ宛てに送られてきた物だが今までの経緯と筆跡からして相手は一人しかいない。
コウ「とりあえず・・・風船でも付けといてキラの友達に透明にしてもらうよ・・・」

余談だが改修される予定だった試作4号機はそのまま持ち主に引き渡されたらしい。
シーマ(ふふ・・・これでコウとお揃いの機体・・・
これが必要無くなるくらい強くなってあたしを守っておくれ・・・)


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最終更新:2019年04月16日 11:17