616 : G家生まれのMさん2016/03/28(月) 02:16:23.01 ID:yj/Sm0IN0
オルガ「ある日俺はミカの家に遊びに出かけた
久しぶりの
日登町、相変わらずにぎやかなミカの家族。居心地のよさについつい長居した上、晩飯までご馳走になって、帰路につくころにはもうすっかり日が暮れていた。
変だな、と思ったのは帰り道の途中だった。何かが俺の後をつけている。だけど振り返っても誰もいない。
間の悪いことに、そこは明かりもない暗い道で、俺以外に人影はなかった。俺は薄気味悪さを感じながらも家路を急いだ。
しばらくしてようやく外灯のあるところに出た。近くには自販機もある。俺はようやくほっとして、ジュースでも買おうと自販機に近寄った。
そのときだ。「う……うう……」苦しげなうめき声。俺は思わず小銭を取り落とした。今まで気づかなかったが、自販機の影に誰かいる。
「お、おい。大丈夫か。どこか具合でも悪いのか」
声をかけても返事はない。暗がりで男とも女ともつかないそいつは、うずくまったままずっと呻き続けている。
「ツブシテエ・・・」「ツブシテエ・・・」つぶして? 潰してえ? 気味がわるくなった俺はとりあえずだれか呼ぼうと立ち上がった。そのときだ。何かが俺の足首を掴んだ。
「なっ……!」俺は思わず声を上げちまった。俺の足首を掴んだのは少女のものと思しき手だ。だけどその手首より先には何もない。身体の無い、手首だけの少女が俺の足首を掴んでいる!
「ツブシテエ・・・」「ツブシテエ・・・」更にそれに反応するように、呻いていた謎の人物が立ち上がる。
暗がりから明かりの下へゆっくりと出てきたソイツは、全身が潰れてほとんど原型を留めていない、まるでスプラッタ映画に出てくる化物のような姿だ!!
俺はとっさに逃げ出そうとしたが、足首は少女の手首にがっちりと掴まれたままだ。「ツブシテエ・・・」「ミンチニシテエエ・・・」そうこうしてるうちに、化物は鈍器を手にし、ゆっくりと俺に近づいてくる!
「畜生……俺はここまでなのかよ」そう覚悟した時だ。
「そこまでにしときなよ」
聞いたことのある声、
ガンダム家生まれで、強くてクールで度胸もある三日月・オーガスだ。
ミカはガンダム・バルバドスを駆って俺の前に降り立つと、自慢のメイスを振り回し
「ブルァァァァァ!!」と化物どもを叩き潰す!
「どうしてここに?」そう尋ねるとミカは俺に風呂敷包みを差し出し「ロランが鉄華団のみんなにもってけって」
どうやら土産を渡すついでに俺を助けてくれたらしい。すげえよミカは、俺は改めてそう思った。
「ところでこの化物たちは一体何だったんだろうな?」ふと口にした疑問にミカが答える。「ああ、こいつらは……」
だがその答えを聞くより早く、
ミンチより酷いことになった化物の残骸がピカッと光り、なんとそこから人間が再生した!
「ふう、助かったよ。今晩はクリスの家に行く約束だったからさ」
「ありがとうございました。シンお兄ちゃんにもよろしく言っててください」
呆気に取られる俺を余所に、その金髪の青年と女の子はミカに礼をいって何事もなかったかのように去って行った。
「あいつらよくミンチより酷いことになるんだけどさ、その時潰れ具合が中途半端だと、すぐ元に戻れないんだって。だから見つけたらちゃんと潰してやらないと」
なんでもないことのように語るミカ。日登町ってすげえ、俺はいろんな意味でそう思った」
622 : G家生まれのMさん2016/03/28(月) 12:17:08.40 ID:yj/Sm0IN0
オルガ「あれは火星から地球へクーデリアを護送する仕事の途中だった。
道中は順調だったんだが、いよいよ大気圏に突入しようって時にトラブルが起きた。急に予定していた航路が使えなくなっちまったんだ
仕方ないんで前に仕事したことのあるモンタークに、別の道がないか尋ねたところ
一つだけ今は使われていない航路がある、といった。
「まああそこは曰くつきの航路なのだが……君たちならば大丈夫だろう」
意味ありげに仮面のシャッターを開け閉めするモンタークに若干の胡散臭さを感じながらも、俺たちはその航路へ向かうことにした
「助かりました。これで会議には間に合いそうですね」
「でも、なんでここもう使われなくなったんだろう?」
アトラの言うとおり、その航路は多少デブリが多い物の、小型船が降下するには充分な広さがある
ひょっとしたら何か他の理由があるのか……そう考えていたときだ、突然船に衝撃が走った
「なにが起こった!」
慌てて聞くと、操舵手は突然船の姿勢が崩れてしまい、十分な減速ができなくなってると答える
「なんでそんなことに! なんとか立て直せねえのか!」
「無理です! 立て直そうとしても、まるで外から抑えつけられてるみたいで……」
「おかしい……」
そう思った俺は窓の外に目を凝らした。するとそこには船体にしがみ付き、
大気圏に引き込もうとする黒焦げの亡霊が無数に蠢いていた!!
「アメリアアアア・・・」「タスケテクダサァイ・・・ゲンソクデキマセン・・・シャアタイサ・・・タスケテ・・・」
このままじゃ俺達も燃え尽きちまう……
そう思った瞬間、MSの残骸をサーフボード代わりに乗りこなし、大気圏へ突入してくる一体のガンダムが!!
ガンダム家生まれでクールで度胸もある三日月のバルバドスだ!
ミカはボード代わりのグレイズを華麗に操り船体にとりつくと、崩れてしまった姿勢を元に戻す
「ブルァァァァァ!!」
振り返らずにバルバトスが叫んだ。
すると船に纏わりついていた亡霊共がまるで燃え尽きるように消え去り
船は無事減速、俺たちは無事地球に降下することができた
「助かったぜミカ、でも何でここに?」
そう聞いた俺にミカは
「オルガたちが予定の航路を外れたっていうから。アムロ兄さんに聞いたら、あの辺りは昔よく
大気圏突入事故が起こったいわく付きの宙域だっていうしね」
そこへアトラやクーデリアも駆けつけてきた。
「きっと死んだヤツが仲間を増やそうと呼ぶ場所なんだろうな、あそこ」
夜空に浮かぶ三日月を見ながら呟くミカ。
アトラとクーデリアはそんなあいつの横にちゃっかりと居座っている。
やっぱすげえよミカは、俺はまたもやそう思った」
最終更新:2016年05月18日 14:19