324 名前:お任せ
ヨーツンヘイム社投稿日:2007/12/06(木) 19:28:07 ID:???
~とある休日、兄弟家台所にて~
ロラン 「あれー、困ったなー……」
マイ 「どうしたんだい、ロラン」
ロラン 「あ、兄さん。なんか、炊飯器が動かなくて……」
マイ 「どれどれ……ああ、これはいけない。寿命という奴だね」
ロラン 「えぇ!? 参ったなぁ、こんなに大きな炊飯器、売ってるところはあんまりないし、何より高いし……修理は出来ませんか?」
マイ 「うーん……難しいな。多分、直すよりは買い換える方が安いと思う」
ロラン 「そんなに!? はぁ……仕方ない、なんとかして安く買う方法を……」
マイ 「……! ロラン、今思い出したんだけど」
ロラン 「え、なんですか?」
マイ 「僕の会社に、大型炊飯器の試作機があったはずだ。それの試験をするという名目でもらってくるよ」
ロラン 「えぇ!? それは渡りに船ですけど……兄さんの勤めているヨーツンヘイム社って、確かMSとか作ってる会社なんじゃ……」
マイ 「代表的な商品はね。でも、基本的に変人ぞろ……いや、個性的な開発陣に恵まれているので、
MSに限らず様々な分野に手を出してはくうちゅうぶんか……いや、極めて特異な実験成果を挙げているのさ」
ロラン 「そうなんですか……それじゃあ、お願いできますか?」
マイ 「いいとも。すぐに社に行って取ってくる」
~で、一時間後~
マイ 「……というわけで、これが試作型大型炊飯器、EMSH-04『ヅジャー』だ」
ロラン 「……ヤケに大きいですね。その割に釜はそれ程大きくないし……」
マイ 「まあ、いろいろと新しい試みがなされているからね。それに何より試作型だから、多少見た目が悪いのには目を瞑ってほしい」
ロラン 「そうですか……じゃあ早速、お米を研いで、と……」
マイ 「……」
ロラン 「……どうしたんですか兄さん、メモ張とペンなんか持ち出して?」
マイ 「ああほら、これもわが社の試作機だからね。後で報告書にまとめないと」
ロラン 「兄さんは本当に仕事熱心ですね。さて、それじゃ早速炊飯ボタンを……ポチッとな」
ポチッ……ゴゥンゴゥンゴゥンゴゥンゴゥンゴゥン……
ロラン 「……あのー兄さん、なんか、凄い音がしてるんですけど……」
マイ 「なにせ試作機だからね」
ロラン 「……なんか、MSのエンジンの起動音に似てるような……」
マイ 「なにせ試作機だからね」
ロラン 「……どう見ても、温度の上がり方が異常というか各所から蒸気が噴出して警告音がって、これ本当に大丈夫なんですか兄さん!?」
マイ 「なにせ試作機だからね」
ロラン 「兄さーん!?」
ゴゥンゴゥンゴゥンゴゥンゴゥン……キュイィィィィィィィィン!
チュドォォォォォォォォォン!
ロラン 「……」
キラ 「……な、何が一体どうなって……」
シン 「……い、家が突然爆発して瓦礫の山に……」
ウッソ 「誰かーっ! コウ兄さんが生き埋めにーっ!」
カミーユ 「大きな星が……ついたり消えたり……」
ジュドー 「戻って来いカミーユ兄さーん! 今のあんたは劇場版だったんじゃないのかよーっ!?」
マイ 「……試作大型炊飯器『ヅジャー』、技術試験報告書……
本日、我が兄弟家において、ヅジャーの起動試験を実行せり……
結果、起動より36秒ほどの間を置いて、ヅジャーは爆散……釜の中の米は家ごと炭と化した。
企画段階での指摘どおり、炊飯器に小型核融合炉を取り付けて一気に炊飯を達成しようという狙いは無謀だったと考えざるを得ない……
重役方のご再考を切に願うものである。
なお、近辺を試験飛行中だったヅダが、ヅジャーの爆発の余波を受けて
空中分解を起こしたことは、極めて遺憾である……と。
これでよし。ロラン、協力ありがとう。なにせ試作機だからね」
ロラン 「……企画段階で何かおかしいってことに気付く人はいなかったんですか」
ヨーツンヘイム社。「あらゆるものを空中分解」がキャッチコピーの、無謀極まりない前衛的技術系企業である。
最終更新:2019年05月13日 14:02