128オールアムロVSシャア軍団VS
ガンダム兄弟2019/06/24(月) 01:41:53.43ID:i1JBVj8Z0
日登町警察署
戦況は圧倒的に不利だった。
サンダース「プルーマ5機に戦線を突破された!」
ダリル「任せろ! 我々オーバーフラッグスが始末する」
デビルガンダムヘッドもプルーマも一機一機は大した脅威ではない。
しかし無尽蔵とも思える圧倒的物量の前に、警官たちは徐々に押し込まれていく。
南から来るデビルガンダムヘッドに対処していたシローの心にもまた、焦りが生まれていた。
カレン「まったく、本当に厄介だよデビルガンダムは!」
ミケル「いくら倒しても次から次に再生されるんじゃ……!」
エレドア「愚痴たれてる暇があったら手動かせ手!」
シロー「…………」
やがて、遠くでデビルガンダム本体が地上に顔を出した。
デビルガンダムはハシュマルをここで迎え撃つと決めたらしく、
DG細胞で周囲を侵食し、自らの要塞へと変えていく。
サンダース「隊長! 西側数キロ先にハシュマル本体を確認! プルーマ数十機を引き連れて突貫してきます!」
ハワード「くそっ! こんなときにグラハム隊長がいてくれれば」
ダリル「泣き言をいうな!」
短距離通信で聞こえる西側の絶望的な声。
シローは遂に覚悟を決めた。
銃身が焼き付いた180mmキャノンを捨て、ガンダムEz8はビームサーベルを引き抜いた。
シロー「カレン。ここは任せるぞ」
カレン「!? アンタ、どうする気だい!」
シロー「俺が直接、デビルガンダム本体を叩く!」
エレドア「おい、なに馬鹿なこといってんだ!」
ミケル「無理ですよ! MFでもない量産型のMSで」
シロー「倒せなくていい! ひるませて、なんとか少しでも時間が稼げれば!」
カレン「無謀にもほどがあるだろ! 死ぬ気か!」
部下たちの制止にも耳を貸さず、Ez8はデビルガンダムに向けて走り出した。
129オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2019/06/24(月) 01:46:13.99ID:i1JBVj8Z0
カレン「あのバカ! 完全に頭に血が上ってるね。あたしが連れ戻して……!」
エレドア「やめろカレン! 巻き添えになるだけだ!」
ミケル「でも、このままじゃ隊長が!」
迫りくるガンダムヘッドを掻い潜り、シローの駆るEz8は真っ直ぐにデビルガンダムへと急ぐ!
現在、手にしている武装はビームライフルとビームサーベル、それと背中にマウントした100mmマシンガンのみ。
デビルガンダム相手に戦うにはあまりにも頼りない。
カレンは無謀と言ったが、それはシロー自身が一番よくわかっていることだった。
シロー「(もとより倒せるなんてうぬぼれちゃいない。だけど、なんとしてもデビルガンダムは退かせなきゃ。最悪、自爆してでも……!)」
しかし、そんな悲壮な覚悟を嘲笑うように、デビルガンダムの触手が容赦なくシローに襲い掛かる。
360度全方位からの攻撃の前に、ついにEz8の足は止まった。
シローは必死でレバーを動かす。
しかしEz8は触手によって完全拘束され、もはや一歩たりとも動けない。
シロー「ここまでなのか? アイナ……!」
そして獲物に喰らい付く蛇のように、デビルガンダムヘッドが大きく口を開けた……!
その時!
「諦めるなんてらしくないな、お巡りさん?」
ビーム・ザンバーの強力な一撃が、デビルガンダムヘッドを両断した。
シローは信じられないような思いでその光景を見ていた。
やったのはマントをはためかせた、海賊を思わせる意匠のMS――クロスボーンガンダムX-1。
シロー「お前は……キンケドゥ・ナウ!」
キンケドゥ「戦場で女の名前を叫ぶのは、甘ったれた瀕死の兵隊だけだって……アレ、誰の台詞だったかな?」
宇宙海賊クロスボーンバンガード……そのエース、キンケドゥ・ナウはコクピットの中で不敵に笑って見せた。
130オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2019/06/24(月) 01:48:50.45ID:i1JBVj8Z0
そして、戦場に現れたのはキンケドゥ・ナウだけではなかった。
トビア「大丈夫ですか警察のみなさん!」
ザビーネ「ダメじゃないか警察ゥ! 海賊に助けられてちゃあ!」
カレン「クロスボーン・バンガード?!」
エレドア「なんでここに!」
キャプテン・アッシュ「ここは我々が引き受ける! 警察諸君は人々の避難を!」
サンダース「あの黒いガンダムは……!」
宇宙海賊ビシディアンの首魁、キャプテン・アッシュ。
彼の駆るダークハウンドのドッズランサーがプルーマを次々と引き裂く。
キンケドゥ「聞こえるかバンガード。ああ、野暮用は済んだ。……ぶっ放せ!」
キンケドゥの指示で、空中に浮かんだ帆船……マザー・バンガードがデビルガンダムに向け主砲を放つ。
思わぬ闖入者の存在に面食らったのか、周囲のデビルガンダムヘッドの動きが一瞬止まった。
キンケドゥ「さあ今の内だ。すぐにここから逃げるぞ。手はずは整えている」
シロー「離せ! 誰がお前たちの手なんて借りるものか!」
キンケドゥ「駄々をこねるなお巡りさん。別に貸しを作ろうなんて思っちゃいない。今は人々を避難させるのが先だ。そうだろ?」
そこへキャプテン・アッシュのダークハウンドもやってくる。
アッシュ「キンケドゥ! 警察署にいた人々は全員バロノークとマザー・バンガードに回収した。急いでここから引き上げるぞ!」
シロー「キャプテン・アッシュ! お前まで! 一体何が目的だ」
アッシュ「勘違いするなよシロー・アマダ刑事」
シロー「なに!?」
アッシュ「キンケドゥも言ったと思うが、我々は警察と馴れ合うつもりはない。ただ、やるべきことをやる。それだけだ」
シロー「やるべきこと……」
キンケドゥ「そうだ。海賊である前に、この町の住人として、人々を守る。それが今、俺たちがやるべきことだ」
アッシュ「そしてそれは、あなたも同じだと思っていたが」
キンケドゥ「俺たちの見込み違いかな? お巡りさん?」
シロー「それは……!」
そこへ、再び轟くデビルガンダムの咆哮。
トビア「急いで! 早くここから離脱しないと!」
キンケドゥ「わかってる! さあどうするお巡りさん?」
アッシュ「我々ととともにここを離脱し、人々を安全なところへ逃がしたのち、反撃の態勢を整えるか」
キンケドゥ「このままデビルガンダムに突撃し、自己満足で一生を終えるか。決めるのは……」
シロー「……わかってる!」
シローは目を瞑り、大きく息を吐いた。
シロー「俺は警察官だ。その使命は人々を守ること。そのためだったら海賊の手だってなんだって借りてやる。ただし、今日だけだ!」
キンケドゥ「……いい返事だ、お巡りさん」
決意を固めたシローの真っ直ぐな目を見て、キンケドゥはモニター越しに満足そうに頷いた。
アッシュ「さあ行こう! すぐにデビルガンダムの自己再生が終わる。モタモタしていたら喰われるぞ」
X-1とダークハウンドに両脇を挟まれる形で、Ez8はマザー・バンガードへ向かった。
遠くでは、MAとその僚機に占領され、廃墟となった日登町警察署が見える。
シロー「(見ていろ……すぐに取り返してやる!)」
シローは心の中でそう呟いた。
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最終更新:2023年02月20日 12:24