462オールアムロVSシャア軍団VS
ガンダム兄弟2019/12/14(土) 20:02:02.74ID:FY18rDiC0
日登町中央区:森林公園
バルバトス・シドVSガンダムF91&デスティニーガンダム
バルバトス・シドはF91とデスティニーガンダムの拘束を振り払い、深い森の中に落ちた。
ここは中央区にある森林公園。
先ほどまでいた武道館からは、直線距離にして10キロほど離れている。
シン「くっそ、思ったより近くに落ちたな!」
シーブック「だけどここなら町の人に被害も及ばない」
シン「ああ、ケリをつけるぞ!」
森の中のバルバトス・シドは憎悪に満ちた真っ赤な目で二機を睨みつける。
尻尾を乱暴に振り回し、羽を大きく広げたその姿はまさしく悪魔だ。
シーブック「すごい気迫だな。今にも叫びだしそうだ」
シン「なんだ? ビビってるのか?」
シーブック「まさか!」
二人が軽口を叩いた次の瞬間、バルバトス・シドは矢のような勢いで迫ってくる!
それを二機は横っ飛びに跳ねて回避した。
シン「あっぶな……!」
シーブック「油断するな! 尾っぽがそっちを狙ってる!」
シンは咄嗟に地面を見た。
するとシーブックの警告通り、バルバトスのテールブレードがデスティニーガンダムを追ってきている。
蛇のように鎌首もたげて襲い掛かってきたそれを、デスティニーは肩にマウントされたビームブーメランで薙ぎ払う。
シン「悪い! 助かった!」
シーブック「しっかりしろよ! こいつ、シドはバルバトスを完全にコントロールしてるぞ!」
シン「うん。なんとかシドだけ切り離せないかと思ってたけど、こりゃ手加減できる相手じゃないな」
シーブック「三日月には悪いけど、バルバトスごと戦闘不能にするしかない……!」
二人は覚悟を固め、再びバルバトス・シドと対峙する……!
日登町中央区:カミオン
フリット「見つかった!」
武道館から避難するカミオンの荷台で、ずっとAGEデバイスとにらめっこをしていたフリットが突然叫んだ。
463オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2019/12/14(土) 20:03:41.61ID:FY18rDiC0
キオ「見つかったって……何が見つかったのフリット兄ちゃん?」
フリット「シドが武道館を襲った理由だよ」
イオ「そういやそんなこと言ってたな。縄張り意識の強いシドが、わざわざ縄張りの外に出て人を襲うのはおかしいって」
フリット「うん。だから僕、武道館のサーバーデータをずっと解析してたんだ。シドが引き寄せられる『何か』があるんじゃないかって」
カミーユ「それで、その『何か』が見つかったのか?」
ウッソ「一体何なんですかそれは」
フリット「ところどころ破損してて全文は読み取れないけど……これ、『EXA-DB』のデータの一部だと思う」
ガロード「『EXA-DB』!? ……ってなんだっけ?」
ジュドー「なんかシドが大事に守ってるもの~ってことは覚えてるけど」
フリット「ざっくり言うと、『EXA-DB』は過去の戦争で使われた技術のデータバンクだよ」
キオ「で、それが外部に流出しないよう見張ってる番人がシドなんだよね」
キオの言葉に、フリットが頷く。
バナージ「なるほどな、これで納得がいったよ。どうしてシドが突然暴れだして武道館を襲ったのか」
カミーユ「でも、なんで武道館に『EXA-DB』のデータなんてあったんだ?」
フリット「それが、どうも
昨日の夜にメールで送られてきたみたい」
ガロード「メール?」
フリット「うん。担当者の人は、てっきり迷惑メールだと思ってそのまま削除しちゃったようだけどね」
カミーユ「データ自体はまだサーバーに残ってたってことか」
ウッソ「でも一体誰なんですか、そんなとんでもない迷惑メールを送ってきたのは」
フリット「差出人の名前は……『ゼンゼン全裸パラダイス ~ドキッ! 美少女のあんなところやこんなところが全部丸見え~』」
ガロード「『ゼンゼン全裸パラダイス』……?」
ウッソ「なんですかふざけてるんですかフリット兄さん」
フリット「いや、単に名前を読み上げただけだからね僕!?」
イオ「いかにも迷惑メールって感じの名前だな」
カミーユ「いや待てよ! 『ゼンゼン全裸パラダイス』……『全裸』……」
バナージ「『フル・フロンタル』!」
ガンダム兄弟たちは顔を見合わせた。
カミーユ「やっぱりシドの暴走もあいつの仕業か……」
ジュドー「ま、薄々そんな予感はしてたけどね」
バナージ「だからって。こんな大事にして! 一体あの人は何がやりたいんだ!」
ウッソ「これも『IMD計画』ってヤツの一端なんですかね……」
未だ全貌の見えないフロンタルの計画の影に、兄弟たちは顔を曇らせた。
その時、再びフリットが叫んだ。
フリット「ああッ! 嘘でしょ、大変だ!」
イオ「今度はどうしたんだよフリット」
フリット「さっきの『EXA-DB』が仕込まれてた例のメールだけど、シドが武道館を襲う数分前に、どこかに転送されてたぽいんだ」
イオ「なんだって? 転送されてた!?」
カミーユ「自動でそういう設定になってたってことか」
ジュドー「じゃあ転送先が次にシドに襲撃される場所ってこと?」
ウッソ「いったいどこなんですか、次にシドに狙われるのは!?」
フリット「待って。今調べるから。メールの……転送先は……」
結果が表示された瞬間、フリットの目が大きく見開かれる。
フリット「転送先は……中央区の、僕らの学校……!!」
464オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2019/12/16(月) 00:54:05.24ID:uQBw6Nrr0
中央区:森林公園
シーブック「シン! もっとけん制してひきつけてくれ!」
シン「わかってる! こっちだシド、ついてこい!」
森林公園では互角の戦いが続いていた。
シドという怪物的MSに加え、乗っ取ったのは強襲・白兵戦に特化した三日月のバルバトス。
十人並みのパイロットでは撃墜されるまで一分ともたないだろう。
だが、シンとシーブック、二人は決して平凡なパイロットではない。
シン「どうした! バカみたいにメイスを振り回して! ちゃんと狙わなきゃ当たらないぞシド!」
シドの振り回す超大型メイスを、デスティニーは紙一重で回避。
続けて発射されたフェザーミサイル・ビームライフルの攻撃も難なく避けた。
そこへ音もなく近づいてきたF91が、背後からビームサーベルで切りつける。
シーブック「取った! いや、浅いか!」
もだえるバルバトス・シドを深追いはせず、F91は再び森の中に姿を隠した。
一瞬遅れて、F91がいた空間をバルバトスの尻尾が切り裂いていく。
その状況判断を見ていたシンは、思わずヒュウと口笛を吹いた。
シン「普段は影薄くて目立たないけど、おまえってやっぱ腕立つよなシーブック」
シーブック「影薄くて目立たないは余計だよ!」
腕が立つのはシーブックだけではなかった。
シンもまた、囮役としてバルバトス・シド相手に一歩も引かない。
間断なく繰り出されるシドの攻撃を、的確に避け、受け止め、いなし、F91が攻撃する好機を作り出す。
シン「(やっぱり俺、昔よりずっと強くなってる。悔しいけど、『アイツ』のお陰かな……)」
戦闘中、不意に思い出したのは同い年の茶色い髪をした兄弟のことだった。
『アイツ』とは昔からそりが合わず、やれ肩がぶつかった、朝食のおかずと奪ったとかでしょっちゅうケンカになったものだ。
そのケンカを通じて、元々高かったシンの戦闘スキルがさらに磨かれていったことは否めない。
?ラ『ま、つまりシンが強くなったのは僕のおかげってことだよね。感謝してくれていいよ?』
だが、続けて思い浮かべてしまった『アイツ』のドヤ顔を見て、シンの頭にカーッと血が上る。
シン「でもやっぱりムカつくんだよアンタって人はーーーーーっ!!」
465オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2019/12/16(月) 00:57:35.57ID:uQBw6Nrr0
激情のままデスティニーガンダムはアロンダイトを振りかぶり、バルバトス・シドに向かって切りつけた。
思いもよらぬ反撃に姿勢が崩れるバルバトス・シド。
そんな隙をシンが見逃すはずがない。
デスティニーガンダムは右手でバルバトス・シドの尻尾をつかんだ。
シン「いい加減……邪魔なんだよこれが!」
そしてそのまま、パルマフィオキーナでテイルブレードを切断する!
苦しげに首を回すバルバトス・シド。
デスティニーガンダムを振り払い、距離を取ろうと背中を向ける。
シン「逃がすかーーーーーーーーーーっ!!」
シンの叫びと共に、背部ウイングユニットが大きく展開。
出力増加に伴い、光の翼が出現した。
デスティニーガンダムはアロンダイトを水平に構えると、そのまま逃げるバルバトス・シドに向かって突貫する!
シン「取った!!」
アロンダイトはシドの翼に深々と突き刺さった。
そしてその勢いのまま、崖下の斜面にバルバトス・シドの身体を磔にする。
シン「これで動きは封じた! 未だ、シーブック!!」
ジタバタともがくバルバトス・シドを抑えつけながら、シンは叫んだ。
シーブック「承知!」
すると森の中から再びガンダムF91が現れる。
シドは苦し紛れのミサイル乱射をするが、
“質量ある残像”を残しながら迫ってくるF91の影すら掴めない。
シン「もうすぐだぞ三日月。すぐにお前を助け出してやるからな」
シーブック「そのためにも! 今はその機体を破壊する!!」
F91はシドの前で急停止。同時にフェイスカバーが解放される。
そしてバルバトス・シドの頭部に向けてヴェスバーの狙いを定める――
三日月『――へえ、俺を殺すんだシーブック」
シーブック「!!?」
その瞬間、銃口を向けたままシーブックは固まった。
シン「おい、何ボケっとしてんだシーブッ……!」
言葉は最期まで発せられなかった。
バルバトス・シドが無理やりデスティニーガンダムを引きはがしたのだ。
そしてそのままデスティニーを力づくで投げ飛ばす。
シン「うわああああ!!」
シーブック「っ! シン!」
466オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2019/12/16(月) 00:59:30.19ID:uQBw6Nrr0
シンの声でシーブックは我に返った。
だがもう遅い。シドは転がっていた超大型メイスを拾い上げ、
ガラ空きになったF91の胴体に、強烈な一撃を叩きこむ!!
シーブック「ぐ……ハッ……!!」
F91は独楽のように弾き飛ばされた。
そうして何本もの木をなぎ倒して森の中へ消えていった。
シン「シーーブックーーーーーっ!!」
F91を撃破したバルバトス・シドが鬼のような形相で振り返った。
シン「次は……俺の番ってことかよ!」
シンはコクピットの中で身構える。
しかし意外なことに、バルバトス・シドはデスティニーには見向きもせず、
大きな羽をはばたかせて武道館の方へ飛び去っていった。
シン「助かった、のか? ハッ! シーブック! シーブック!」
シーブック「ぐ、うう……シン」
シン「シーブック!? よかった、生きてたんだな? 無事か?」
シーブック「無事……じゃないけどな。攻撃をモロに喰らった。俺はともかく、F91はもう戦えない」
シン「そっか……でもともかくお前が生きていてくれてよかったよ」
シーブック「悪いな……せっかくお前が作ってくれたチャンスをフイにしちゃって」
シン「それはいいんだけど、どうしてあの時、急に固まったんだ?」
シーブック「……三日月の声が聞こえたんだ」
シン「三日月の声?」
シーブック「正確に言うと、バイコンを通じて三日月の今の状況を感じ取ったんだ。だから撃てなかった」
シン「どういうことだよ」
シーブック「三日月は阿頼耶識システムに繋がったままシドに乗っ取られている。
今、あいつはシドと全ての感覚を共有してるんだ。さしずめドモン兄さんのMFみたいに」
シン「それって、つまり……!」
シーブック「ああ。シドへの攻撃はそのまま三日月のダメージになる。
もしもあの時、シドごとバルバトスの頭を吹っ飛ばしていたら、三日月はよくて廃人、下手すると……」
シン「死んでたってことかよ……!」
シーブックはこくりと頷く。
シン「じゃあ……じゃあどうやってシドを止めたらいいんだ!?」
日登町武道館:上空
再び飛来したバルバトス・シドは、誰もいない武道館に向けてミサイルを乱射した。
火の海となり、崩れ落ちる武道館。
バルバトス・シドは、それにはもはや目もくれず遠くを見つめていた。
その先には多くの避難民が集まる学校が……。
中央区:森林公園での戦闘結果
デスティニーガンダム……中破
ガンダムF91……大破・撃墜
バルバトス・シド……武道館を壊滅後、兄弟の学校に向けて移動中
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最終更新:2023年03月12日 11:03