523オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/02/03(月) 00:14:18.99ID:XZzBUb/i0
 バルバトス・シドは二度、三度ともんどりを打って倒れた。
 するとその上から、鉄骨が積み木を崩すように降りかかってくる。
 それをモロに受け、シドの姿は鉄骨の山の下に沈んだ。

ベルリ「今の内だね。僕らも逃げよう」
シン「ルナ! デスティニーはもうダメだ! そっちで俺を拾ってくれ!」
ルナマリア「わかった!」

 脱出の用意を始める面々。だが、フリットのAGE-1だけが動かない。

ベルリ「何やってんのフリット!?」
ルナマリア「ちょっと! シドが来ちゃうわよ!」
ウッソ「! まさか……」

 ウッソがAGE-1を見ると、機体の左腿から下が消え去っていた。

ウッソ「まさかフリット兄さん、さっき僕をシドから助け出したときに……!」
フリット「まあ僕としたことが、とんだうっかりだよね。反撃貰っちゃうなんてさ」

 そう言ってフリットは困ったように頭を掻いた。
 脚部は完全に切断され、バチバチと火花を上げている。
 機動性が武器のスパローにとってはまさしく命取りだ。

シン「どうするんだ、フリット!」
フリット「どうもこうも、なってしまったものは仕方ないよ。ここは僕がヤツを引き付けるから、みんなその隙に……」
ウッソ「……どうして」
フリット「え?」
ウッソ「どうして僕なんかを助けたんですかフリット兄さん!」
ベルリ「ウッソ?」
ウッソ「僕はフリット兄さんの作戦を無視して、勝手なことをして、それでピンチになったんですよ!」
フリット「まあ、そうだね」
ウッソ「ならなんで僕を助けて、逆にフリット兄さんがピンチになってんですか! 僕のことなんて放っておけばよかったでしょ!」
シン「お、おいウッソ! 今はそんなこと言ってる場合じゃ……」

 シンたちはウッソをなんとか宥めようとするが、彼は止まらない。

ウッソ「答えてください! なんで僕を助けたんですか!」
フリット「なんでって、言われても」
ウッソ「だっておかしいですよ! フリット兄さんは僕のことなんて……嫌いなくせに!!」
フリット「……別に僕、ウッソのこと嫌いだと思ったことなんて、一度もないよ」
ウッソ「……え?」
フリット「確かにウッソと比べたらキオの方が断然可愛いのは事実だけど」
ルナマリア「おいおい」
フリット「でも、嫌いだ、顔も見たくないなんて思ったことは一度もない。……本当だよ」
ウッソ「な、なんで……」
フリット「なんでって……そりゃあ、ウッソも僕の兄弟だから、じゃないかな」

524オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/02/03(月) 00:15:18.65ID:XZzBUb/i0
 照れくささを隠すようにわざとぶっきらぼうに言うフリット。
 そんな彼を、ウッソは唖然とした顔で見ていた。

ウッソ「じゃあ、なんで……今までフリット兄さんが僕に冷たく当たっていたのはどういう……」
フリット「冷たくって、別に僕はそんなつもりじゃ」

 だがそこへ、地獄の底から響くような咆哮が響き渡る。
 バルバトス・シドが、がれきの中から復活したのだ。

フリット「! マズイ、長話しすぎてシドが蘇った!」

 AGE-1は壁に手をついて起き上がると、シグルブレイドを構えた。

フリット「早く行って! ここは僕がなんとかするから」

 だがしかし、ウッソは退かなかった。
 むしろAGE-1を庇うように、V2コアファイターを旋回させる。

フリット「ちょっと! どういうつもり? いいから早く」
ウッソ「行きません! ……こんなところに、フリット兄さんだけを一人置いていけるはずがないでしょ!」
フリット「ウッソ……!」
ウッソ「だって僕ら、ガンダム兄弟なんですから! 兄弟の誰一人だって見捨てませんよ!」
ベルリ「ま、その通りよね」」

 続いてベルリのG-セルフが、AGE-1の横に並ぶ。

ベルリ「ここに残ってるのはフリットだけじゃない。三日月だっているんだから、それを置いておめおめ逃げかえれないでしょ」
フリット「ベルリ兄さんも!?」
シン「ルナマリア、お前はインパルスを降りた後、クーデリアさんを連れて、できるだけここから離れてくれ。その間の時間は稼ぐから」
ルナマリア「ちょっと何言ってんの!? こんな状況で私だけ逃げ出すはずないでしょ!」
シン「ルナ……」
ルナマリア「絶体絶命の状況でのコクピット相乗りなんて、ヒロインポイントを稼ぐ絶好の機会じゃない! ここでマユちゃんやステラと差をつけてやるんだから!」
シン「うん、やっぱお前はそういうキャラだってわかってたよ」
クーデリア「私も……私も逃げたくはありません! 最後まで三日月に語り掛けてみます。今度は……ちゃんと自分の言葉で」

525オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/02/03(月) 00:15:40.29ID:XZzBUb/i0
フリット「みんな、わかってるの!? このままここに居たって、勝算は限りなく低いんだよ!?」
ウッソ「わかってますよ! それをなんとかするのがフリット兄さんでしょ! 何か考えてくださいよXラウンダーで天才なんですから!」
フリット「なんだよ! 僕にばっかり押し付けるなよ! ウッソだってニュータイプでスペシャルだろ!」
ベルリ「はいはい、ケンカはやめなさいって」
シン「ま、最悪でも兄弟仲良くミンチになるだけだ。それに時間を稼げば、誰か助っ人に来てくれるかもしれないしな」
フリット「助っ人って、そんな都合よく……」

 その時、突然各機に通信が入った。

『…………い、おい! 誰k……ないか? こちr……ビ、日登町の現z……を教えr……』

 その通信は超長距離から無差別に送られたものらしく、
 ノイズは酷く、内容は殆ど聞き取れない。
 だがその声は、兄弟誰もが知る人物のモノだった。

シン「マジかよ……」
ベルリ「まさか本当に、こんな都合のいいことが起きるなんて」
ウッソ「どうするんですか、フリット兄さん」

 フリットはコクピットの中で大きく息を吐いた。

フリット「わかったよ。僕の負けだ」

 それから、モニターに映る憤怒の形相のバルバトス・シドを見やる。

フリット「みんな、残ってくれてありがとう。今から作戦を伝えるね」
ベルリ「なにか手があるんだな?」
フリット「うん。こうなった以上、『奥の手』を使う。今度こそ、三日月兄さんを助け出そう」
シン「ああ」
ベルリ「勿論だよ」
ウッソ「やりましょう、フリット兄さん!」

 再び咆哮するバルバトス・シド。
 そのコクピットで、三日月はかすかに笑ったように口角をあげた……

526通常の名無しさんの3倍2020/02/16(日) 08:58:42.50ID:R6K/Sfz30
少しおくれたが、バレンタインネタ
シン「相変わらず、レイかなりもらってるな」
レイ「そういうシンもそれなりにある方だと思うが
ちなみに誰からもらったか聞いていいか?」
シン「ステラにマユに、パーラに、同じクラスの女子数名に
義理だけどメイリンに……」
レイ(………ん?誰か肝心なのがいない気が、まぁ俺は気にしない)
シン「………あれ?誰か……る、ル、ルーさん?」
レイ「そんなわけないだろ?あのアホ毛の………里中チエちゃんだったかな?」
シン「いや、何で中学生の大家さんが出てくるんだよ。アホ毛と言ったら、青いセイバーだろ?」
レイ「そうだったな。青セイバーで思ったが、FFTのアグリアスとなんか似ているよな」
シン「確かになんか似てるよな
絵柄を似せると、ホントにどっちがどっちがわからなくなる時があるし」
レイ「見分ける方法が髪型とか…その位しかないんじゃないか?
ところで何の話題だったかな?」
シン「さぁ…そういえば忘れるとこだったな。はいレイ。お前に渡すチョコレート」
レイ「ありがとう。そして俺からもお前にも、チョコレートを」
シン「サンキュー。レイ」

527オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/02/16(日) 20:47:10.98ID:grjM6XVA0
日登町中央区

ルナマリア「見て! シドが来るわ!」
シン「わかってる。操縦代われ!」
ルナマリア「うん!」
シン「って、ああクソ、重いな! なんでよりによってブラストでくるんだよ!」
ルナマリア「え? そりゃあ私とくればやっぱり射撃・砲撃ってイメージじゃない? ザクウォもガナーだし」
シン「いやそんなイメージないから! 大人しくフォースかソードで来いよ! どうせ当たんないんだし!!」
ルナマリア「ぶぶー! 間違いでーす。>>498でちゃんと敵に当ててます~」
シン「あっそ! よかったな!」

 軽口を叩きつつ、シンはブラストシルエットを外した。
 そして機体を身軽にすると、腰に収納されていた実体ナイフを構える。

シン「俺たちが殿でひきつける! 作戦は任せたフリット!」

ベルリ「気合入ってるなあ、シン」
クーデリア「きっとルナマリアさんが一緒ですからいい所見せたいんですよ」
フリット「とにかく、シン兄さんが時間を稼いでくれてる内に僕らも行こう! ベルリ兄さん、肩を貸してください」
ベルリ「OK!」
ウッソ「僕が先導します! どこへ行けばいいですかフリット兄さん?」
フリット「そうだな。できるだけ周りに障害物の無い、見晴らしがいいところがあればいいんだけど」
ウッソ「見晴らしのいいところ、ですか……」

 ウッソは横目でマップを呼び出し、確認する。

ウッソ「見つけました! ここから南に10キロ、中央区を抜けて南区に入ったところに大規模な田園があります!」
フリット「田園か……うん、わかった。そこへ行こう。そこで『奥の手』を使う」

 背後からはシドの凄まじい咆哮が聞こえてくる。
 フリットたちはその声に追われるように急いで南区へ向かった。

528オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/02/16(日) 20:49:17.10ID:grjM6XVA0
日登町南区:穀倉地帯

 数分後、フリットたちは南区にいた。

フリット「なんとかシドに追いつかれずにここまでこれたね」
クーデリア「シンさんたちがひきつけてくださってるお陰ですね」
フリット「で、そのシン兄さんは? 無事なの?」
ベルリ「なんとかまだ無事みたい。座標送ったら、すぐに合流するって」
フリット「そっか。それで、肝心の目的地は……」
ウッソ「あそこです! あの丘を越えた先が目的地です!」

 ウッソの先導で、一行は急いで小高い丘を越える。
 だがその先に広がっていたのは、美しい田園風景ではなかった。

クーデリア「きゃっ……な、なんなんですかこれ!」
ベルリ「デビルガンダムヘッド……!」

 一行の目に映ったのは、地面から生える何十本もの巨大な首――デビルガンダムヘッドだった。
 気づかないうちに、南区はすっかりデビルガンダムによって汚染されていたのだ。

ウッソ「ウソでしょ、ここまで来て……」

 絶望的な声をあげるウッソ。
 デビルガンダムヘッドの数は多く、今の消耗した彼らでは到底駆除しきれない。

フリット「さしずめ、前門のデビルガンダム、後門のシドってヤツかな……」
ウッソ「そんな悠長なこと言ってる場合じゃないですよ!」
クーデリア「ど、どうしましょう!?」
ベルリ「幸いこっちにはまだ気づかれてない。引き返してどこか別のところでシドを迎え撃つしか……」

 だが、その時だった。

シン「ぐあああああっ……!」
ルナマリア「きゃああああ!!」

 悲鳴と共に、フリットたちの間をすりぬけて飛んでいったのはインパルスガンダム。
 そのまま丘を越え、田園地帯に不時着する。

クーデリア「今のは!?」
ウッソ「インパルスだ! インパルスガンダムをシドが捕まえて投げ飛ばしたんだよ!」
シン「悪いみんな! ギリギリで、シドに追いつかれた……!」
ウッソ「そんな! まだなんの準備も出来てないのに!?」

529オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/02/16(日) 20:56:53.84ID:grjM6XVA0
 当のシドは、大きな翼をはためかせ、フリットたちの背後から悠々とやってくる。
 同時に、その凶暴なオーラに当てられたのか、デビルガンダムヘッドも一斉に臨戦態勢に入った。

フリット「………!!」
クーデリア「ど、どうすれば……」
ベルリ「まずはシンたちを助けなきゃ! あの位置じゃデビルガンダムヘッドに狙い撃ちにされる!」
シン「俺たちはいい! 早くシドを……!」
ウッソ「フリット兄さん! なにかいいアイデアは……」

 だがその問いかけには答えず、フリットは一人他の兄弟たちから離れた。
 そしてバーニアを噴かしながら、
 残った一本足で丘を滑り降り、DGヘッドの繁茂する田園に向かう。

フリット「こっちだ、シド!!」

 ガンダムAGE-1の目が赤く光った。
 同時に、シドもまたAGE-1を追って斜面を滑空していく。

ベルリ「あれは!?」
ウッソ「『EXA-DB』ですよ! あれで僕らはシドをおびき寄せたんです!」
クーデリア「でも、なぜそんなものを再びこのタイミングで?」
ウッソ「まさかフリット兄さん、シン兄さんを救出するために自分を囮に……!?」

 田園に降り立ったAGE-1を狙っているのはシドだけではない。
 デビルガンダムヘッドもまた、インパルスからターゲットをAGE-1に変更した。

フリット「シン兄さん! 今の内です、デビルガンダムヘッドが僕を狙ってる間にここから離れて!」
ルナマリア「離れてって……ムチャよ! まさか自分一人で戦うつもり?」
シン「いや、フリットはそんな無謀な作戦を立てる奴じゃない。あいつは多分……」

 デビルガンダムヘッドの攻撃を掻い潜り、逃げるフリット。
 だが遂にバルバトス・シドはAGE-1に追いついた。
 そしてテイルブレードで、AGE-1の残った右足を切断する!

フリット「ぐうう!」
ウッソ「フリット兄さん!」
ベルリ「ダメだウッソ! 今飛び出しちゃお前までやられちゃうでしょ!」
ウッソ「だからってフリット兄さんをこのまま見殺しにするんですか!? このままじゃ……」
ベルリ「大丈夫だ、あいつを信じろ! フリットはきっと……」
ウッソ「?!」

 バルバトス・シドはAGE-1を地面に抑えつけた。
 そして左腕、右腕と残った四肢を?いでいく。
 そうやって抵抗できない状態にしてから、『EXA-DB』のデータを取り戻そうという算段なのだ。

530オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/02/16(日) 20:57:34.67ID:grjM6XVA0
 だがそこへ、異物を排除しようとするかのように、
 周囲のデビルガンダムヘッドが一斉に襲い掛かってくる!
 しかし、それもシドには織り込み済みだった。

フリット「! みんな、姿勢を低くして!」

 発せられたフリットの警告。
 そのすぐ後に、シドは翼を展開すると、フェザーミサイルとビームライフルの掃射でDGヘッドを焼き払う。

クーデリア「なんて強さなの……! あれだけいたDGヘッドが全て倒されるなんて」
ウッソ「フリット兄さん!」
ベルリ「大丈夫だ、AGE-1の反応はまだ残ってる」

 炎が消え、DGヘッドが一掃された後には、
 ただ見晴らしのいい、荒れ果てた田園風景が広がっている。

フリット「ふ、ふふ」

 それをモニター越しに見ていたフリットが、突然笑い出した。
 その謎の反応に、バルバトス・シドは困惑する。

フリット「やっぱりお前はただの機械だなシド。僕の本当の目的には気づかなかったみたいだ」

 そう言いながら、フリットはコクピットの中の、あるレバーを引いた。

フリット「正直、さっきDGヘッドを見た時は気が遠くなったよ。今の僕らじゃあの数は倒しきれなかったからね」

 すると、横にあったシャッターが開き、中から赤いボタンがせりあがってくる。

フリット「だからお前を利用したんだ。僕を餌にすれば、お前が代わりにDGヘッドを一掃してくれるってね。結果は見ての通りさ」

 フリットは迷いなくそのボタンを押した。
 一瞬の静寂。
 だがその後、遥か遠くで『何か』が起動する地響きが起こった。
 起動した『何か』は、一斉に南区へ向かってくる!

フリット「お前のおかげだよシド。色々回り道したけど、これで今度こそ戦いを終わらせられる」

 ただならぬ気配を感じたシドは、翼を広げ逃げ出そうとした。

フリット「もう遅い……これが、僕の『奥の手』だ!」


link_anchor plugin error : 画像もしくは文字列を必ずどちらかを入力してください。このページにつけられたタグ

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2023年03月15日 09:50