8911/62020/10/29(木) 08:35:09.38ID:4mhjaYCO0
久々に作ってみた。しばらく書いてなかったから拙いところもあるだろうけど、許して
――深夜、チャップマン邸にて。
チャップマン「(天井裏、右後ろに人の気配。距離は…約五歩といったところか…賊か?)」
ズキュン!
ヒイロ(天井裏に潜伏中)「(撃たれた…!?)」
チャップマン「………どこの手の者か知らないが、お引き取り願おうか」
ヒイロ『………』
チャップマン「今のはわざと外した。やんちゃも良いが、面会を希望するなら次は正門から入ってくることだな、"少年"」
ヒイロ『………』
マノン「あなた、今の音は…」
チャップマン「なに、心配いらない。大きなネズミが居たから威嚇しただけだ」
マノン「まあ…」
チャップマン「さあ、もう寝よう。明日の茶会にはドモン・カッシュも来る。寝坊などしたら暴れるかもしれん」
マノン「あなたったら、またそんなことを…」
チャップマン「はっはっは」
ヒイロ『(こちらに振り向くこともせず、掠めるギリギリの場所を狙った…これは、当たりかもしれない)』
ドモン「俺に、捜査の協力をしろだと?」
ヒイロ「ああ」
ドモン「断る。俺はファイターだ。スパイじゃない」
刹那「頼む。ドモン兄さんにしかできないことだ」
ドモン「どういうことだ?」
8922/62020/10/29(木) 08:36:35.98ID:4mhjaYCO0
ヒイロ「ターゲットはジェントル・チャップマン…今も様々な場所で活躍するガンダムファイターだ」
ドモン「馬鹿な! 奴にはもう悪事に手を染める理由などない! 病はすでに完治したし、妄執も捨てている!」
刹那「そう思うなら、話を聞いてほしい」
ドモン「…いいだろう」
刹那「今、上流階級の間で正体不明のドラッグが出回っている。
麻薬や禁止薬物の類ではないようだが、違法には違いない。俺たちは各所と連携し、その薬の出所について探っている」
ドモン「それとチャップマンに、何の関係がある?」
刹那「チャップマンはあらゆる世界の上流階級と付き合いがあり、精神強化剤を大量に所持・服用していた過去がある。
その手のコネクションには事欠かないだろう」
ドモン「できることと実行することは違う。何度も言うが、奴にそんなことをする理由はない」
ヒイロ「ここ最近、奴の勘が異常に鋭くなっている」
ドモン「勘が悪くてガンダムファイターが務まるか。チャップマンは全盛期の力を取り戻しているんだぞ。今までが鈍っていただけだ」
刹那「全盛期の記録から考えても異常だ」
ヒイロ「俺たちはスペシャリストだ。ガンダムファイター相手だろうと、そう簡単に尻尾は掴ませない」
ドモン「…いいだろう、やるだけやってやる。だが、俺は奴の犯行だと信じるつもりはないからな」
『今回、番組では先日のビシディアンの襲撃から貨物船を救ったジェントル・チャップマン氏にインタビューを…』
アセム「はぁ…」
キオ「アセム兄ちゃん、調子悪そうだけど何かあったの?」
アセム「え!? い、いやちょっと転んじゃって…ハハハ…」
8933/62020/10/29(木) 08:39:44.15ID:4mhjaYCO0
――数時間後、
日登町・チャップマン別荘のティーパーティ会場
オルガ「落ち着かねえな…こういう上品なところは」
ビスケット「こういう場に慣れておくのも立派な勉強だよ、オルガ」
オルガ「ミカは平気そうだな」
三日月「クーデリアによく呼ばれる。ボディーガードをしてくれって」
ビスケット「なるほど」
チャップマン「やあ、商談の席以外でこうして語らうのは初めてだな。ミスタ・イツカ」
オルガ「は、はい! お、お招きいただき恐悦至極の…」
チャップマン「はっはっは! そう堅くならなくていいぞ!
地位や年齢など構わず、長年の友人のように語り合うのがこのパーティの目的だからな」
オルガ「は、はぁ…スミマセン」
チャップマン「おや、君はたしかドモン・カッシュのところの…」
三日月「どうも」
オルガ「なんだ、知り合いか?」
三日月「うん。兄さんとクーデリアの知り合い」
ビスケット「さすが、顔が広いな…」
チャップマン「ぜひとも楽しんでいってくれたまえ。君たちとは、特に話がしたいと思っていたんだ」
オルガ「俺…いや、私たちと?」
チャップマン「将来、火星に移住したいと思っていてね。君たちは火星の出身なのだろう?」
オルガ「俺たち、育ち良くないんでろくなこと言えませんg」ドゴッ「ぐほっ」
ビスケット「(正直すぎるのもダメだって!)」
チャップマン「いや、それでいい。どんなものにだって、表裏はあるものさ…そう、どんなものにも…」
三日月「?」
8944/62020/10/29(木) 08:40:42.93ID:4mhjaYCO0
カトル「さすがはチャップマン氏ですね。良い葉を使っています」
リリーナ「………」
カトル「…ヒイロのことでしたら、心配はいりませんよ。本当にかすり傷です」
リリーナ「なら…」
カトル「今のチャップマン氏の勘の鋭さは異常です。もしヒイロが昨日の侵入者とバレては…」
リリーナ「私にも害があるかもしれない、ということですか」
カトル「そういうことです」
カトル「(ドモンさん、うまく聞き出してくれると良いけれど…)」
チャップマン「よく来てくれたな、ドモン・カッシュ。君も誘いを受けてくれるとは思わなかったよ」
ドモン「あんたとは一度ゆっくり話したいと思っていたし…何より、最初の茶会を台無しにしてしまったからな」
チャップマン「ふ…過ぎたことだ。それに、あの時は私も冷静さを欠いていた」
ドモン「………」
ドモン「病はもう治ったんだな」
チャップマン「医者の話では、体内のDG細胞が浄化されたことで健康体に戻ったらしくてな。前よりもずっと調子がいい
この前も旅行中、近くの貨物船を襲っていたビシディアンの撃退に助力してな。ジム・スナイパーとか言ったか…たまにはMF以外に乗るのも悪くない」
ドモン「それは何よりだ。――ところであんた、最近妙に勘が鋭くなったらしいが」
チャップマン「ああ…そういえば。だが病に蝕まれていたころと比較すれば当然ではないかな?」
ドモン「………」
チャップマン「安心したまえ。もう薬物などやっておらんよ。やる意味もない。…何があろうと、妻を悲しませることだけはしないと誓ったのだ」
ドモン「そうか…」
895通常の名無しさんの3倍2020/10/29(木) 08:41:46.84ID:4mhjaYCO0
チャップマン「………ドモン・カッシュ。そろそろ本題に入ってはくれないか」
ドモン「なに?」
チャップマン「勘というのかな。君が何かを探る目的でここに来たことは、なんとなく…予想がついているのだよ
出会いこそ、快いものではなかったと思うが…今では私も妻も、君を好ましい青年だと思っている。隠し事などはしたくない」
ドモン「そうか…なら、単刀直入に聞こう。今、上流階級に蔓延っている薬物について」
チャップマン「やくぶつ? 何のことだ?」
ドモン「は?」
チャップマン「私はてっきり、グランドガンダムを駆る謎のガンダムファイター"マスクド・イングランド"として
アマチュア界隈や地方の大会で活動していることを咎められると思っていたのだが…」
ドモン「は…はぁぁぁぁ!?」
チャップマン「いや、健康になったせいか、心まで若返ったような気分になってな。たまにグランドガンダムで泥臭く豪快な闘いをしたいと思うようになってきて…
だがネオイングランド政府が許してくれんので仕方なく…当然、賞の類は辞退している。何も受け取っていない」
ドモン「そんなことはどうでも…いや、よくはないが! 謎の薬物について、お前は何も知らないのか!?」
チャップマン「何の話をしているんだ。私はすでにそういうものとの縁は切っている。マノンに確認してもらってもいい」
ドモン「そ、そうか…」
チャップマン「マスクマンとしてこっそり地方の大会に出ていることについては大人しく罰を受けるつもりだ。沙汰を待たせてもらうよ」
ドモン「わ…わかった。ところで、さっきから聞こうと思っていたんだが…さっきから口に入れてるのはなんだ?」
チャップマン「おっと、見つかってしまったか。こっそり口に入れていたつもりだったが、さすがにガンダム・ザ・ガンダムの目はごまかせんな」
ドモン「のど飴か何かか?」
チャップマン「いや、フリスクだよ」
ドモン「フリスク」
チャップマン「ああ。回復祝いにハレヴィ家のご息女から頂いたのだが。なかなか爽快で癖になる味でな」
8966/62020/10/29(木) 08:43:24.45ID:4mhjaYCO0
ドモン「そんなもの、なんで隠れるようにして食ってるんだ」
チャップマン「世間では硬派な男として通っている私が、こんな菓子のようなものを好んで食べていると知られるのは、少し恥ずかしくてな」
ドモン「別に恥ずかしがることでもないと思うが。うちの兄さん達も、仕事の合間に口に入れているようだし
チャップマン「そうなのかね? それは知らなかった。俗世から離れていると、こういうことにも疎くなっていかんな」
ドモン「いや待てよ…フリスク…フリスクか…?」
チャップマン「どうしたね」
ドモン「すまない、チャップマン。そのフリスク、俺にももらえないか」
チャップマン「別に構わんが」
ドモン「助かる。同じものではないかもしれないが、後で代わりのものを持ってくるよ」
ドモン「ところでチャップマン。次はあんたをうちに招待したいな。悪ガキどもが多いから、少し騒がしいかもしれないが…今度は、普通に会話を楽しみたい」
チャップマン「その誘い、喜んで受けよう。妻も連れて行っていいかな?」
ドモン「もちろんだ。
せっかくだからジョルジュ達も誘おうか」
チャップマン「いいな、それは。彼ともしっかりと話をしたいと思っていた」
ドモン「決まりだな」
――後日、イノベイター家
ドモン「リィィボォォンズゥゥゥ!」
リヴァイヴ「リボンズ! よりによってガンダムファイターを怒らせるなんて何考えてんですか!?」
リボンズ「今度ばかりは身に覚えがないんだけど!? 僕はそもそもああいうのと絡むのは苦手で…」
アニュー「だったらなんで怒りのスーパーモードになってんのよ!?」
ドモン「見つけたぞ、元凶め! 俺のこの手が光って唸る! 貴様を倒せと輝き叫ぶ!」
リボンズ「うわ、見つかっt」
ドモン「友情と、怒りと、悲しみのォ! シャイニング・フィンガー・ソォォォォド!!」
イノベイターズ「ぬわ――――!!」
その後のチャップマンであるが。当人の精神的な影響を憂慮したドモンらの配慮により、事情はついぞ知らされなかった。
フリスク自体に特に中毒性などはなかったこと、そして普通に大人が食していることを知ったことで、(普通の)フリスクを堂々と食する姿が見られたとか。
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最終更新:2023年05月01日 13:48