29オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/11/24(火) 00:34:52.13ID:TjC+bj9o0
 AM 06:36 日登町西区:警察署前

サンダース「……大分回り道したが、ようやくここまでたどり着いたな」
ミケル「途中、ホントいらない回り道しましたけどね、ラッk」
エレドア「お前それは言うなって約束しただろ!!」
シロー「無駄話は終わりだ。見ろ」

 シローが指差した先には、警察署前に大量に鎮座するデスアーミー軍団とガンダムヘッドの姿があった。
 ネオジオン社に現れた、規格外の大きさのガンダムヘッドだ。

イオ「おいおいなんだのあのデカイの。成長期か?」
カレン「相手は日登町を埋め尽くすほどに成長したデビルガンダムだ。あんなのがいても不思議じゃないさ」
シロー「そうだ。どれほど相手を大きくても、やることは変わらない」

 この後の作戦はこうだ。
 まずは前方のデスアーミー軍団とガンダムヘッドの群れを突破し、警察署内に侵攻する。
 そしてここで二手に分かれ、デビルガンダム本体とメイン動力炉をそれぞれ叩くのだ。

セカイ「よし! いよいよ決戦だな! 腕が鳴るぜ!」
セイ「ちょっと! 忘れてないセカイ? 僕らの目的!」
三日月「目的?」
セイ「うん。今デビルガンダムのコアになってる人いるでしょ」
三日月「ああ、あのメガネのおじさん」
セイ「あのおじさん、僕らの友達のお父さんなんだ」

 現在、デビルガンダムのコアとして囚われているのはコウサカ・チナとコウサカの父。通称チナパパ。
 日登町で唯一、本格的デビルガンダム料理を味わえる店として名高いレストランのマスターだ。

イオ「デビルガンダムのヤツ! 罪のない一般人を取り込むなんて絶対許せねえよな!」
ミケル「台詞の勇ましさの割に顔が全然やる気ないですよイオさん」
イオ「しょうがねえだろ。デビルガンダムのコアといやあ大抵美女なのに、今回は本名も知らねえオッサンだぜ?」
エレドア「うん、みんなが内心思ってることをさらっと言っちゃうお前の素直さ、嫌いじゃないぜ」
セイ「それでも。委員長とユウマくんにとっては大切な家族なんです!」
セカイ「ああ! ここに学校で待ってる二人のためにも……俺たちがオジサンを救い出す!」
シロー「その意気だぞ、二人とも」
ミケル「! 隊長、大変です! 大隊クラスのデスアーミーがこっちに向かってきます。それも三つ!」
サンダース「大隊クラスが三つだと!?」
エレドア「俺たちに気づきやがったのか?」
イオ「いや、それにしちゃ前の奴らが呑気すぎる」
シロー「そうだな。きっとデスアーミーを使って何かを始める気なんだろう」
カレン「それが何にせよ、あたしらにとっていいこととは思えないね」
シロー「ミケル、そのデスアーミー大隊が到着するまでの時間は?」
ミケル「ちょっと待ってください。……出ました、後8分です!」
イオ「なら、もうここでのんびりしている時間はねえな。三日月!」
三日月「わかった」
シロー「あ、お前ら……」

 真っ先に飛び出したのはイオのフルアーマーガンダムと三日月のガンダムバルバトスだ。
 強襲に特化した性能を誇る二機は、油断していたデスアーミーに次々と襲い掛かり、撃破していく。

シロー「まったくあいつらは……」
サンダース「隊長、俺たちはどうします?」
シロー「決まってるだろ? 突撃する! 08小隊、セイ、セカイ! 俺に続け!!」

30オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/11/24(火) 00:36:32.97ID:TjC+bj9o0
 AM 06:40 日登町西区:警察署前

 突入開始から数分、08小隊一行とデスアーミー軍団の戦いは続いていた。

三日月「おまえら、邪魔」
イオ「おらおら、ザコどもはお呼びじゃねえんだよ!」
セカイ「次元覇王流……聖拳突きぃ!」
セイ「当たれ、当たれ、当たれ!」
エレドア「お、また撃破しやがった」
カレン「実戦経験はほとんど無いはずなのに、意外とガンプラバトルってのもバカにできないね」

 場慣れしたイオや三日月、08小隊の面々はもちろんのこと、
 セイやセカイもまた奮戦し、デスアーミー軍団の数を着実に減らしていく。
 だが

サンダース「敵の数が……多すぎる!」
セイ「倒しても倒しても、すぐに再生してまた立ち上がってくる……これがデビルガンダムの力なの?」
セカイ「これじゃあいつまで経っても警察署の中に入れねえ!」
シロー「諦めるな! 倒し続ければ必ず……!」
ミケル「ああっ!!」
エレドア「今度はなんだ!?」
ミケル「け、警察署に何かが超高速で向かってきています!」
サンダース「敵の増援か!」
ミケル「違います! 大きい、戦艦クラスだ」
シロー「戦艦だって?」
ミケル「照合データがある。これはクロスボーンの……!」

 その時、シローらは見た。東から超高速で迫ってくる、空駆ける海賊船の姿を。

シロー「あれは……!」
ベラ「退きなさい08小隊! これよりマザーバンガードは、警察署に突貫します!!」

 通信を受け、シローらは大慌てで散開した。
 すると数秒後に目の前を巨大な宇宙戦艦が通り抜けていく。
 戦艦は取り残されたデスアーミーを巻き込みつつ、警察署に体当たりを敢行した。

エレドア「クソッ! あいつら無茶苦茶しやがる!」
サンダース「だが、これで道が出来た」

 サンダースの言う通り、マザーバンガードの衝角は、警察署の壁に穴を開けていた。
 MSが充分に通れる大きさだ。

31オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/11/24(火) 00:37:37.51ID:TjC+bj9o0
ベラ「続いてMS隊、発進!」

 ベラの指示を受け、続々とMSが戦艦から降りてくる。
 その中には、セイたちが見知った機体も混じっていた。

セカイ「あれってヒルドルブにゲルググ?!」
セイ「カスペンさん!」
カスペン「ふっ、待たせたなヒヨッコども」
ソンネン「へっへっへ、また会ったなおまえら」
カレン「アンタたち、無事だったのかい!」
モニク「ああ。デスアーミーに追われて危ういところを海賊船に拾ってもらったのだ」
トビア「みなさん! 感動の再会中申し訳ないですけど、今はデスアーミーの始末を!」
ザビーネ「ダメじゃないかデスア~ミ~。ザコはザコらしく、さっさとやられなきゃあ!」

 クロスボーンバンガードの増援を受けた08小隊の一行は、反転攻勢を仕掛ける。
 あっという間にデスアーミー軍団の残党は掃討された。

イオ「ひゅ~、やるねえ。さすがは警察も手を焼く海賊部隊。腕利きぞろいだ」
ミケル「でも、海賊がどうしてここに?」
ベラ「あなた方が学校と西区でデビルガンダムの注意を惹いてくれたお陰です。おかげで私たちはスムーズにここまで来れました」
ミケル「いや、そう意味じゃなくてですね」
シロー「いいんだミケル。あなた方には昨日のデビルガンダム襲撃に加え、二度も助けられた。もう疑ってはいないさ」
ベラ「わかっていただいて感謝しますシローさ……隊長さん」
シロー「ところでキンケドゥは? あいつもここに来ているのか?」
ベラ「彼なら……」

 ベラが答えようとした時だった。
 突然、地中から巨大な影が現れ、真上にいたEz-8の足に喰らい付いた。

ベラ「あれは……デビルガンダムヘッド!」
サンダース「戦艦の突貫を地中に潜って躱していたのか!」
シロー「くそっ! こんなところでやられてたまるものか!」

 Ez-8は必死にバルカン砲を乱射するも、ガンダムヘッドは意に介さない。
 それどころか、Ez-8ごとシローを地中に引きずりこもうとする!

イオ「シロー!」
???「シロー兄さんを……やらせるか!」

 そこへ飛び込んできたのは、一機のMSだった。
 そのMSはマントを翻しながら接近すると、高出力のビームサーベルで一気にガンダムヘッドの首を斬り落とす!

32オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/11/24(火) 00:40:04.53ID:TjC+bj9o0
???「大丈夫か! シロー兄さん!!」
イオ「いや、シロー兄さんって、お前……」
シロー「そのMS……キンケドゥのクロスボーンガンダムX1。まさか、乗っているのは……シーブック、なのか?」
キンケドゥ「あっ……」
ベラ「バカ……!」

 兄の危機に思わず飛び込んだキンケドゥ・ナウことシーブック・アノー。
 だがそのやらかしに、ベラ……セシリーも艦長席で思わず顔を覆う。

イオ「い、いやシロー何言ってんだ。こんなとこにシーブックがいる訳ないだろハハ。声も全然違うし」

 兄弟の中で、双方の事情を知る数少ない一人であるイオが必死でフォローしようとするが……

三日月「いや、今の声はシーブックでしょ。どう聞いても」
イオ「馬鹿! おまっ! 今はちょっと黙ってろ!」

 天然な兄弟の発言に、それもあえなく散ってしまった。
 そこで、遂にシーブックは覚悟を決めた。

シーブック「……うん。そうだよシロー兄さん。このMSに乗っているのは、俺なんだ」
シロー「シーブック、お前……」
シーブック「今までごめん兄さん。でも、これには事情があって……」
シロー「お前……俺を助けに来てくれたんだな? キンケドゥからMSを奪って!」
シーブック「……へ?」
シロー「ずっと心配してたんだぞ、昨日シドに撃墜されたあと、学校に全然戻ってこないから。でもまさか、クロスボーンのMSに乗って現れるなんてな!」
シーブック「……ヒソヒソ(これってまさか……)」
ベラ「……ヒソヒソ(うん、気づいてないわね。あなたがキンケドゥ・ナウだって)」
シロー「うん? どうしたシーブック?」
シーブック「そ、そうなんだよシロー兄さん! 実は俺、昨日クロスボーンに拾われてさ。途中、隙を見て、キンケドゥからこのMSを奪ってやったんだよ!」
ベラ「な、なんてこと! キンケドゥがあんな地味な少年にMSを奪われるなんて! でも今は非常事態だから不問にしといてあげるわ!」
イオ「うわー、すげー棒演技」
シロー「そうだったのか。ありがとな、助けに来てくれて」
シーブック「い、いや別に気にしないでよ。俺たち兄弟じゃないか」
シロー「そうだな。だが、盗みはよくない! この戦いが終わったら、そのMSはちゃんとキンケドゥに返すんだぞ!」
シーブック「う、うん。わかったよ……(シロー兄さんが思った以上の天然で助かった……)」

 ほっとしたような表情を浮かべながら、そそくさとその場を離れるシーブック。
 イオは半分呆れつつも、隣にいる兄弟に素朴な疑問をぶつけてみた。

イオ「なあ、シロー。お前本当はもう気づいてるんじゃないか?」
シロー「うん? なんのことだ?」
イオ「いや、だからシーブックがさ」
シロー「あいつが何か、俺に秘密があるんであれば、それは“今は言えない”ってことなんだろ。
    だったら俺は、あいつが話す気になってくれるまでいくらでも待つさ。俺はあいつの兄貴なんだから」

 イオの問いかけに、シローは曇りのない真っ直ぐな目で答える。

シロー「それに今、俺は単純に嬉しいんだ。あいつが俺のピンチを見過ごせず、身体を張って助けに来てくれたことが!」
イオ「やれやれ。お前はなんつうか、ほんと昔から変わんねえよな……」

 AM 06:46 クロスボーン・バンガードを交え、デビルガンダム掃討作戦は次の段階へと進む――


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最終更新:2023年05月08日 10:42