137オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/05/05(水) 15:07:00.79ID:V1I4teWx0
 AM 07:30 アクシズ:後部ユニット近辺

 Hi-νガンダムとガンダムフェネクス、二機の戦いはアクシズ内部から再び宇宙空間へと場所を移して続いていた。

アムロ「どうしたヨナ! さっきより動きが悪くなってるぞ!」
ヨナ「くうっ!」

 ビームライフルと腕部ガトリングガンでけん制するHi-νガンダム。
 その攻撃の前に、フェネクスは防戦を強いられる。

アムロ「まさか気後れしてるんじゃないだろうな! リタちゃんと二人がかりで戦ってるからって!」
ヨナ「そんなことは……!」
アムロ「俺を舐めるなよ! お前たち二人とは戦いの年季が違うんだ! ファンネルだって存分に使わせてもらう!」

 そう宣言すると、アムロは6機のファンネルを射出し、オールレンジ攻撃を仕掛けてくる。
 その容赦のない攻撃を、リタは咄嗟にIフィールドで防御した。

ヨナ「すまない!」
リタ「ファンネルは私がなんとかするよ! ヨナはアムロのガンダムだけに集中して!」
ヨナ「了解!」
リタ「大丈夫、飛べるよ。私たちならアムロを超えて」
ヨナ「ああ! 二人で、鳥になろう!」

 その瞬間、機体を青い燐光が包み込んだ。光の中で、機体の各部装甲が展開し、
 ガンダムフェネクスはデストロイモードへと変形する!

アムロ「ヨナのヤツ……やっと本気になったか!」
ヨナ「行くぞ!」

 フェネクスに襲い掛かるオールレンジ攻撃。
 それをリタは、機体から離れた二基のアームド・アーマーDEで全てカバーした。
 その隙にフェネクスは、蒼い流星となってHi-νガンダムへ突撃を仕掛ける!

ヨナ「うおおおおお!!」

 切り結ぶ二本のビームサーベル。激しい鍔迫り合いの末、二機は再び離れた。
 そこへ再び仕掛けられるフィン・ファンネル。
 それはシールドファンネルによる打突で迎撃する。

138オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/05/05(水) 15:08:54.87ID:V1I4teWx0
リタ「約束の時間まで、あと1分だよヨナ!」
ヨナ「わかってる! これが……最後の攻撃だ!」
アムロ「来い、ヨナ! 俺の全てをかけて、お前を迎え撃つ!」

 再び蒼き流星がHi-νガンダムに向かってチャージをかける。
 その瞬間、操縦桿を握るヨナの脳内では、今までのアムロの戦いが走馬灯のように駆け回っていた。

ヨナ「(信じられない……俺が、ずっと後ろで兄さんの戦いを見ているだけだった俺が、こうしてアムロ兄さんと互角に戦っている!)」

 目の前では、Hi-νガンダムがヨナを待っている。
 あとはあそこにたどり着きさえすれば……そう思った瞬間だった。

ヨナ「待てよ、あのアムロ兄さんが、そんな簡単な相手か!?」

 直感に従って、ヨナは咄嗟に身を翻した。
 すると、一瞬遅れて、これまでフェネクスがいた場所を大出力のビームが通り過ぎていく。
 Hi-νガンダムのハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーだ。
 戦闘前にこっそりとチャージを済ませたものを近くに小惑星に忍ばせて置き、
 今、ワイヤーを使って遠隔で発射させたのだ。

アムロ「ちいっ! これを読んだか!」

 再びフェネクスはHi-νガンダムに向かって突撃。
 今度は一気に距離を詰め、右腕に装備したビームトンファーでHi-νガンダムに斬りかかる!
 それをアムロはシールドで防御。
 さらに左腕のビームトンファーで追撃するも、アムロは溶断されたシールドを投げつけ、フェネクスから距離を取った。
 それからバク宙のように回転すると、背面に装備されたハイパーバズーカの照準がフェネクスを狙い……

ヨナ「そうは……いくか!」
アムロ「なにっ!?」

 バズーカが発射される直前に、フェネクスは急加速。砲身をつかんで握りつぶした。
 そして背後に潜り込むと、貫手でHi-νガンダムの胴体を貫通する!

アムロ「ぐああああああ!」
ヨナ「これで……終わりだああ!!」

 そのままフェネクスはHi-νガンダムの胴部からコクピットブロックを引きずり出した。
 続けてコントロールを失った機体に頭部バルカン砲を乱射。爆散させる。

139オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/05/05(水) 15:09:23.58ID:V1I4teWx0
ヨナ「はあ……はあ……はあ……」

 コクピットで荒い息を吐いたまま、ヨナはぼんやりと手の中のコクピットブロックを眺めていた。
 そこに、ラー・カイラムから緊急通信が入る。

ブライト『どうしたアムロ? 今、アクシズ後部で爆発を確認したが、何かトラブルか?』
アムロ「いや、大したことじゃない。ちょっと兄弟げんかをしていただけさ」
ブライト『兄弟げんか?』
アムロ「それについては後で後で話すよ。……さて」

 通信を切ったアムロは、改めてフェネクスにクローズ回線を開く。

アムロ「ヨナ、一つだけ聞かせてくれ。
    今の戦いの最後に、おまえが避けたハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーとハイパーバズーカの背面撃ち。
    あれを捌けたのはリタちゃんの力か?」
リタ「ううん。わたしはなにもしてないよ」
アムロ「ならヨナが自分で俺の攻撃を予測したっていうのか? まさか……戦闘の最中にニュータイプにでも覚醒したのか?」

 ヨナは静かに首を振った。

ヨナ「違う。兄さんやカミーユみたいな特別な力、俺にはないよ。
   ただ、戦いの最中、ふと思ったんだ。こんな時、兄さんはいつもどんな風に戦ってたっけって。
   そしたら身体が自然に動いた」
アムロ「自然にだと?」
ヨナ「うん。だって俺は……ずっと兄さんの戦いを見て生きてきたから。アムロ兄さんが初めてニュータイプになった時から、ずっと」
アムロ「そうか」

 納得したように呟くと、アムロはモニター越しに、いつもの穏やかな表情を弟に見せた。

アムロ「完敗だよ。今日のけんかは……お前の勝ちだ、ヨナ」
ヨナ「!!」

 突然投げかけられたアムロの敗北宣言に、ヨナはなんと返したらいいかもわかず、言葉を失った。
 そこへ再び通信が入った。今度はレウルーラにいるキラたちからだ。

キラ『あ、やっと繋がった。そっちはどう? 兄弟げんかは終わったの?』
リタ「うん、終わったよ」
キオ『それで、アムロ兄ちゃんとヨナ兄ちゃん、どっちが勝ったの?』
リタ「それは……」

 リタが答えようとしたその時だった。
 突如、巨大な振動がフェネクスを襲う。

リタ「な、なにこれ? 地震?」
ヨナ「宇宙空間で地震なんてあるわけが……」
アムロ「違う! アクシズだ! アクシズが揺れているんだ!」

 そこへ、再びラー・カイラムから通信が入った。

ブライト『緊急事態だアムロ! すぐにラー・カイラムに戻ってきてくれ!!』
アムロ「どうしたブライト、何があった? このアクシズの振動と何か関係があるのか?」
ブライト『ああそうだ。たった今、アクシズが急激に速度を上げた。このままだと……あと30分もしないうちにアクシズは日登町に落下する!!』


アクシズ:後部パルスエンジン付近での戦闘結果

Hi-νガンダム……撃墜
ガンダムフェネクス……小破

 時刻はAM 07:33 アクシズの日登町落下まで、あと28分――!


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最終更新:2023年05月10日 11:29